• 作成日 : 2022年9月2日

個人番号関係事務とは?利用事務との違いを解説

個人番号関係事務とは?利用事務との違いを解説

個人番号関係事務と聞いても、何のことだかわからないというのが一般的な反応ではないでしょうか。また、類似する用語として個人番号利用事務というものもあります。個人番号とは、マイナンバーのことですが、これらの事務はマイナンバーを扱う立場にいる方は十分に理解しておく必要があるでしょう。今回は、個人番号関係事務について、定義のほか、個人番号利用事務との違いについて解説していきます。

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個人番号関係事務とは?

2015年10月、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が施行されました。

マイナンバーとは個人番号のことであり、同年以降、市町村から住民票を有するすべての人に個人が特定されないように住所地や生年月日などと関係のない12桁の番号が通知されています。

政府がマイナンバーカードの普及を推進していることもあり、一般的には個人番号という呼称よりも、マイナンバーのほうが馴染みがあると思います。

日本は個人情報については、EU諸国などに比べて十分なレベルの保護がなされていない後進国だったこともあり、当初、2013年5月に番号法として公布されたものが、施行前の2015年9月に改正されて利用の開始が2016年1月からになるなど、この法律の施行に至るには紆余曲折があります。

また国民一人ひとりに振られた番号としては、マイナンバー導入の前に住基ネットで活用されている住民票コードがあります。

しかし、もっぱら行政機関等に対する本人確認情報の提供と市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理が目的とされていたため、個人情報の保護が十分でなく、プライバシー権の侵害として訴訟が相次いで起こったという経緯がありました。

マイナンバーの用途は、住基ネットのような行政の効率化、国民の利便性の向上だけでなく、公平・公正な社会の実現を目指すために個人の所得を把握することにまで広げています。

そこで、住基ネットでの住民票コードを元にしながら、マイナンバーという新たな番号を生成し、個人情報の保護をより厳格にしました。マイナンバーを扱う立場の人についても、「関係事務」と「利用事務」に明確に分けています。

個人番号利用事務との違い

マイナンバー法において「個人番号関係事務」とは、事業者が法令に基づき、個人番号利用事務に関して行われる他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務をいいます(法2条11項)

具体的には、事業者が従業員等のマイナンバーを給与所得源泉徴収票支払調書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の書類に記載して、行政機関等および健康保険組合等に提出する事務のことを指します。

個人番号関係事務を処理する者を個人番号関係事務実施者(法2条13項)といいますが、従業員を雇用するすべての事業者が該当することになります。

事業者は、原則として、これらの事務の範囲の中から具体的な利用目的を特定しなければマイナンバーを利用することはできません。

本人の同意があっても、次の例外として認められる場合以外はマイナンバーを利用してはならないとされています。

    【例外として認められるケース】

  • 金融機関が激甚災害時等に金銭の支払いを行う場合、
    および人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意があり、または本人の同意を得ることが困難である場合

また、事業者だけでなく、給与所得者である従業員が扶養親族のマイナンバーを扶養控除等申告書に記載し、勤務先の事業主に提出することも個人番号関係事務に該当します。

一方の「個人番号利用事務」は、行政機関、地方公共団体、独立行政法人等その他の行政事務を処理する者が、その保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、および管理するために必要な限度でマイナンバーを利用して処理する事務としています(法2条10項)

例えば、国税の分野では、国税局や税務署等において国税の賦課または徴収に関する事務が該当します。これらの事務を処理する者を個人番号利用事務実施者といいます(法2条12項)。

マイナンバー法では、上記の個人番号関係事務実施者と個人番号利用事務実施者を併せて「個人番号利用事務等実施者」としています。

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個人番号関係事務と利用事務の違いを知っておこう!

マイナンバー法は、マイナンバーの用途を個人の所得の把握にまで広げており、情報の漏えいには厳格なルールを定めています。

事業者と行政機関について、マイナンバーに係る事務の名称を切り分けて規定しており、個人番号関係事務と利用事務の違いをよく把握しておくことが大切です。

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よくある質問

個人番号関係事務とは何ですか?

事業者が、法令に基づき、個人番号利用事務に関して行われる他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

個人番号関係事務と利用事務の違いについて教えてください。

個人番号関係事務が事業者の事務であるのに対し、利用事務は行政機関が処理する事務を指します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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