• 更新日 : 2026年4月23日

社会保険における等級とは?標準報酬月額とあわせて解説

PDFダウンロード

社会保険の保険料は、4月から6月までの平均報酬から算出される標準報酬月額によって決まります。標準報酬月額は金額ごとに等級が分かれており、健康保険は全50等級、厚生年金は全32等級です。健康保険の保険料率は毎年改定され全国健康保険協会等から料率表として提示されます。この記事では社会保険の等級について解説していきましょう。

社会保険における等級とは?

社会保険の保険料は、報酬の金額に応じて決まります。保険料を計算しやすいよう、報酬額を一定の範囲に区切ったものが社会保険の「等級」です。

健康保険は第1等級から第50等級の全50等級、厚生年金保険は第1等級から第32等級の全32等級に分かれており、毎月の給与から天引きされる社会保険料はこの等級に応じて決まります。等級が改定されると、それに合わせて社会保険料も変動するため気を付けましょう。

なお、等級を算出する際の報酬には月割りの通勤手当や役職手当、残業手当などの各種手当も含まれます。一方、祝い金や見舞金、出張旅費など一時的に支給されるものは対象外です。また、社会保険の等級は所得税と住民税を控除する前の総報酬額を基に算出されます。

等級ごとに規定された報酬額は「標準報酬月額」と呼ばれ、これに保険料率を乗じた金額が毎月の給与から天引きされる社会保険料です。賞与から引かれる社会保険料は、税引前の総支給額から千円未満の端数を差し引いた「標準賞与額」に保険料率を乗じた金額となります。標準報酬月額と標準賞与額について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

改めて、社会保険料の算出方法を紹介すると下記の通りです(2026年度)。

▼健康保険料の算出方法

給与に課される健康保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率(健康保険料率+介護保険料率)
賞与に課される健康保険料 = 標準賞与額(年間累計573万円が上限) × 保険料率(健康保険料率 + 介護保険料率)

▼厚生年金保険の算出方法

給与に課される厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 18.3%(厚生年金保険料率)
賞与に課される厚生年金保険料 = 標準賞与額(支給1回あたり150万円が上限) × 18.3%(厚生年金保険料率)

社会保険料の負担割合は労使折半で、会社と労働者で半額ずつの負担となります。上記計算式で算出される保険料の半額が、給与や賞与から天引きされる保険料です。

▼労働者が負担する健康保険料・厚生年金保険料の算出方法

労働者が負担する保険料 =(健康保険料 + 厚生年金保険料)÷ 2(労使折半)

また、会社負担分には児童手当に係る「子ども・子育て拠出金」が加算されます。さらに、2026年4月からは健康保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が開始されました。こちらは労使折半で、従業員も負担します。

▼子ども・子育て拠出金の算出方法(全額会社負担)

子ども・子育て拠出金 = 標準報酬月額または標準賞与額 × 0.36%(2026年度据え置き)

▼子ども・子育て支援金の算出方法(労使折半)

子ども・子育て支援金 = 標準報酬月額 × 0.23%(協会けんぽ・2026年度)

▼会社が負担する社会保険料の算出方法

会社負担分 =(健康保険料+厚生年金保険料)÷ 2 + 子ども・子育て拠出金 + 子ども・子育て支援金 ÷ 2

なお、子ども・子育て支援金は段階的に引き上げられる予定で、協会けんぽでは2026年度0.23%→2027年度以降さらに引き上げられ、2028年度に満額となる見込みです。

参考:
厚生年金保険の保険料|日本年金機構
標準報酬月額・標準賞与額とは?|こんな時に健保|全国健康保険協会
子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁

広告

【無料】この記事をお読みの方におすすめのガイド

「社会保険 等級判定&保険料シミュレーター」はこの記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドです。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますので併せてご覧ください。

昇給後の社会保険料、等級が変わるか把握できていますか?

