• 作成日 : 2022年9月22日

2022年版 – 働き方改革関連法案をわかりやすく解説!今後の適用予定

2022年版 - 働き方改革関連法案をわかりやすく解説!

長時間労働といった問題の解決に向けて、さまざまな働き方関連法案が可決されています。すでに多くのものが施行済となっていますが、企業規模や業種によっては、2023年や2024年に適用対象となるものがあります。いつから、どんな規制が適用予定となっているのかを把握し、自社が該当している場合は準備しておくことが大切です。

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働き方改革関連法案とは?

働き方改革関連法案とは、多様な働き方ができる社会のために必要とされる、関係諸法令の整備を指しています。

少子高齢化により働き手が減少する日本においては、労働力の確保が課題とされています。「一億総活躍社会」をスローガンに、個々の抱える事情により働けなかった人でも労働可能となる環境づくりが求められ、推進されているのが働き方改革です。より多くの人が自分の能力を発揮して働けるよう、多様な働き方が選択できるための措置を講じています。

大きな柱とされているのは、以下の2点です。

  • 労働時間法制の見直し
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

このうちの労働時間法制の見直しは、働き過ぎの解消を目的としています。一般に日本人は勤勉なことから長時間労働をしやすく、精神疾患を発症する労働者が多くいることは社会問題となっていました。適正な労働時間とすることで健康を守り、ワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働き方の実現を目指すもので、見直し内容は以下の通りです。

  • 残業時間の上限に規制を設ける
  • 勤務間インターバル制度を導入する
  • 時間外労働に対する割増賃金率を引き上げる
  • 年次有給休暇取得を義務化する
  • 労働時間の把握を義務化する
  • フレックスタイム制を拡充する
  • 高度プロフェッショナル制度を新設する
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働き方改革関連法案における企業の定義 – 中小企業と大企業

働き方改革関連法案のなかには、適用時期が大企業と中小企業で異なるものがあります。企業規模が大きく従業員の人数も多い大企業は余裕があり、働き方改革関連法案の適用についてスムーズな対応が可能です。

一方、企業規模が小さく従業員の人数が少ない中小企業は、余裕がないため働き方改革関連法案に迅速に対応することができません。このため働き方改革関連法案のなかには、中小企業への適用時期を遅らせ、準備のための猶予期間を設けているものがあります。

働き方改革関連法案に関しての大企業・中小企業は以下のように「資本金の額、または出資金の総額」と「常時使用する労働者数」によって定義されます。

  1. 資本金の額、または出資金の総額の基準
    • 5,000万円以下の小売業・サービス業
    • 1億円以下の卸売業
    • 3億円以下のその他の業種
  2. 常時使用する労働者数の基準
    • 50人以下の小売業
    • 100人以下のサービス業・卸売業
    • 300人以下のその他の業種

いずれかに該当する企業が中小企業となります。

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働き方改革関連法案の適用時期 – すでに適用された内容

働き方関連法案で、これまでにすでに適用されているものは以下の通りです。

時間外労働に対する上限規制

  • 時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできない
  • 臨時的な特別の事情があり、労使の協定がある場合でも時間外労働は年720時間以内、時間外労働+休日労働は月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内とする必要がある
  • 原則の月45時間を超えることができるのは年6カ月まで

適用期間

  • 大企業は2019年4月1日から
  • 中小企業は2020年4月1日から

有給休暇取得義務化

年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、5日以上を確実に取得させる

適用期間

すべての企業が2019年4月1日から

フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の清算期間の上限を1カ月から3カ月に延長する

適用期間

すべての企業が2019年4月1日から

高度プロフェッショナル制度の創設

高度の専門的知識を有し、職務の範囲が「明確で一定の年収要件を満たす労働者に対して、労働時間・休憩・休日や深夜の割増賃金に関する規定を適用しない

適用期間

すべての企業が2019年4月1日から

勤務間インターバル制度導入の努力義務化

1日の勤務終了から翌日の勤務開始までに一定時間以上の休息(インターバル)を設ける制度の導入に努める

適用期間

すべての企業が2019年4月1日から

労働時間の客観的な把握の義務づけ

裁量労働制適用者や管理監督者を含めたすべての人の労働時間の状況が、客観的な方法で把握されるよう義務づける

適用期間

すべての企業が2019年4月1日から

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今後の働き方改革関連法案の適用時期

働き方改革関連法案では、以下について今後適用される予定です。

中小企業の割増賃金率引き上げ

  • 中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を50%に引き上げる
  • 時間外労働に対する割増賃金率だが長時間労働是正のため、一定の範囲を超える時間外労働に対して高い割増賃金率で計算する割増賃金の支払いを規定したもの
  • 通常は25%の割増賃金率について、月60時間超の部分には50%とする
  • 大企業は2010年4月から適用し、中小企業は適用猶予となっていた

適用期間

2023年4月1日から

時間外労働の上限規制に対する適用猶予期間の終了

  • 建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島県と沖縄県における砂糖
  • 製造業について設けられていた、時間外労働の上限規制の適用猶予期間が終了する
  • 適用猶予期間終了後は以下のようになる
 猶予期間中猶予期間終了後
建設事業上限規制は適用されない
  • 災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制が適用される
  • 月100時間未満、2~6カ月は適用されない
自動車運転の業務
  • 特別条項付36協定を締結する場合の時間外老土運の上限は年960時間
  • 月100時間未満、2~6カ月は適用されない
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回まで、は適用されない
医師検討中
鹿児島県と沖縄県における
砂糖製造業
上限規制のうち、
月100時間未満、
2~6カ月は適用されない
上限規制がすべて適用される

適用期間

2024年4月1日から

働き方改革関連法案の問題点

働き方関連法案には、中小企業や一定の業種に対して猶予期間を設けているものがあります。しかし多くの企業が対象になる場合と比較して、あまりアナウンスはされません。気づかないうちに適用対象となることも少なくなく、対応が間に合わないと法律違反になってしまうという問題点があることに、注意が必要です。

また働き方関連法案のなかには、違反すると罰則が科せられるものがあります。罰金を支払わなければならなかったり、罰則は科せられないものの違反者として企業名が公になったりするという問題点もあります。

公表されることで信用が失われると融資が受けられなかったり、労働者を新規採用しようとしても人が集まらなかったりと、いろいろな支障が引き起こされます。しっかりと適用に対応し、このような問題点が生じないようにすることも大切です。

働き方関連法案が今後に適用される企業はしっかりと準備しよう

働き方関連法案のほとんどは施行されていますが、猶予期間が設けられ、これから適用になるものがあります。

2023年4月1日から予定されているのが中小企業の割増賃金率引き上げです。60時間の時間外労働に対する割増賃金率が、2023年4月1日から中小企業でも大企業と同じ50%に引き上げられます。

また、2024年4月1日から時間外労働の上限規制は、猶予期間が設けられていた建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島県と沖縄県における砂糖製造業にも適用されます。

適用になることを知らずに対応できないと、法律違反になり罰則が科せられる場合もあるため、該当する企業は適用内容を正確に把握し、しっかりと準備を進めておきましょう。

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よくある質問

働き方改革関連法案とはなんですか?

多様な働き方ができる社会実現のため、関係諸法令を整備することです。詳しくはこちらをご覧ください。

働き方改革関連法案について、今後の適用予定について教えてください。

2023年4月1日から中小企業の割増賃金率引き上げ、2024年4月1日に建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島県と沖縄県における砂糖製造業に時間外労働の上限規制に対する適用猶予期間の終了が予定されています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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