• 更新日 : 2023年12月13日

エンゲージメントとは?なぜビジネスで重要か?高める方法や事例を解説

エンゲージメントとは?なぜビジネスで重要か?高める方法や事例を解説

エンゲージメントとは、誓約・約束・契約などを意味する英単語で、ビジネスにおいては従業員の愛社精神など意味します。エンゲージメントが低いと人材の流出や生産性の低下などさまざまな問題を引き起こすため、エンゲージメントを高める取り組みが重要です。当記事では、エンゲージメントの概要や重要性、高めるための方法などを解説します。

エンゲージメントとは?

エンゲージメント(engagement)とは、婚約・誓約・約束・契約などを意味する英単語です。ビジネスシーンでは異なる意味合いで使われることもあるため、詳しく解説します。

エンゲージメントの意味

「エンゲージメント(engagement)」は、「婚約する」「約束する」「誓約する」などを意味する「エンゲージ(engage)」に、「~すること」を意味する接尾語「-ment」が付いた英単語です。「婚約するほどの愛着」という意味が転じて、近年では従業員が持つ会社に対する思い入れや愛着心を意味する場合もあります。

エンゲージメントの目的

会社への愛着心を意味するエンゲージメントは「愛社精神」と言い換えられます。愛社精神は仕事に対する誇り・意欲・情熱や、会社への貢献に直結するため、企業価値を最大化するためには非常に重要な要素です。逆説的に、エンゲージメントを高める目的は、企業価値の向上といえます。

ビジネスにおけるエンゲージメント

ビジネスにおけるエンゲージメントには2つの意味合いがあります。従業員の会社に対する愛着は「従業員エンゲージメント」です。一方、マーケティングの領域では、顧客が企業に抱く愛着を「顧客エンゲージメント」といいます。会社と従業員との信頼関係、企業と顧客との信頼関係を構築するためには、エンゲージメントを高める取り組みが必須です。従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントを向上させる取り組みこそが、最大の企業価値を生み出します。

なぜ企業においてエンゲージメントが重要か

改めて整理すると、会社と従業員との信頼関係は従業員エンゲージメントです。一方、マーケティングの領域では、企業と顧客との信頼関係を顧客エンゲージメントといいます。なぜ企業においてエンゲージメントは重要なのでしょうか。ここではエンゲージメントの重要性を解説します。

優秀な人材の確保

人手不足が深刻化するなか、人材の確保は喫緊の課題です。少子高齢化に伴い採用活動は一層難しくなっており、従業員の離職率を下げ定着率を上げる取り組みが求められています。離職率を下げ定着率を上げるためには、愛社精神を醸成する取り組みが必須です。高い従業員エンゲージメントは離職を防ぎ、職歴の長い優秀な人材の確保につながります。

企業価値の向上

顧客エンゲージメントを高め、顧客に選ばれる企業になることも重要です。高い顧客エンゲージメントは購買行動を促し、利益の向上に直結します。一方、従業員エンゲージメントは会社への貢献を促し、生産性を向上させる大切な要素です。企業価値を最大化するためには、顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントを向上させる取り組みが求められます。

エンゲージメント向上が企業に及ぼすメリット

従業員エンゲージメント・顧客エンゲージメントの向上はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここではエンゲージメント向上が企業に及ぼすメリットについて解説します。

離職率の低下

従業員エンゲージメントが向上すると、離職率が低下します。従業員エンゲージメントが高い状況は、従業員が働きやすさや仕事へのやりがいなどを感じている状態です。これらの要素が満たされた従業員は長く働きたいと考えるため、高い従業員エンゲージメントは離職率を低下させ、定着率を上昇させます。

人手不足の解消

従業員エンゲージメントが高い状態では、会社に対する愛着も高まります。従業員の中には、愛着のある会社を就職活動中や転職活動中の親族や知人に紹介したいと考える方もいるかもしれません。高い従業員エンゲージメントはリファラル採用(社員紹介採用)に一定の効果をもたらし、人手不足の解消につながります。また、エンゲージメントの高い会社は学生にも好意的に捉えられるため、新卒採用も優位に進めることができるでしょう。

企業利益の向上

従業員エンゲージメントは会社への貢献を促し、生産性の向上につながります。エンゲージメントの高い従業員がモチベーション高く業務に従事することで、品質の向上にもつながるでしょう。高い品質は顧客エンゲージメントの向上に必須の要素です。顧客エンゲージメントの向上は、利益の向上に直結します。従業員エンゲージメントは顧客エンゲージメントを高め、最終的には企業利益の向上につながるのです。

エンゲージメント低下が招くデメリット

一方、従業員エンゲージメント・顧客エンゲージメントが低下するとどのようなデメリットを招くのでしょうか。ここではエンゲージメント低下が招くデメリットを紹介します。

離職率の上昇

従業員エンゲージメントが低下すると、離職率が上昇します。従業員エンゲージメントが低い状況は、働きにくさや仕事に対するやりがいの無さを感じている状態です。このような状況では、きっかけさえあれば躊躇なく転職を考えるでしょう。特に、向上心の高い優秀な人材にこの傾向は顕著です。従業員エンゲージメントの低下は、離職率を引き上げ、定着率を引き下げます。

モチベーションの低下

低い従業員エンゲージメントは、モチベーションの低下を招きます。モチベーションが低い状態では仕事にやりがいを見いだせず、生産性も上がりません。また、ネガティブな発言や無気力な態度は、他の従業員にも悪影響を及ぼす可能性もあります。このような状態では企業理念が伝わらず、進むべき方向性を見失ってしまうかもしれません、転職を考える従業員が増加し、人材の確保も難しくなるでしょう。

