- 更新日 : 2024年10月30日
ストレス耐性とは?高い人・低い人の違いやチェック方法、高め方を解説!
ストレス耐性は個々人が持つストレスに対する抵抗性のことで、ストレス耐性が高い人もいれば低い人もいます。ストレス耐性を高めるために、個人や企業ができることがあります。
本記事では、ストレス耐性をチェックする方法やストレス耐性を高める方法、従業員の抱えているストレスを把握し業務効率を向上させる方法などについて解説します。
目次
ストレス耐性とは?
ストレス耐性とは、ストレスに対する抵抗性のことです。ストレスに対する個人の適応力や耐性、処理力などによって「ストレス耐性が高い(または低い)」のように表現されます。
同じ出来事であっても人によって受け止め方が違うため、ストレス耐性もそれぞれ異なります。
ストレス要因(ストレッサー)となるのが、外界からの刺激です。ストレッサーは、家庭や職業生活、地域などあらゆるところに存在します。そして、ストレッサーに対して身体、心理、行動などさまざまな面で反応が生じることがあり、これがストレス反応です。個人のストレス耐性の強弱によって、ストレス反応も異なります。
参考:e -ラーニング15分でわかるセルフケア|厚生労働省
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト|厚生労働省
ストレス耐性を決める6つの要素とは?
ここでは、ストレス耐性を決めている6つの要素について解説します。まず、個々人のストレス耐性がどのように決まるのかを理解するために、1つずつ詳しく見ていきましょう。
容量
容量は「どれくらいストレスをためていられるか」を測る要素です。容量が大きいとストレスに対する許容範囲が広く、ストレス反応が出にくいです。
一方、容量が小さいと、ちょっとした出来事に対してもストレスを感じやすく、ストレス反応によって心身にも悪影響が出やすくなります。
処理
ストレス耐性は、ストレッサーを取り除いたり弱めたりする処理能力によっても決まります。処理能力の高い人は、何か問題が発生した状況下においても改善策を考え、ストレスの緩和を図ろうと努めます。
一方、処理能力の低い人は、何か問題が発生するとパニックになり冷静な対応ができません。このように、処理能力の違いによってもストレス耐性に差が出てくるのです。
感知
ストレッサーに気づくかどうかに関する要素が、感知能力です。ストレッサーが発生してもそのことに気づかなければ、ストレスに感じることはありません。
一方、ストレッサーを感知しやすい人はストレスを感じやすく敏感である人といえます。つまり、感知能力が低い人はストレス耐性が高く、感知能力が高い人はストレス耐性が低いといえるでしょう。
経験
ストレスそのものを経験したかどうかも、ストレス耐性を決める重要な要素です。ストレスを感じる出来事であっても、過去の経験の積み重ねによって次第にストレッサーに慣れてきます。経験の数が多くなればなるほど、ストレス耐性が高くなるのです。
回避
ストレスをつくりやすい性格かどうかは、回避能力によって決まります。回避能力の高い人は、ストレッサーに対して柔軟に対応できます。
回避能力は免疫系や自律神経系、内分泌系と関連があるといわれています。そのため、心身ともに健康である人は回避能力が高くストレスを感じにくいです。一方、心身に疲れがあると回避能力が低くなり、ストレスを感じやすくなります。
転換
転換とは、ストレスを感じる出来事に遭遇したときに、ポジティブに思考を変換することです。出来事を真正面から捉えるのではなく、別の見方によって良い方向に捉え直せるため、転換能力がある人はストレス耐性が高いといえます。
ストレス耐性が高い人の特徴は?
ストレス耐性が高い人には特徴があります。もともとの性格が影響していることも多いですが、仕事を効率的にこなせる傾向にあるでしょう。
楽観的である
楽観的な人は、ストレス耐性が高い傾向にあります。1つ1つの出来事に対して悲しんだり落ち込んだりすることが少なく「なんとかなる」と前向きに捉えます。また、気持ちの切り替えが早いため、困難に直面しても深く考えすぎずストレスをため込みにくいのが特徴です。
集中力が高い
集中力が高い人も、ストレス耐性が高いです。集中力が高い人は、やるべきことが明確で効率よく物事を進められます。そのため、余計なことを考えたり思い悩んだりする暇がありません。高い集中力によって、仕事でも成果を上げやすいでしょう。
マイペースである
マイペースな人も、ストレス耐性が高い傾向にあります。マイペースな人は、周囲に合わせて無理して行動せず自分のできる範囲で対応するため、ストレスを感じる出来事に遭遇してもうまく回避できます。周りに流されずに自分の意思を貫いている人であるともいえるでしょう。
ストレス耐性が低い人の特徴は?
