• 更新日 : 2022年7月19日

女性活躍推進法とは?重要なポイントを解説!

女性活躍推進法は女性の活躍を目指し、2016年に施行された法律です。2022年4月からは対象となる企業が、現行の労働者数301名以上から101名以上の企業に拡大され、行動計画の策定も義務化されます。

この記事では女性活躍推進法の目的と背景や施行内容、2019年の改正の重要なポイントを解説しています。

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女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法とは、女性が活躍できる職場を目指した法律で、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が正式名称です。2015年8月28日に10年間の時限立法として制定されました。

この法律は国や自治体および企業に、女性活躍の基本方針と行動計画の策定や、それに関する情報公開を義務づけています。2016年から全面施行となり、2019年の法改正で対象企業の拡大や、情報公表の強化が行われました。

この法律はどのような目的があり制定されたのでしょうか。その背景について以下で紹介します。

参考:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律|e-Gov法令検索

女性活躍推進法の目的と背景

日本は将来的に、急速な人口減少によって労働力が不足とすると懸念されています。そこで注目されたのが、女性の活躍の推進です。女性活躍推進法は働く女性の能力を高めつつ、継続して就労できる社会をつくり、その活躍を推進する目的により制定されました。

女性が就労を希望しているにもかかわらず、出産にともなう離職を慣例的に余儀なくされていたり、女性であることを理由に事実上、昇進昇格等の人事の面での不利益を受けていることがあるようであれば、これを是正していこう、というのが制定の背景です。

子育てや結婚に伴う家事が女性に偏重する社会的風潮を企業の人事政策の面から改善を図っていくことも制定の狙いと考えられます。男女の性別にかかわりなく訪れるライフイベントをきっかけに女性だけが再就職の点で不利になったり、管理的立場にある女性の割合が著しく低かったりする場合には、働く女性の能力が十分に発揮されていない状況あるといえるでしょう。

参考:2018年労働者調査|総務省統計局

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女性活躍推進法の施行内容

女性活躍推進法は、女性が企業内で活躍していくための行動計画の策定を求めています。従来は労働者数301名以上の企業が行動計画策定及び公表の義務がありましたが、改正により2022年4月から労働者数101名以上の企業も対象になります。

ここで言う労働者とは正社員だけでなく、1年以上継続的に雇用されているか、1年以上の雇用が見込まれるパートや契約社員、アルバイトなどの非正社員も含まれる点に注意が必要です。

以降では企業に義務づけられた「状況把握と課題分析」「行動計画の策定・届出・周知・公表」「自社の女性の活躍に関する情報の公表」ついてご説明します。

① 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析

まずは直近の事業年度において、自社の女性の活躍状況を調査します。状況把握には、女性活躍推進法で定めた「女性採用比率・勤続年数男女差・労働時間の状況・女性管理職比率」の4つの基礎項目を必ず調べましょう。定められた計算方法で、正しく算出することが大切です。

この課題分析には判断の目安例があるので、自社の状況を分析する参考にしてください。その結果、さらに調査が必要な場合は、選択項目を活用して、より深く分析します。

具体的には、男女の採用比率、男女の管理職比率、長時間労働の状況などの各項目についての状況分析を行い、自社にとって特に改善を要すると考える点について改善目標を設定し、目標達成のための取組を行動計画に落とし込んでいくことになります。

企業規模によっては、男女の管理職比率の改善には長期的な視点も必要になることもあるでしょうから、比較的短期間でも達成可能な目標設定を織り交ぜて、着実に女性活躍を推進していく企業姿勢が好ましいといえます。

また、例えばもともと女性の希望就職者の少ない業種もありますから、男女の採用比率については企業努力だけではなんともしがたい場合もあります。しかし、こうした場合には企業内で活躍する女性社員にも協力を仰いで女性も活躍している企業であること、女性の活躍を後押ししている企業であることのアピールも目標達成のための取組の一つとすることが可能です。

参考:
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画などに関する省令|e-Gov法令検索
基礎項目の計算方法及び目安例|厚生労働省 冊子

