• 作成日 : 2022年9月16日

36協定の適用除外について – 対象の業務や業種

36協定の適用除外について - 対象の業務や業種

会社と従業員の間で交わされる36協定は、場合によって適用除外されることもあります。業務量急増に対する特別条項や一部の適用除外業務・業種など、残業時間上限の変化要素を把握しておきましょう。法改正による将来的な変更にも注意が必要です。この記事では36協定の適用除外について、概要や除外業種・業務・従業員などを紹介します。

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36協定の適用除外とは?

36協定には適用除外される業種や特別条項などが設けられており、上限時間より長い時間の時間外労働が可能になる場合があります。特別条項の適用には想定できない量の業務発生が必要なため、普段は頼らず最後の手段として活用しましょう。

この章では36協定における適用除外と上限規制について解説します。

適用除外に関わる特別条項

36協定には特別条項が設けられている場合もあります。36協定は従業員の時間外・休日労働を一定範囲内に収めるための取り決めですが、職種・業種によっては範囲外の労働が必要なケースも起こりえます。どうしても必要な時間外・休日労働を可能にするために、特別条項つきの36協定を結ぶことも可能です。

特別条項は普段から利用できるものではなく、通常予見できない量の業務が発生する際に限られます。予見できない量の具体的な基準は設けられていないため、各社で慎重な判断が求められます。主に予期せぬトラブルやクレームへの対応、納期ひっ迫などが対象です。単なる繁忙期では特別条項の利用が認められない場合もあります。もともと業務量が多い会社では従業員を恒常的に働かせ続けられる恐れがあるため、特別条項の常用による従業員の過重労働を防止します。

参考:労働基準法|e-Gov 法令検索

36協定における「上限規制」

36協定では従業員の時間外労働について上限規制がかけられています。月に45時間・年に360時間までで、原則としてこの時間を超える時間外労働は認められません。なお、1年単位での変形労働時間制を採用している場合は月に42時間・年に320時間です。上限規制は働き方改革により内容が変更されています。

改革以前の上限規制は努力義務にすぎず、36協定における上限規制も設けられていませんでした。2019年4月以降は上限規制が法定化されて、万一違反した際には罰則も発生します。基本的に時間外労働は上限規制を守らなければなりませんが、条件を満たすと『特別条項』が適用されて上限を超えられるようになります。特別条項は普段から適用させられるものではない点に注意しましょう。

参考:
労働基準法|e-Gov 法令検索
時間外労働の上限について|厚生労働省

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36協定が適用除外・猶予される業種・業務

36協定は大半の業種・業務内容で適用されますが、なかには適用除外されている業種も存在します。多くの業種は2024年4月から適用されるようになりますが、2022年時点では36協定の対象に含まれていません。ある程度特殊な内容の業務が多く、一時的に36協定で定められた範囲を超えた業務が必要になる職種です。2022年時点で36協定の上限規制が適用されていない業種・業務の例を、以下で紹介します。

建設業

2022年現在、建設業では上限規制が適用されていません。業種特性などの理由により、一般的な業種と比べて規制適用までの猶予期間が設けられています。建設業の場合は2024年4月から上限規制が適用される見込みです。

適用後は原則の時間外労働上限として、月に45時間・年に360時間が設けられます。労働時間の改善をすぐに実行できるとは限りません。2024年に備えて、労働時間の把握や週休二日制の導入など各種対応策を進めていきましょう。

なお、上限規制の適用後も災害復旧や復興に関する業務は上限規制の適用がなされません。月に100時間・2~6ヶ月平均80時間という規制は、災害復旧・復興時のみ適用外です。災害時のインフラ復旧を担う業種のため、建設業には例外が設けられています。

参考:令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されます|厚生労働省石川労働局

運送業

トラックやバスなどを運転して運送業務に取り組む人にも、2022年時点で上限規制が適用されていません。2024年4月まで適用が猶予されており、建設業と同様に月100時間未満・複数月平均80時間の規制が適用外です。

