• 作成日 : 2022年5月13日

副業禁止は法律的にOK?解禁されない理由や就業規則との関係についても解説!

副業禁止は法律的にOK?解禁されない理由や就業規則との関係についても解説!

経済が不安定な中、副業を検討されている方も多いかもしれません。しかし、副業OKの企業も増えている一方、就業規則で労働時間外の副業や兼業を制限する会社も多いのが現状です。公務員の副業は禁止されてますが、民間企業における制限は法律的に許されるものなのでしょうか。当記事では、副業を取り巻く現状についてお伝えします。

副業禁止に関する法律はある?

冒頭でお伝えした通り、日本国内では依然として副業を禁止している企業が多いのが現状です。これは厚生労働省が提示している「モデル就業規則」に副業禁止の規定があり、これを元に就業規則を作成した企業が多いためです。現在では、働き方の多様化を踏まえて副業を前向きに捉え、モデル就業規則においても「副業等を原則認める規定」に改められています。一方、従前のモデル就業規則に基づく就業規則を敷いている企業においては、いまだに副業禁止規定が残り続けています。民間企業の就業規則で謳われている副業・兼業禁止は、法的根拠はあるのでしょうか。公務員における副業事情をとあわせて、法的な側面から副業・兼業を取り巻く現状を見てみましょう。

参考:モデル就業規則について|厚生労働省

公務員の副業は法律で制限されている

公務員における副業は「国家公務員法」と「地方公務員法」によって制限されています。
国家公務員法第103条・104条ならびに地方公務員法第38条は以下の通りです。

  • 国家公務員法第103条(私企業からの隔離)
    【要旨】職員は、営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という)の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
  • 国家公務員法第104条(他の事業又は事務の関与制限)
    【要旨】職員が報酬を得て、営利企業以外の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
  • 地方公務員法第38条(営利企業への従事等の制限)
    【要旨】職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

参考:
国家公務員法|e-Gov法令検索
地方公務員法|e-Gov法令検索

国家公務員法第103条では、国家公務員の営利企業との兼業を制限しています。また、非営利企業との兼業については、任命権者の許可が必要です(第104条)。そして地方公務員については、地方公務員法第38条を根拠に兼業が制限されています。これは公務員は国民の「奉仕者」としての側面があり、これと営利追及企業との立場は相容れないためです。さらに、公務員の兼業を制限する根拠として、以下の3原則が公務員法に示されています。

  • 信用失墜行為の禁止
  • 守秘義務
  • 職務専念の義務

これらの法律により、公務員の兼業・副業は厳しく制限されているのです。

会社員の副業は法律的にはOK

公務員の副業が法律で制限されている一方、会社員の副業を制限する法律は存在するのでしょうか。実は、民間企業における従業員の副業・兼業を制限する法律は存在しません。終身雇用を前提とした雇用契約と、冒頭でご説明した「モデル就業規則」の副業禁止規定に則って、多くの企業が就業規則に副業禁止を謳ってきたに過ぎません。むしろ、就労形態の多様化に伴い、2018年に厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によって、モデル就業規則から副業禁止規定が削除され、副業・兼業を促進する動きが活発化しています。

参考:副業・兼業|厚生労働省

会社で副業が解禁されない理由は?

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の策定に伴い、2018年は「副業元年」と言われています。いくつかの大企業が「副業解禁」を宣言し、話題となりました。一方で、多くの企業においては依然として副業禁止が謳われています。副業が解禁されないのは何故なのでしょうか。ここからは、その理由について解説します。

  • 理由1:職務専念の観点で懸念がある
    副業を解禁することで従業員のワーク・ライフ・バランスが崩れ、本業に影響や支障が出る懸念があります。
  • 理由2:情報漏洩の懸念がある
    業務上知り得た機密情報が、従業員の副業を通して競合企業に漏洩してしまう懸念があります。
  • 理由3:労働時間の管理・把握が難しい
    副業先での労働時間は把握できないため、従業員のワーク・ライフ・バランスの管理が困難となります。

