• 作成日 : 2022年9月9日

厚生年金の受給に必要な加入期間 – 10年未満の場合はどうなる?

厚生年金の受給に必要な加入期間 - 10年未満の場合はどうなる?

日本の公的年金制度は2段階です。会社勤めで厚生年金保険に加入していた方は、国民年金の制度で受け取れる老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が上乗せされます。

国民年金の支給額が年間約78万円のため、厚生年金がいくらもらえるか気になる方も多いでしょう。今回は、厚生年金の受給に必要な加入期間や受取れる金額について解説します。

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厚生年金の受給に必要な加入期間は10年

日本は「国民皆年金」制度を導入しています。したがって、すべての国民は原則として「国民年金」に加入します。40年間保険料を納付した場合、満額の年間約78万円が「老齢基礎年金」として支給されます。受給開始年齢は、原則65歳からです。

しかし、「老後に必要な貯蓄は2,000万円」といった話が話題になったように、老齢基礎年金だけでは十分ではないと感じる方も多いでしょう。

日本の年金制度は3階建てになっており、1階部分は国民年金の制度から支給される老齢基礎年金です。会社員や公務員等が加入する厚生年金保険の制度(2015年10月から公務員なども加入)から支給される老齢厚生年金は、2階部分にあたります。

2階建ての公的年金制度の仕組みに加え、さらに3階部分には確定給付企業年金や確定拠出年金厚生年金基金などの企業独自で加入する年金があります。そのほかiDeCoや民間の保険会社で加入した個人年金などの個人の意思で加入する年金を加えると、4階建ての方もいるのではないでしょうか。

会社勤めをしていた方は、老後に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取るのが一般的な年金の形です。そのため、転職などで無職の期間があったり、勤め人から独立したりといった理由で、厚生年金保険の加入期間が短い方は、「厚生年金はもらえないかもしれない」と不安になるかもしれません。

65歳から支給される老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格である「10年間の受給資格期間」があれば、厚生年金保険の加入期間が1カ月でも受給できます。会社員や公務員等が加入する厚生年金保険には、国民年金と厚生年金の加入期間の両方が含まれますので、会社員であった期間が10年に満たないからといって、老齢厚生年金の受給ができなくなるわけではありません。

【年金の受給イメージ】

年金の種類第1号被保険者
(自営業等)
第2号被保険者
(会社員/公務員等)
第3号被保険者
(被扶養配偶者)
1階:
国民年金
老齢基礎年金:年間約78万円(満額)
2階:
厚生年金保険・共済組合
老齢厚生年金:
収入と加入期間による
3階:
確定給付企業年金等
個人型確定拠出年金企業型確定拠出年金
確定給付企業年金等

【受給条件】

  • 国民年金の受給資格期間が10年以上
  • 国民年金の受給資格を満たしていれば、厚生年金保険の加入期間応じて上乗せ

なお、以前は受給資格期間は最低25年とされていました。2017年8月より社会保険改革が行われ、年金を受給するのに必要な加入期間が25年から10年へと引き下げられています。

参考:必要な資格期間が25年から10年に短縮されました|日本年金機構

受給の条件である「受給資格期間」に含まれるもの

受給資格期間には、保険料を納付した期間に合わせ、以下のような免除期間も含むことができます。

【資格期間に含むことができる期間】

  • 国民年金の保険料を納めた期間や免除された期間
  • 厚生年金保険(船員保険も含む)、共済組合などの公的年金制度の加入期間
  • 合算対象期間

合算対象期間とは、「カラ期間」と呼ばれるもので、過去に国民年金に加入していない場合でも、受給資格期間に含むことができる期間をいいます。具体的には、以下の期間が該当します。

【合算対象期間(カラ期間)に含むことができる期間の代表例】

  • 昭和61年3月以前にサラリーマンの配偶者だった期間
  • 昭平成3年3月以前に学生だった期間
  • 昭海外に住んでいた期間
  • 昭脱退手当金の支給対象となった期間

参考:年金ニュース 第2号|厚生労働省

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厚生年金への加入期間が10年未満の場合はどうなる?

会社員の期間が短く、厚生年金保険に加入していた期間が10年未満でも、前述のように国民年金の加入期間と合わせて10年を超えていれば、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取れます。

しかし、すべての加入期間を合わせても、保険料を納付した期間が10年に満たず、年金がもらえないのではと不安になる方もいるかもしれません。その場合は、受給資格期間に含められる期間があるかどうか、以下を参考に確認してみましょう。

免除期間やカラ期間も計算する

受給資格期間には、上述のように保険料を納付した期間だけではなく、免除期間や合算対象期間(カラ期間)も含むことができます。たとえば、大学生等は20歳から社会人になるまで、免除申請をする方もいます。また、海外に居住していた期間も含むことができます。保険料を免除してもらっていた期間や、合算対象期間になる期間に心当たりがないかもよく思い出し、対象となる期間があればすべて合算して、10年という受給資格期間を満たすのか、もう一度確認してみましょう。

過去にさかのぼって保険料を納付する

あともう少しにも関わらず、受給資格期間が足りないという方は、過去にさかのぼって保険料を納付することで、受給資格を満たすことができる場合もあります。過去2年間であれば支払い忘れた国民保険の保険料を納付することが可能です。

なお、過去には特例として「10年後納制度」及び「5年後納制度」が実施されていましたが、前者は2015年、後者は2018年をもって終了しています。

参考:国民年金保険料の後納制度|日本年金機構

60歳以上から加入期間を増やす

国民年金や厚生年金保険は、原則として20歳から60歳の間に加入するものですが、未納や未加入などで受給資格期間が満たない方は、本人の申し出により60歳以上でも保険料を納めることができる制度があります。

