• 更新日 : 2024年2月9日

依願退職とは?クビとの違いや不祥事・退職金の取り扱いなどを解説!

依願退職とは、従業員から会社に申し出をして、双方の合意により成立する退職のことです。解雇(クビ)といった会社都合退職とは、従業員の意思による退職かどうかという点が異なります。

本記事では依願退職の意味や会社都合退職との違い、メリット・デメリットなどを解説します。退職金やボーナスの扱いも紹介しますので、参考にしてください。

依願退職とは?

依願退職は、従業員が会社に願い出て、双方の合意により退職することです。転職や結婚など、自己都合による退職は依願退職になります。

依願退職の方法に決まりはなく、従業員が「退職願」を提出したのち、手続きを進めます。

依願退職の理由はさまざまですが、自分から退職の意思表示をした場合でも、退職に至った原因が企業にあるなど、状況によっては会社都合による退職となることがあるでしょう。

解雇(クビ)など会社都合退職との違いは?

社員が退職の意思表示をする依願退職に対し、会社側から退職を促すのが会社都合退職です。会社都合退職は、社員に退職の意思がなくとも、退職するように要求されます。

会社都合退職の理由はさまざまで、経営難や事業縮小に伴う人員整理、事務所の移転で通勤できなくなった場合などがあげられます。

解雇(クビ)も会社都合退職の一種です。解雇とは従業員の同意なく、会社側からの一方的な通知により雇用契約を終了させることで、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の3種類があります。解雇は原則として会社都合退職ですが、例外的に従業員の責めに帰すべき重大な理由により解雇された場合、自己都合退職になることもあります。

依願退職のメリットは?

依願退職は、企業・従業員それぞれにメリットがあります。

詳しくみていきましょう。

企業側のメリット

雇用安定のための助成金を申請している場合、依願退職であれば助成金支給の欠格自由にあたらない点がメリットです。

雇用に関わる助成金は労働者の雇用を安定させることを目的としており、会社都合による退職はその目的に反する可能性があります。助成金によっては、会社都合退職を行っていないことを支給の条件にしていることもあり、依願退職であればこの条件に触れることもありません。

従業員のメリット

従業員にとって依願退職は、どのような理由の退職であっても現在より良い職場環境へ行ける点がメリットです。

従業員が自らのキャリアやプライベートをより充実させるための選択であり、自分の目的を叶え、次の行動に移るためのステップとなります。転職する際も退職の理由を一身上の都合にできるため、不都合はありません。

依願退職のデメリットは?

依願退職にはデメリットな点もあります。ここでは、企業・従業員それぞれについてのデメリットを解説します。

企業側のデメリット

会社都合退職になることを避けるために退職勧奨を行い、依願退職へ誘導することで、トラブルの原因になることがあります。

退職勧奨による退職は原則として会社都合退職になりますが、これを無理に依願退職にしようとすると、強要とみなされることもあります。不法行為として訴訟を起こされ、損害賠償を請求されることにもなりかねません。

従業員のデメリット

依願退職の場合は転職の際に理由を深く追及されることはありませんが、転職の数が多かったり前職の在籍期間が短かすぎたりする場合、理由を聞かれる可能性があります。企業側から「入社してもまたすぐに辞めてしまうのでは」と思われ、転職活動が不利になることもあるでしょう。

また、失業手当を受け取る場合、依願退職は「自己都合による退職」となるため、会社都合の退職より受給額や支給開始日などで条件が不利になる点がデメリットです。

依願退職の場合の退職金やボーナスは?

依願退職の場合、退職金やボーナスの扱いは会社の規定に基づきます。失業手当は、会社都合の場合と支給条件が異なります。また、依願退職でも退職日までの間に有給休暇の取得が可能です。

それぞれの内容をみていきましょう。

退職金

退職金の支給は法律で義務付けられておらず、退職金制度を設けている会社の場合、依願退職する従業員の退職金は就業規則の定めに従います。

自己都合退職と会社都合退職、定年退職では金額が変わる規定を設けている会社は多く、一般的に依願退職は最も低い金額に設定されています。また、勤続年数によっては減額もしくは不支給となる場合もあるでしょう。

ボーナス

ボーナスの支給も法律の定めはなく、就業規則に従います。規則に「支給日在籍要件」が定められている場合、算出期間に在籍していても、支給日前に退職していればボーナスは支給されません。

ただし、支給日に在籍していても、受け取れるボーナスが減給される可能性があります。ボーナスは過去の労働への対価と業績の分配を目的に支給されますが、今後への期待も含まれています。

そのため、退職することが決まっていれば、今後の貢献は期待できず、その分が減給されることになるでしょう。

失業手当

依願退職でも失業手当を受給できます。しかし、自己都合による退職になるため、2ヶ月または3ヶ月の「給付制限期間」が設けられており、この期間内は失業手当が支給されません。

また、自己都合退職は会社都合退職と比べて受給金額が少なく、受け取る期間も短くなります。

ただし、依願退職でも事情によっては「特定理由離職者」として給付制限が解除される場合があります。事情として家庭状況の急な変化や医師の判断による場合などがあげられ、「特定理由離職者」として実際に認められるかどうかは確認が必要です。従業員からハローワークで問い合わせてもらいましょう。

会社側は従業員が失業手当をスムーズに受け取れるよう、離職票の交付を受けるための「離職証明書」や「雇用保険被保険者資格喪失届」を速やかに作成・提出しなければなりません。依願退職の場合、離職証明書の離職理由は「労働者の個人的な事情による退職」となります。

有給休暇

有給休暇は労働者に与えられた権利であり、会社には従業員に一定の有給休暇を取得させる義務があります。依願退職でも、退職日までの間に有給休暇を取得させなければなりません。

従業員によっては辞める前に休むことを躊躇することもあるでしょう。取得を諦めてしまわないよう、残っている有給休暇があれば、会社側から取得を提案することも必要です。

依願退職の流れは?