副業解禁のメリット・デメリット

近年注目度の高い「副業解禁」の動きは、一見メリットが多いように見えますが、いくつかのデメリットも存在します。この章では、副業のメリット・デメリットについてお伝えします。

副業解禁のメリット

まずは副業のメリットから見ていきましょう。副業を解禁することで所得が向上し、より豊かな人生設計が可能になります。また、スキルアップやモチベーションの向上にも繋がるため、本業にも良い影響が期待できます。さらに、終身雇用が崩壊し、経済状況が不安定な現代においては、収入源を複数用意しておくことはリスクマネジメントの面でも非常に重要です。

副業解禁のデメリット

次に副業のデメリットです。副業を行うことで余剰時間が少なくなるため、従業員のQoL低下が懸念されます。また、労働時間が増えることで、健康を害するリスクも高まるでしょう。労災が起きてしまった場合も、責任の所在がはっきりしない可能性があります。企業側から見ると、情報漏洩や人材流出のリスクを常に抱えることになるのです。

副業・兼業をする際の注意点

副業には所得の向上だけでなくスキルアップなど、様々なメリットがあります。実際にこれから副業を始めようと考えている方に向け、「就業規則」と「労働時間」に関する注意点をご紹介します。

就業規則を確認する

民間企業に属する従業員の副業は、就業規則で副業禁止規定が定められていなければ特段問題はありません。一方、就業規則で副業禁止が謳われている場合、違反すると減給や降格などのペナルティーを課せられることがあります。副業をされる際は必ず就業規則を確認するようにしましょう。

労働時間を正確に管理する

労働者の労働時間は「法定労働時間」として定められており、1日8時間、週40時間が上限です。これを超える場合は36協定を締結し、残業として割増賃金が支払われます。法定労働時間は労働基準法で「事業場を異にする場合においても通算する」と定められているため、複数の職場で働いている場合は労働時間を正確に把握・管理する必要があります。

副業禁止に違反すると懲戒処分になる?

職務規定に副業禁止が明示されている企業の従業員が、規則を破って副業した場合はどうなるのでしょうか。一般的に、就業規則の違反が発覚した場合は何らかの懲戒処分が課せられます。下記のようなペナルティーが考えられます。

  • 戒告・けん責
  • 減給
  • 出勤停止
  • 降格
  • 諭旨解雇、懲戒解雇

日本国憲法で「職業選択の自由」が認められているため、一方的に解雇になる可能性は低いものの、「競合他社へ情報を漏洩して甚大な損害を与えた」などの場合は、最悪「懲戒解雇」となる可能性もあります。

副業で確定申告が必要となるケースも!

副業で複数社から給与所得を得ている場合は、年度末に「確定申告」を行う必要があります。これは、給与から源泉徴収されている所得税の過不足を清算する「年末調整」が、1人1社でしか受けられないためです。確定申告の要否は、副業での所得が20万円を超えるかが基準となります。詳しくは下記の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

副業をする前に必ず就業規則を確認しましょう

今回は副業を取り巻く現状をご紹介しました。公務員の副業は法律で明確に制限されている一方、会社員の副業を制限する法的根拠はありません。しかし、従来のモデル就業規則の名残で、就業規則で副業禁止を定めている企業も多数存在します。副業禁止規定のある企業の従業員が副業を行った場合、何らかのペナルティーを課せられる可能性があります。これから副業をされる方は、必ず就業規則を確認するようにしましょう。

よくある質問

副業は法律で禁止されているんですか?

会社員の副業は法律で禁止されていません。ただ、就業規則で副業禁止を規定している企業もあるので確認しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

公務員の副業は禁止されているんですか?

公務員の副業については、公務員法で明確に制限されています。詳しくはこちらをご覧ください。

就業規則を破って副業するとクビになるんですか?

法的根拠に乏しいため一方的にクビになる可能性は低いですが、会社に甚大な損害などを与えた場合は懲戒解雇となる可能性もあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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