• 更新日 : 2026年6月29日

年末調整で配偶者控除を受けられないケースとは?結婚・共働き・扶養外の手続きを解説

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Point配偶者が扶養に入らない場合、控除は受けられない?

配偶者の年収が207万円以下であれば、年末調整配偶者特別控除として最大38万円を申告できます。

  • 配偶者の給与年収136万円以下なら配偶者控除を受けられる(令和8・9年分)
  • 169万円超〜207万円以下は配偶者特別控除が段階的に減る
  • 本人の合計所得が1,000万円超では両控除とも対象外に

健康保険の扶養とは判定基準が異なるため、年末調整では申告書2種類を期限内に提出しましょう。

結婚しても配偶者が働き続けているケースでは、「そもそも配偶者控除を受けられるのか」「扶養に入らない場合の年末調整はどうすればいいのか」と悩む方が多くいます。

この記事では、配偶者控除・配偶者特別控除の基本から、扶養外のケース別の申告方法、申告書の書き方まで順に解説します。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

そもそも配偶者控除とは?

配偶者控除とは、納税者本人の合計所得が1,000万円以下で、かつ配偶者の年間合計所得が一定額以下の場合に、本人の課税所得から最大38万円を差し引ける所得控除です。

毎月の給与から天引きされる源泉所得税は、扶養家族の状況をもとに概算で計算されています。年末調整はこの概算額と1年分の正しい所得税額の差を精算する手続きであり、配偶者控除はその精算の中で申告する主要な控除のひとつです。控除が適用されると課税所得が減り、源泉徴収された税額の一部が還付されます。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

配偶者控除と配偶者特別控除の違いは?

配偶者控除は配偶者の合計所得が62万円以下(令和8・9年分)の場合に受けられる控除で、配偶者特別控除は62万円を超えた場合でも年収が一定範囲内であれば段階的に受けられる控除です。

2つの控除は併用できず、どちらか一方のみ申告します。配偶者の合計所得が62万円以下であれば配偶者控除(最大38万円)、62万円超〜合計所得133万円以下(給与年収207万円以下目安)であれば配偶者特別控除が適用されます。いずれも本人の合計所得が1,000万円を超えると申告できません。

参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

老人控除対象配偶者とは?

老人控除対象配偶者とは、その年の12月31日時点で70歳以上の控除対象配偶者のことで、通常の配偶者控除より控除額が高くなります。

本人の合計所得900万円以下の場合、一般の配偶者控除は38万円ですが、老人控除対象配偶者は48万円に引き上げられます。結婚相手が70歳以上の場合は、年末調整の申告書でこの区分に該当するかを確認してください。

参考:No.1182 高齢者を扶養している人が受けられる配偶者控除や扶養控除|国税庁

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年末調整で配偶者控除を受けられないケースとは?

配偶者控除を受けられないケースは大きく3つあります。

  1. 配偶者の年収が基準を超えている
  2. 本人の年収が1,000万円超
  3. 配偶者が別の人の扶養に入っている

ただし、1. のケースでも配偶者特別控除が使える場合があります。「控除が受けられない」と思い込んで申告を見送るより、まず下記の条件と控除一覧表で確認することが重要です。

配偶者の年収が何円を超えると控除が受けられなくなる?

令和8・9年分では、配偶者の給与年収が207万円超になると配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも受けられなくなります。

この年収は「配偶者の合計所得が133万円超」という法定の上限に、令和8・9年分の給与所得控除最低保障額(特例込み74万円)を加えた目安です。207万円以下であれば、配偶者が税務上の扶養に入っていなくても配偶者特別控除の申告が可能です。下記の表で控除額の目安を確認してください(令和8・9年分・本人の合計所得900万円以下の場合)。

区分 配偶者の給与年収の目安 控除額
配偶者控除 136万円以下 38万円
配偶者特別控除(満額) 136万円超〜169万円以下 38万円
配偶者特別控除(逓減) 169万円超〜207万円以下 36万円〜3万円
控除なし 207万円超 0円

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

令和8・9年分の年収の壁はどう変わった?

令和7年度・令和8年度の2段階の税制改正により、配偶者控除・配偶者特別控除に関わる年収の壁は大きく引き上げられました。

配偶者の年収に関わる主な壁の変化は以下のとおりです。

壁の種類 令和6年以前 令和7年分 令和8・9年分
配偶者控除の上限(税務上の扶養) 103万円 123万円 136万円
配偶者特別控除 満額ライン 150万円 160万円 169万円
配偶者特別控除 上限 201万円 201万円 207万円
社会保険の扶養(130万円の壁) 130万円 130万円 130万円

税務上の扶養に入らないと配偶者控除はどう変わる?

配偶者が税務上の扶養に入らない状態とは、配偶者の合計所得が62万円超(令和8・9年分は給与年収136万円超が目安)になり、「控除対象配偶者」として申告できなくなることです。

この場合、配偶者控除は受けられませんが、配偶者の年収が207万円以下であれば配偶者特別控除の申告が可能です。なお、「税務上の扶養」と「健康保険(社会保険)の扶養」は判定基準・管轄・手続き先がすべて異なります。

健康保険の扶養判定は「今後12か月間の見込み収入が130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満)」が一般的な目安で、所得税の配偶者控除とは別制度です。婚姻後に健康保険の扶養に入る手続きをしても、年末調整の配偶者控除等の申告は別途必要になる点を覚えておきましょう。

結婚した年の年末調整、どの申告書に何を書けばよい?

