- 更新日 : 2026年3月31日
短時間勤務制度とは?育児・介護休業法との関わりも解説!【テンプレート付き】
「短時間勤務制度」とは、その会社で定めている所定労働時間を短縮して働くことを認める制度のことをいいます。政府による働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進を背景に、仕事と家庭の両立を図る多様な働き方が普及しつつあります。今回は、その一つである短時間勤務制度について詳しく解説していきます。
目次
短時間勤務制度とは
「短時間勤務制度」は、その会社が任意で導入する独自の制度ではありません。法律で原則として導入が義務付けられている制度です。
これまで数度にわたって改正されているなどの事情もあり、現行の短時間勤務制度についての働く従業員の認知度は未だに高いとはいえないのが実情です。
短時間勤務制度と育児・介護休業
短時間勤務制度は、もともと1991年に育児休業法(現在は育児・介護休業法)の施行時に子が1歳未満の労働者に対し、時短勤務、フレックス、始業就業時刻の変更などからいずれか一つを事業主が選択して措置する義務として定められました。
その後、育児・介護休業法となったのち、2002年に子の年齢が3歳未満とされ、さらに2012年には3歳未満の子を養育する労働者について、1日の労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けることが事業主の義務とされました。
短時間勤務制度は育児のためだけでなく、介護のためにも一定の労働者に対して実施が義務付けられています。
なお、ここで義務付けとは、単に企業内で短時間勤務が運用されているだけでは不十分であり、就業規則などで制度として規定していることを意味します。
介護対象となる「要介護状態」の家族とは
介護のための短時間勤務制度は、育児の場合よりも認知度が低いといえるでしょう。事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者については、短時間勤務制度を適用しなければなりません。
まず、対象となる家族ですが、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫とされています。子については、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のみとなります。
要介護状態は、通常、介護保険法で使用される「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」を意味する用語であり、この法律では、状態によって5つに区分したうえで介護認定を受けることが必要とされています。
育児・介護休業法では、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいい、介護保険法で定める要介護2以上の状態を指しています。ただし、要介護認定は受けていなくても介護休業の対象となることが可能です。
会社としては、要介護認定を受けていないからといって、申出を拒否することはできません。
常時介護を必要とする状態については、要介護2以上か、介護家族が座位保持、歩行、水分・食事摂取、排泄、衣類の着脱など12の項目でどの程度自分でできるのかを基準として判断されます。
会社は、労働者から時短勤務の申出を受けた場合、労働者に対して申出にかかる対象家族が要介護状態にあることなどを証明する書類の提出を求めることができますが、証明書類は、医師の診断書に限定されていません。
労働者が介護状態にある事実を証明できるものであればよく、就業規則で医師の診断書の提出を義務付けることはできません。
短時間勤務制度の対象外となる労働者
正社員以外にもパートタイマーなど、期間を定めて雇用される者は対象となりますが、日々雇い入れられる者は対象になりません。育児のための短時間勤務制度では1日の所定労働時間が6時間以下の労働者も除きます。
また、労使協定で適用除外とされた次の労働者は対象外となります。
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者なお、育児のための短時間勤務制度の場合は、次の労働者も対象外とすることができます。③ 業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
ただし、③に該当する労働者については、対象外となる業務の範囲を具体的に定めなければなりません。また、育児休業に関する制度に準ずる措置、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の時差出勤、社内保育施設の設置そのほか、これに準ずるような便宜の供与などの代替措置を講じる必要があります。
短時間勤務制度と育児による短時間勤務は違う?
前述したように短時間勤務制度とは、その会社が任意で導入している短時間勤務制度ではありません。育児・介護休業法で定められた育児・介護のための所定労働時間の短縮などの措置を講じた内容を就業規則で明確にした制度である必要があります。
法律で定めた内容であっても、単に運用しているだけでは法律に則しているとはいえないことになります。
この記事をお読みの方におすすめの資料
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドをご紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
産休・育休の手続き、抜け漏れはありませんか?
