• 作成日 : 2022年11月4日

賞与・ボーナスにも社会保険料がかかる?計算方法も分かりやすく解説!

賞与・ボーナスにも社会保険料がかかる?計算方法も分かりやすく解説!

社会保険料は、給料と同じように、賞与・ボーナスにもかかります。標準報酬月額の代わりに賞与・ボーナスの社会保険料の計算には、標準賞与額が用いられます。率は給料と同じ値です。賞与・ボーナスからは、社会保険料の他に所得税(源泉徴収税)や雇用保険料も控除されます。賞与明細には、これらの控除を記載しなければなりません。

賞与・ボーナスにも社会保険料がかかる?

賞与からも社会保険料と所得税(源泉徴収税)が控除される

毎月の給料と同じように、賞与からも社会保険料と所得税(源泉徴収税)が控除されます。ただし社会保険料・所得税(源泉徴収税)とも、金額の計算方法は次のように異なっています。

社会保険料

  • 給料:標準報酬月額を用いて計算する
  • 賞与:標準賞与額を用いて計算する

所得税(源泉徴収税)

  • 給料:給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を用いて計算する
  • 賞与:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表を用いて計算する

社会保険料が控除されはじめたのはいつから?

現在のように賞与からも社会保険料が控除されるようになったのは、2003年(平成15年)4月からです。それまでの1995年(平成7年)4月から2003年(平成15年)3月までの期間は、特別保険料として1%(従業員と会社が0.5%ずつを負担)の料率で賞与から厚生年金保険料が控除され、1995年(平成7年)3月以前は賞与からの厚生年金保険料控除はありませんでした。

賞与からの厚生年金保険料控除が行われるようになった目的は、負担の公平化を図るためです。賞与には、社会保険料がかからないことを悪用して社会保険料負担を免れることを防ぐため、賞与からも厚生年金保険料が控除されるようになりました。

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賞与から控除される社会保険料の計算方法は?

賞与から控除される健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の金額は、給料と異なる計算方法で行われます。

健康保険料の計算方法

賞与から控除される健康保険料は、標準賞与額と健康保険料率を用いて求めます。標準賞与額は、賞与支給額を1,000円単位にした金額です。所得税(源泉徴収税)を控除する前の賞与支給額の1,000円未満を切り捨てた金額が標準賞与額になります。

賞与から控除される健康保険料 = 標準賞与額 × 健康保険料率

健康保険料率は、賞与も給料と同じ料率で、全国健康保険協会の場合は都道府県別に定められている率が用いられます。健康保険料を計算する際に使用する標準賞与額には上限金額が定められていて、4月1日から3月31日までの年間累計額573万円が上限とされます。

介護保険料の計算方法

40~64歳までの従業員には、介護保険料の負担義務があります。賞与にも給料と同じように介護保険料がかかり、料率も同じ16.4/1000を用いて計算します。

賞与から控除される介護保険料 = 標準賞与額 × 介護保険料率(16.4/1000)

介護保険料は健康保険料と一緒に計算するため、上限金額についても同じ取扱いになります。

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料率は183/1000で、賞与から控除される厚生年金保険料は、標準賞与額に厚生年金保険料率をかけて求めます。

賞与から控除される厚生年金保険料 = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率(183/1000)

厚生年金保険料を計算する際に使用する賞与額の上限金額は、1カ月あたり150万円です。

雇用保険料の計算方法

賞与から控除される雇用保険料は、賞与総支給額に雇用保険料率をかけた金額です。

賞与から控除される雇用保険料 = 賞与支給額 × 雇用保険料率

令和4年10月1日からの雇用保険料率は、以下の表の通りです。

雇用保険料率
従業員負担分会社負担分
一般の事業13.5/1000
5/10008.5/1000
農林水産・清酒製造の事業15.5/1000
6/10009.5/1000
建設の事業16.5/1000
6/100010.5/1000

1円未満の端数については以下のように処理します。

  • 50銭以下:切り捨て
  • 50銭1厘以上:切り上げ
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賞与から控除される所得税(源泉徴収税)の計算方法は?

賞与からは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料が控除されるように、所得税(源泉徴収税)の控除も行われます。ただし計算方法には、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料とは大きく異なる点もあるので、間違えないように注意する必要があります。

賞与に対する源泉徴収税額の算出率は?

