• 更新日 : 2023年12月8日

ラポールとは?なぜビジネスで重要か?意味から活用法・コツを解説

ラポールとは?なぜビジネスで重要か?意味から活用法・コツを解説

「ラポール」という言葉をご存知でしょうか。もともとはカウンセリング時の相手との信頼関係を意味する心理学用語ですが、最近ではビジネスにおいてラポールが重要視されています。この記事では、ラポールの概要やビジネスにおけるラポールの重要性、5つのテクニック、形成時の注意点について紹介します。

ラポールとは?

まずは、ラポールがどのようなものかを詳しく見ていきましょう。

ラポールの意味

ラポール(Rapport)とは、話し手と聴き手の間に築かれる信頼関係のことです。「橋を架ける」という意味のフランス語が語源で、お互いの心に橋が架かっているように信頼し合っている状態を表します。

もともとは、カウンセリング時のカウンセラーと患者の関係を示す心理学用語でした。現在では、カウンセリングにとどまらず、ビジネスや日常生活における人間関係を構築するために用いられるようになっています。

参考:2 信頼関係(ラポール)構築のスキル|厚生労働省

ラポールの使い方

ラポールが形成されるとコミュニケーションがスムーズになるとされています。クライアントに営業や交渉を行う際、相手はこちらのことを警戒していることがほとんどです。警戒心を緩和できなければ、十分な会話ができずクライアントのニーズや課題、譲歩できる条件を聞き出せません。ここで使いたいのがラポールの構築です。信頼関係を築くことで相手の警戒心が緩和され、こちらの提案に耳を傾けたり、本心を話したりしてくれやすくなります。

身近なラポールの例

ラポールを実践している企業の例を見てみましょう。

  • ヤフー株式会社:1on1ミーティングの実施
    ラポール形成を目的として、上司と部下とで1対1で定期的にミーティングを行っています。上司は否定的な言葉は使わず傾聴し、部下が自主的に業務を内省できるようにしていることが特徴です。
  • 株式会社メルカリ:ピアボーナス制度「メルチップ」の導入
    メルカリでは、「ありがとう」の気持ちを「メルチップ」に込めて贈り合う制度が導入されています。感謝の気持ちを伝える習慣が定着することで、相手との共感性が生まれ、ラポール形成につながっているのです。

なぜビジネスでラポール形成が重要なのか

ここでは、ラポール形成がビジネスにおいて重要な役割を持つ理由について解説します。

信頼感を得られる

ラポールが形成されていることによって安心感や信頼感が得られ、円滑なコミュニケーションを図れます。信頼関係が生まれることで不要な駆け引きがなくなり、生産的な会話ができる点も強みです。

説得力が増す

人は信頼している人の話を積極的に聞こうとします。信頼感が高いことでその人の話の説得力も増す傾向があるため、提案や助言をより受け入れてもらいやすくなるのです。

成果につながる

取引先と信頼関係が築けている場合、商品のリピートやサービスの継続が期待できます。その結果として、成約率や売上のアップにつながるでしょう。

上手にラポールを築くコツー良い人間関係のために

ここでは、上手にラポールを築くための基本的なコツを3つ紹介します。

相手が言いたいこと(主訴)を理解し、より良い関係構築に努めましょう。

相手の価値観を理解する

まずは相手の価値観を知りましょう。相手の価値観を知り、尊重することで親近感が生まれます。相手の価値観を最初から話してもらうのは難しいため、会話を重ねながら徐々に仕事や家庭、人間関係、お金など相手が大切にしている価値観を聞き出していくことがポイントです。

相手への肯定を示す

相手の感情に寄り添って話を聞くことで相手は「自分は尊重されている」「肯定されている」と感じます。「相手が感じたこと」を肯定・尊重することがポイントなので、必ずしも相手の意見に同調する必要はありません。

相手に対して尊敬の気持ちを持つ

ラポール形成のためには、あなた自身が「相手と信頼関係を築きたい」という気持ちを持つことが大切です。たとえ部下や年下の取引先であっても相手に対して尊敬の気持ちを持ちましょう。相手の年齢や立場に関係なく誠実に向き合うようにしてください。

ラポール形成のための5つの手法、テクニック

ここまで、ラポールの概要や重要性をお伝えしました。いよいよ実践です。ここでは、ラポール形成を成功させるための5つのテクニックを紹介します。

ペーシング

ペーシングはラポール形成のための最初のステップです。後述するミラーリングやマッチング、バックトラッキングの総称でもあります。ペーシングは、相手の言語や非言語に合わせていくスキルです。

人は自分と共通点のある人に親近感を持つ傾向があり、これを「類似性の法則」と言います。この法則を活用し、相手の言葉や仕草を模倣したり、声量や話すテンポを合わせたりすることで共通点を自ら作るのです。

そうすることで、相手はあなたに親近感を持ち、無意識のうちに本音を話している状態が生まれます。結果として、信頼関係の構築、すなわちラポール形成が成功したことになるでしょう。

キャリブレーション

キャリブレーションは「調整する」という意味の言葉ですが、心理学においては相手の非言語的情報から心理状態を認識するスキルを指します。すなわち、相手を観察して心的状態を読み取ることです。

例えば、「大丈夫ですか?」という問いに相手が「大丈夫だ」と返事をした際に「本当は大丈夫ではないのではないか」と感じたことがあるのではないでしょうか。これは、相手の言語と非言語の情報が一致していない状態です。

観察すべきポイントは、相手の表情や姿勢、仕草、呼吸の速度、声のトーン・テンポなどです。相手の話を聞くだけでなく非言語的情報を観察するからこそ、効果的なペーシングができ、効果的なラポール形成につながることを認識しておきましょう。

