• 更新日 : 2022年9月1日

算定基礎届とは?対象者や提出先を解説

算定基礎届とは?対象者や提出先まで解説

私たちは健康保険や厚生年金、介護保険などの社会保険に加入しています。そして、これら保険料は標準報酬月額をもとに算定されます。報酬は必ずしも一定ではないため、年に一度、標準報酬月額の見直しが行われます。その際に必要なのが算定基礎届です。本記事では、算定基礎届の対象者や書き方、提出先・提出期限についてご説明します。

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算定基礎届とは?

事業所に雇用されている従業員は、健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料などを事業主と折半して支払っています。総称して社会保険料とも呼ばれるこれらの保険料は、事業主が従業員に支払う給与や賞与などの標準報酬に応じて金額が決められています。

報酬金額は区切りの良い範囲で区分され、その等級により保険料が決まるのです。例えば月額報酬の場合、健康保険ならば1~50等級(都道府県による)、厚生年金保険ならば1~32等級に区分されています。この等級を決めるために算定する報酬額を「標準報酬月額」といいます。

しかし、報酬は変動するものです。そこで1年に1回、従業員の報酬を計算し、正しい標準報酬月額を決定し直すことになっています。これを「定時決定」と呼び、この計算のために提出する書類を「算定基礎届」といいます。
被保険者報酬月額算定基礎届70歳以上被用者算定基礎届
引用:被保険者報酬月額算定基礎届70歳以上被用者算定基礎届|日本年金機構

算定基礎届については、以下の動画でも解説しています。
文字ではなく動画で理解したいという方はこちらご覧ください。

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算定基礎届の対象者について

では、事業主が算定基礎届に記載しなければならない対象者はどのような人でしょうか。

結論から言えば、原則として、雇用している被保険者全員と70歳以上被用者が対象となります。(70歳以上被用者については後述します。)ただ、社会保険料の計算は所得税や住民税などと違い、一年間の合計所得をもとに計算するものではありません。そのため、雇用している期間などによっては、算定基礎届(定時決定)の対象とならない人もいます。ここでは、算定基礎届に記載する対象となる人とならない人について説明します。

算定基礎届の対象となる人について

さて、算定基礎届の対象となる人は、原則として事業主が雇用している被保険者全員と70歳以上被用者であると解説しました。正確には、被保険者では7月1日の時点で在籍している従業員が対象となります。なぜなら「標準報酬月額」は、事業主が4~6月の3ヶ月間に従業員に支払った報酬の平均額によって決まるからです。算定基礎届をもとに決定した「標準報酬月額」に一定の保険料率を掛けることにより、保険料が決定し、その年の9月から翌年8月まで適用されます。

なお、雇用されている間に70歳を超えた被保険者は、厚生年金における被保険者資格を喪失します。しかし「70歳以上被用者」という扱いになり、算定基礎届の対象にはなるため注意が必要です。ちなみに、健康保険は70歳を超えても75歳未満であれば、被保険者の資格があります。

算定基礎届の対象とならない人

一方で、以下の条件に当てはまる人は、算定基礎届の対象とはなりません。

  • その年の6月1日以降7月1日までに雇われた(社会保険に加入した)人
  • その年の6月30日以前に退職した人
  • その年の7月改定の「月額変更届」を提出する人
  • その年の8月または9月に「月額変更届」を提出する予定があると申し出た人

「月額変更届」とは、定時決定で決定した標準報酬月額の改定を行う際に、提出する届出のことです。昇給や降給などにより、固定的賃金に著しい変化があった場合、以下の条件を満たしていれば、月額変更届を提出し、標準報酬月額の随時改定を行うことができます。 なお、基本給の上昇に合わせて変動給が発生する場合は月額変更の対象となる可能性があります。

  • 変動があった月から3ヶ月間の賃金支払基礎日数が足りていること
  • 現在の標準報酬月額と変更後の標準報酬月額に2等級以上の差があること

ここでいう固定的賃金とは基本給や通勤手当、住宅手当など、支給額が毎月ほぼ決まっている手当などのことを言い、残業手当や深夜手当などの変動するものは含みません。

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算定基礎届の対象となる報酬は?

事業主は従業員へ、労働への対価として、給与以外にも各種手当や賞与などの賃金を支払っています。また、金銭だけではなく社宅や寮などの住居・食事・被服・通勤定期・回数券・業務に必要な道具・自社製品などの現物支給を含め、さまざまなものを従業員に支給しています。しかし、これらのすべてが算定基礎届で報酬として扱われるわけではありません。

原則として、臨時で支給されるものについては報酬とは認められないのです。

算定基礎届で報酬として扱われるものとそうでないものの詳細は、以下のとおりです。

算定基礎届で報酬として扱われるもの

金銭による支給基本給(月給、週休、日給など)、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、扶養手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金、年4回以上の賞与 など
現物による支給大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職手当、出張旅費、交際費、慶弔費、傷病手当金、労災保険の休業補償給付、
年3回以下の賞与(標準賞与額として、標準報酬月額とは別に算定されます。)など

算定基礎届で報酬としては扱われないもの

金銭による支給大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職手当、出張旅費、交際費、慶弔費、傷病手当金、労災保険の休業補償給付、
年3回以下の賞与(標準賞与額として、標準報酬月額とは別に算定されます。)など
現物による支給制服、作業着(業務で使用するもの)、見舞品、食事(本人の負担額が、報酬として換算された額の2/3以上の場合) など