➁ 課題にそった行動計画の策定・届出・周知・公表

女性活躍推進法では行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出が必要です。行動計画には自社の課題にそった「計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施期間」を盛り込み、策定日からおおむね3カ月以内に届け出を済ませましょう。

この行動計画は職場内の掲示や、電子メールでの送信、企業内ネットワークへの掲載、書面での配布などの方法で、すべての労働者に周知することが大切です。また一般への公表は、厚生労働省が運営するWebサイト(「⼥性の活躍推進企業データベース」)への掲載や、自社のホームページなどで行います。

ただし、あとに述べる「えるぼし認定」を受けた企業は、毎年少なくとも1回、「⼥性の活躍推進企業データベース」において「⼥性の職業⽣活における活躍の状況に関する実績に係る基準」についての実績を公表することが必要です。

参考:一般事業主行動計画策定・変更届|厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ

③ 自社の女性の活躍に関する情報の公表

女性活躍推進法では、自社の女性の活躍に関する情報を公表することを義務づけています。この情報は厚生労働省が運営するウェブサイトや、自社のホームページなどで公表し、おおむね年1回程度で更新しましょう。

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女性活躍推進法で重要なポイント

女性活躍推進法は改正により、301名以上の企業は情報公表が強化されました。また2022年からは、従業員101名以上の企業も対策が義務化されるので、内容を把握しておくとよいでしょう。ここでは、創設された「プラチナえるぼし認定」を含め、重要なポイントについて説明します。

2022年4月から従業員101名以上の企業も対策が義務化

女性活躍推進法の改正にともない2022年4月1日から、常時雇用する労働者の数が101名以上、300名以下の企業も対策が義務化されます。これにより自社の課題にそった1項目以上の、数値目標を定めた行動計画の策定、届出、周知、公表が必要となりました。また自社の女性活躍について、1項目以上の情報公開が義務づけられています。

301名以上の企業は情報公表が強化

女性活躍推進法では、常時雇用する労働者の数が301名以上の企業は、すでに義務化の対象です。改正により2020年4月1日から行動計画の数値目標には「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」「職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備」の2つの区分ごとに1項目以上(計2項目以上)を定めることになりました。これにより情報の公表も、区分ごとに1項目以上行う必要があります。

えるぼし&プラチナえるぼし認定制度

「えるぼし認定」とは、女性活躍推進法の行動計画の策定と届け出をした企業のうち、取組の実施状況が優良な企業について認定する制度です。えるぼし認定には、一ツ星から三ツ星のえるぼし認定、えるぼし認定を受けた事業主のうち、⼥性の活躍推進に関する状況が特に優良である企業が認定を受けるプラチナえるぼし認定の制度があります(改正により、えるぼし認定企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業に「プラチナえるぼし認定」が創設されました)。

えるぼし認定を受けることにより、認定を受けた会社には次のようなメリットがあります。

  1. 自社の商品、広告、名刺、自社サイト、求人票等へ厚⽣労働大臣が定める認定マークを表示することができる
  2. 公共調達(行政が公共事業の委託先を選定するもの)の際に、入札企業のポイント評価を実施にあたり加点評価を受けることができる
  3. 日本政策金融公庫で認定企業は融資の際の貸付金利の優遇措置を受けられることがある

「えるぼし認定」を取得する要件は、予め厚生労働省が定めている次の5つの項目についての1つ以上の基準をクリアしているか、「2年以上」※にわたってその実績が改善していることが必要です。クリアしていることが必要な基準の数は、1つ星えるぼし認定から徐々にハードルが上がっていく仕組みです。

【5つの区分】

1. 採用
例えば、男女の採用倍率が同程度であることが必要です。ただし、応募者の男女比率は業界ごとに異なるため、直近3事業年度での男女別の競争倍率も考慮されます。また、正社員に占める女性社員の割合も基準の一部ですが、こちらは産業の平均値と比較して判断されます。

2. 継続就業
例えば、女性の平均勤続年数が男性の平均勤続年数の7割以上であること、といった基準が設けられています。

3. 労働時間等の働き方
例えば、直近事業年度の各月の対象労働者全体の残業時間(法定時間外労働+法定休日労働)を対象労働者数で割った時間数が45時間未満であること、といった基準が設けられています。

