• 作成日 : 2022年11月4日

標準報酬月額とは?決め方や社会保険料の計算方法も分かりやすく解説!

標準報酬月額とは?決め方や社会保険料の計算方法も分かりやすく解説!

毎月の給料から差し引かれている社会保険料は、標準報酬月額によって金額が定められています。標準報酬月額は、1年に1度の定時決定や、報酬額が大きく変わった場合に行われる随時改定などで決定されます。標準報酬月額に健康保険料率をかけたものが健康保険料の金額、厚生保険料率をかけたものが厚生年金保険料の金額です。

標準報酬月額とは?

毎月の給料からは所得税の源泉徴収雇用保険料とともに、社会保険料として健康保険料と厚生年金保険料が差し引かれています。しかし、所得税の源泉徴収や雇用保険料の金額と、社会保険料の金額は、決定方法が大きく違っています。

標準報酬月額によって社会保険料を計算

社会保険料の金額は、健康保険料・厚生年金保険料とも標準報酬月額をもとに計算されます。標準報酬月額は、従業員に支払われる給料から算定される額で、健康保険の場合は第1等級(58,000円)から第50等級(1,390,000円)までの50段階、厚生年金保険の場合は第1等級(88,000円)から第32等級(650,000円)の32段階に区分されています。この標準報酬月額に健康保険料率をかけて健康保険料の金額、厚生年金保険料率をかけて厚生年金保険料の金額を計算します。

令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
引用:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会

令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
引用:保険料額表(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)|日本年金機構

標準報酬月額表は、上記のように日本年金機構・全国健康保険協会のホームページに掲載されています。全国健康保険協会の健康保険料率は都道府県によって違うため、確認の際は事業所を管轄する都道府県の表を用いるようにしてください。

標準報酬月額の算出方法は?

標準報酬月額は、3カ月分の給料をもとに、次のように算出します。

  1. 標準報酬月額を求める前の3カ月において支払われた報酬の合計額を求める。
    【報酬となるもの】
    基本給、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金など
  2. 合計額を3で割る
  3. 標準報酬月額表に当てはめる
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標準報酬月額の決定・改定のタイミングと手続きは?

標準報酬月額を決定・改定するタイミングは決まっています。それぞれのときに、定められた手続きを行う必要があります。

入社時の「資格取得時決定」

従業員が会社に入社したタイミングで行われる標準報酬月額の決定手続きが「資格取得時決定」です。入社条件として提示された報酬・雇用契約書に記載されている報酬をもとに、標準報酬月額が決定されます。

資格取得時決定で決定された報酬は、その月から社会保険料の計算に用いられます。いつまで用いるかは資格取得時決定が行われた時期によって異なり、1月1日から5月31日までの場合はその年の8月まで、6月1日から12月31日までの場合は翌年の8月まで使用します。9月1日以降は、次に説明する定時決定で決まった標準報酬月額を使用して、社会保険料を計算します。

年1回の「定時決定」

毎年4月から6月までの3カ月の給料をもとに行う標準報酬月額決定手続きが「定時決定」です。7月1日時点で在籍している従業員を対象に行う手続きで、それまで使用していた標準報酬月額から新しい標準報酬月額に変更するために行います。4月から6月までの3カ月分の報酬の合計額を3で割り、算出された数値を標準報酬月額表に当てはめ、該当するものが新しい標準報酬月額になります。

4月から6月までの3カ月については、それぞれの月で17日以上の報酬支払基礎日数がなければ、定時決定は行われません。その場合は定時決定による新たな標準報酬月額決定は行わず、これまでの標準報酬月額を使用することになります。定時決定で決定した新しい標準報酬月額はその年の9月から、翌年の8月まで使用します。

固定報酬変更時の「随時改定」

定時決定以外の時期に、大幅な報酬額の変動があった場合に行われる標準報酬月額決定の手続きが「随時改定」です。随時改定は、以下の3つの条件すべてに該当する場合に行われます。

  • 報酬の固定的部分に変動があったこと
  • 継続した3カ月の報酬のいずれにも、2等級以上の変動があったこと
  • 変動があった3カ月の各月の報酬支払基礎日数が、いずれも17日以上あること

