- 更新日 : 2024年10月30日
コーピングとは?意味や種類、やり方を解説!
現代人は、仕事上や私生活上のさまざまなストレスにさらされています。ストレスの発生を完全になくすことは難しいため、うまく付き合わなくてはなりません。
本記事では、ストレスに対処する行動である「コーピング」について解説を行っています。興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
コーピングとは?
コーピングとは、発生したストレスへの対処行動を意味する心理学の用語です。ストレスに対するコーピングを行うことで、ストレス原因の解決や、軽減を実現できます。
適応機制(防衛機制)との違い
仕事や私生活がうまくいかないときや、自分に不利な状況を避けたい場合に、緊張や不安を緩和することにより、心の安定を保とうとする働きを「適応機制」と呼びます。
コーピングも適応機制も、ストレスなどから自己を守る手段であることは変わりありません。しかし、コーピングが自らの意思で行うのに対して、適応機制は無意識に行う点で両者は異なっています。
コーピングの理論的背景
コーピングは、米国の心理学者であるラザルスにより提唱された心理学用語です。
ストレスの原因であるストレッサーの刺激により、ストレス反応が生じます。ラザルスが行った研究で、人間はまずストレッサーを認知し、次にストレス反応を認知する二段階の認知が行われることがわかりました。この心理的ストレスモデルの研究が、コーピングに繋がっています。
コーピングの種類
ストレスの原因がさまざまあるように、コーピングにも複数の種類が存在します。種類ごとに効果が異なるため、適切なコーピング方法を選択することが重要です。
問題焦点型コーピング
「問題焦点型コーピング」では、ストレスを引き起こす原因であるストレッサーそのものに働きかけます。直接的な原因への対処であり、根本的な解決を図ることが可能な手段です。職場の人間関係がストレスとなっている場合の転職などが、具体例となります。
ただし、対処法がわかっていても、実行に移すことが難しい場合もあります。転職などは簡単にできるものではなく、問題焦点型コーピングより、更にストレスを増やすことにもなりかねません。
情動焦点型コーピング
「情動焦点型コーピング」は、感情に働きかけることで、ストレスへの考え方を変化させます。仕事上のミスでストレスを感じても、「ミスは誰にでもある」と自分に言い聞かせることで、気持ちを変化させます。
情動焦点型コーピングは、ストレスの原因ではなく、ストレス反応に対する対処です。そのため、ストレスの原因は残ったままであり、根本的な解決にならない場合もあります。
ストレス解消型コーピング
「ストレス解消型コーピング」では、ストレスを感じた後に気晴らしや、リラックスにつながる行動を取ることで、ストレスに対処します。買い物や食事、旅行などの行動が具体例となります。
ただし、ストレス解消型コーピングも、一時的にストレスから離れるだけのため、根本的な解決には繋がらない可能性があります。
コーピングが生じるストレス原因
コーピングが必要となるストレス原因(ストレッサー)は、さまざまです。原因を知ることで、より効果的な対応が可能となるため、しっかりと把握しましょう。
物理的ストレス
暑さや寒さ、騒音などが物理的ストレッサーに該当します。オフィスの空調設定が適切でない場合や、近隣で工事を行っているような場合が挙げられるでしょう。業務上取り扱うスマートフォンや、タブレット端末の明るさも光による物理的ストレッサーになり得ます。
化学的ストレス
化学的ストレッサーには、化学物質やアルコールなどが含まれます。化学物質によって、目や鼻といった粘膜へ刺激を受けることは、強いストレス反応につながるでしょう。また、適切な分煙対策が施されていない場合には、タバコの煙も化学的ストレッサーとなります。
心理的・社会的ストレス
職場における人間関係や、仕事の量、私生活上の問題などは心理的・社会的ストレッサーとなります。ギスギスとした人間関係や、適切でない量の仕事がストレスにつながることは容易に想像が可能です。我々が感じているストレスの多くは、この心理的・社会的ストレスによるものです。
上手なコーピングのやり方
コーピングによる効果を最大に発揮するためには、効果的なやり方を選択しなければなりません。ここでは、2つの方法を紹介します。
コーピングをリスト化する
コーピングリストを作成することで、ストレスへの対処方法がわかりやすくなります。また、原因や状況に応じた適切なコーピング方法選択の助けにもなるでしょう。そのため、ストレスの緩和や解消につながる方法をリスト化することは、有効な手法です。
輪ゴムを使用した対処
コーピングには、輪ゴムテクニックと呼ばれる方法が存在します。この方法では、手首に輪ゴムをはめ、うまくいかなかったり、ストレスを感じたりした場合に輪ゴムを引っ張り、痛みを与えます。痛みを感じた時に「落ち込むのはここまで」と言い聞かせ、それを習慣付けます。自分自身で意識的に気分の切り替えが行えるため、効果的な方法となります。
人事労務担当者ができるコーピング(ストレス対応)例
ストレスは、従業員のパフォーマンスを低下させます。そのため、企業においては、ストレス対応への環境を整えることが重要です。
1on1制度の整備
上司と部下が、1対1の環境で話し合える1on1制度を整備すれば、悩みや課題の共有に繋がります。課題の共有によって、解決策も打ち出しやすくなります。また、1対1であるため、部下も自ら悩みを打ち明けやすくなるでしょう。
メンター制度の整備
相談者となる「メンター」を置くことも効果的です。気軽に相談できる環境であれば、ストレスの早期発見・早期解決に繋がります。
心理カウンセリングの実施
外部専門家の力を借りることを検討してもよいでしょう。クリニックや医院と連携して、心理カウンセリングを行うことで、専門家ならではの助言を得ることが可能となります。
e-ラーニング・研修の実施
従業員自身がストレスや、コーピングについて学びを深めることも必要です。定期的なストレスに関するe-ラーニングや研修を実施すれば、それまで気付けなかったストレスの発見にも繋がります。
オフィス環境の整備
ストレスを感じることの少ないオフィス環境の整備も必要となるでしょう。採光や気温、湿度への配慮はもちろんのこと、パワハラやセクハラなど、ハラスメントの起こらない環境とすることが重要です。
適切なコーピングの実施を
ストレスの放置は、従業員のパフォーマンスを低下させるだけでなく、休職や離職にも繋がりかねません。そのため、早期の発見と対策が重要となります。ストレスへの対応が必要となった際には、ぜひ当記事を参考にして、適切なコーピングを実施してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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