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  • 更新日 : 2021年12月7日

給与明細を電子化するには?導入方法からメリット・デメリットまで紹介

給与明細を電子化するには?導入方法からメリット・デメリットまで紹介

給与明細の電子化は、ペーパーレスでのコスト削減や業務効率化といったメリットがあります。電子化にあたっては、メール配布・クラウドサービスの利用など、自社に合ったweb化の方法を検討するほか、従業員から同意を得なければいけません。今回は、労務担当者・従業員のメリットを紹介するとともに、必要なステップを解説します。

給与明細の電子化とは

給与明細の電子化とは、電子メールやクラウド経由で給与明細書を従業員に交付することをいいます。これまで紙の給与明細書を発行してきた企業にとっては、「紙の書類でなくても法律上大丈夫なの?」と気になるかもしれません。

2006年に行われた税法改正により、2007年1月1日以降、給与の支払明細書や源泉徴収票の電子交付が可能になりました。2021年現在では、退職所得の源泉徴収票・支払明細書や公的年金の源泉徴収票等も電子交付の対象となっています。

法律で認められている「電子交付」の方法とは、以下の3つを指します。

【電子交付の種類】

  • 電子メールでデータを交付する
  • 社内LAN・WANやインターネットを利用して閲覧する
  • フロッピーディスクやCD-ROM等の磁気媒体等に記録して交付する

参考:1. 基本的な事項及び2.事前承諾|国税庁

現在では、メールで給与明細書のファイルを添付しペーパーレスで交付するほか、クラウドソフト等を活用して従業員が給与明細書を閲覧できるようにweb化する方法が、一般的に採用されています

給与明細を電子化したら何ができる?

給与明細書を電子化することで、給与明細をクラウド上やweb上で閲覧することができるようになります。給与明細をweb化し、ペーパーレスを進めることで具体的に変わる作業について見てみましょう。

ペーパーレスで給与明細を作成できる

まず大きく変わるのが、ペーパーレスで給与明細を作成できるようになる点です。電子化しPDF等で従業員に送付すれば、エクセルの給与明細データから印刷し、仕分け、封入、配布または投函といった一連の工程をカットできます。電子化した給与明細書のフォーマットはPDF形式やXML形式などがあります。業務効率化を図れるだけでなく、「別の人の給与明細書を封入してしまった」といった人的ミスの防止にもつながります。

さらに、給与明細の作成場所・保管場所に悩まずにすむのも電子化のメリットです。紙の給与明細書は、印刷して作成する際、他の従業員の目に触れないよう作業場所に気を配らなければいけません。過去分を保管するには保管場所も必要です。電子化することで、大幅に利便性の向上が図れるでしょう。

メールで給与明細を配信できる

電子化により、給与明細書のメール配信が可能になります。給与計算システム等を用いて、クラウド上やアプリで給与明細書を閲覧することもできます。紙の給与明細書の場合、郵送であれば封筒代・切手代・郵送料が発生しますが、電子化による配信ではこうしたコストを一律にカットでき、業務効率化にもつながります。

「給与明細書を机の上に置いたはずなのに、受け取られていない」といった、思いがけないミスも防ぐことが可能です。

勤怠を電子化していた場合、シームレスに連携できる

給与明細書の電子化の魅力は、給与明細書作成だけに留まりません。勤怠管理システムを導入している場合、シームレスに給与明細書発行と連携できます。給与データを自動で取り込み、日々入力する勤怠情報と給与計算が連動されるため、小さなミスの削減につながります。

給与明細を電子化する方法

給与明細を電子化する場合、既存の管理している方法と照らし合わせて自社にあったスタイルを選択します。その際、必ず従業員一人一人に電子化の同意を得る必要があるため注意が必要です

① 既存のやり方に沿って、電子化できるかを検討する

【どこまでの書類を電子化するのか検討する】

毎月の給与明細書のみを電子化するのか、もしくは源泉徴収票にも対応するのか、電子化する書類の範囲を検討します。

【給与明細へのアクセス方法を検討する】

電子化した給与明細に従業員がアクセスする一般的な方法は、「①メール配信」「②webやクラウド上での閲覧」です。①の場合、給与明細の電子化システムがなくても可能ですが、従業員個別に送るとなるとそれだけで業務負担が増えます。②であれば一斉に配布することが可能です。

ただし、全従業員がパソコンやスマートフォンを所持しているとは限りません。自社の現状や従業員人数に合わせて、対応可能な方法を検討しましょう。

【既存のやり方との相性を検討する】

給与明細の電子化が、既存のやり取りとうまく連携できるかも重要なポイントです。給与明細の電子化だけでも業務効率化を図れますが、勤怠管理や給与計算のシステムと連携させることで、さらに大きな効果を発揮します。

すでにこうした管理システムを利用している場合は、既存システムとの連携方法や範囲を確認しながら検討します。場合によっては、一部もしくは全部のシステムを入れ替える選択肢も視野に入れる必要があるかもしれません。現在の勤怠管理・給与計算をタイムカードやエクセルで行っている場合は、システムの導入を同時に検討するのもよいでしょう。

