- 更新日 : 2023年10月13日
マインドセットとは?意味や種類、使い方を解説
マインドセットとは、これまでの経験や受けてきた教育、価値観、信念などで形作られる考え方のことです。成長型マインドセットと停滞型マインドセットがあり、成長型マインドセットに変えていくことがビジネスでの成功に役立ちます。
今回はマインドセットの意味やビジネス上の種類、活用事例などを解説します。
目次
マインドセットとは?
マインドセットとは、無意識の思考や行動パターン、固定観念などを意味する言葉です。これまでの経験や培った知識、先入観などさまざまな要素から形成され、その人の思考や行動の基礎を築いています。無意識に形成されるものであるため、自分のマインドセットを理解していない人も多いでしょう。
しかし、マインドセットがどのような状態にあるかによって、判断基準や物事の選択が大きく変わることはあります。人としての成長やビジネスでの成功も、マインドセットの状態に影響される場合があるでしょう。
マインドセットは先天的なものではなく、 努力や習慣によって変えることが可能です。ビジネスでは、社員へのマインドセット教育を重視している企業も少なくありません。
心理学におけるマインドセットの種類
心理学では、マインドセットを成型マインドセットと停滞型マインドセットの2種類に分類します。それぞれ、どのような特徴があるのかを解説します。
成長型マインドセット
成長型マインドセットは「人間の能力は経験や努力次第で成長させられる」という考え方です。物事をポジティブに捉え、自身の成長のために努力します。失敗も成長できる機会と考え、変化は良いことであると受け止めるなど、常に前向きの姿勢です。
積極的に挑戦したり努力したりする傾向にあり、ビジネスにおいては成長型マインドセットが望ましいとされています。
停滞型マインドセット
停滞型マインドセットとは「人間の能力は経験や努力によって向上できない」という考え方です。思考が固定・硬直してしまい、問題を解決できなくなるとそれ以上努力しようとしません。
変化を好まず、現状維持を望みます。失敗を恐れ、挑戦には消極的です。停滞型マインドセットは個人の成長を阻害する要因にもなり、ビジネスにおいては望ましくないと考えられています。
多くの人は成長型マインドセットと停滞型マインドセットの両方を持ちますが、状況により変わることはあり、自分で変えることも可能です。
ビジネスにおけるマインドセットの種類
ビジネスの場では、マインドセットは次の2種類に分けられます。
- 個々人・従業員のマインドセット
- 企業のマインドセット
それぞれ、詳しくみていきましょう。
個々人・従業員のマインドセット
個々人が体験した成功・失敗や価値観、環境などさまざまな要素から形成される考え方のことです。個々人・従業員のマインドセットにも、成長型・停滞型それぞれのマインドセットがあります。
ビジネスにおける個々人・従業員のマインドセットは先天的なものや過去から培ってきた思考に加え、仕事での成功体験や周囲からの評価などが影響します。
成功体験が多いほど自分の仕事に自信を持ち、成長型マインドセットが強くなる傾向にあるでしょう。
企業のマインドセット
ビジネスにおけるマインドセットは、企業や組織にもあります。経営理念や経営方針、経営戦略や歴史、商品・サービスの特性などから形成され、企業風土や組織文化、社風、企業ブランドとなって現れます。
市場や顧客が変化すれば、企業のマインドセットも変わる可能性はありますが、変化の少ない企業や組織のマインドセットは変化しにくい傾向にあるといえるでしょう。
ビジネスで使える「マインドセット教育」とは?
マインドセット教育はビジネスにおいて重要です。マインドセット教育とは、成長型マインドセットを獲得することを指します。
ビジネスにおいては、マインドセット次第で成長のスピードが変わります。成長型マインドセットの傾向が強い社員は新しい仕事にも積極的に取り組みますが、停滞型マインドセットの社員は失敗を恐れて消極的になりやすいでしょう。
マインドセット教育で成長マインドセットを獲得すれば「努力をすれば能力を伸ばせる」ことを理解できます。自分に自信が持てるようになり、目標に対して前向きに取り組んで成長速度を早めるでしょう。
マインドセットの活用事例・具体例
ビジネスでは、マインドセットを活用する場面がいくつかあります。ここでは、以下の3つの場面について具体例を紹介します。
人材の採用
採用面接の場面で、マインドセットを活用できます。これまでの体験や挑戦したことなどを質問項目にして、どのようなマインドセットであるかを確認できます。
成功体験があり、チャレンジしてきたことを話せる採用候補者は、成功マインドセットを身につけているといえるでしょう。採用候補者が成長マインドセットを持つ人材であるか確認することで、入社後に活躍できる人材の獲得が期待できます。
目標設定
目標設定を成長マインドセットの思考で行うと、前向きになり目標達成のモチベーションも高まります。そのため目標設定の際は、目標達成にマイナスの影響を与える停滞マインドセットを可視化することが効果的です。
目標達成について考える際に、浮かんだことをすべて書き出してみましょう。書き出した内容で、目標達成を妨げる停滞マインドセットの要素が見えてきます。
停滞マインドセットを把握できれば、それらを排除し、より前向きな成長マインドセットに基づく目標設定ができるでしょう。
コーチング