随時改定によって変更された標準報酬月額は、8月(随時改定が7月から12月までの間に行われた場合は翌年8月)まで使用します。

産休終了時の「産前産後休業終了時改定」

産前産後休業から復職した従業員を対象に行う標準報酬月額決定の手続きが「産前産後休業終了時改定」です。

産前産後休業後に復職した従業員は、以前のようには働けないことが多いものの、報酬が下がっても各月の報酬支払基礎日数が17日以上ないことから標準報酬月額は変更されません。実際の報酬額と標準報酬月額が大きく相違し、社会保険料の負担を軽減する必要があることから設けられている制度です。

産前産後休業取得者申出書を提出することによって、対象となることができます。給付終了日の翌日が属する月以降の3カ月の報酬にもとづいて、標準報酬月額が変更され、4カ月目から新しい標準報酬月額を使用します。

育休終了時の「育児休業終了時改定」

育児休業から復職した従業員を対象に行う標準報酬月額決定の手続きが「産前産後休業終了時改定」です。産前産後休業終了時改定と同じ理由で設けられ、適用を受ける際は育児休業取得者申出書を提出します。給付終了日の翌日が属する月以降の3カ月の報酬にもとづいて、標準報酬月額が変更され、4カ月目から新しい標準報酬月額を使用します。

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標準報酬月額にもとづく社会保険料の計算方法は?

社会保険料は、標準報酬月額を用いて、健康保険料・厚生年金保険料をそれぞれ計算します。

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料は、標準報酬月額に厚生年金保険料率をかけて計算します。

厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率

2022年(令和4年)の厚生年金保険料率は、183/1000です。全国一律で、都道府県による違いはありません。また厚生年金保険料は、従業員と会社が折半して1/2ずつ負担するため、従業員と会社がそれぞれ支払う厚生年金保険料の計算式は、次のようになります。

  • 従業員が負担する厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 183/1000 × 1/2
  • 会社が負担する厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 183/1000 ×1/2

健康保険料の計算方法

健康保険料は標準報酬月額に健康保険料率をかけて計算します。

健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率

全国健康保険協会の健康保険料率は、都道府県によって違い、東京都の場合は9.81%です。厚生年金保険料と同じように従業員と会社が折半して1/2ずつ負担するため、従業員と会社がそれぞれ支払う健康保険料の計算式は、次のようになります。

  • 従業員が負担する健康保険料 = 標準報酬月額 × 9.81% × 1/2(東京都の場合)
  • 会社が負担する健康保険料 = 標準報酬月額 × 9.81% × 1/2(東京都の場合)
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標準報酬月額の正しい算定に向けて十分な知識を備えよう

会社は、従業員が加入する社会保険について、入社時の被保険者資格取得届の提出手続き、退職時の資格喪失届の提出といった手続き、そして社会保険料納付をしっかりと行わなければなりません。健康保険料・厚生年金保険料に関しては、従業員から従業員負担分を徴収し、会社負担分と合わせて納付する責任があります。従業員負担分の徴収は、給与から控除することで行います。

健康保険料・厚生年金保険料の毎月の金額は、標準報酬月額を使用して計算します。標準報酬月額は、健康保険については第1等級から第50等級までの50段階、厚生年金保険については第1等級から第32等級までの32段階に分かれています。標準報酬月額表を用いて、資格取得時決定・定時決定・随時改定・産前産後休業終了時改定・育児休業終了時改定により、決定・改定が行われます。十分な知識を備えて仕組みをしっかりと理解し、正しく標準報酬月額算定を行いましょう。

よくある質問

標準報酬月額とは?

健康保険料と厚生年金保険料を計算する際に用いる額で、健康保険は第1等級から第50等級まで、厚生年金保険は第1等級から第32等級まであります。詳しくはこちらをご覧ください。

標準報酬月額の決定・改定のタイミングは?

資格取得時・年に1回(定時)・大幅な報酬変動時・産前産後休業終了時・育児休業終了時が標準報酬月額決定・改定のタイミングです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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