② 従業員から同意を得る

給与明細の電子化にあたっては、従業員の同意を得た場合に可能であると租税法第231条に定められています。したがって、電子化の方法がある程度固まった段階で、従業員に通達し同意を得なければいけません。

従業員の同意を得るにあたっては、以下の情報を掲示します。なお、同意書の決まったフォーマットはありませんが、「電子交付について承諾する旨、承諾日、受給者氏名」の3点をもって承諾したとされます。

【従業員から同意を得るにあたり通達する内容】

  • 電子交付する書類の名称(例:毎月の給与明細書)
  • 電子化する具体的な方法
  • 受信者ファイルへの記録方法
  • 交付の予定日
  • 交付の開始日

参考:1. 基本的な事項及び2.事前承諾|国税庁

こうした通達を書面または社内メールで通知し、その返信として同意に必要な内容を記載してもらう手順があります。なお、電子メールで配信する場合は、送信先となる従業員のメールアドレスの確認、webやアプリで閲覧可能になる場合はログイン方法といった閲覧手順を通知します。

参考:所得税法|e-Gov法令検索

③ 同意を得られなかった従業員への対応策を考える

給与明細の電子化にあたり同意書を交付した際、同意を得られなかった従業員に対しては、給与明細書を従来通り書面で交付しなければなりません。電子化を進めても、全従業員が同意するとは限りませんので、業務フローを電子化しつつ、一部紙の明細書への対応策を残す必要があります。

給与明細を電子化すると、受け取る従業員側は、スマートフォンやパソコンといったなんらかの端末を所持している必要があります。業務でこうした端末を使用しない職種であれば、給与明細を確認する手段がない従業員が発生する可能性があります。「全員が電子化に対応できる」と決めつけずに、一人一人の状況を確認しましょう

また、たとえ電子化について従業員から承諾を得ていたとしても、従業員が書面交付を希望したときには、給与明細書を書面で交付しなければなりません。住宅ローンや教育ローンなどの審査で金融機関から給与明細書が必要となるケースもあり、ときには従業員の事情で紙での発行を希望することもあるでしょう。そのようなときのために、個別にプリントアウトして手渡しができる機能を備えた給与明細の電子化システムを選ぶのがよいでしょう。

なかには、電子化の説明の際に「今と変わるのが面倒だな」といった、「なんとなく」の理由で同意を先延ばしにするケースもあるかもしれません。その場合は、電子化で従業員が得られるメリットや、電子化した給与明細を簡単に確認できるなど、丁寧に説明することも必要です。

労務担当者にとってのメリット

続いて、給与明細の電子化で得られる企業側のメリットを説明します。コスト削減につながるほか、労務担当者の業務効率化が図れます。

コスト削減につながる

給与明細の電子化は、ペーパーレスを行うことでのコスト削減が期待できます。具体的には、いままで給与明細書を印刷していた印刷代、紙代のほか、封入に使っていた封筒の代金が削減できます。そのほか、在宅勤務や県外の拠点など遠方在住者に郵送していた場合は郵送費を削減できます。一つ一つは小さいものですが、従業員の数が増えると無視できない金額になるものです。

また、こうした印刷から配布にかかる手間や時間が短縮されることで、その業務に費やしていた人件費も結果として削減できます。

【削減につながるコスト例】

  • 印刷代
  • 紙代
  • 封筒の費用
  • 郵送費
  • 印刷から配布にかかる人件費

業務効率化に貢献する

給与明細の電子化により、従来かかっていた業務フローを短縮できるため、業務効率化につながります。具体的には、「印刷する」「確認して封入する」「配布する(手渡し・郵送)」という業務をカットできます。

給与明細の交付は毎月発生するものです。業務プロセスを短縮することは、人的コストの削減につながります。また、電子化することで、封入ミスや配送ミスといったトラブルがなくなるため、業務負担も軽減されます。

従業員にとってのメリット

従業員側が受けられるメリットは、電子化された給与明細をいつでもどこでも確認できるようになり、かつ「紛失」という事態を防げる点にあります。

給与明細の紛失を防げる

給与明細の電子化では、紙と比較して紛失リスクが少なくなります。

給与明細には、所得税額や社会保険料などさまざまな情報が記載されています。副業をしている従業員は確定申告の際にこれらの情報が必要になりますし、中には「年金を支払った証拠として給与明細を保管している」といった人もいます。

このように、給与明細は個人がいくら稼ぎ、どれだけ納税したかを確認できる重要な書類です。紙の書類は、誤って捨ててしまうといった紛失リスクがありますが、電子ファイルの場合はそうしたリスクを抑えることができます。

