• 作成日 : 2022年10月7日

就業規則の記載事項とは?絶対的必要記載事項や作成時の注意点も解説!

絶対的必要記載事項とは、就業規則に記載しなければならないとされる労働時間や賃金、退職に関する内容のことです。そのほか、制度を設けた場合に記載の必要がある相対的必要記載事項や制度の設定も記載も、会社ごとに決めてよい任意的記載事項があります。今回は就業規則における絶対的必要記載事項の内容のほか、作成時の注意点も解説します。

就業規則の3つの記載事項とは?

就業規則に記載する内容を大きく分けると、以下の3つに分類されます。

  • 絶対的必要記載事項
  • 相対的必要記載事項
  • 任意的記載事項

就業規則は、それぞれの会社が自由に決めてよいルールというわけではありません。たとえば労働条件であれば、労働基準法で定められた基準を下回った場合、その部分は無効になります。

このように、就業規則は労働基準法をはじめとする法律に抵触することのないように記載されるものです。

労働基準法では就業規則に必ず記載しなければならない項目を定めており、これを「絶対的必要記載事項」といいます。絶対的必要記載事項に関する記載がない場合には、30万円以下の罰金に処せられます。

「相対的必要記載事項」は、会社として制度として定める場合には、必ず記載しなければいけない項目のことです。

また制度を設けるかどうかはもちろん、制度として定めた場合でも就業規則への記載はそれぞれの会社の判断に委ねられている「任意的記載事項」もあります。

参考:就業規則を作成しましょう|厚生労働省

就業規則の絶対的必要記載事項とは?

例外なく就業規則に記載しなければならない絶対的必要記載事項は、内容ごとに分類すると次の3つに大別されます。

  • 労働時間に関する内容
  • 賃金に関する内容
  • 退職・解雇に関する内容

それぞれの内容を解説していきます。

労働時間に関する内容

就業規則の絶対的必要記載事項のうち、労働時間に関する内容は以下のとおりです。

  • 始業・終業の時刻
  • 休憩時間
  • 休日および休暇
  • 交替制の場合の就業時転換に関する事項

それぞれを記載する際のポイントは、下記表にまとめたものをご確認ください。

労働時間に関する項目(絶対的必要記載事項)記載のポイント
始業・終業の時刻
  • 始業と終業の時刻を示す必要があるため、単に労働時間を「1日8時間、週40時間」と記載するだけでは足りないとされる
  • 具体的な始業・終業の時刻を記載することが求められる。ただし、膨大な内容になる場合は、勤務の種類ごとの始業・終業の時刻における考え方を記載し、当該の労働者に適用される就業規則上の関係する条項名を網羅的に示せばよい
休憩時間
  • 休憩時間の長さや開始時刻、休憩時間を取る方法などを具体的に定める
休日および休暇
  • 【休日】「週1回付与する」とすれば、曜日を特定しなくても法律上の問題はないものの、できるだけ「日曜日と定める」といったように具体的に記載することが望ましい
  • 【休暇】年次有給休暇や産前産後休業、育児休業・介護休業などのほか、年末年始休暇や夏季休暇など会社が任意に与える休暇も含まれる
交替制の場合の就業時転換に関する事項
  • 交替制における交替の順番や交替期日などを記載する

賃金に関する内容

就業規則の絶対的必要記載事項における、賃金に関する内容は以下のとおりです。

  • 賃金の決定
  • 計算および支払の方法
  • 賃金の締切りおよび支払の時期
  • 昇給に関する事項

賃金とは、基本的に毎月、定期的に支払われる賃金をイメージしてください。賞与などの臨時で支払われる賃金は、相対的必要記載事項にあたるため該当しません。

賃金を決定する職歴や等級などの要素や賃金体系のほか、賃金の決定・計算・支払い方法、昇給に関して示す必要があります。

退職・解雇に関する内容

退職の事由や手続き、解雇の事由など、退職に関するすべての内容を明示しなければなりません。

特に解雇は、労使間におけるトラブルの原因の多くに起因しているため、基準や手続きの規定をしっかりと設ける必要があります。たとえば「懲戒解雇」と「普通解雇」は、それぞれどのようなケースが当てはまるかなどを明記しておきましょう。

参考:就業規則を作成しましょう|厚生労働省

就業規則の相対的必要記載事項とは?