結婚した年の年末調整では、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2枚の提出が基本です。

勤務先から渡される年末調整書類は複数種類ありますが、配偶者に関する控除はそれぞれ別の書類で申告します。入籍後に生じた家族状況の変化(婚姻)は「異動」に当たるため、年内に扶養控除等申告書を書き直す必要があります。

1. 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の配偶者欄を更新する

この申告書の「源泉控除対象配偶者」欄は、本人の合計所得が900万円以下かつ配偶者の合計所得が95万円以下(令和8・9年分は給与収入169万円以下が目安)の場合にのみ記入します。

配偶者の収入がこの条件を超える場合、扶養控除等申告書の配偶者欄は空欄にし、後述の配偶者控除等申告書で申告します。婚姻前は独身として記入していた欄も、婚姻届提出日以降は「配偶者あり」として訂正・提出が必要です。なお、令和8年分の扶養控除等申告書は令和7年度改正にともない記載事項が一部変更されています。勤務先から配布される書類の様式と記載例を必ず確認してください。

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

2. 「給与所得者の配偶者控除等申告書」に配偶者の収入を記入する

配偶者控除等申告書には、配偶者の1年間の合計所得(見積額)を記入し、控除額の計算表に従って申告額を確定させます。

配偶者の年収が給与のみの場合、源泉徴収票の「支払金額」欄の数字を用います。パートや副業など複数の収入源がある場合はすべてを合算した合計所得で判定します。年末に収入がまだ確定していない段階では「見積額」を記入し、確定後に差異が生じても確定申告で精算できます。

参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

3. 勤務先に書類を提出する期限を確認する

年末調整の申告書提出期限は会社ごとに異なりますが、一般的に11月中旬〜12月初旬です。

婚姻届の提出が年末に重なった場合でも、勤務先が年末調整の書類を締め切る前であれば当年分に間に合います。期限を過ぎた場合は、翌年2〜3月の確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除を申告することができます。

共働きで配偶者が扶養に入らない場合、どちらが控除を申請できる?

配偶者控除・配偶者特別控除は、収入が多い方(扶養する側)が申請するのが基本です。

税法上、どちらか一方の配偶者がもう一方を「生計を一にする配偶者」として申告できますが、双方が同時に申告することはできません。共働き世帯では、合計所得の高い側が申告することで節税効果が大きくなる場合が一般的です。

本人の年収が1,000万円を超えると控除が受けられなくなる理由は?

本人(申告者)の合計所得が1,000万円を超えると、配偶者控除・配偶者特別控除の両方が適用外となります。

この上限は2017年(平成29年)の税制改正で設けられたもので、高所得者への優遇を縮小する趣旨によるものです。本人の合計所得が900万円超〜950万円以下、950万円超〜1,000万円以下の区間では控除額が段階的に減少し、1,000万円超で控除額がゼロになります。この所得制限は令和8年度税制改正で変更されていません。自身の収入が該当する場合は、会社から配布される控除額の計算表で確認しましょう。

配偶者の年収が169万円を超えた場合、控除額はどう変わる?

令和8・9年分においては、配偶者の給与年収が169万円を超えると配偶者特別控除の金額が段階的に減り始め、207万円超でゼロになります。

配偶者の年収169万円以下であれば、配偶者控除と同額の38万円(本人の所得900万円以下の場合)を配偶者特別控除として申告できます。169万円の壁(旧「150万円の壁」)を超えると控除額が段階的に減少しますが、年収が増えた分の収入増加と比較すると世帯全体の手取りはプラスになるケースが多いため、就業調整の判断は社会保険の加入条件も含めて総合的に検討しましょう。

年末調整で配偶者控除等を申告し忘れた場合はどうすればよい?

年末調整で配偶者控除等を申告し忘れた場合は、翌年3月15日までの確定申告で取り戻せます。

勤務先に年末調整の修正を依頼できる期限は原則として翌年1月末の法定調書提出前までです。それ以降は自分で確定申告(還付申告)を行う必要があります。還付申告は最大5年間さかのぼれるため、過去の年分で申告漏れがあった場合も申告可能です。

必要書類は源泉徴収票・配偶者の収入証明(源泉徴収票など)・マイナンバー関連書類が基本となります。

結婚後の年末調整で見落としがちなポイントを押さえておこう

結婚後の年末調整では、配偶者が税務上の扶養外であっても配偶者特別控除が使える可能性があります。令和8・9年分は時限特例により年収の壁が大きく引き上げられているため、申告書2種類(扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書)を正確に記入して期限内に提出することが節税の第一歩です。健康保険の扶養と所得税上の扶養は別物であり、婚姻した年から確実に申告しましょう。

年収の壁の基準は今後も物価スライドにより変わる見込みのため、年末調整の時期に国税庁の最新情報を確認する習慣をつけることをおすすめします。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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