• 更新日 : 2024年8月21日

失業給付金の条件は?金額や期間、回数、再就職手当を解説

失業給付金の受給条件は、雇用保険加入、失業状態、被保険者期間が12ヶ月以上の3点です。受給額や期間は退職理由で異なり、再就職手当もあります。受給中のアルバイトは申告必須で、年齢や再就職によって受給条件が変わることに注意が必要です。本記事では、金額や期間、回数、再就職手当など、失業給付金の条件について解説します。

目次

失業給付金(基本手当)がもらえる条件とは?

失業給付金は、具体的にどのような状態であればもらえるのでしょうか。ここでは、失業給付金がもらえる条件と、失業手当との違いについて解説します。

失業給付金がもらえる3つの条件

失業給付金を受給するための条件は、以下の3つです。

  • 雇用保険に加入していること
  • 失業状態にあること
  • 被保険者期間が一定以上あること

それぞれの内容を確認しておきましょう。

雇用保険に加入していること

失業給付金の受給資格を得るためには、雇用保険(失業保険)に加入していることが必要です。雇用保険は、労働者が失業した際や出産・育児・介護などで継続して働けなくなった際に備える公的な保険制度です。雇用保険に加入している方が対象となります。

失業状態にあること

失業給付金を受けるためには、ハローワークで求職の申し込みを行い、失業状態にある必要があります。失業状態とは「就職する意欲があり、いつでも働ける能力があるにもかかわらず、自身やハローワークの努力によっても仕事に就けない状況」を指します。ハローワークでの登録が必要です。

被保険者期間が一定以上あること

失業給付金を受けるためには、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが条件です。被保険者期間は、雇用保険に加入していた期間を指します。ただし、特定の条件に該当する場合は離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば受給できることもあります。被保険者期間の確認が必要です。

失業給付金と失業手当との違い

失業手当は、正式には「雇用保険の失業等給付」と呼ばれ、失業状態で一定の要件を満たす場合に支給されます。雇用保険(失業保険)とは公的保険制度で、会社に勤務している間に給与から天引きされます。失業者に対し、次の仕事が見つかるまでの間、一定の給付金を支給する制度です。手続きは居住地のハローワークで行います。

一方、失業給付金は失業保険の基本手当とも呼ばれ、失業後の生活や求職活動の支援のために支払われる給付です。離職前6ヶ月の賃金日額のうち45%~80%相当の金額が支給されます。

つまり、失業保険は制度名であり、失業給付金はその具体的な給付金のことです。

失業給付金(失業手当)がもらえない条件

失業給付金がもらえないおもなケースは、以下のとおりです。

  • 働く意思や能力がない場合
  • 雇用保険の加入期間が所定未満の場合
  • ハローワークで失業認定を受けていない場合
  • 副業を行っている場合
  • 年金をもらっている場合
  • 傷病手当金をもらっている場合
  • 自営業に転身している場合
  • 年齢が65歳以上の場合

それぞれの内容を解説します。

働く意思や能力がない場合

失業手当を受けるためには、次の仕事を探している意欲があり、かつすぐにでも職に就ける状態であることが条件です。ハローワークでの登録や求職活動を積極的に行い、再就職に向けて努力することが求められます。そのため、働く意思や能力がない場合は、失業給付金を受給できません。

雇用保険の加入期間が所定未満の場合

雇用保険の加入期間が所定未満だった場合、失業手当を受けられません。通常、離職日以前の2年間で被保険者期間が12ヶ月以上あることが条件です。加入期間を確認し、条件を満たしているかを確認しましょう。

ハローワークで失業認定を受けていない場合

失業手当を受けるためには、ハローワークで失業認定を受ける必要があります。失業認定を受けていない場合は、失業状態であるとみなされないため、失業手当を受給できません。ハローワークを訪れ、失業認定を受ける手続きを進めましょう。

副業を行っている場合

本業は失業中でも、副業を続けている場合は失業手当を受給できません。ただし、雇用保険の加入条件である「1週間の所定労働時間が20時間以上」「同一の事業主に31日以上雇用される見込みがある」を満たさない場合は例外です。副業の有無を確認し、適切な手続きを行いましょう。

年金をもらっている場合

年金を受給している場合、失業手当をもらえないことがあります。失業手当と特別支給の老齢厚生年金は、同時に受け取れないことが、その理由です。失業手当を受給している期間中、老齢厚生年金や退職共済年金の支給が全額ストップします。年金の受給状況を確認し、適切な手続きを行わなくてはなりません。

傷病手当金をもらっている場合

傷病手当金(疾病手当)をもらっている場合も、失業手当を受けられません。傷病手当金とは、健康保険に加入している被保険者が、病気やけがで働けなくなった際に支給される給付金です。健康状態に応じて、適切な手続きを行う必要があります。

自営業に転身している場合

自営業に転身した場合、失業手当をもらえないことがあります。失業に該当しないことが理由です。ただし、起業の準備中であれば、失業手当をもらえる可能性があるでしょう。自営業を始めた場合は、失業手当の受給資格がなくなることを覚えておかなくてはなりません。

