• 更新日 : 2026年6月26日

令和8年(2026年)年末調整で基礎控除申告書が提出不要になる条件は?

PDFダウンロード
Point基礎控除申告書を出さなくてよいのは、どのような人でしょうか。

年末調整の対象外となる働き方や所得の場合は、提出を求められません。

  • 副業先や短期アルバイト先など従たる給与では手続きしない。
  • 合計所得金額が2,500万円を超えると基礎控除が0円になる。
  • 退職して再就職しない人は確定申告で精算する。

令和8年分は控除額が拡大するため、所得見積額を正しく申告しましょう。

年末調整の時期になると、従業員から基礎控除申告書に関する質問が増えます。とくに、複数の勤務先がある人や転職・退職をした従業員は、判断に迷いやすいでしょう。

本記事では、基礎控除申告書が提出不要となる条件をはじめ、年末調整の仕組み、提出しない場合の影響などを解説します。令和8年の制度改正ポイントも取り上げているので、年末調整の提出書類に関してお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

参照:令和8年度税制改正の大綱|財務省

基礎控除申告書が提出不要になる条件とは?

年末調整の対象外となる働き方・所得状況にある場合、基礎控除申告書の提出が不要になります。年末調整は、「主たる給与の支払者のみが行う仕組み」であり、副業先や一時的な勤務先では手続きを行いません。

したがって、複数の勤務先がある人や、主たる給与を支払う会社が別にある人は、提出を求められないケースがあります。

1.複数の勤務先がある場合

複数の勤務先から給与を受け取っている場合、年末調整を行うのは「主たる給与」を支払う会社だけです。主たる勤務先に「扶養控除等申告書」を提出した人が、年末調整の対象になります。

副業先や短期アルバイト先など、「従たる給与」の会社では、年末調整を行いません。したがって、基礎控除申告書の提出も不要です。

たとえば平日はA社、週末のみB社で働く人なら、生活の中心となるA社を主たる給与の勤務先にします。主たる給与の会社へ年末調整書類をまとめて提出し、他の会社では提出物はありません。

2.転職した場合

転職した場合、年末調整の対象となる勤務先が変わります。年末調整は「主たる給与」を支払う会社が行う手続きなので、転職後の勤務先で行います。転職前の会社に対しては、基礎控除申告書の提出は不要です。

たとえば、10月にA社を退職して11月にB社へ入社した場合を考えましょう。年末調整はB社で行うため、前職の源泉徴収票と合わせて、必要書類をB社に提出します。

3.退職した場合

退職した場合、退職元に対して、基礎控除申告書の提出は不要です。退職後は、会社側が給与支払者として認められないため、税額を精算できません。基礎控除を受ける場合は、退職者が自分で確定申告を行う必要があります。

たとえば、9月に退職して年内に再就職しない場合、退職元に申告書を出す必要はありません。退職時に受け取る源泉徴収票をもとに、翌年の確定申告で基礎控除を適用します。仮に、再就職先で年末調整を受ける予定があるなら、再就職先への提出が必要です。

4.自身で確定申告を行う場合

年末調整を受けない人は、会社に基礎控除申告書を提出する必要がありません。転職・退職・副業などで年末調整の対象外になると、確定申告で控除を申告することになります。

たとえば、副業収入が年間20万円を超える場合は、自身での確定申告が必須です。申告書で基礎控除を含めた所得控除の計算を行い、税額を確定させます。申告漏れを防ぐため、必要資料は早めに準備しましょう。

5.年収が2,500万円を超える場合

年収が2,500万円を超える人は、基礎控除の対象外になるため、申告書の提出も不要です。合計所得金額が2,350万円を超えると基礎控除額が段階的に減少し、合計所得金額が2,500万円を超えると、控除額が0円となるからです。年末調整で差し引く対象がないため、基礎控除申告書の記載欄が事実上不要となるからです。

なお、令和8年分においては合計所得金額655万円以下の場合、特例として控除額が本則部分に加算されます。

賞与や副収入による変動に備えて、会社が見積額の記入や申告書提出を求める場合もあるでしょう。提出の要否は勤務先の運用によるので、収入見込みを確認しておくと安心です。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い