4. 管理職比率
例えば、直近の事業年度において、管理職に占める⼥性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること、という基準が設けられています。産業ごとの平均値は下記参照サイトにおいて厚生労働省から毎年公表されています(2022年2月現在の公表内容「女性活躍推進法に基づく認定制度に係る基準における平均値 適用:令和3年7月1日~令和4年6月30日」|厚生労働省)。

5. 多様なキャリアコース
多様なキャリアコースの項目を満たすか否かについては次の4つの項目が設定されており、企業規模によって達成すべき項目数が異なっています。常時雇用する労働者数が301人以上の企業については2項目以上、300人以下の企業については1項目以上とされています。
ア ⼥性の非正社員から正社員への転換
イ ⼥性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
ウ 過去に在籍した⼥性の正社員としての再雇用
エ おおむね30歳以上の⼥性の正社員としての採用過去に在籍した⼥性の正社員としての再雇用

※「2年以上」にわたって改善していることという要件から、えるぼし認定をうけるためには行動計画を策定・公表してから2年以上が経過しないと認定をうけることができない、といった誤解がよくあります。しかし、認定を受けるためには確かに行動計画の策定・公表は必要ですが、策定・公表した年から過去に遡って認定申請を行うことは可能です。もちろん、過去に遡って上記5つの項目のうち、例えば1つについては厚生労働省が定める基準をクリアし、かつクリアできていない項目については過去2年について実績が改善されていることが必要になります(1つ星えるぼし認定のケース)。

参考:女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」厚生労働省

対策を怠った場合の罰則

女性活躍推進法は、実施義務を怠っても罰則はありません。しかし厚生労働大臣が必要とする場合は、この法律の対象となる企業に対して報告を求め、助言や指導、勧告ができるとされています。また、取り組みをせず女性の活躍推進に関する情報を発信できないことは、そのこと事態が企業イメージを大きく損なうことになります。

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女性活躍推進法の内容と施行日を必ず確認しておこう

女性活躍推進法は女性が活躍できる場を充実させ、仕事と生活が両立できる体制づくりを企業に求めた法律です。企業が積極的に取り組むことで、優秀な人材の確保や職場の定着率、生産性の向上など、多岐にわたるメリットがあるといえるでしょう。2022年4月からは法改正により、101名以上の企業も法律の対象になります。これをきっかけに企業の体制づくりを整えましょう。

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よくある質問

女性活躍推進法とはなんですか?

女性活躍促進法は、女性が活躍できる場を充実させ、仕事と生活が両立できる体制づくりを企業に求めた法律です。2022年4月から常時雇用する労働者が101名以上の企業も法令の対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。

女性活躍推進法で企業がするべきことについて教えてください

自社の女性活躍の課題にそった行動計画を策定して、労働局へ届け出をします。また内容について企業内の周知や、外部に公表が必要です。同様に実績についても、情報の公表が義務づけられています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:横井 祐(社労士法人ワイエムピー代表社員・特定社会保険労務士・日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

中央大学法学部法律学科卒業。主として人事労務畑を歩み、大手自動車メーカー系商社、大手介護事業会社、広告代理店ベンチャーを経て2010年よりヨコイマネジメントパートナーズ(2021年5月社労士法人ワイエムピーとして法人化)起業。スタートアップ企業支援からIPO支援、リストラクチャリング等事業再編に伴うコンサルティング等に従事。厚生労働省「労働条件相談ホットライン」検討員会メンバー、厚生労働省委託事業である過重労働解消セミナー、大学生・高校生向け労働条件セミナー講師として主に東日本を中心に各県で講演。著書等「どうする職場の困ったさん」(中央経済社)「仕事を続けたい人の頑張りすぎない介護」(共著。日本実業出版社)「7人の士(サムライ)」(日経ヴェリタス執筆協力)「入れ墨が発覚した社員をクビにできるか」(プレジデント社)他。

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