年齢が65歳以上の場合

雇用保険を受給できない理由の1つとして、65歳を超えていることが挙げられます。65歳以上の場合、失業給付金は受け取れず、高年齢求職者給付金に変更されるためです。

高年齢求職者給付金の特徴は、以下のとおりです。

  • 雇用保険の被保険者で65歳以上である
  • 退職後も働く意志がある
  • 離職前1年間に11日以上働いた月が6ヶ月以上ある
  • 離職日の翌日から1年間が受給期限
  • 給付日数は算定基礎期間に応じて30日または50日

失業給付金の手続き

ここからは、失業給付金の手続きについて、解説します。失業保険を受け取るためのおおまかな流れは、以下のとおりです。

雇用保険説明会への参加

会社を退職したら、会社から離職票が届きます。離職票には、退職理由や給与などの情報が記載されているので確認しましょう。離職票を持参して、住所管轄のハローワークに行き、求職申込を行い、求職の登録を済ませます。

失業保険の説明会

失業保険の正式名称は「雇用保険の失業給付」です。手続き後、1~2週間以内に失業給付についての説明会が行われます。雇用保険についての詳細な説明と求職活動についての情報提供があるので確認しておきましょう。

初回の失業認定日

初回の失業認定日は、口頭での案内や失業認定申告書内に書かれています。手続きした翌月の同じ「型」の日になることが一般的です。例えば、4月12日(2型水)の場合は、翌月の5月10日(2型水)が初回の失業認定日となります。

必要な求職活動実績

初回の失業認定日ごとに求職活動実績を記録しなくてはなりません。雇用保険説明会に参加していれば、それだけで1回の実績としてカウントされます。

初回の失業保険の支給

初回の振込は、初回の認定日より約1週間以内に行われます。7日間の待機期間が終了した翌日から初回失業認定日の前日までの分が支給対象です。

給付制限がある場合

自己都合退職の場合は2ヶ月~3ヶ月の給付制限がつきます。給付制限期間が終わった後の2回目の失業認定日より1週間以内に、指定した口座へ振り込まれることが一般的です。

以上が、失業給付金の手続きの流れです。詳細な手続きや必要書類については、ハローワークで具体的な指示を受けましょう。

失業給付金の受給期間・日数

退職理由によって失業給付金の受給期間や日数が変わるため、具体的なケースに応じて適切な手続きを行うことが大切です。以下で、自己都合退職と会社都合退職における、失業給付金の受給期間・日数を解説します。

自己都合退職

自己都合退職とは、労働者側の都合で退職する場合です。例えば、結婚や育児、介護など家庭の事情による離職や、より好待遇の会社を求めての離職が該当します。

自己都合退職者は原則として、7日間の待期期間を経過した後、さらに2ヶ月~3ヶ月間は失業給付金の給付を受けられません。また自己都合退職の場合、失業給付金の給付日数は90日~150日間です。

会社都合退職

会社都合退職とは、倒産や解雇など会社側の都合によって労働者との雇用関係が終了する場合です。例えば、倒産による離職、事業所の廃止、会社から解雇されたことによる離職などが挙げられます。

会社都合退職者は、7日間の待機期間を経過した後、失業給付金を受給することが可能です。会社都合退職の場合、失業給付金の給付日数は90日~330日となります。

失業給付金の受給額・計算方法

失業給付金は、具体的にどの程度もらえるのでしょうか。ここでは、失業給付金の受給額・計算方法を解説します。

賃金日額の計算

離職前6ヶ月間の賃金総額を求めます。残業手当や通勤手当を含み、賞与や退職金は除外されます。

賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180日

 

基本手当日額の計算

基本手当日額は、賃金日額に給付率を乗じたものです。給付率は年齢によって異なります。

一般的な給付率は50%~80%ですが、60歳~64歳の場合は80%~45%です。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

 

失業給付金の総支給額の計算

失業給付金の総支給額は、基本手当日額を所定給付日数で乗じたものです。所定給付日数は、離職理由や年齢によって異なります。

失業給付の総支給額 = 基本手当日額 × 所定給付日数

具体的な計算例は、以下のとおりです。

  • 賃金日額:1万円
  • 基本手当日額:5,954円(給付率50%の場合)
  • 所定給付日数:330日
  • 失業給付の総支給額:196万4,820円

なお、特定理由離職者や高年齢被保険者など、さまざまな条件によって給付額が変動することに注意しなくてはなりません。

失業給付金の受給中にアルバイトはできる?