また、36協定の上限が960時間に設定されている点も特徴でしょう。一般的な業種は720時間のため、比較してみると240時間多く設けられています。なお、960時間に法定休日労働は含まれていません。

その他、「月45時間を超える時間外労働は6回までに抑える」という規制も対象外です。物流を担って長時間運転し続ける業種のため、他業種と同様の感覚で業務時間を規制しづらい側面があります。そのため、独自に例外を設定されているのです。

参考:働き方改革に関する取組について|厚生労働省京都労働局

医師

医師も上限規制の適用が猶予されており、2022年時点で適用されていません。将来的に規制の内容が決定される見込みのため、こまめに情報をチェックしておきましょう。新しい体制を早く把握できれば対応も早くおこなえて、スムーズな体制整備にもつなげられるはずです。

なお、猶予期間が超過以降は医療機関や業務により『A水準』『B水準』『C水準』に分けられ、それぞれ異なる上限規制が適用されます。多くの医師はA水準に分類され、月100時間・年960時間が上限として定められます。救急医療などを担当する医師はB水準で、月100時間・年1860時間です。研修医などはC水準に含まれます。月100時間・年1860時間が上限として定められます。

鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業

鹿児島県から沖縄県にかけての離島で営業している砂糖製造業も上限規制の猶予対象です。月100時間・複数月平均80時間の規制が適用されていません。2024年4月以降はすべての上限規制が適用されるため、対応できるよう早めに準備しておく必要があるでしょう。

離島の砂糖製造業者は人材確保が難しく、沖縄本島以外にある多くの業者が二交代制で営業しているデータもあります。一定の季節のみ営業しているケースも多く、時期によってはほぼ業務が発生しません。通年で考えると業務時間が極端に多くはならない点も特徴です。特に小さな離島では従業員を増やしづらいため、少数の従業員に大きな負担がかかりやすくなります。そのため、雇用者はよく注意しながら経営しなくてはなりません。

参考:
時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省
甘しゃ糖工場における働き方改革の現状と課題|農畜産業振興機構

研究開発

新技術・新商品などを研究開発する業務は、2022年現在上限規制の適用対象外です。研究開発は特定時期に業務が集中するケースも珍しくないため、上限規制になじまないと判断されているようです。

しかし、研究開発業務を週40時間かつ月100時間勤めた場合は、医師の面接指導が発生します。面接指導は罰則付きで義務付けられるため、雇用者は忙しいタイミングであっても従業員の勤務時間に注意が必要です。面接指導を受けた場合、会社は従業員の就業場所・職務内容などを変更したり有給休暇を付与したりしなくてはなりません。

研究開発業務は、新たな事業展開や既存事業の拡大につなげられる重要な業務です。雇用者としては大きな期待を寄せたくなりますが、成果を焦り過ぎて従業員に余計な負荷をかけないよう注意しましょう。

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

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36協定が適用除外される従業員

36協定が適用除外されるケースは業種などだけでなく、従業員の種類によっても発生します。年齢や小さい子どもの存在、従業員の立場による面が大きいため、適用除外の対象に該当する可能性がある自社の従業員を確認しておきましょう。早くから適用除外の可能性を把握していれば、業務配分もスムーズにおこないやすくなります。

この章では36協定が適用除外される従業員の主なパターンを紹介します。

18歳未満の従業員

雇用している従業員が18歳未満の場合、36協定の適用範囲から除外されます。年少者の労働は時間帯や曜日に制限が設けられており、時間外労働や休日労働をおこなえません。従業員自身が希望していても禁止です。時間外・休日労働以外に、フレックス制での労働も禁止されています。

基本的に18歳未満の時間外労働は禁止されていますが、例外的に認められる2つのケースもあります。1つは1週間のうちいずれかの労働時間を4時間以内に短縮する場合で、ほかの日の労働時間を10時間まで延長できます。もう1つは日8時間・週48時間を守る範囲内で、1ヶ月・1年単位の労働時間を変形させる場合です。なお、1日に10時間まで労働時間を延ばす場合でも深夜の労働は認められていません。延長後の労働時間帯に注意して活用しましょう。