続いて、ストレス耐性が低い人の特徴について解説します。このような傾向が見られると、仕事に良くない影響が出ることがあるため、特徴について1つずつ詳しく見ていきましょう。
責任感が強い
責任感が強いと、ストレス耐性が低くなりやすいです。責任感の強い人は、何事も最後までやり遂げるといった使命感を持った人が多いです。
仕事においても、責任を持ってやり遂げようという気持ちが強く、思い通りにいかないことがあると自分の責任であると感じてしまい、ストレスをためやすい傾向にあります。
くよくよと悩む
くよくよと思い悩む人は、ストレス耐性が低い傾向にあります。セルフマネジメントが不得意なため、何か小さなミスをするといつまでも引きずってしまいます。その結果、他のことに手がつかずにどんどんストレスをためてしまうのです。
おとなしい性格
おとなしい性格の人は、ストレス耐性が低くなりやすいです。自分の気持ちを相手に伝えるのが苦手であることが多く、嫌なことを嫌といえません。
人と真正面からぶつかるのを避けるために、仕事で無理なことを押しつけられても引き受けてしまい、ストレスをためてしまう傾向にあります。
ストレス耐性をチェックする方法は?
ストレス耐性をチェックする方法があります。個々人のストレス耐性を正確に把握するために、自社に合ったチェック方法を導入する際の参考にしてみてください。
DIST
DISTは株式会社ダイヤモンド社が提供している、ストレス耐性を測るテストです。100問のセルフアンサーに回答し、以下の4種類の原因別ストレスについてストレス耐性を測定します。
- 対人ストレス
- 対課題ストレス
- 対役割ストレス
- 対環境ストレス
所要時間は10分で、テストの実施から診断までを自社内で行えるため、すぐに結果が分かります。採点方式によって、通常のDIST以外にWeb-DISTやDIST-COMが選択可能です。
3Eテスト
3Eテストは、エン・ジャパン株式会社が開発した人材判定テストです。採用において、面接や書類上では見えにくい知的能力と性格・価値観を可視化することを目的としています。
採用試験で3Eテストを実施することで、大学の偏差値や学校名などの肩書きに左右されずに、入社後に活躍が期待できる人材を見極められるでしょう。3Eテストは、性格・価値観テスト(15分)と知的能力テスト(20分)で構成されています。
AltPaper(アルトペーパー)
AltPaperは株式会社情報基盤開発が提供している、厚生労働省マニュアルに完全準拠したストレスチェックサービスです。紙版とWEB版の両方に対応しており、店舗や工場、病院などのパソコンが少ない職場でも気軽にストレスチェックを受けられます。
独自開発の技術によって、ストレスチェックの集計から出力までを一貫してシステム化しているため、最短2週間で分析結果が得られるのが特徴です。また、15言語に対応した外国語版もあり、外国人労働者の方も安心してストレスチェックを受けられます。
TG-WEB
TG-WEBは、株式会社ヒューマネージが提供している適正検査です。単に「能力があるか?」という視点だけでなく「成果を生み出すか?」という観点から、新卒採用向けやキャリア採用向け、従業員向けなどバリエーションに富んだTG-WEBサービスがあります。自社の課題に適した検査を組み合わせることで、精緻な見極めができるでしょう。
ストレス耐性を高めるために従業員ができることは?
ストレス耐性を高めるために、従業員ができることについて解説します。心身の健康を増進させるためにも、ぜひ日々の生活を見直してみてください。
十分な睡眠を取る
ストレス耐性を高めるために、十分な睡眠を取るようにしましょう。そのためには、日頃から休養と活動のバランスを取ることが大切です。
良質な睡眠は休養の軸であり、心身の健康を維持するためには欠かせません。十分な睡眠を取ることで、脳のエネルギーを回復できるだけでなく、ストレス関連の健康障害が起こりにくくなります。
バランスの取れた食事を摂る
ストレス耐性を高めるために、日頃からバランスの取れた食事を心がけましょう。健全な体づくりには、パンやごはんなどの炭水化物ばかりを食べるのではなく、肉や魚、卵のなどのタンパク質を摂取することが大切です。日頃から食事にさまざまな食材を取り入れることで、体の不調を予防できます。
また、朝食は1日をスタートするための重要なエネルギー源です。決まった時間に朝食を食べる習慣を身につけることで、1日の規則正しいリズムがつくれます。
適度に運動をする
日頃から適度に運動することも、ストレス耐性を高めるためには有効です。日々の生活の中では、誰もが多かれ少なかれストレッサーに遭遇します。そのため、ストレスをためこまずに解消することが大切です。
運動にはウォーキングやランニング、サイクリングなどの有酸素運動が有効であるといわれていますが、自分に合った無理のない運動をうまく日々の生活に取り入れてみましょう。
ストレス耐性を高めるために企業ができることは?