就業規則の相対的必要記載事項とは、会社として制度を定める場合に必ず記載しなければならない項目のことで、具体的には以下の内容が定められています。

これらの制度を新たに設けた場合だけではなく、慣行として存在する制度内容についても、相対的必要記載事項として示す必要があることを、おさえておきましょう。

  • 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払方法、支払時期に関する内容
  • 臨時の賃金・最低賃金額に関する内容
  • 労働者に負担を求める食費や作業用品などに関する内容
  • 安全・衛生に関する内容
  • 職業訓練に関する内容
  • 災害補償・業務外の傷病扶助に関する内容
  • 表彰・制裁の種類やその程度に関する内容
  • 事業場で働く労働者のすべてに適用される内容

たとえば退職金は、法律で会社に支給を義務付けているわけではありません。そのため支給するにあたっては、会社が独自に適用範囲や支給基準、計算方法などを具体的に決めることになります。

参考:就業規則を作成しましょう|厚生労働省

就業規則の任意的記載事項とは?

就業規則の任意的記載事項は、法的な規制がないため、社会通念や公序良俗などを踏まえて会社が独自に定めるものです。

具体的には、企業理念や就業規則の解釈や適用範囲などが挙げられます。また、応募や採用に関する内容や、副業の取り扱いを記載する会社もあります。

記載が義務づけられている項目ではないものの、最近ではこの任意的記載事項を積極的に活用している会社も少なくありません。従業員と会社、双方にとって有意義な内容を記載しましょう。

就業規則を作成する際の注意点は?

就業規則を作成する際には、主に以下の点に注意しましょう。

  • 法律で定められた最低基準を下回らない
  • 従業員の過半数代表者の意見を聞く

それぞれの注意点について、解説していきます。

法律で定められた最低基準を下回らない

就業規則は労働基準法に定められた最低基準や、労働協約に示した内容に違反することを禁止しています。

先述したとおり、たとえば労働基準法で決められた基準以下の労働条件を設定した場合、下回った部分について無効になることに注意しましょう。

従業員の過半数代表者の意見を聴く

就業規則の作成や変更に際しては、従業員の過半数代表者の意見を聴かなければなりません。従業員の過半数代表者には、事業所に過半数で組織される労働組合がある場合はその労働組合が該当します。ない場合は、労働者の過半数を代表する者から意見を聴く必要があります。

「意見を聴く」というのは、あくまでも意見を聴けばよいのであって、同意や協議を求めるわけではありません。なお反対意見が出た場合でも、就業規則の届出自体に支障はないものの、今後就業規則を運用していく際にトラブルの原因となる可能性があります。

そのため納得感を得られるように、従業員の意見も取り入れながら内容の修正を行うなど、柔軟に対応する必要があるでしょう。

就業規則には絶対的必要記載事項を明記しよう

就業規則の絶対的必要記載事項とは、労働基準法で必ず記載しなければならないと定められた内容のことです。そのほか、制度として定めた場合には記載しなければならない相対的必要記載事項、記載はそれぞれの会社の任意であるとされる任意的記載事項があります。

絶対的必要記載事項に関して記載がない場合は、30万円以下の罰金が課せられます。そのため、漏れのないように記載しなければなりません。

就業規則をしっかりと整備しておくことで、従業員が安心して働ける職場になるでしょう。また、従業員とのトラブルの防止にもつながります。必要な事項が適切に記載された、自社に合った就業規則を作成しましょう。

よくある質問

就業規則の3つの記載事項とは?

「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

就業規則の絶対的必要記載事項とは?

就業規則に記載することを義務付けられた、労働時間や賃金、退職に関する事項を指します。詳しくはこちらをご覧ください。


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