参考:
労働基準法|e-Gov 法令検索

育児・介護に関する請求のあった従業員

従業員から育児や介護に関する請求がなされた場合、従事させられる労働時間に制限が設けられます。月24時間・年150時間が労働時間の制限で、22時から5時までの深夜労働も禁止です。

育児・介護に該当する基準は、育児ならば小学校就学時期までの子どもを養育している場合が対象です。介護の場合は要介護状態の対象家族を介護している場合が該当します。対象家族とは、配偶者・父母・子・配偶者の父母・同居かつ扶養している祖父母や兄弟姉妹、孫を指します。なお、子どもの成長などにより制限期間が終了すると、一般的な従業員と同様に36協定が適用されるようになります。

育児や介護には多くの労力や時間が求められるため、長時間労働との両立は難しくなります。従業員だけでなく家族も健康的に過ごせるように、雇用者として配慮していきましょう。

参考:
育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省
育児・介護休業法のポイント|厚生労働省

妊産婦から請求のあった従業員

妊娠中および産後1年未満の女性従業員から請求された場合、法定労働時間を超えた時間の労働などが禁止されます。深夜帯や休日の労働もおこなえません。もともと従事していた業務内容によっては、軽易な内容の他業務に転換させる必要もあります。

妊産婦は36協定以外の請求も認められています。危険有害業務の制限や産前・産後休業の取得、業務量軽減などを申し込めるため、妊産婦・雇用者ともに確認しておきましょう。36協定とあわせて母子への負担を最小限に抑えられます。

出産前後の女性は心身が不安定になりやすく、場合によっては子どもへの悪影響も発生します。雇用者は、妊産婦の従業員が安心して出産・職場復帰できる会社を作れるよう努めましょう。

参考:
労働相談|日本労働組合総連合会
労働基準法|e-Gov

管理監督者

一般の従業員をまとめる管理監督者は36協定の適用除外対象です。管理監督者は管理職と同じ立場ではありません。経営判断に参画していたり一定の裁量権を有していたりと、経営者と一体的な立場から業務に取り組む人員を指します。

36協定は従業員に対して適用されるものであり、従業員よりも経営者に近い立場の管理監督者は36協定の締結対象に含まれていません。そのため、一般的に管理監督者は残業代や休日出勤手当などの支給を受けない立場です。

一方、管理監督者でも深夜残業手当や安全配慮義務などは適用されます。深夜残業・長時間労働など大きな負担がかかる働き方は、従業員だけでなく管理監督者にもおこなわせるべきではありません。経営者は、管理監督者を含む社内の人員が健康に働けるよう努めましょう。

参考:労働基準法|e-Gov

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36協定の適用除外は会社・従業員の双方に重要

36協定の適用除外について、概要や除外される業種・業務・従業員などを紹介しました。36協定は会社経営と従業員の生活を両立させるために大切な協定で、基本的には必ず守る必要があります。36協定が適用除外される場合は業務内容や従業員などに特殊な要素が発生している状況であり、雇用者は都度適切な対応を取らなくてはなりません。適用除外によって従業員の負担を減らして、心身ともに健康な状態を保ってもらいましょう。

心身が健康な従業員は業務に集中して取り組めるため、結果的に会社の事業も能率が向上します。より良い会社経営のためにも、36協定や適用除外の知識を積極的に取り入れてください。

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よくある質問

36協定の適用除外とは何ですか?

従業員を36協定より長時間勤務させられる制度で、急な業務増加などが発生した際に利用できます。詳しくはこちらをご覧ください。

36協定が適用除外になる業種・業務について教えてください。

建設業・運送業・医師など常に業務量が多い業種や、研究開発・一部地域の砂糖製造業など時期により業務量が大きく変化する業種が該当します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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