年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い

年末調整で従業員の方々がやりがちな8つのミスをとりあげ、正しい対応方法についてまとめました。

年末調整業務をスムーズに完了させるための、従業員向けの配布資料としてもご活用いただけます。

無料ダウンロードはこちら

扶養控除等申告書 取り扱いガイド

扶養控除等申告書 取り扱いガイド

扶養控除等申告書は、毎月の源泉徴収事務や年末調整の計算をするうえで必要不可欠な書類です。

扶養控除等申告書の基礎知識や具体的な記入方法、よくあるトラブルと対処方法などをわかりやすくまとめたおすすめのガイドです。

無料ダウンロードはこちら

年末調整業務を効率化するための5つのポイント

年末調整業務を効率化するための5つのポイント

「毎年年末調整のシーズンは残業が多くなりがち…」、そんな人事労務担当者の方に向けて年末調整業務をスムーズに行うためのポイントをまとめました。

スケジュールや従業員向け資料を作成する際の参考にしてください。

無料ダウンロードはこちら

年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット

年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット

年末調整のWeb化=業務効率化のイメージが強いかもしれませんが、実際には労務担当者にしかわからない「もやもや」を解消できるメリットがあります。

この資料ではWeb化により業務がどう変わり、何がラクになるのかを解説します。

無料ダウンロードはこちら

【年末調整】給与所得者の基礎控除申告書とは?

給与所得者の基礎控除申告書は、年末調整で基礎控除を適用するための書類です。令和8年分では基礎控除の最大額が104万円に引き上げられており、正確な所得見積額の申告が例年以上に重要です。

また、年末調整の際は、扶養控除申告書や配偶者控除申告書の提出も必要です。

年末調整とは

年末調整とは、給与所得者が1年間に納める所得税の最終額を、会社が確定する手続きです。毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額は、扶養の増減や控除の申告内容によって、過払い・不足が出ます。そこで、主たる給与の支払者は、年末に納税額を確認するため、「年末調整」を行うのです。

年末調整では、1年間に発生した税額が正しいか確認し、帳尻合わせを行います。税額に過不足が発生した場合は、税金の還付・徴収が必要です。

ただし、複数の勤務先がある人・退職した人は、自分で確定申告を行う必要があります。また、医療費控除など、年末調整で扱えない控除を受けたい人も、確定申告が必要です。

基礎控除とは

基礎控除とは、納税者本人の所得に応じて、税負担を軽くするための所得控除です。所得控除とは「収入から一定額を差し引いて税金を計算する仕組み」で、基礎控除も所得控除に含まれます。

基礎控除の対象は、給与所得者のうち、合計所得金額が2,500万円以下の人です。令和8年分では所得が少ないほど控除金額は増え、最大104万円が控除されます。

年末調整では、従業員が基礎控除申告書に「本年中の合計所得金額の見積額」を記載します。金額に応じて控除額を判定する仕組みです。年の途中で収入が増減しても、見積額を申告することで、年末の税額が正しく精算されます。

基礎控除申告書を提出しないリスク

基礎控除申告書を提出しない場合、基礎控除が適用できず、従業員は自分で確定申告を行うことで控除を受けることが必要です。

また、基礎控除申告書が未提出だと合計所得金額の確認ができず、税額精算が正確に行えないため、会社にとっても不都合です。

1.基礎控除を受けられない

基礎控除申告書を提出しないと、基礎控除が適用されないため、所得税が本来より高く計算されます。給与から源泉徴収される税額が高くなるので、必ず提出しましょう。

基礎控除額は、従業員が申告書に記載した「所得の見積額」をもとに判定します。申告書が提出されないと、会社側は見積額を確認できず、控除の適用ができません。

また、基礎控除申告書が未提出の状態では、会社にも迷惑がかかります。基礎控除申告書と一体となっている配偶者控除や特定親族特別控除などの控除も受けられず、調整が不完全になるでしょう。

2.確定申告が必要になる

基礎控除申告書を提出しない場合、従業員本人が確定申告で控除の適用を受けることになります。年末調整を受ける場合、会社が従業員の税額を清算してくれるため、確定申告は不要です。しかし、書類の提出がない場合は、確定申告を行わない限り、基礎控除を受けられません。

とくに、副業をしている人や、転職・退職をした人は、提出漏れによって確定申告の手続きが増えるケースもあります。また、基礎控除が反映されないことで税金の過不足が生じ、調整が翌年まで持ち越される場合もあるでしょう。