引用:算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和3年度|日本年金機構

算定基礎届けの例

例1)

4月支給5月支給6月支給
基本給(固定)220,000220,000220,000
役職手当(固定)30,00030,00030,000
残業代(変動)
合計250,000250,000250,000

※この3か月平均で9月保険料(10月支払)が決まります。

例2)

8月支給9月支給10月支給
基本給(固定)200,000200,000200,000
役職手当(固定)30,00030,00030,000
残業代(変動)20,00015,00035,000
合計250,000245,000265,000

※この3か月平均で9月保険料(10月支払)が決まります。

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算定基礎届に記載する内容について

ここでは、算定基礎届の書き方をご説明します。
まず、用紙の上部にある「提出者記入欄」を確認します。一般的には、既に「事業所整理記号、事業所所在地、事業所名称、事業主氏名」が印字されています。電話番号欄には、必ず連絡のつく番号を記入します。

その下からは、用紙の番号に沿ってみていきましょう。
ここでも、算定基礎届の対象となる従業員については基本的な情報が既に印字されています。基本的な情報とは、用紙の(1)~(6)の部分です。

  1. 被保険者整理番号
  2. 被保険者氏名
  3. 生年月日
  4. 適用年月:令和4年(2022年)の場合、「令和4年9月」
  5. 従前の標準報酬月額:現在適用されている標準報酬月額の等級
  6. 従前改定月:前回社会保険料の改定があった月
  7. (新たに被保険者となった場合や随時改定を行った場合、または昨年度の定時決定月)

被保険者報酬月額算定基礎届70歳以上被用者算定基礎届
引用:被保険者報酬月額算定基礎届70歳以上被用者算定基礎届|日本年金機構

情報の印字内容を確認し、最近雇用した従業員など、印字されていない従業員がいたら記入します。算入基礎届の1枚の用紙に記入できるのは5名までですので、対象者がそれ以上いる場合には複数枚使用します。

次に、従業員一人ひとりについて、⑩~⑮までを記入します。

10.給与計算の基礎日数

給与計算の基礎日数とは「支払基礎日数」と呼ばれ、給与の支給額を計算するもととなった日数のことです。給与の形態により数え方が異なります。

  • 月給の場合:暦日数(欠勤控除がある場合は、賃金規定などで定められた所定労働日数から欠勤日数を引いた日数)
  • 日給、時給の場合:出勤日数

11.通貨によるものの額

通貨(金銭)によって支払われた報酬の額を記入します。支給月は支給日をもとに判断します。例えば3月末締の給与を4月25日に支給した場合、4月の欄に記入します。

12.現物によるものの額

現物支給したものについて、金額に換算し、記入します。内容は前見出しの表をご参照ください。金額の換算は日本年金機構の「全国現物給与価額一覧表」に従って行います。

13.合計(11+12)

各月の合計を計算し、記入します。

14.総計(一定の基礎日数以上の月のみ)

(13)の3ヶ月の合計を記入します。このとき、支払基礎日数が17日以上の月のみ加算して合計を出します。

週の所定労働時間が通常の従業員の4分の3以上の短時間労働者で、17日以上の月がない場合は15日以上の月で計算します。15日以上の月もない場合は、従前の標準報酬月額を適用します。(保険者算定といいます。)
なお、支払基礎日数にかかわらず、パートタイム労働者には(16)備考の「7.パートタイム」にマルをつけます。

また、週の所定労働時間が通常の従業員の4分の3未満の短時間労働者は、11日以上の月で計算します。((16)備考の「6.短時間労働者(特定適用事業所等)」にマルをつけます。)

15.平均額

(14)を該当の月数で割って平均金額を出し、記入します。

記載例
被保険者報酬月額算定基礎届70歳以上被用者算定基礎届
引用:算定基礎届の記載例|日本年金機構

算定基礎届の提出先や提出期間は?

算定基礎届の用紙は、6月上旬~下旬に送られてきます。そして、提出期間は7月1日~10日となっています。ただし、曜日によっては10日の期限は数日ずれる場合があります。

提出については、用紙での提出と電子媒体での提出がありますが、電子媒体での提出には日本年金機構が提供する専用のプログラムが必要となります。
算定基礎届の用紙を使用した場合は、用紙に同封されていた返信用封筒を使用して日本年金機構の事務センターに郵送するか、管轄の年金事務所に提出します。

算定基礎届の作成から提出は、クラウドサービスの活用により効率化できます。
電子申請にも対応しているケースが多く、業務に負担を感じている企業は導入の検討をオススメします。

クラウドサービスの詳細については、下記ページを参考にしてください。

算定基礎届の正しい記載と提出が従業員の生活を守ります

算定基礎届は、標準報酬月額を算定する基礎となる重要な届出です。従業員が一年間支払う社会保険料、ひいては将来受け取る年金額に影響を与える重要な見直しが「定時決定」で行われるのです。ですから、事業主は被保険者である従業員について、漏れや間違いのないようにしっかりと算定基礎届の記載と提出を行わなければなりません。

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よくある質問

算定基礎届とは?

健康保険や厚生年金、介護保険などの被保険者の標準報酬月額を算定し、保険料を決定するために提出する届出書です。年に1度、定期的に提出する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

算定基礎届の対象となる報酬は?

算定基礎届に関しては変動給も含めた額で保険料が決定されます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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