- 作成日 : 2015年9月18日
マイナンバーの企業版、法人番号を徹底解説
企業(法人)にも共通番号が付番されます。この番号は法人番号と呼ばれ、様々な面で個人番号(マイナンバー)とは異なる取り扱いを受けます。法人番号は、個人番号(マイナンバー)とどう異なり、どう利用していくことができるのでしょうか?徹底解説します。
マイナンバー(個人番号)とは異なる法人番号
法人番号は、株式会社などの法人等に指定される番号です。13桁の数字で構成されます。個人番号(マイナンバー)とは異なり、原則として公表され、誰でも自由に利用することができます。
法人番号の目的
1.行政の効率化
法人その他の団体に関する情報管理の効率化を図り、法人情報の授受、照合にかかるコストを削減し、行政運営の効率化を図る。
2.国民の利便性の向上
行政機関間での情報連携を図り、添付書類の削減など、各種申請等の手続を簡素化することで、申請者側の事務負担を軽減する。
3.公平・公正な社会の実現
法人その他の団体に関する情報の共有により、社会保障制度、税制その他の行政分野における給付と負担の適切な関係の維持を可能とする。
4.新たな価値の創出
法人番号は、その利用範囲に制限がないことから、民間企業による利活用を促進することにより、番号を活用した新たな価値の創出が期待される。
導入の目的自体は、個人番号(マイナンバー)と大きく異なることはありません。行政の情報管理の効率化、情報共有、所得等の把握が大きな目的となります。ただ法人番号は、個人番号(マイナンバー)と違い、原則公開、自由に利用できる番号となっています。ですから、各企業・個人において、自由な発想で、自由な利用ができます。
最も活用事例として多くなりそうなのは、取引先の管理を法人番号で統一してしまうことです。
法人番号は、その法人の不変の番号となりますので、商号変更、本店変更等があった場合でも変更の必要がなく、事務手続の省力化が図られると考えられます。
法人番号も10月から通知が開始されます
法人番号は、10月から登記上の所在地に通知書が送られます。番号の通知後は、原則としてインターネット上で誰でも見ることができるようになります。
法人番号は1法人に対し1番号のみの指定となりますので、支店や事業所等には法人番号が付されることはありません。なお、インターネット上で法人番号が見られるサイトは、「国税庁法人番号公表サイト」になるようです。この名称から分かる通り、法人番号の主管官庁は国税庁になります。
個人番号と違い、情報連携の際に符号変換等を行いません。このため情報連携のシステムも個人番号とは別の独立したものになります。
また、2つ以上の都道府県に事業所等を設けている企業は、現在、法人事業税と法人住民税の課税標準額を自治体間で割り振るため、社名や本店所在地に基づいて名寄せ作業を行っています。しかしながら、表記の揺れがあるため人手による作業が避けられていません。法人番号が導入されることにより、こうした作業が自動化され、業務の効率化が実現できると考えられています。
企業側にもメリットがあります。例えば、飲食店を開業しようとするとき、保健所には飲食店営業許可申請、消防署には防火管理者選任届、防火対象設備使用開始届、消防計画の作成、警察署には深夜種類提供飲食店申請など、複数の行政機関に書類を提出しなければなりません。法人番号により、行政機関側で情報連携が可能になるため、このような煩雑な手続をワンストップでできるサービスの登場も期待できます。
(出典:法人番号について、詳しく解説します|国税庁HP)
法人番号は自由に使っていい?
法人番号は、個人番号とは異なり、利用範囲に制限がありません。企業において、取引先企業の管理番号として使用してもいいですし、自由に利用して構いません。新しい法人企業向けサービスなども、これを利用して生み出されるかもしれません。
法人番号の主管官庁である国税庁では、「法人番号で、わかる。つながる。ひろがる。」をキャッチフレーズにしており、民間企業間や、民間企業と個人において新たなサービスの創出に期待を寄せているところです。
まとめ
このように、法人番号は個人番号(マイナンバー)と違った社会的役割を担っていく可能性があります。ですが、具体的な利用法については検討中といったところが正解で、まだまだ企業での利用法などには未知数の部分が多いといえるでしょう。
法人番号には、個人番号(マイナンバー)のような情報管理体制は求められていません。そのため、自由な利用が認められているのですが、逆にその自由な利用という点で、その利用法がまだ見えていない、というのが実情です。新たな価値を創造することは非常に難しいので、はたして国税庁が期待するようなサービスが生まれてくるか、期待の目で見守っていきたいと考えています。
法人番号が普及するかは、国、自治体、国民の三者が知恵を出し合い、利用拡大のための前向きな検討をできるかにかかっていると考えます。国には、個人番号(マイナンバー)だけではなく、法人番号も含めた周知徹底を願うところです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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