基礎控除申告書を提出しないリスクは、関連記事でも解説しています。

【令和8年】基礎控除申告書で変更された5つのポイント

令和8年分の年末調整では、基礎控除・給与所得控除の引き上げ、扶養控除の所得要件変更など、所得計算に関わる制度が複数改正されています。令和7年に創設・拡充された項目と合わせて全体を把握し、正確に申告書を作成しましょう。

1.基礎控除額の見直し

令和8年分の基礎控除は、本則が58万円から62万円に引き上げられ、さらに合計所得金額655万円以下の方には「特例」による上乗せがあります。

合計所得金額
給与収入のみの目安)
令和8・9年 令和10年以降
489万円以下(約665万円以下) 104万円 99万円(132万円以下のみ)
489万円超〜655万円以下(〜850万円以下) 67万円 62万円
655万円超〜2,350万円以下 62万円 62万円
2,350万円超〜2,400万円以下 48万円 48万円
2,400万円超〜2,450万円以下 32万円 32万円
2,450万円超〜2,500万円以下 16万円 16万円
2,500万円超 0円 0円

参照:令和8年度税制改正の大綱|財務省

令和8年以降は、特に所得489万円以下の方で最大104万円という大幅な引き上げとなります。基礎控除申告書への所得見積額の正確な記入が、これまで以上に重要です。

2.給与所得控除の引き上げ

令和8年分では、給与所得控除の最低保障額がさらに引き上げられました。本則として65万円から69万円に引き上げられ、令和8・9年の特例としてさらに5万円が上乗せされ、実質74万円となります。

区分 改正前
(令和7年まで)
令和8・9年
(特例込み)
令和10年以降
給与所得控除(最低保障額) 65万円 74万円 69万円

この改正により、所得税が課されない給与収入の目安は、基礎控除(最大104万円)と給与所得控除(74万円)を合わせておよそ178万円となります。令和8・9年は月次の源泉徴収には反映されず、年末調整で精算する仕組みです(詳細はポイント5で後述)。

同時に、令和8年分以降の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」も改正されているため、企業側は最新の表を使用してください。

3.特定親族特別控除の創設と令和8年からの変更

令和7年の改正で新設された「特定親族特別控除」は、生計を同じくする19歳以上23歳未満の親族(特定親族)の所得に応じて控除を受けられる制度です。

令和8年からは、扶養控除の所得要件引き上げに連動して、特定親族の対象範囲も変わります。

令和8年からの特定親族の所得範囲
  • 改正前(令和7年)
    合計所得金額 58万円超〜123万円以下(給与収入のみの場合:123万円超〜188万円以下)
  • 改正後(令和8年分以後)
    合計所得金額 62万円超〜123万円以下(給与収入のみの場合:136万円超〜197万円以下)

控除額の段階は以下のとおりです。

特定親族の合計所得金額
(令和8年分以後)
控除額
62万円超〜85万円以下 63万円
85万円超〜90万円以下 61万円
90万円超〜95万円以下 51万円
95万円超〜100万円以下 41万円
100万円超〜105万円以下 31万円
105万円超〜110万円以下 21万円
110万円超〜115万円以下 11万円
115万円超〜120万円以下 6万円
120万円超〜123万円以下 3万円

参考:No.1177 特定親族特別控除 | 国税庁

特定親族特別控除を受けるには、「特定親族特別控除申告書」への記載が必須です。申告書は、基礎控除申告書と一体となっているため、併せて提出しましょう。

4.扶養控除所得要件の引き上げ

令和8年分から、扶養控除の対象となる扶養親族等の所得要件がさらに引き上げられました。

対象 令和7年分まで 令和8年分以後
(所得税)
令和9年度分以後(住民税
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 58万円以下(給与収入123万円以下) 62万円以下(給与収入136万円以下) 令和9年度分〜
ひとり親の生計を一にする子 58万円以下 62万円以下 令和9年度分〜
勤労学生の所得要件 85万円以下(給与収入150万円以下) 89万円以下(給与収入163万円以下) 令和9年度分〜