企業利益の低下

従業員エンゲージメントの低下は、モチベーションの低下につながります。低いモチベーションでは生産性が上がらず、品質にも影響を及ぼしかねません。品質の低下は、顧客エンゲージメントを引き下げる大きな要因です。顧客エンゲージメントが低下すると顧客の購買意欲が低下し、利益の低下に直結します。従業員エンゲージメントの低下は顧客エンゲージメントを引き下げ、最終的には企業利益の低下につながるのです。

従業員のエンゲージメントを高める方法

エンゲージメントは企業価値に直結する重要な要素です。従業員エンゲージメントの低下は顧客エンゲージメントを引き下げ、企業価値を損なう原因になりかねません。ここからは、従業員エンゲージメントを高める5つの方法を紹介します。

アンケートやヒヤリングを実施し現状を把握する

まずはアンケート調査や従業員に対するヒヤリングを実施し、現状の従業員エンゲージメントを把握してください。このような調査はエンゲージメントサーベイと呼ばれ、「仕事にやりがいを感じているか」「仕事に誇りを持っているか」「仕事では何を重視しているか」などを質問するのが一般的です。エンゲージメントサーベイを通し、現在従業員が会社に対しどのような感情を抱いているのかを調査しましょう。

企業理念やビジョンを発信する

従業員エンゲージメントの重要な要素に、企業理念への共感が挙げられます。企業理念やビジョンを積極的に発信することで、会社の進むべき方向性を明確化しましょう。企業理念・ビジョンを周知し共感が得られれば、従業員は会社に対し愛着心を感じ、従業員エンゲージメントは向上するでしょう。

働きやすい職場環境を整備する

仕事に対する満足感を得られるよう、働きやすい職場環境を整備することも重要です。従業員が持てる能力を遺憾なく発揮できるよう、適材適所の人材配置を心がけましょう。能力が最大限発揮できる状況であれば、従業員は仕事に対する誇りややりがいを感じ、従業員エンゲージメントは向上するでしょう。また、従業員の満足度を高めるには、テレワークやフレックスタイム制など、ワークライフバランスの取りやすい働き方を導入するのも一つの方法です。

マネジメント層の人材育成に力を入れる

マネジメント層は、部下の能力やモチベーションを引き出し、活躍できる環境を整える重要な役割を持っています。また、人事評価においては、部下の努力やポテンシャルを公平公正に判断する重要なポジションです。日頃の頑張りが上司に伝わり、正しく評価されていると感じた配下社員は、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。重要な役割を担うマネジメント層に対し、コーチング・トレーニング・フィードバックなどに関する人材育成を行うことは非常に効果的です。

コミュニケーションの取りやすい環境を整備する

風通しの良い、コミュニケーションが活発な職場環境を整備することも重要です。例えば、仕事に関する悩みなどについて、上司や同僚に気兼ねなく相談できる環境であれば、仕事に対するやる気やモチベーションを維持しやすいでしょう。同時に、活発なコミュニケーションは仲間意識を醸成します。仲間意識は、従業員エンゲージメントを高める非常に重要な要素です。

従業員エンゲージメントが高い企業の事例

スターバックスコーヒージャパン株式会社

カフェ事業を展開するスターバックスコーヒージャパン株式会社は、従業員エンゲージメントの高い代表的な企業です。スターバックスでは、自発的に考え、行動することを重要視しています。スターバックスにはサービスに関するマニュアルがありません。仕事や組織に対する強いオーナーシップを持つことが、主体的なサービスを実現します。従業員が自ら考え、行動することをサポートするのが会社の役割です。優れた行動を取り続けた従業員を表彰する制度などを設け、従業員エンゲージメントの向上に努めています。

株式会社ユーザベース

NewsPicksをはじめとしたさまざまなメディアを展開している株式会社ユーザベースも、高い従業員エンゲージメントを実現している企業です。規模の拡大に伴い従業員と会社とのズレが顕在化するなか、価値観を共有するため「7つのルール」を策定します。7つのルールは、ユーザベースの価値観や皆の信念を定義した結果です。7つのルールに従い行動することで、従業員がのびのびと働ける環境を実現しました。加えて、スーパーフレックス制度・ロングバケーション制度・時短制度など、多彩な働き方を実現する制度の拡充が、従業員エンゲージメントの向上に大きく貢献しています。

エンゲージメントの向上に取り組み企業価値を高めよう!

今回は、エンゲージメントについて解説しました。エンゲージメントは本来婚約・誓約・約束などを意味する英単語ですが、ビジネスシーンでは会社との信頼関係を意味します。会社と従業員の信頼関係は「従業員エンゲージメント」です。一方、企業と顧客の信頼関係は「顧客エンゲージメント」といいます。

企業におけるエンゲージメントは、優秀な人材の確保や企業価値の向上に直結するため非常に重要です。エンゲージメントが低下すると離職率が上昇し人材の確保が難しくなり、利益の低下も避けられません。

記事の後半ではエンゲージメントを高める方法と、エンゲージメントが高い企業の事例を紹介しました。これらを参考に、エンゲージメントの向上に取り組んでみましょう。

エンゲージメントについてより詳しく知りたい方は、「エンゲージメントとは?ビジネスでの意味合い、低い原因や高める方法」の記事もご参考にしてください。


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