- 更新日 : 2023年10月6日
キャリアアップとは?意味や転職での活用、女性のケースなど紹介!
仕事でキャリアアップを考えるうえで、「具体的なプランが思いつかない」「スキルを高める方法が分からない」と悩む方は少なくないでしょう。また、一口にキャリアアップといってもその内容は幅が広く、具体的なイメージが湧かない方も居るのではないでしょうか。なかには「スキルアップ」や「キャリアチェンジ」といった言葉と混同されている方もいるでしょう。この記事ではキャリアアップの定義や主な目的、そして関連法律の施行が行われている女性のキャリアアップについて紹介します。
目次
キャリアアップとは?
キャリアアップとは、業務に関する知識や専門性を習得して能力向上を図り、経歴を高めることを指します。例えば昇進して管理職に任命される、アルバイト・パートから正社員へ雇用変更される、転職によって収入が上がることなどがキャリアアップに該当するケースです。具体的には行える仕事の幅が増える、または収入金額が多い企業にスカウトされるなどのパターンが考えられます。
スキルアップとの違い
キャリアアップは経歴の向上を表すのに対して、スキルアップは技能・能力の向上を表すという違いがあります。例えば現職で役立つ資格取得や経験の蓄積による技術向上などがスキルアップに該当するパターンです。
スキルアップによって仕事の成果が上がりやすくなり、キャリアアップの見通しが立つといった流れになることが考えられます。特に主任や係長、課長などポストが細分化されている企業である場合はキャリアアップが見込みやすいです。同業他社への転職であれば業界経験がアドバンテージになる場合があり、現職より大規模な仕事を任せられる可能性もあるでしょう。
キャリアアップの意味・目的
昇進や昇給、仕事の幅を広げるなどの課題を通じて自身の市場価値を向上させることがキャリアアップを行う主な目的です。一般的には同一の企業に在籍して経験を積み続ける働き方をキャリアアップと表現するケースが一般的ですが、近年では同業他社への転職もキャリアアップとして扱われることがあります。なお、他業種への新たな挑戦はキャリアチェンジと表現することが一般的です。
キャリアアップをするための準備・必要なこと
キャリアアップを図る際にはその主な目的を明確化し、自身がどういったスキルを習得したかを棚卸することから開始しましょう。過去の成功体験を思い返すことで自身の強みや弱みを客観的に把握しやすくなる効果が見込めます。
自身の強み弱みを書き出す
まず過去の経歴や担当してきた仕事などを可視化し、自身の強みと弱みを客観的に把握できるように書き出していきます。目標とする役職や自身の得意分野、苦手分野などを明確化し、キャリアの棚卸しを行うことで転職時の面接対策を行いやすくなります。
キャリアアップした後の未来像を描く
将来的にどういった職業を目指したいかを明確化することで、自身の職歴や技量を客観的に把握、分析しやすくなります。複数人で仕事を行う場所である場合は、具体的にどういった対策を取ったか、どんな実績を収めたかなどをあらかじめ書き出しておくと面接対策を事前に行いやすくなるでしょう。
キャリアアップの2種類
キャリアアップとは、現職で勤めている企業や転職先企業などで経験を積むことを指します。転職によるキャリアアップを円滑に進めるには過去の経験、自身の強みなどを分かりやすくアピールすることが大切です。自身が得意とする業務内容をリストアップし、数年後に自分がどうなっているかをプランニングすることで長期的なキャリアプランを立てやすくなります。
現職でキャリアアップする
現在勤めている企業でキャリアアップを目指す場合、目標とする役職や部署などがあれば、上司へ相談することで昇進・昇給などの目標を達成しやすくなるケースが考えられます。社内研修やアイデアコンテストなど技量を測るイベントに参加する、または部署異動によって習得できる知識を身に付けることでキャリアアップを図れます。
勤めている企業での実績をもとにキャリアアップを目指せるので、周囲からサポートを受けながら働ける環境を確保できる場合があります。ただし、昇進後の業務で習得できる知識が一般的に活用しづらいものだったり、昇進したことで拘束時間が増加したりするといった問題が生じるリスクが高いです。
転職をしてキャリアアップする利用者
昇進、昇給などを目的として他社へ転職する際には転職エージェントやハローワークなどを活用することが一般的です。現職で積み重ねた知識や経験を転職先で活用することで収入増加、昇進などが見込めます。
現職でキャリアアップするメリット・デメリット
所属している企業で昇進、昇給などを目指す際には入社以降の実績が評価されるので、働き方次第でキャリアアップを実現しやすくなります。同僚や上司から信頼を得られている場合は昇進、昇給を目指す過程で周囲から協力を得やすい点も現職でキャリアアップを目指すメリットです。
ただし、ひとつの企業でキャリアを積んだ場合は身に付けられる経験やスキルに汎用性がない、転職した際に役立たないスキルしか習得できないといった問題が生じるリスクがあります。
転職でキャリアアップするメリット・デメリット
転職によるキャリアアップを目指す場合には、業務内容や収入などの希望条件が整っている企業に転職できることが前提になります。現職で得た知識を転職先で活用して評価を得られた場合は収入、待遇の向上が見込めます。
ただし、入社時の条件によっては給与や勤務時間など待遇が悪くなる場合があります。転職後は職場の勤続年数や人間関係などがリセットされるので、転職前と比較して状況が悪化するリスクがある点には注意が必要です。