ミラーリング

ミラーリングは、言葉のとおり、相手の姿勢や仕草などの視覚情報を鏡のように模倣する手法です。例えば、頭を向けている向きや傾き加減を合わせ、口角や目の開き具合など表情を合わせます。そのほか、背筋の伸び具合や手を置いている場所もミラーリングの対象です。

足は閉じているか、組んでいるならどちらの足が上か、呼吸は深いか・浅いかなども合わせられると良いでしょう。相手よりやや遅らせて不自然にならないように行うことがミラーリングのポイントです。

マッチング

マッチングは、声のトーンや話す速度、声色、声量などの聴覚情報に基づき、相手に話し方を合わせる手法です。そのほか、「穏やかそう」「ハキハキしている」など相手の雰囲気やエネルギーもマッチングの対象となります。

相手の声量が大きすぎたり、話す速度が速すぎたりすることで、嫌悪感を抱いたことはないでしょうか。このように、相手の話し方とかけ離れた話し方をしてしまうと嫌悪感や違和感が生じ、話を聞く気持ちがなくなってしまいます。

一方で、一度相手の話を聞いてさまざまな聴覚情報を得てから、相手に合わせた話し方をすると、あなたに親近感が湧いて話を聞いてくれやすくなります。

バックトラッキング

相手が発した言葉を繰り返して会話を進める手法です。相手が使った言葉をそのまま使うことがポイントとなります。例えば「ビジネスは挑戦し続けることが重要だよね」と相手が言ったら、「そうですよね。ビジネスは挑戦し続けることが重要ですよね」というように返します。

ここで相手の言葉に対して、「ビジネスはチャレンジし続けることが不可欠ですよね」と返すと、微妙に合わない気持ちになるのです。内容自体には問題がないのですが、「挑戦」を「チャレンジ」と言い換えて返されることで、訂正されたような気持ちになります。相手は違和感を抱えながら会話を続けるか、そこで会話をやめてしまう可能性もあるでしょう。

相手の発した言葉をオウム返しで自然に会話に織り交ぜることによって、相手は「話をちゃんと聞いてくれている」「理解してくれている」と感じます。相手の発する言葉に集中し、あえて別の言葉に言い換えたり、自分なりの解釈をして間違った要約をしたりしないように気を付けることが大切です。

ただ一方で、相手の主訴を理解しないまま、単にオウム返しを繰り返すだけでは不信感を生んでしまうケースもあります。相手の主訴を正確に理解し、相手の言いたいことを言い換えることでさらなる共感を生み、強いラポールが形成されることもあります。あくまでコミュニケーションは他者とのキャッチボールのため、相手の様子などを確認しながら対話を深めましょう。

ラポール形成の注意点

ラポール形成を意識するあまり、かえって相手に不信感を与えてしまう場合もあります。ここで紹介する3つの注意点を意識してラポール形成を実践しましょう。

注意点①相手を否定しない

信頼関係を築こうと会話を重ねていくうちに、自分とは価値観が合わないと感じる点も出てくるかもしれません。そのときは、穏やかに相づちを打つだけにして、相手を否定しないようにしましょう。また、あなたの態度や表情によって相手が「否定された」と感じることがあるため、否定的な気持ちを感じても表に出さないように注意してください。

注意点②不自然にならないようにする

相手の仕草を模倣するミラーリングや、相手の言葉を繰り返すバックトラッキングは、あからさまに行ってしまうと不自然になり、相手に不信感や嫌悪感を与えてしまいます。違和感のないように自然に相手に合わせるようにしましょう。

注意点③本題に入るのを急がない

営業や交渉のときはすぐに本題に入りたいと急いでしまうことも少なくありません。しかし、ラポール形成においては、まずは相手の興味がある話題で会話を弾ませ、親近感や安心感を持ってもらってから本題に入ることが望ましいとされています。本題はいったん置いておいて、相手に心を開いてもらえるような雰囲気を作りましょう。

相手のタイプに合わせてラポールを築く方法もある

人は情報処理をする際に3つのタイプに分かれます。相手のタイプに合わせてアプローチするという方法も効果的です。ここでは、3つのタイプについて見ていきましょう。

視覚タイプ

目から情報を取り入れるタイプで、視線が上方に動く傾向があります。具体的な特徴は、比較的早口で話す、ジェスチャーが多い、前のめりになって話す、呼吸が浅いなどです。会話や説明をするときは絵や図を活用すると良いでしょう。

聴覚タイプ

音で情報を処理するタイプで、視線は左右に動く傾向があります。具体的な特徴は、論理的に話す、声の調子や言葉に反応しやすい、腕組みをする、などです。コミュニケーションをとる時は論理的に話を進めるようにしましょう。

身体感覚タイプ

触感や香りなどから情報を取り入れるタイプで、視線は下方に動く傾向があります。特徴は、動作や話す速度がスローペース、深い腹式呼吸をする、人の近くに居ようとする、などです。このタイプは、早口が苦手で会話に居心地の良さを求めるため、ゆっくりとコミュニケーションをとるようにします。

ラポールをビジネスに活用しよう

ここまで、ラポールの基礎知識やビジネスにおける重要性について解説しました。効果的な営業や交渉はもちろん、会社の中での人間関係を良好にするためにもラポールは不可欠です。相手の話し方や仕草をよく観察し、自然に合わせることで相手は親近感や安心感を抱くでしょう。ぜひ、ビジネスにもラポールを取り入れて、仕事仲間やクライアントと良好な関係づくりを

ラポールの論文を含め、ラポールについてより詳しい方はこちらの記事もご参考ください。

【HR Journey】ラポールとは?意味やビジネスのメリット、信頼関係を築く5つのテクニック


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