国民年金の任意加入制度

60歳以上65歳未満の方が対象です。申し出により、国民年金の保険料を納付し、受給資格期間を増やすことができます。なお、制度の利用には「老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていない」「申し出時点で厚生年金保険に加入していない」などの条件があります。

65歳まで任意加入してもなお、65歳以上70歳未満で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない方は、1965年4月1日以前生まれの方であれば、受給資格期間を満たすまで任意加入が可能です。

厚生年金保険の高齢任意加入制度

会社員でも原則として70歳になると加入資格を喪失します。しかし、70歳になっても受給資格期間が10年に満たない方は、在職中であれば申し出により期間を満たすまで厚生年金保険に加入することが可能です。ただし、この場合、勤務先の同意が得られないと保険料が労使折半とならず、全額自己負担となることに注意しましょう。

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厚生年金の注意点

国民年金から支給される老齢基礎年金の計算方法はシンプルです。40年間納付して満額で年間約78万円(令和4年の満額777,800円)。保険料の納付期間が短くなれば、それに比例して年金額も減少します。仮に、保険料納付期間が10年(120カ月)とすれば、年金額は年間19.4万円となります。

一方、厚生年金は、保険料を納付した期間にこれまでの収入額を乗じて年金額を算出します。受給資格期間が10年あれば、厚生年金保険の加入期間が1カ月でも老齢厚生年金が支給されます。しかし、金額は納めた保険料に応じたものになるため、厚生年金保険の加入期間が15年や20年と短い場合は、受け取れる年金額が少なくなります。また、独身か加給年金の対象者となる配偶者や子供がいるかによっても年金額は変動します。

老後に受け取る年金額をシミュレーションする際には、受給資格期間を満たしたかどうか以外に、自身が保険料を納付した期間と、老齢厚生年金の計算方法を踏まえて考える必要があります。

厚生年金の支払い期間が10年、15年や20年と短い場合

老齢厚生年金の受給金額は、以下の式で算出されます。

老齢厚生年金の受給額 = 報酬比例部分の年金額 + 経過的加算 + 加給年金額

このとき、年金額のおおもとになるのは「報酬比例部分の年金額」です。これは、給与等の報酬をもとにした「平均標準報酬月額」や「平均標準報酬額」に既定の式を当てはめて計算します。原則となる老齢厚生年金の計算式からシミュレーションしてみましょう。

2003年3月以前

平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × 2003年3月以前の加入月数

2003年3月以後

平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 2003年4月以後の加入月数

たとえば、月額の報酬が30万円前後の会社員で平均標準報酬月額を「30万円」とした条件(2003年3月以後に社会人になったと仮定)で、納付期間ごとに老齢厚生年金の受給額を算出してみましょう。

厚生年金保険の納付期間老齢厚生年金の支給額
10年(120カ月)197,316円(月額16,443円)
15年(180カ月)295,974円(月額24,664円)
20年(240カ月)394,632円(月額32,886円)

老齢厚生年金は、加入期間の収入額が大きく、納付した期間が長いほど受給金額も大きくなることがわかるでしょう。

配偶者がいる場合は厚生年金の受給金額が変わる?

厚生年金保険に加入している方が、一定の条件を満たした場合、老齢厚生年金の受給金額が上乗せになります。これを、加給年金額といいます。

加給年金額の対象となるのは、厚生年金保険(または共済組合等)の被保険者の期間が原則として合計で20年以上ある方です。本人が65歳に到達した時点(または特別支給の老齢厚生年金の定額部分が受給できる年齢に達した時点)において、生計を維持している配偶者や一定の条件を満たす子供がいる場合に、年金額が加算されます。

配偶者は、65歳未満であることが条件です。上乗せされる老齢厚生年金は年額223,800円(令和4年時点)となっています。さらに、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、33,100円から165,100円の特別加算も加わります。

加給年金額は、「配偶者が65歳に達した場合」「配偶者の被保険者期間が原則20年以上ある老齢厚生年金や退職共済年金の受給権を有する場合」「障害年金を受けている間」は、支給が停止されます。また、本人の加給年金額の停止後、一定の条件を満たした場合には、配偶者の老齢基礎年金額に加算がつく振替加算があります。

参考:老齢年金ガイド(令和4年度版)|日本年金機構

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受給資格期間が10年あれば厚生年金は受取れる

国民年金と厚生年金保険の加入期間が10年以上であれば、老後に老齢基礎年金、老齢厚生年金の両方を受け取ることが可能です。もし10年に満たない場合でも、任意加入制度を活用することによって、年金を受け取れるようにする方法があります。

受給資格期間には、保険料を納付した期間だけでなく、免除期間や合算対象期間なども含まれますので、自身の期間がどれくらいあるかを確認し、老後の年金をシミュレーションしてみるのがいいでしょう。

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よくある質問

厚生年金の受給に必要な加入期間は何年ですか?

受給資格期間10年という、老齢基礎年金の受給条件を満たしていれば、厚生年金保険の制度で支払われる「老齢厚生年金」を受け取れます。受給資格期間には保険料を納付した期間のほか、免除期間なども含まれます。詳しくはこちらをご覧ください。

厚生年金保険の加入期間が10年未満の場合、厚生年金は受給できませんか?

国民年金と厚生年金保険の加入期間を合わせて10年以上で、老齢厚生年金の受給資格を満たすことになります。また、10年に満たない場合でも、60歳以降に任意加入制度を利用して加入資格を満たすことが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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