成長マインドセットは、コーチングによって身につけられます。コーチングとは、相手の目標達成を支援し、より理想的な状態へ導くものです。コーチが相手の内面にアプローチして答えを引き出しながらコミュニケーションを行い、成長型マインドセットを形成します。
コーチングでは、誰もが成長型マインドセットと停滞型マインドセットを持っているという前提に立ち、成長マインドセットへと変えていくというスタンスで取り組むことが大切です。
マインドセットを変更するための方法
停滞型マインドセットを成長型マインドセットに変えていくためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、マインドセットを変更するための方法を解説します。
いま自分が持っているマインドセットを把握する
まず、現状で自分がどのようなマインドセットであるかを把握します。多くの人が成長型マインドセットと停滞型マインドセットの両方を持っていますが、特に苦手な分野では停滞型マインドセットが働いていることは多いでしょう。
ビジネスの場面であれば、どの業務で前向きに取り組めるか、人任せにしがちな業務はあるかなどをチェックし、自分のマインドセットを確認してください。
環境や関係している人物を変える
自分のマインドセットを把握し、どのように変えていくべきかを理解したら、思考パターンや行動を変えていきます。マインドセットはさまざまなものから影響を受けており、環境や関係する人物から受ける影響も小さくありません。
停滞型マインドセットが大きいと感じる場合、周囲は同じような停滞型マインドセットにある環境や人である可能性があります。成長型マインドセットに変えられるような環境を考え、関わる人物を変えてみることも必要です。
いままで触れたことがないものに触れる
これまでの習慣を変え、新しい価値観などこれまで触れたことがないものに触れることも、マインドセットを変えるのに効果的です。
その際は、頭の中でイメージするのではなく、行動することが大切です。マインドセットを変えるためには実体験が必要であり、まずは行動に移してみましょう。行動を変えるだけでも、マインドセットは少しずつ変化していきます。
行動をすぐにする習慣をつける
マインドセットは、ちょっとした気づきや周囲の人・物事からの刺激などで変わることが多いものです。気づきがあればすぐに行動する習慣を身につければ、成長マインドセットへの変更も早まるでしょう。
すぐに行動することは、どのような場面でも役立ちます。トラブルが起きたときでも素早く行動することで、問題の早期解決を図れることが多いでしょう。それと同じく、マインドセットの変化も素早い行動の習慣化により、早い実現が可能です。
可視化を行う
人の五感の中でも、特に多くの情報を得られるのが視覚です。そのため、目標を視覚化することで早い実現につながります。手帳などに目標を書いて毎日見るようにすれば、成長型マインドセットへの変化を促進できるでしょう。
言葉をポジティブにすることも大切です。「失敗したらどうしよう」「迷惑をかけて申し訳ない」というネガティブな言葉ではなく、「やればできる」「協力してくれてありがとう」といったポジティブな言葉を使いましょう。潜在意識に働きかけ、成長マインドセットへの変更を促します。
マインドセットを定着させる上での注意点
成長マインドセットを定着させるためには、いくつか注意したい点があります。次の3点です。
- 短期的な結果を求めない
- 目標は小さく、細分化する
- ミッションやビジョンを明確化する
詳しい内容をみていきましょう。
短期的な結果を求めない
長い年月をかけて無意識に形成されたマインドセットは、短期間で変わるものではありません。また、停滞型のマインドセットの傾向が強い人は挫折を感じやすいことも把握しておきましょう。
成長マインドセットへの変更・定着は時間がかかることを理解し、途中で挫折を感じた場合には停滞型マインドセットが働いていることを認識してください。
その上で、時間をかけて成長マインドセットを身につけることが大切です。
目標は小さく、細分化する
成長型マインドセットを身につけるには、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。その際、初めから大きい目標を立てると達成が難しく、挫折しやすくなります。
まずは達成しやすい小さな目標を作り、細分化して、一つひとつクリアしていきましょう。小さな成功を積み重ねるうちに、少しずつマインドセットが変わります。
ミッションやビジョンを明確化する
小さな目標でもすべて成功するとは限りません。そのため、長期的なミッション・ビジョンを明確にしておくことも大切です。常にそれらを意識することで、長期的な取り組みができます。
すべての目標が成功できなくても、最終的なミッション・ビジョンが達成できれば問題ありません。失敗もプラスに考えるマインドセットを持ち、目標を達成しましょう。
成長型マインドセットをビジネスに役立てよう
マインドセットは、これまでの人生経験や教育、個人の価値観などさまざまな要素で形成される考え方です。成長型と停滞型があり、どちらの傾向が強いかで個人の成長やビジネスでの成功に影響を与えます。
成長型マインドセットを身につけるには、小さな成功体験を積み重ねながらも、長期的視点でミッション・ビジョンを明確にすることが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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