社会保険 等級判定&保険料シミュレーター

昇給しても等級が変わらなければ保険料は据え置き、変われば月数千円の増額になります。

「社会保険 等級判定&保険料シミュレーター」は、現在と昇給後の報酬月額を入力するだけで等級変動の有無・保険料の増減額・年間の影響額を自動比較できます。給与改定前の試算や、従業員への説明資料としてそのままお使いいただけます。

無料ダウンロードはこちら

全50等級の社会保険料、一覧で確認できていますか?

社会保険 等級判定&保険料シミュレーター

「この報酬月額は何等級?」「保険料はいくら?」をすぐ確認したい場面は多くあります。

健康保険50等級・厚生年金32等級の全等級について、標準報酬月額・報酬月額の範囲・本人負担額を1枚に集約。令和8年度の協会けんぽ全国平均(健保9.90%+支援金0.23%)で算出済みで、人事労務ご担当者が手元に置いておける早見表です。

無料ダウンロードはこちら

標準報酬月額と等級の関わり

社会保険の保険料は、報酬額に応じて算出される等級によって決まります。等級ごとに標準報酬月額が規定されており、健康保険は1等級(58,000円)~50等級(1,390,000円)、厚生年金保険は1等級(88,000円)~32等級(650,000円)です。

なお、健康保険と厚生年金保険の等級は必ずしも一致しないので気を付けましょう。

また、2025年6月に成立した年金制度改正法により、厚生年金保険の標準報酬月額の上限は2027年9月以降、段階的に引き上げられます。2027年9月に68万円(33等級)、2028年9月に71万円(34等級)、2029年9月に75万円(35等級)と、最終的に75万円まで引き上げられる予定です。なお、この改正は厚生年金保険の等級のみに適用され、現時点では健康保険の等級(50等級)に影響はありません。

ここでは、協会けんぽから提示されている、2026年度(令和8年度)における東京都の保険料額表を参照してください。

参考:令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|協会けんぽ|全国健康保険協会

上記料率表を基に、実際の社会保険料を計算してみましょう。以下は、東京都に所在する会社に勤めている、介護保険第2号被保険者に該当しない方(40歳未満)の社会保険料です。2026年度(令和8年度)の東京都の健康保険料率は9.85%、厚生年金保険料率は18.3%で計算します。

月給10万円の場合

報酬月額も10万円だったと仮定すると、標準報酬月額は98,000円で、健康保険が第5等級、厚生年金保険が第2等級となります。

健康保険料(総額)
98,000円(標準報酬月額:第5等級)× 9.85% = 9,653円

厚生年金保険料(総額)
98,000円(標準報酬月額:第2等級)× 18.3% = 17,934円

労働者負担分(健康保険料+厚生年金保険料の労使折半)
(9,653円+17,934円)÷ 2 = 13,793円(端数は切り捨てまたは切り上げ等、会社の取扱いによる)