キャリアアップを成功させるためには
昇進、昇給、転職などキャリアアップの目標を達成するためには具体的なプラン作成、実践が不可欠です。キャリアアップを成功させるために実施しておきたいことを具体的に紹介します。
キャリアアップのロードマップを描く
まず行うこととして、キャリアアップにおける長期目標の設定、現時点における自分の状況を明確にします。目標を決める際には長期目標から中期、短期といったように段階的に設定することが一般的です。例えば10年後に年収1,000万円を達成することを長期目標とする場合、中期目標として5年後には年収○○万円を目指す、3年後までには年収アップにつながる資格を取得するなど目標達成までのロードマップを考えて設定します。
事業目標を把握し、それに合わせて自分のやりたいことを描く
知識や経験がある職業でキャリアアップを目指す場合、資格取得支援制度や管理職研修などスキルアップに役立つシステムを利用することがスムーズに昇進、キャリアアップを進めるポイントです。所属先企業がシェア拡大や生産効率向上など事業目標を掲げているのであれば、事業目標の達成に寄与するためのプランを考えて上司へ相談することでキャリアアップを成功させやすくなる場合があります。
成果を数字で分かるようにする
達成目標を立てる際には達成状況を数値的に把握できるようにすることで達成に向けて継続的なアクションを行いやすくなります。例えば営業職で昇進することを長期目標とする場合は短期目標として営業件数2倍、成約数1.5倍といったように数値目標を立てると達成状況を把握しやすくなります。
注目されている女性のキャリアアップ
共働き家庭の増加や女性の就業率向上などが進んでいる近年では、女性がキャリアアップを考える機会が一層増加していると考えられます。出産・育児や家事などを経て就業する女性が働きやすい環境を構築する女性活躍推進法が施行されたことで、キャリアアップが考えやすい環境構築は今後進んでいくと考えられます。
出産・育児と並行したキャリアアップ
女性がキャリアアップを考える上で出産や家事・育児への対応は課題になりやすい要素です。「男女共同参画白書 令和5年版」によると、女性が家事・育児などに使う家事関連時間の平均値は204分で、男性の家事関連時間平均値51分と比較して女性は家事・育児に多くの時間を割いていることが読み取れます。
管理職に就く女性の割合は近年増加傾向にありますが、諸外国と比較すると低い水準に留まっています。女性の企業への登用、働きやすい環境整備などに向けた施策として、女性活躍推進法が2015年に成立しました。
参考:新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために~職業観・家庭観が大きく変化する中、 「令和モデル」の実現に向けて~
女性活躍推進法という背景
女性活躍推進法は常時雇用する労働者が101人以上の企業を対象として、一般事業主行動計画の策定、自社の女性活躍に関する情報公表が義務付けられる法律です。成立した当初は常時雇用労働者301人以上の企業が対象になっていましたが、2022年4月1日からは101人以上の企業にも対象が拡大されたという背景があります。
女性活躍推進法の適用対象に該当する企業は女性の活躍推進に関する取組を実施することが義務付けられます。女性労働者にとっては働きやすい環境が整備された企業が増加し、キャリアアップを図りやすくなるメリットが生じると考えられます。
参考:雇用・労働女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
参考:令和4年4月1日から 女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届出
働き方の多様な選択肢
年収の向上、非正規雇用から正規雇用への移行など達成目標に応じてキャリアアップにつながる働き方は異なります。現職で経験を積みながら他業種の経験、人脈を獲得したいといった目標がある場合はパラレルキャリアという働き方があります。パラレルキャリアとは本業を持ちながら他企業への就業、自営業やボランティアなどを並行して実施する働き方です。
所属する企業に副業OK、フレックスタイム制などのシステムがある場合は仕事の余暇、空き時間を利用してパラレルキャリアを行えます。企業によっては働き方として禁止されている、または事前申請による許可を要することがあるので、副業やパラレルキャリアを検討する際には所属する企業に確認を取っておくとトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
キャリアアップはプランニングが大切
キャリアアップの定義は人によって異なり、同業他社または他業種への転職を行うことも近年ではキャリアアップと表現する場合があります。昇給や昇進などの目標を設定し、達成までのロードマップを具体的にプランニングすることがキャリアアップを成功させるために重要になります。資格取得支援や副業OKなどのシステムは企業によって対応が異なるので、状況に応じて職場の上司やキャリアアドバイザーなどに相談しながら進めていくことをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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