• 更新日 : 2022年7月15日

短時間勤務制度とは?育児・介護休業法との関わりも解説!

短時間勤務制度とは?育児・介護休業法との関わりも解説!

「短時間勤務制度」とは、その会社で定めている所定労働時間を短縮して働くことを認める制度のことをいいます。政府による働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進を背景に、仕事と家庭の両立を図る多様な働き方が普及しつつあります。今回は、その一つである短時間勤務制度について詳しく解説していきます。

短時間勤務制度とは

「短時間勤務制度」は、その会社が任意で導入する独自の制度ではありません。法律で原則として導入が義務付けられている制度です。

これまで数度にわたって改正されているなどの事情もあり、現行の短時間勤務制度についての働く従業員の認知度は未だに高いとはいえないのが実情です。

短時間勤務制度と育児・介護休業

短時間勤務制度は、もともと1991年に育児休業法(現在は育児・介護休業法)の施行時に子が1歳未満の労働者に対し、時短勤務、フレックス、始業就業時刻の変更などからいずれか一つを事業主が選択して措置する義務として定められました。

その後、育児・介護休業法となったのち、2002年に子の年齢が3歳未満とされ、さらに2012年には3歳未満の子を養育する労働者について、1日の労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けることが事業主の義務とされました。

短時間勤務制度は育児のためだけでなく、介護のためにも一定の労働者に対して実施が義務付けられています。

なお、ここで義務付けとは、単に企業内で短時間勤務が運用されているだけでは不十分であり、就業規則などで制度として規定していることを意味します。

介護対象となる「要介護状態」の家族とは

介護のための短時間勤務制度は、育児の場合よりも認知度が低いといえるでしょう。事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者については、短時間勤務制度を適用しなければなりません。

まず、対象となる家族ですが、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫とされています。子については、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のみとなります。

要介護状態は、通常、介護保険法で使用される「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」を意味する用語であり、この法律では、状態によって5つに区分したうえで介護認定を受けることが必要とされています。

育児・介護休業法では、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいい、介護保険法で定める要介護2以上の状態を指しています。ただし、要介護認定は受けていなくても介護休業の対象となることが可能です。

会社としては、要介護認定を受けていないからといって、申出を拒否することはできません。

常時介護を必要とする状態については、要介護2以上か、介護家族が座位保持、歩行、水分・食事摂取、排泄、衣類の着脱など12の項目でどの程度自分でできるのかを基準として判断されます。

会社は、労働者から時短勤務の申出を受けた場合、労働者に対して申出にかかる対象家族が要介護状態にあることなどを証明する書類の提出を求めることができますが、証明書類は、医師の診断書に限定されていません。

労働者が介護状態にある事実を証明できるものであればよく、就業規則で医師の診断書の提出を義務付けることはできません。

短時間勤務制度の対象外となる労働者

正社員以外にもパートタイマーなど、期間を定めて雇用される者は対象となりますが、日々雇い入れられる者は対象になりません。育児のための短時間勤務制度では1日の所定労働時間が6時間以下の労働者も除きます。

また、労使協定で適用除外とされた次の労働者は対象外となります。

① その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

なお、育児のための短時間勤務制度の場合は、次の労働者も対象外とすることができます。

③ 業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

ただし、③に該当する労働者については、対象外となる業務の範囲を具体的に定めなければなりません。また、育児休業に関する制度に準ずる措置、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の時差出勤、社内保育施設の設置そのほか、これに準ずるような便宜の供与などの代替措置を講じる必要があります。

短時間勤務制度と育児による短時間勤務は違う?

前述したように短時間勤務制度とは、その会社が任意で導入している短時間勤務制度ではありません。育児・介護休業法で定められた育児・介護のための所定労働時間の短縮などの措置を講じた内容を就業規則で明確にした制度である必要があります。

法律で定めた内容であっても、単に運用しているだけでは法律に則しているとはいえないことになります。

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短時間勤務の制度一覧

育児のための短時間勤務制度は、対象労働者には必ず講じなければなりませんが、介護のための場合は短時間勤務だけでなく、ほかの制度の導入でも認められています。

短時間勤務制度

会社で定める所定労働時間を短縮する制度であり、次のような種類があります。

  1. 1日の所定労働時間を短縮する制度
  2. 週または月の所定労働時間を短縮する制度
  3. 週または月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務や、特定の曜日のみの勤務等の制度)
  4. 労働者が個々に勤務しない日または時間を請求することを認める制度

フレックスタイム制度

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時刻、労働時間を自分で決めることのできる制度です。

労働時間を1日ではなく、1ヵ月単位で清算して管理することが特徴です。

会議など全員が対面するための時間としてコアタイムを設けることができますが、あくまでも任意の扱いです。一方、コアタイムが長時間設定され、労働者が選択できるフレキシブルタイムが極端に短い場合は、フレックスタイム制と認められないこともあります。

時差出勤の制度

時差出勤制度とは、始業または終業の時刻を繰り上げたり、繰り下げたりする制度のことです。ラッシュ時の満員電車を回避するため導入する企業もあります。

介護費用の助成措置

労働者が利用する介護サービスの費用の助成、そのほかこれに準ずる制度の導入を意味しています。両立支援等助成金があり、介護離職防止支援コースでは、介護両立支援制度があります。

適用を受けるためには、制度を就業規則に規定し、その制度の利用について、開始日から起算して6ヵ月の間に労働者が負担した料金の5割に相当する額程度以上または10万円以上の額を補助したことが要件になっています。

この制度では、介護のための柔軟な就労形態の制度(介護のための在宅勤務、法を上回る介護休暇、介護フレックスタイム制 、介護サービス費用補助など)を導入し、合計20日以上利用した場合に助成金が支給されます。

支給額は、1年度に5人までを対象とし、1事業主当たり、28万5,000円です。ただし、生産性要件を満たしている場合は36万円が支給されます。

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短時間勤務制度の期間

では、短時間勤務はどのくらいの期間、利用できるのでしょうか。育児・介護休業法で定めている期間についてみてみましょう。

対象家族1人につき3年以上

育児のための短時間勤務制度では、子が3歳に達する日までですが、介護のための場合は、対象家族1人につき取得した日から連続する3年以上の期間で2回以上とされています。

例えば、令和4年2月20日に、3月20日から短時間勤務を利用したい旨を申し出た場合には、3月20日から起算して3年である令和6年3月19日を超えて利用できる制度でなければなりません。

時短勤務の間に介護休業を挟んだ場合は?

短時間勤務を2つの期間に分け、その間に介護休業を挟んで取得することも可能です。労働者が仕事と介護がうまく両立できるような工夫が大切です。

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短時間勤務制度を利用して仕事と家庭の両立を実現しよう!

育児・介護休業法で定められている短時間勤務制度について解説してきました。会社側も法定の制度として就業規則に明記する必要がありますが、利用する労働者自身も内容をしっかりと理解し、知っておくことが大切です。

よくある質問

短時間勤務制度とはなんですか?

育児・介護休業法で導入が義務化されている所定労働時間を短縮した勤務制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

短時間勤務制度の期間について教えてください。

介護目的の場合は、対象家族1人につき取得した日から連続する3年以上の期間で2回以上とされています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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