子ども・子育て支援金(労働者負担分)
98,000円 × 0.115%(0.23%の折半分)= 112円

労働者負担の合計
13,793円 + 112円 = 13,905円

子ども・子育て拠出金(全額会社負担)
98,000円(標準報酬月額)× 0.36% = 352円

会社負担の合計
13,793円(健保+厚年の折半分)+ 352円(拠出金)+ 112円(支援金の折半分)= 14,257円

月給20万円の場合

報酬月額も20万円だったと仮定すると、標準報酬月額は200,000円で、健康保険が第17等級、厚生年金保険が第14等級となります。

健康保険料(総額)
200,000円(標準報酬月額:第17等級)× 9.85% = 19,700円

厚生年金保険料(総額)
200,000円(標準報酬月額:第14等級)× 18.3% = 36,600円

労働者負担分(健康保険料+厚生年金保険料の労使折半)
(19,700円+36,600円)÷ 2 = 28,150円

子ども・子育て支援金(労働者負担分)
200,000円 × 0.115% = 230円

労働者負担の合計
28,150円 + 230円 = 28,380円

子ども・子育て拠出金(全額会社負担)
200,000円 × 0.36% = 720円

会社負担の合計
28,150円 + 720円 + 230円 = 29,100円

月給30万円の場合

報酬月額も30万円だったと仮定すると、標準報酬月額は300,000円で、健康保険が第22等級、厚生年金保険が第19等級となります。

健康保険料(総額)
300,000円(標準報酬月額:第22等級)× 9.85% = 29,550円

厚生年金保険料(総額)
300,000円(標準報酬月額:第19等級)× 18.3% = 54,900円

労働者負担分(健康保険料+厚生年金保険料の労使折半)
(29,550円+54,900円)÷ 2 = 42,225円

子ども・子育て支援金(労働者負担分)
300,000円 × 0.115% = 345円

労働者負担の合計
42,225円 + 345円 = 42,570円

子ども・子育て拠出金(全額会社負担)
300,000円 × 0.36% = 1,080円

会社負担の合計
42,225円 + 1,080円 + 345円 = 43,650円

※40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者に該当する場合は、上記に加えて介護保険料率1.62%(2026年3月分〜、労使折半)が健康保険料に上乗せされます。また、健康保険料率は都道府県によって異なりますので、協会けんぽ各都道府県の最新の保険料額表をご確認ください。

社会保険料が決まるタイミング

毎月の給与から天引きされる社会保険料は、標準報酬月額が算定基礎です。標準報酬月額の等級は、4月から6月までの平均給与である標準月額に基づき年に1回見直されます。年1回標準報酬月額の等級を決める手続きが「定時決定」です。定時決定は毎年7月頃、日本年金機構に「被保険者報酬月額算定基礎届」を提出することで実施されます。定時決定で決まった等級は9月から翌年8月までの1年間有効です。等級が変わらない限り保険料も変わらないため、毎月の給与から天引きされる社会保険料は1年間一定となります。

ただし、等級が2等級以上変動するような大幅な給与の増減があった場合は、その都度見直しが必要です。この手続きを「随時改定」といいます。随時改定を行うには、日本年金機構に「被保険者報酬月額変更届」を提出しなければなりません。

定時決定・随時改定に加え、資格取得時と育児休業・産前産後休業などの終了時にも社会保険料が見直されます。社会保険料が決まるタイミングと届出書類をまとめると下記の通りです。

社会保険料が決まるタイミング
届出書類
資格取得時被保険者資格取得届
定時決定被保険者報酬月額算定基礎届
随時改定被保険者報酬月額変更届
育児休業・産前産後休業などの終了時育児休業等終了時報酬月額変更届

※育児休業終了後の場合は1等級の変動でも月額変更の対象となります。

参考:
定時決定(算定基礎届)|日本年金機構
随時改定(月額変更届)|日本年金機構

社会保険の等級を確認し保険料を把握しよう

社会保険の等級について解説しました。毎月の給与から天引きされる社会保険料は標準報酬月額によって決まり、金額に応じて等級が分けられています。健康保険が全50等級、厚生年金保険が全32等級です。標準報酬月額の等級は、年に1度の定時決定や給与増減時の随時改定によって決まります。等級が変わらなければ、給与から天引きされる保険料は一定です。

また、2026年4月からは「子ども・子育て支援金」が健康保険料に上乗せする形で新たに徴収開始されており、従業員負担も発生しています。さらに、2027年9月以降は厚生年金保険の標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられ、最終的に75万円まで拡大される予定です。社会保険料の最新情報を正しく把握し、毎月の給与からいくら社会保険料が天引きされるのかを把握しましょう。

PDFダウンロード

よくある質問

社会保険における等級とは何ですか?

社会保険料の算定基礎である標準報酬月額を区切りの良い金額で区分したものが等級です。標準報酬月額の等級は毎年4月から6月の平均給与である報酬月額に基づき決まります。詳しくはこちらをご覧ください。

等級と標準報酬月額の関係性について教えてください。

標準報酬月額は金額に応じて等級が分けられており、等級に基づいて社会保険料が決定されます。社会保険の等級は毎年1回の定時決定や給与増減時の随時改定などで決まります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事