- 更新日 : 2025年11月11日
介護事故報告書とは?書き方やポイントを解説【無料テンプレートつき】
介護事故報告書は、介護サービスの提供に伴う事故が発生した場合に市町村などの行政機関に報告するものです。介護保険法や各自治体が定める指針では、介護事業者は事故の状況および事故に際してとった処置について記録することを義務付けています。
本記事では、介護事故報告書の作成方法や、注意すべきポイントを中心に解説します。
目次
介護事故報告書とは?
介護事故報告書は、介護の現場で発生した被介護者の事故に関する報告書です。事故の内容、事業所が対応した措置を文書にすることは、行政や家族に対する説明義務を果たすとともに、事業の再発防止策を検討するうえでも重要な資料となります。
介護事故とは?
介護事故の定義では、全国社会福祉協議会が作成した『福祉サービス事故事例集』に示されている「福祉サービスの全過程において発生する全ての人身事故で身体的被害及び精神的被害が生じたもの」という定義が使われています。これをもとに、介護事故をあえて分類すれば、①サービス提供中の事故(転倒・転落、誤嚥・誤飲)、②職員の不適切行動(暴力、虐待)、③サービス提供に関連する事故(食中毒、感染症、火災)といった分類が可能です。
介護事故報告はなぜ必要か?
介護事故が起こった場合には、事故に遭った被介護者のケアが最優先ですが、併せて市町村や利用者の家族などに連絡する義務があります。また、こうした一連の対応を行った後、事故の状況および事故に際してとった処置について記録しなくてはなりません。介護事故報告書は、このような連絡と記録として作成します。
介護事故報告書の目的は?
介護事故報告書は、事故の内容や事業者がとった対応、その後の経過などを記載するものであり、事故の状態によっては、介護福祉サービス事業としての適格性を検証する際の資料にもなります。
また、事業所にとっても介護事故報告書は、今後同じような事故が発生しないように対策を講じる場合の貴重な検討資料にもなるでしょう。
介護事故報告書の作成方法は?
介護事故報告書を作成するに当たっては、事故の内容や対応措置について正確に振り返り、これを客観的に記載することが重要です。
また、事故防止マニュアルの見直し、訴訟事案となった場合の備えなど、今後の業務に生かすことも念頭に置き、個々の項目について正確かつ的確な記載をしましょう。
事故の概要
事故の概要は、以下の項目に、できる限り詳細に記載します。必要に応じて図面や写真を添付することも有効です。
- 事故の発生に気づいた際の現場の状況(※気づいたきっかけも記載)
- 事故発生時または発見時の被介護者の状態(※顔色、声がけに対する反応、外傷など)
- 現場の状況(※壁、床などの状態、障害物等の有無、その場にいた他の被介護者やスタッフの数など)
事故発生時の対応
事故発生時の対応については、以下の事項に沿って記載すると整理しやすいでしょう。
- 被介護者の状態に基づき下した判断および講じた措置
- 医師の診断内容の要点(※診断書のコピーを添付)
- 連絡をした家族の氏名・続柄、連絡に対する反応
- 連絡をした機関の名称・担当者・連絡内容・連絡先からの照会や指示があった場合はその内容
その他に特筆事項があれば記載します。
事故発生後の経過
事故発生後の経過で記載するのは、次の事項です。
- 被介護者の状況(※報告書の作成者が観察した状況)
- 被介護者が会話できる場合には、質問内容と回答
- 家族の訪問があった場合、その日時・訪問者氏名(※やり取りの内容を別途記録し添付)
介護事故報告書の無料テンプレート
下記から介護事故報告書のテンプレートをダウンロードし、利用すれば、各項目にしたがって記載していくことにより、事故の内容・状況を正確に記録することができます。
忙しい日々の業務の中で必要かつ十分な報告書を作成するために、ぜひご利用ください。
介護事故報告書の記載例は?
上記のテンプレートに基づき、介護報告書の記載例を紹介します。ここでは、特にポイントとなる「事故の概要」「事故発生時の対応」「事故発生後の対応」の3項目を取り上げます。これらの項目の書き方については、作成者によってばらつきが生じないよう事業所内で統一しておくことも大切です。
転倒事故の報告
事故の概要 食堂での騒ぎに気づき駆けつけると、Aが床に倒れているのを発見。事情を尋ねると「立ち上がった際にテーブルに当たり転んだ」とのこと。介助により立ち上がる。特に痛みの訴えはなし。 事故発生時の対応 【対処の時間・内容】 直ちに看護師と医師に報告 イスに座ってもらいバイタルチェックを実施。特に異常なし 外傷もなかったため、経過観察とする 【治療した医療機関】(省略) 【治療の概要】(省略) 【家族等への連絡】 ○年○月○日○時頃、被介護者の長男〇〇に電話連絡 【連絡済の関係機関】 報告取り扱い基準により報告の必要なしと確認、管理者も了解 事故発生後の経過
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誤嚥事故の報告
事故の概要 テーブルでAを含む3名に食事の介助を行っていたところ、白米を食べていたAが激しくむせた。急いで駆け寄り背中をたたくと、口に入っていた白米を3回吐き出し、その後2分ほどで呼吸も安定した。 事故発生時の対応 【対処の時間・内容】 事故発生後直ちに口中の食べ物を吐き出させた 呼吸が落ち着いた時点で口の中を確認したところ、食べ物は残っていなかった 喉や気管内の残留物や肺炎を懸念し、かかりつけ医の診察を受けた 【治療した医療機関】(省略) 【治療の概要】 医師の診察により、喉や気管内の残留物や肺炎の心配はないことを確認 【家族等への連絡】 ○年○月○日○時頃、被介護者の長女〇〇に電話連絡 誤嚥事故の発生、医師の診察結果を説明 【連絡済の関係機関】 ○年○月○日○時頃、〇〇市〇〇課(担当:○○○○主査)に連絡。 事故発生後の経過
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介護事故報告書を記入するときの注意点は?
介護事故報告書に限りませんが、作成する場合には、単に項目を埋めればよいといった考えではなく、今後に役立つ内容とすることを心がけましょう。
作成に当たっては、
- 事実と作成者の主観とを混同せず、事実について客観的に記述すること
- 図や診断書などを理解に役立つ資料を添付すること
- 専門用語や略語を多用せず、平易な用語で明確に記述すること
- 日時その他のデータに誤りがないかチェックすること
などに注意しましょう。
経験を生かして事故防止を!
介護現場における事故については、介護保険法や自治体の条例などによって報告が義務付けられています。
介護事故報告書を作成することは、失敗やミスを客観的に振り返る機会でもあります。単なる義務として作成するだけでなく、事故の情報を事業所内で共有ししましょう。再発防止に向けた対策を検討するうえでも貴重な資料として活用してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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