従業員のストレス耐性を高めるために、企業側にもできることがあります。一人ひとりのストレス状況を改善することで、会社全体の利益にもつながります。
ストレスチェックを行う
企業は従業員のストレス耐性を高めるために、まず一人ひとりの抱えているストレス状況を把握することが大切です。そのためにはストレスチェックが有効です。
ストレスチェックは個々人がストレスに関する質問に回答し、その結果を分析することでストレス状況が分かる簡易テストのことで、50人以上の事業所では実施が義務付けられています。
ワークライフバランスを推進する
50人未満の事業所でも、従業員一人ひとりのストレス傾向を把握し職場環境を改善するためにストレスチェックを行うことがおすすめです。ストレスチェックによって早期に従業員の不調に気づけると、重症化のリスクを抑えられるでしょう。
企業は、従業員のワークライフバランスを推進することも大切です。仕事の負荷が大きくなりストレスを抱えてしまっては、私生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、普段から従業員の時間外労働を抑制したり年次有給休暇の取得を促進したりする取り組みが必要です。また、従業員が多様な働き方ができるような企業風土づくりをすすめましょう。
例えば、育児介護休業や短時間勤務、テレワーク導入など従業員一人ひとりの置かれた状況に応じた柔軟な働き方ができる職場環境の整備が大切です。
定期面談を実施する
従業員と定期的に面談の機会を設けることも有効です。面談の1つに、上司と部下が1対1で行う1on1ミーティングがあります。1on1ミーティングは、上司と部下が双方向に対話をする形式の面談であるため、上司から一方的に伝えるのではなく部下からも意見をいえます。
1on1ミーティングの目的は、部下の成長を促しキャリア形成を図ることです。面談では日々の業務に関することだけでなく、人間関係や困り事がないかどうかなども確認することが大切です。定期的に面談を行い従業員の様子を把握しておくことで、普段のちょっとした変化にも気づきやすくなるでしょう。
参考:ストレスチェック制度導入マニュアル|厚生労働省
仕事と生活の調和推進のための行動指針 |厚生労働省
ストレスチェック案内文の無料テンプレート・ひな形
ストレスチェックを行う際には、対象となる従業員にその制度の目的を理解してもらう必要があります。ストレスチェックの目的は、「労働者のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐこと」です。さらに、実施の手順や結果、個人情報の管理についても明らかにすることが求められます。
また、50人以上の従業員を抱える事業場では、ストレスチェックの実施が義務付けられています。
マネーフォードクラウドでは、今すぐ実務で使用できる、テンプレートを無料でダウンロードいただけます。ベースを保ちつつ、自社の様式に応じてカスタマイズすれば使い勝手の良い書類を作成できるでしょう。この機会にぜひご活用ください。
従業員のストレス軽減し業務効率を上げるために人事労務管理をしっかり行おう
日々の生活を送る中で、人は多かれ少なかれストレスを抱えるものですが、個々人によってストレス耐性の高い人や低い人などさまざまです。ストレス耐性を高めるために、個人レベルでも生活習慣を見直したり適度な運動をしたりするなどの努力が大切です。
企業側は、仕事の生産性を高めるためにストレスチェックや定期面談の実施によって従業員一人ひとりのストレス状況を把握し、メンタル疾患等を予防することが求められます。また、従業員の時間外労働や年次有給休暇の管理など企業側がすべきことは多いです。
とはいえ、通常業務を行いながら、これらの管理を行うことは容易ではない人事担当者の方もいるでしょう。そのような方には、人事労務管理システムの導入がおすすめです。
人事労務管理システムを活用することで、社内の急な入退社や異動などがある場合でも、抜け漏れなく適切に管理ができるようになるでしょう。社内業務の効率化と業績向上のためにも、ぜひシステムの導入をご検討ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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