この改正で、これまで扶養対象外だった家族が新たに控除の対象になる可能性があります。とくにパート・アルバイト収入のある扶養親族をもつ従業員は、令和8年の年末調整前に親族の収入を再確認しましょう。

なお、個人住民税への反映は所得税から1年遅れとなり、令和9年度分(2027年度)からの適用です。令和8年度分の住民税は、従来の基準で計算される点に注意が必要です。

5. 令和8年分は月次源泉徴収に反映されず年末調整で精算

令和8年分の基礎控除・給与所得控除の引き上げは、令和8年中の月次源泉徴収には反映されません。毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額は従来の税額表をもとに計算され、令和8年12月に行う年末調整の際に、改正後の控除額に基づいて1年間の税額を精算する仕組みです。

改定された源泉徴収税額表(月額表・日額表)が月次に適用されるのは、令和9年1月以降の給与からとなります。

従業員にとっては、令和8年分の年末調整で還付が生じるケースが多くなる見込みです。企業の給与担当者は、年末調整の案内時にこの点を従業員に周知しておきましょう。

給与所得者の基礎控除申告書の書き方5ステップ

基礎控除申告書の書き方は、次の5ステップです。各項目は関連しているため、ひとつの数字を誤ると、連鎖的に計算がずれます。とくに、副業・アルバイト収入がある人は、源泉徴収票や収入見込みを整理しながら進めましょう。

  1. 給与収入金額の入力
  2. 給与所得金額の算定(給与所得控除後の金額)
  3. 給与以外の所得額の合計
  4. 本年中の合計所得金額の見積額
  5. 基礎控除額の確定

合計所得金額の見積もりが誤っていると、控除が適用されません。見積額が不正確な場合は、のちに確定申告が必要となります。

基礎控除申告書の記入例

国税庁が提供する記入例にしたがって、基礎控除申告書に記入する際の流れを解説します。

基礎控除申告書の記入例

出典:令和7年分年末調整のしかた(手順などの説明)| 国税庁

計算の手順をまとめると、下記のようになります。

内容 記入された金額
1.給与収入金額 8,970,000円
2.給与所得金額 6,973,000円
3.給与以外の所得 0円
4.合計所得金額 6,973,000円
5.区分の判定 A(655万円超〜2,350万円以下)
基礎控除額 620,000円(令和7年分は580,000円)

記入例では、「給与所得」が8,970,000円です。この給与所得から、給与所得控除を差し引いた後の「所得金額」として 6,973,000円 が算定されています。

給与以外の所得はない(副業をしていない)ため、「給与以外の所得金額」は空欄です。

合計所得金額は6,973,000円となり、655万円超〜2,350万円以下の区分に該当するため、基礎控除額は62万円となります(令和8年分)。

なお、令和8年の特例加算(最大42万円)は合計所得金額655万円以下の方が対象のため、この例では本則の62万円のみが適用されます。

基礎控除申告書の提出不要の条件を確認し改正に沿って正確に申告を

基礎控除申告書が提出不要になるのは、主に「副業先・転職前の会社など主たる給与以外の勤務先」「年内に再就職しない退職者」「合計所得金額が2,500万円を超える人」の場合です。提出が必要な方は、令和8年分から変わった数値を正確に反映して記入しましょう。

提出不要となる主なケース 理由
副業先・短期アルバイト先 年末調整は主たる給与の会社のみで行う
転職前の会社 転職後の勤務先で年末調整を行う
年内に再就職しない退職者 翌年の確定申告で基礎控除を適用
合計所得金額が2,500万円超 基礎控除額が0円のため

令和8年分の主な改正ポイントは次のとおりです。

  • 基礎控除:本則62万円に引き上げ。特例により所得489万円以下は最大104万円
  • 給与所得控除:最低保障額が特例込みで74万円に引き上げ(非課税ラインの目安は178万円)
  • 扶養親族の所得要件:58万円以下 → 62万円以下(給与収入136万円以下)に拡大
  • 特定親族特別控除:対象所得範囲が62万円超〜123万円以下に変更
  • 月次源泉徴収への反映は令和9年1月から:令和8年分は年末調整で精算

令和8年分の改正は控除額の引き上げが多いため、年末調整での還付が生じやすい年です。申告書に所得見積額を正確に記載し、提出漏れがないよう早めに準備を進めましょう。

PDFダウンロード

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事