産休・育休には休業前から復職時まで、職場・年金事務所・市区町村など提出先の異なる手続きが多数あります。
出生届は14日以内など期限もさまざま。時期ごとに何をどこへ提出するか、チェックリストで一覧化した本ガイドをご活用ください。
育休中のお金、要点を整理
育休中は給与が支給されないことが多い一方、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
本資料は、給付金の対象者や支給率、ボーナスの扱い、申請手続きまでをまとめた資料です。給料・賞与に関する従業員からの問い合わせ対応にもお役立てください。
産後パパ育休 7つの実務対応
就業規則の見直しから労使協定、社内書類の整備、個別周知、雇用環境整備、取得状況の公表、ハラスメント防止まで、企業が取り組むべき実務を7項目で網羅。
社労士監修の規定例や実務対応チェックリスト付きで、自社の対応状況を確認できます。
産休・育休時に使える、一時不在用の業務引継書
引継ぎが不十分なまま休業に入ると、代理担当者が対応に迷い、期限付きタスクの抜け漏れにつながります。
主要業務の手順や緊急度、連絡先、期限のあるタスクを項目ごとに整理できる引継書テンプレートで、不在中の業務をスムーズに引き渡せます。
短時間勤務の制度一覧
育児のための短時間勤務制度は、対象労働者には必ず講じなければなりませんが、介護のための場合は短時間勤務だけでなく、ほかの制度の導入でも認められています。
短時間勤務制度
会社で定める所定労働時間を短縮する制度であり、次のような種類があります。
- 1日の所定労働時間を短縮する制度
- 週または月の所定労働時間を短縮する制度
- 週または月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務や、特定の曜日のみの勤務等の制度)
- 労働者が個々に勤務しない日または時間を請求することを認める制度
フレックスタイム制度
フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時刻、労働時間を自分で決めることのできる制度です。
労働時間を1日ではなく、1ヵ月単位で清算して管理することが特徴です。
会議など全員が対面するための時間としてコアタイムを設けることができますが、あくまでも任意の扱いです。一方、コアタイムが長時間設定され、労働者が選択できるフレキシブルタイムが極端に短い場合は、フレックスタイム制と認められないこともあります。
時差出勤の制度
時差出勤制度とは、始業または終業の時刻を繰り上げたり、繰り下げたりする制度のことです。ラッシュ時の満員電車を回避するため導入する企業もあります。
介護費用の助成措置
労働者が利用する介護サービスの費用の助成、そのほかこれに準ずる制度の導入を意味しています。両立支援等助成金があり、介護離職防止支援コースでは、介護両立支援制度があります。
適用を受けるためには、制度を就業規則に規定し、その制度の利用について、開始日から起算して6ヵ月の間に労働者が負担した料金の5割に相当する額程度以上または10万円以上の額を補助したことが要件になっています。
この制度では、介護のための柔軟な就労形態の制度(介護のための在宅勤務、法を上回る介護休暇、介護フレックスタイム制 、介護サービス費用補助など)を導入し、合計20日以上利用した場合に助成金が支給されます。
支給額は、1年度に5人までを対象とし、1事業主当たり、28万5,000円です。ただし、生産性要件を満たしている場合は36万円が支給されます。
短時間勤務制度の期間
では、短時間勤務はどのくらいの期間、利用できるのでしょうか。育児・介護休業法で定めている期間についてみてみましょう。
対象家族1人につき3年以上
育児のための短時間勤務制度では、子が3歳に達する日までですが、介護のための場合は、対象家族1人につき取得した日から連続する3年以上の期間で2回以上とされています。
例えば、令和4年2月20日に、3月20日から短時間勤務を利用したい旨を申し出た場合には、3月20日から起算して3年である令和6年3月19日を超えて利用できる制度でなければなりません。
時短勤務の間に介護休業を挟んだ場合は?
短時間勤務を2つの期間に分け、その間に介護休業を挟んで取得することも可能です。労働者が仕事と介護がうまく両立できるような工夫が大切です。
育児短時間勤務申出書のテンプレート(雛形)
育児短時間勤務申出書の無料テンプレートをご用意しました。ぜひダウンロードしてご活用ください。
短時間勤務制度を利用して仕事と家庭の両立を実現しよう!
育児・介護休業法で定められている短時間勤務制度について解説してきました。会社側も法定の制度として就業規則に明記する必要がありますが、利用する労働者自身も内容をしっかりと理解し、知っておくことが大切です。
よくある質問
短時間勤務制度とはなんですか?
育児・介護休業法で導入が義務化されている所定労働時間を短縮した勤務制度です。詳しくはこちらをご覧ください。
短時間勤務制度の期間について教えてください。
介護目的の場合は、対象家族1人につき取得した日から連続する3年以上の期間で2回以上とされています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 勤怠管理
“残業違反”に罰則!「時間外労働の上限規制」を解説
2019年4月1日から働き方改革関連法案が順次施行されました。この法改正で、「有給休暇の取得義務化」「同一労働同一賃金の導入」と並んで、大きな焦点となるのが「時間外労働の上限規制の…
詳しくみる -
# 勤怠管理
36協定の適用除外について – 対象の業務や業種
会社と従業員の間で交わされる36協定は、場合によって適用除外されることもあります。業務量急増に対する特別条項や一部の適用除外業務・業種など、残業時間上限の変化要素を把握しておきまし…
詳しくみる -
# 勤怠管理
出勤簿の改ざんは労働基準法違反?罰則や企業の対応、不正予防策を解説
出勤簿の改ざんは、労働基準法に違反する行為です。軽い気持ちで行った、あるいは見て見ぬふりをした結果、企業は罰金や多額の未払い残業代請求といった深刻なリスクを負うことになりかねません…
詳しくみる -
# 勤怠管理
【社労士監修】36協定の本社一括届出とは?適用条件や申請の流れ・注意点を解説
企業が従業員に法定時間外の残業や休日労働をさせる場合、労使間で36協定(サブロク協定)を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。従来、この届出は原則として事業所ごとに…
詳しくみる -
# 勤怠管理
【一覧表】育児・介護休業法とは?2025年の改正ポイントを解説!(テンプレ付き)
育児・介護休業法は、仕事と家庭の両立を支援するために制定された法律です。育児や介護を理由に従業員が働き続けることを諦めることのないよう、企業に対して休業や柔軟な働き方の提供を義務付…
詳しくみる -
# 勤怠管理
12連勤・13連勤は合法、違法?ルールや賃金の計算方法、防止策を解説
労働基準法第35条1項によると、12連勤は合法であり、連続勤務数の上限です。13連勤以上になると、労働基準法に違反する可能性があるため注意が必要です。ただし、労働基準法では労働時間…
詳しくみる