従業員から依願退職の申し出を受けたら、会社は社内規定に沿って手続きを行います。ここでは、依願退職の流れをみていきましょう。

従業員と相談して退職日を決める

従業員から依願退職の申し出を受けたら、退職日を決めます。法律では依願退職を申し出た日から14日後に退職できると定められており、最短では14日後の退職日を設定できます。

上司と相談してもらい、給与の締め日や有給休暇の残日数、引継ぎの時間などを考慮して、スムーズな退社ができるようスケジュールを組みましょう。

退職願を受け取る

退職日を決めたら、従業員から退職願を受け取ります。退職する際に届ける書類には退職願と退職届がありますが、退職届は退職の意思を一方的に伝える書類であり、会社の了承を得て成立する依願退職の場合は、退職を願い出て会社の了承をとる退職願を提出するのが一般的です。

就業規則に退職願の提出期限が定められている場合は、期限内に提出するよう促しましょう。

退職願を受理したら退職日や退職理由に目を通し、従業員と会社の認識に相違がないことを確認してください。

業務の引継ぎを要請する

退職によって業務に支障が出ないよう、退職する従業員に業務の引継ぎの要請をすることも大切です。営業やサービス業などでは顧客と懇意にしているケースも多く、取引先との付き合いが長い場合もあるでしょう。在籍中に顧客や取引先に挨拶できる時間を用意することも大切です。

退職によって業務が滞らないよう、複数人が引き継ぐなど、業務を漏れなく移行できるように進めていきましょう。

書類を作成し返却物を回収する

雇用保険被保険者証や源泉徴収票など、退職する従業員に渡す書類を作成します。転職先が決まっている場合は、退職証明書の作成を依頼されるかもしれません。

退職日には、健康保険証やPC・文具・制服などの貸与品を回収します。社員証など社員であることを証明するものや、通勤定期券など社費で購入したものも回収が必要です。

企業側は依願退職を拒否できる?

従業員が依願退職を申し出た場合、無期雇用の場合は原則として拒否できません。当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申し入れができることが法律で規定されているためです。

有期雇用の場合は、やむを得ない理由がない限り雇用契約期間中の依願退職はできません。そのため、会社側は依願退職を拒否できます。ただし、雇用契約が1年を超える場合で、契約期間の初日から1年が経過した日以後に申し出たときは、退職することが可能です。

不祥事を起こした従業員が依願退職になるケースは?

不祥事を起こした従業員が、依願退職するケースもあります。不祥事を起こすと、その程度によって「戒告」「譴責(けんせき)」「減給」「出勤停止」「降格」といった懲戒処分が行われる場合があります。程度が重く懲戒解雇になる場合もありますが、そうでない限り、従業員から退職を申し出る必要はありません。

しかし、不祥事を起こして懲戒処分を受けた従業員は、職場に居づらくなることもあるでしょう。そのため、依願退職を考えることもあります。会社側も従業員に対する評価が下がり、退職に合意する傾向にあるでしょう。

依願退職の注意点は?

依願退職の場面では、試用期間中の退職や諭旨退職の場合など、いくつか注意したい点があります。

ここでは、依願退職の注意点について解説します。

試用期間の取り扱い

試用期間中でも会社は従業員と雇用契約を結んでおり、ルールに沿って退職の手順を踏まなければなりません。依願退職の場合も、一般の従業員と同じように取り扱います。

試用期間中の従業員から「本日付けで退職したい」という申し出があった場合は、会社の就業規則に則り、退職日から何日前に申し出なければならないかを説明し、手続きを踏むように伝えましょう。

諭旨退職の場合

会社側から退職を勧奨する場合、原則として会社都合の退職となります。しかし、諭旨退職の場合は依願退職という扱いでも問題ありません。

諭旨退職とは労働者が懲戒解雇に相当するような不祥事を行った場合に、いきなり懲戒解雇をするのではなく、従業員が自ら退職するよう勧告し、自発的に退職を促す懲戒処分です。

懲戒解雇ではなく自己都合退職として扱われるため、退職金は支給されます。転職で不利になることもありません。

依願退職の取り扱いを理解しよう

依願退職は、従業員が申し出た退職の意思表示に会社が合意して成立するものです。基本的に会社側は依願退職を拒むことはできず、申し出を受けたら退職日を決め、退職願を受け取って手続きを進めます。退職する従業員の退職金やボーナスは、就業規則に沿って決定します。

従業員から依願退職の申し出を受けた際は正しく対応できるよう、依願退職の取り扱いについて理解しておいてください。


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