失業保険を受給中でもアルバイトや副業ができる場合と、できない場合があります。以下のルールを理解しておけば、失業保険を受給しながらアルバイトや副業を行うことが可能です。それぞれの内容を確認しておきましょう

待機期間中はできない

失業保険の申請後である待機期間中は、アルバイトや副業はできません。待機期間は離職の理由に関係なく、失業保険を申請した人に対して一律で適用される制限期間で、通常7日間です。アルバイトや副業を行うと受給の開始が遅くなる可能性があるため、注意しなくてはなりません。

給付制限期間中でもできる

待機期間を過ぎてしまえば、退職の理由が自己都合の場合による給付制限期間中でもアルバイトをすることは可能です。給付制限期間の有無は退職の状況により異なりますが、自己都合退職であれば2~3ヶ月です。給付制限期間中に働かなければ無収入になり、生活が困窮する恐れがあるため、アルバイトは認められています。

受給中でも申告すればよい

失業給付金の受給中でも、アルバイトは認められています。ただし、失業認定日に提出する失業認定申告書でアルバイトをした旨を申告しなくてはなりません。申告を怠ると不正受給として罰則が適用される可能性があるため、注意が必要です。また、勤務日数や収入を報告することで、受給金額が調整されることもあります。

就職の状態とみなされると受給できない

雇用保険の対象になるアルバイトや副業をしている場合、就職とみなされて受給できなくなることがあります。雇用保険加入の条件は、一週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる場合です。アルバイトや副業の労働契約内容によっては注意する必要があります。

失業給付金の受給中の健康保険や年金

失業保険を受給中でも、基本的には健康保険の支払い義務があります。一方、特別支給の老齢厚生年金など、65歳までの老齢年金(以下、年金)と雇用保険の失業給付は同時に受けられません。

雇用保険の失業給付を受けている場合、年金は一部、または全額支給停止されます。具体的な期間は、ハローワークで求職の申し込みを行った日の属する月の翌月から失業給付の受給期間が経過した日の属する月までです。

支給停止の基本的な仕組みは、年金を受ける方がハローワークで求職の申し込みをした際に、年金事務所への届出が必要となる場合があることを覚えておきましょう。

失業給付金の受給中に再就職して手当がもらえる条件

再就職手当とは、失業給付金の受給資格を持つ人が、受給資格決定後に早期に再就職が決まった場合(または事業を始めた場合)に支給される手当です。ここでは、再就職手当の受給条件と金額について解説します。

受給条件

再就職手当を受給するためには、以下の条件をすべて満たさなくてはなりません。

  • 失業保険の受給手続き後、7日間の待機期間を満了してから就職または事業を開始すること
  • 再就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
  • 再就職先が退職した事業所ではないこと。また、退職した事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがないこと

金額

再就職手当の金額は一律ではなく、失業手当の支給残日数と1日あたりに支給されていた金額(基本手当日額)によって異なります。具体的な計算方法は、以下のとおりです。

  • 支給残日数が3分の2以上の場合:支給残日数×70%×基本手当日額
  • 支給残日数が3分の1以上の場合:支給残日数×60%×基本手当日額

例えば、基本手当日額が5,500円で支給残日数が50日の場合、再就職手当の金額は165,000円となります。なお詳細な情報は、最寄りのハローワークでご確認ください。

失業給付金を一度もらうと次は何年後にもらえる?

失業給付金を一度受給した場合、次にもらえるタイミングはいつになるのでしょうか。ここでは、失業給付金の受給に関するおもな条件と詳細を解説します。

受給できる年齢

失業保険は64歳まで受給することが可能です。65歳以上の方が仕事を探す場合には、高年齢求職者給付金の制度が用意されています。

加入期間のカウント方法

失業給付金を受けるためには、雇用保険に加入していた期間が一定である必要があります。

具体的には、離職日から遡って2年間の間に、被保険者期間が合計で12ヶ月以上あることが必要です。ただし、会社都合退職の場合は、通算期間が6ヶ月以上でなくてはなりません。

もらえる回数

失業保険は、受給条件を満たしていれば、もらえる回数に上限はありません。ただし、失業保険を受けると雇用保険の加入期間がリセットされます。したがって再就職後、1年以上(会社都合退職などの場合は6ヶ月以上)経過してから退職した場合は、受給資格が再び発生することを覚えておきましょう。

次にもらえるのは何年後か

失業保険を一度もらうと、次にもらえるのは最低でも半年後(会社都合退職の場合)、または1年後(自己都合退職の場合)です。

なお、以上の情報は一般的なガイドラインであり、個々の状況により異なる場合があります。具体的な状況については、労働局やハローワークなどの公的機関に相談しましょう。

失業給付金を受給できる適切な条件を把握することが大切

失業給付金の受給には、雇用保険に加入していること、失業状態にあること、被保険者期間が一定以上あることが条件です。受給年齢は64歳までで、自己都合退職後の給付制限は2ヶ月または3ヶ月、会社都合退職後はすぐに受給できます。

再就職手当は早期就職後に支給され、支給額は残日数に応じて異なります。失業給付金を受けると雇用保険の加入期間がリセットされ、次回の受給は最低でも半年から1年後です。

本記事の内容を参考に、失業給付金を受給できる適切な条件を把握してもらえれば何よりです。


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