- 更新日 : 2024年10月25日
退職承諾書とは?書き方や注意点を解説!無料テンプレートつき
自身のキャリアアップや家庭の事情などから、退職を決意する従業員も存在します。退職の理由がどのようなものであっても、通常は会社へ退職したい旨の届出を行います。受け取った会社は、その諾否を判断しなければなりません。その際に必要となる退職承諾書について解説するとともに、無料テンプレートを紹介します。
目次
退職承諾書とは?
「退職承諾書」とは、従業員からの退職の申し出に対して、それを承諾した旨と今後の指示などが記載された書面です。作成について、法的な要請があるわけではありませんが、退職手続きにまつわるトラブルを防止できるため作成が推奨されます。
退職届との違い
「退職届」は、従業員が会社に対して、退職の意思を示すための届出です。退職届を受け取った会社は、退職に問題ないと判断すれば、退職承諾書等で承諾の意思を示します。従業員が提出した退職届に対して、会社からの返答として発行される書類が退職承諾書です。
退職届の届出は、退職において必須ではありません。口頭であっても、退職の意思は示せます。無期雇用の正社員であれば、いつでも自由に退職可能であり、退職の意思表示から2週間が経過することで会社の同意の有無を問わず、有効に退職できます。しかし、書面の形で作成することによって、証拠として残し、後のトラブルを防止します。これは、退職承諾書においても同様です。
退職合意書との違い
退職合意書は、退職の意思を表示した従業員と会社が、退職について合意したことを示す書面です。退職について双方が、その条件について合意したことを証明し、後のトラブルを防止するために作成されます。
退職承諾書と退職合意書は似ていますが、その内容が異なります。退職承諾書は、退職の申し出を承諾したことと、今後の指示が記載されています。これに対して、退職合意書は退職の条件について、両者が合意したことを示す書面です。そのため、退職合意書に設けられる秘密保持条項や競業避止義務条項などは、一般的に退職証明書には設けられていません。退職承諾書は、あくまで退職を承諾するだけであり、個別の条件については、別途合意する場合も多くなっています。
退職承諾書の書き方は?
退職承諾書には、決まった記載内容等は存在しません。そのため、どのような様式を用い、どのような内容を記載するかは自由です。しかし、一般的に記載される項目は存在するため、以下で紹介します。
承諾内容
会社が従業員の退職の申し出について、承諾した旨が記載されます。具体的には、退職日や最終勤務日などが記載され、確かにその内容について会社が承諾したことを証明します。
退職に伴う手続き
従業員へ貸与した制服や備品等の返却、必要となる書類の提出など、退職に伴う手続きが記載されています。未精算の経費や貸与品がある場合には、期日までの手続きが必要となるため、その手続きについて記載しなければなりません。
退職後の福利厚生
従業員に対して、社員食堂やレジャー施設の利用など、法定外福利厚生を支給している会社も存在します。そのような福利厚生施設等を退職後も利用できる場合には、その条件などについて記載します。
退職金の支給
退職金の支給は、義務ではありませんが、福利厚生の一環として多くの会社が制度として取り入れています。退職者に対して、退職金を支給する場合には、その額や支払期日を明確に示すことが必要です。
在職証明書の発行
保育園への入園や、賃貸契約、ローンの申請などにおいては、雇用期間や雇用形態等が記載された在職証明書が必要となる場合があります。そのため、退職する従業員が在籍証明書を必要とする場合の手続きについても記載が必要です。
その他
退職承諾書について、不明な点があった場合の問い合わせ先や、これまでの勤務に対する感謝の言葉などが記載されています。
退職承諾書の無料テンプレート
退職承諾書に法定の様式等がないとはいえ、退職という重要事に関わる書類であるため、不備などがあってはなりません。しかし、退職承諾書の作成は、経験がなければなかなか難しいものです。
退職承諾書の作成に課題を感じているのであれば、テンプレートの利用がおすすめです。すでに記載すべき事項は記載されており、日付等を入力するだけで利用できます。無料で利用可能な退職承諾書のテンプレートを入手したい方は、以下のリンクからダウンロードしてください。
退職承諾書を作成する時の注意点は?
退職承諾書の内容にあいまいな点を作ってしまうと、後のトラブルの元になります。福利厚生施設の利用の可否や、退職金の支払いなどについて、猜疑が生じないように明確にその内容を示しましょう。特に退職金の支払いについてはトラブルが多くなるため、従業員との間で、間違いないか確認することが必要です。また、日付を記載することも忘れてはなりません。
退職届の提出について、従業員の自由な意思に基づくものであることの確認も必要です。退職届の提出が強制されたものであれば、違法な退職勧奨として、後に損害賠償請求される場合もあります。そのような場合には、賠償金の負担だけでなく、違法な退職勧奨を行った会社であるとして、評価が下がってしまう恐れもあります。
退職承諾書は正しく作成しよう
従業員には退職の自由があり、原則としていつでも退職可能です。また、退職の申し入れに関しては口頭でも可能であり、会社からの承諾を含めて書面を要しません。しかし、退職の申し入れと承諾の事実を確かな証拠として書面で残しておかなければ、後の無用なトラブルの元になってしまいます。当記事を参考に正しく退職承諾書を作成し、トラブルを防止してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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