紙でも電子ファイルでも、紛失に際して企業側が再発行することは可能です。しかし、賃金台帳なら「最後の賃金について記入した日」から3年などと、勤怠情報など給与明細の作成に必要な労働の記録を保存しなければいけない期間には、一定の保存期間が設けられています。どれほど長い期間保存しているかは企業によって異なりますが、破棄した過去の分の記録は再発行が難しいため、その点でも、紛失リスクの少ない電子化で給与明細書を受け取れることは、従業員にとってメリットになります。

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

いつでも給与明細を確認できる

いつでもどこでも、場所と時間を問わずに給与明細を確認できるようになるのも電子化のメリットです。

昨今では、テレワークのようにオフィス以外の場所で働くスタイルが広がっています。そうした従業員にとっては、わざわざオフィスに出向いて受け取ったり、郵便ポストを確認したりする必要のない電子化は非常に便利なものです。

現物を持ち歩かなくても、電子化された給与明細を確認できる端末があればいいわけです。たとえば、住宅ローン申請のための書類を作成するなど、所得の確認が必要となったときに、スマホを操作するだけで確認できます。副業をしている従業員が確定申告をする際にも、すぐに過去分を確認できる電子化は有効です。

給与明細の電子化によるデメリット

給与明細の電子化は、気をつけなければいけない課題もあります。具体的には、情報漏えいのリスクと、既存方法からの移行に伴う業務負担というデメリットです

情報漏洩のリスクがある

紙の給与明細でも、紛失や元のデータが流出するといった情報漏洩リスクはあります。しかし、電子化を行うことで、新たに脅威となるリスクにも備えなければいけません。

たとえば、メールにて給与明細のファイルを個別に送信する場合、メールアドレスを間違えてしまえば個人情報の流出となります。また、給与明細のデータを保存したUSB等の紛失も、考えられる情報漏洩のリスクです。

さらに、クラウドで閲覧できるようにするといった、給与明細電子化システムを利用しているからといってセキュリティに安心できるわけではありません。個人情報の流出事故では、利用していたクラウドサービスの障害により、保存していたデータが消えてしまったり、流出してしまったりする事例があります。

電子化を行い安全に運営していくには、基本的な情報セキュリティ対策に労務担当者が理解を深めると共に、給与明細作成で利用する端末にセキュリティ対策を施すことや、利用するシステムやクラウドサービスが十分な情報セキュリティ対策を施しているかを確認しなければいけません。総務省が公表している情報セキュリティ対策のガイドライン等を参考にしつつ、万全な体制を構築しましょう。

参考:事例13:クラウドサービスに預けていた重要データが消えた|総務省 国民のための情報セキュリティサイト
   クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)|総務省

電子化のために、既存のやり方を変える必要がある

電子化で既存のやり方から新たな業務フローに移行するにあたり、想定される課題にも対応しなければいけません。電子メールを利用する方法と、クラウドサービスやシステムを利用する方法で、それぞれ以下の課題が考えられます。

【電子メールで交付するときの課題】

電子化した給与明細を送信する先のメールアドレスを確認しなければいけません。また雇用区分によって給与支払い日が異なる場合は、グループ別にメールリストを作成し、個別に配信するといったステップが必要です。

【クラウドサービスやシステムを利用するときの課題】

給与明細電子化システムやクラウドサービスに取り込むフォーマットにあわせて、データを作成する必要があります。給与計算システムと連携させる場合は、それぞれのシステムの互換性を確認します。万が一互換性がない場合は、手作業でデータを加工するといった負担が発生します。

また、電子化した給与明細をweb上で公開する場合は、給与支払い日にあわせて公開できるように業務を進める必要があります。

【電子化に対応した業務フローを整備する】

移行に当たっては、電子化に対応し、情報セキュリティリスクに備えた業務フローに変更します。たとえば、給与明細電子化システムで作成したファイルをパソコンなどの端末には保存しない、作成に利用するクラウドサービスやシステムには、会社が許可した端末からのみアクセスできるようにするといった、マニュアルの整備も求められます。

給与明細の電子化には、クラウドサービスを活用しよう!

給与明細の電子化は、ペーパーレスによるコスト削減、業務の効率化といったさまざまなメリットがあります。
給与明細の電子化では、「給与明細書をPDF化し従業員にメール配信する」という一部のみの移行も可能ですが、従業員規模によっては、勤怠管理システムや給与計算システムと連動できるクラウドサービスを活用することで、より業務効率化につながります。

マネーフォワード クラウド給与なら、給与計算から給与明細の電子発行、振込までを一貫して効率化。給与明細の電子化にあたって、検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

給与明細の電子化とは?

これまで紙で交付してきた給与明細書を、電子メールやクラウドサービスを通じて従業員に配布することをいいます。ペーパーレスによるコスト削減や業務効率化につながり、担当者の業務負担を軽減します。詳しくはこちらをご覧ください。

給与明細を電子化する方法は?

まず適切な電子化の方法を検討します。システム導入やクラウドサービス利用では勤怠管理や給与計算システムとの互換性もあわせて検討しましょう。電子化にあたっては従業員の事前の同意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド給与

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