賞与から控除される所得税(源泉徴収税)は、賞与の金額に賞与の金額に乗ずべき率をかけて求められます。賞与の金額・賞与の金額に乗ずべき率は、以下の通りです。

  • 賞与の金額:賞与支給額から社会保険料などを差し引いた金額
  • 賞与の金額に乗ずべき率:前月に支払われた給料額(社会保険料控除後)と扶養親族等の数をもとに定められている率(「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」に記載されている)

ただし、前月の給料の金額の10倍を超える賞与を支払う場合、前月に給与を支払っていない場合には、他の方法で賞与から控除される所得税(源泉徴収税)を計算します。

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事業主が賞与を支給する際に必要な手続きは?

賞与を支給するために、事業主は従業員一人ひとりの賞与額を計算したり資金を準備したりする必要があります。また以下の手続きを行うことも求められます。

賞与明細書を発行する

従業員に対する賞与の支給には、賞与明細書が必要です。賞与の支給額、控除する項目、控除する項目それぞれの金額を記した賞与明細書を添えて、従業員に賞与を支給しなければなりません。

被保険者賞与支払届と被保険者賞与支払届総括表を提出する

被保険者賞与支払届は、事業主が従業員に賞与を支給したことを届けるために提出します。賞与から控除した社会保険料を納付するために必要とされる届出で、支給日から5日以内に提出しなければなりません。被保険者賞与支払届により従業員それぞれの標準賞与額が決定され、賞与の保険料額が算出されます。

2021年(令和3年)3月までは、被保険者賞与支払届を提出する際には、被保険者賞与支払届総括表を添付することが求められてきました。しかし、2021年(令和3年)4月から被保険者賞与支払届総括表は廃止され、代わりに被保険者賞与不支給報告書が新設されました。賞与支払月に賞与を支給しなかった場合には、被保険者賞与不支給報告書を提出することになり、被保険者賞与支払届の提出は不要になります。

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賞与に社会保険料がかからない場合もある?

賞与には、所得税と社会保険料がかかります。従業員に賞与を支給する際はそれぞれの金額を計算して、控除しなければなりません。しかし、以下の場合の賞与には社会保険料はかかりません。かかるのは雇用保険料と所得税のみとなるので、気をつける必要があります。

退職する従業員に賞与を支給する場合

従業員が賞与を受け取った月に退職するケースには、次の2パターンが考えられます。

  1. 退職日が15日や20日のような月の半ばである場合
  2. 退職日が月末の場合

このうち賞与に社会保険料がかからないのは、1.の場合です。月の半ばに退職する場合は月末には会社に在籍していないため、その月の社会保険料はかかりません。したがって同じ月に支払う賞与にも社会保険料はかからず、徴収のための計算や控除も不要です。

2.の場合は、翌月1日が資格喪失日になり、月末時点では会社に在籍しています。その月は、社会保険料がかかるため、同じ月に支払われる賞与からも社会保険料が徴収されます。

産前産後や育児休業中の従業員に賞与を支給する場合

社会保険には、産前産後休業保険料免除・育児休業保険料免除制度があり、産前産後の休業中や育児休業中は、社会保険料の支払いが免除されます。このため産前産後の休業、および育児休業中に支給される賞与にも、社会保険料はかかりません。ただし2022年(令和4年)10月からは、賞与支給の月の末日を含んだ、連続した1カ月を超える育児休業でなければ、社会保険料の支払いは免除されません。

賞与の社会保険の計算方法を理解して正しい金額を控除しよう

毎月の給料には社会保険料がかかるため、計算した金額が控除されます。賞与にも給料と同じように社会保険料がかかり、金額の計算と控除を行う必要があります。所得税(源泉徴収税)の控除も行わなければなりません。

給料から控除される社会保険料は標準報酬月額を用いて計算するのに対し、賞与から控除される社会保険料は標準賞与額を用いて計算します。計算方法を理解して、正しく賞与から控除しましょう。

よくある質問

賞与からも社会保険料が引かれる?

賞与からも社会保険料と所得税(源泉徴収税)が引かれます。詳しくはこちらをご覧ください。

賞与から控除される社会保険料の計算方法は?

賞与の金額の千円未満を切り捨てた額を標準賞与額とし、健康保険料や厚生年金保険料を計算します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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