• 更新日 : 2026年4月13日

育休からの職場復帰はどうする?復帰の流れや復帰前にすべき準備を解説

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育児休業からの職場復帰は、従業員にとっても企業にとっても大きな節目です。期待と不安が入り混じるこの時期をスムーズに乗り越え、仕事と育児を両立しながらキャリアを継続していくためには、周到な準備と正しい知識が不可欠です。

この記事では、育休取得者と企業担当者の双方に向けて、復帰までの流れ、家庭と仕事それぞれの準備、そして企業側の受け入れ体制まで、わかりやすく解説します。

育休から職場復帰の流れ

まず、復帰までの一般的な流れ、特に重要な「復帰前面談」、そして煩雑になりがちな「行政手続き」の概要について解説します。

復帰までのタイムライン

育休からの復帰準備は、早めに始めることが大切です。復帰までの期間をいくつかのフェーズに分け、それぞれの段階で取り組むべき主要なアクションを把握しておきましょう。

  • 育休中期(復帰半年前~)
    保育園の情報収集・申し込み準備、会社との初期連絡、キャリアプランの検討。
  • 復帰3ヶ月前
    保育園の決定・慣らし保育の検討、会社との具体的な話し合い開始、家庭内の準備開始。
  • 復帰1ヶ月前
    復帰前面談の実施、生活リズムの調整、持ち物・服装の準備。
  • 復帰直前・直後
    最終確認と心構え、職場への挨拶・情報共有。

各ステップで「なぜそのタイミングでそれを行うのか」を理解することが、主体的な準備行動に繋がります。

復帰前面談

育休からのスムーズな職場復帰において、復帰前面談は極めて重要な役割を果たします。この面談は、従業員と会社が復帰後の働き方や期待役割について具体的なすり合わせを行い、相互理解を深めるための貴重なコミュニケーションの機会です。

一般的に、復帰前面談は復帰の1~2ヶ月前に行われることが多いです。企業によっては複数回実施するケースもあります。会社から案内がない場合でも、従業員側から積極的に面談の機会を設けるよう申し出ることが推奨されます。

面談では、復帰時期、勤務時間、担当業務の内容といった物理的な条件だけでなく、従業員自身のキャリアに対する考えや仕事への意欲、育児との両立に関する不安や希望などを率直に伝えることが大切です。会社側も、受け入れ体制や期待する役割、必要なサポートについて具体的に説明することで、復帰後のミスマッチを防ぎます。

行政手続き

育休の取得から職場復帰にかけては、社会保険料の免除や育児休業給付金の受給、復帰後の給与変動に伴う手続きなど、いくつかの行政手続きが必要になります。これらは従業員の経済的支援や将来の年金額にも関わるため、正確に把握し、遺漏なく進めることが重要です。

手続き名 主な担当者 主な提出書類・行うこと 主な提出先・相手先 時期の目安
育児休業申出 従業員 育児休業申出書(社内様式) 会社 育休開始1ヶ月前まで
育児休業取扱通知書の交付 会社 育児休業取扱通知書(社内様式) 従業員 申出受理後速やかに
育児休業等取得者申出書(新規・延長)の提出 会社 健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書 日本年金機構、健康保険組合 育休開始後速やかに
育児休業給付金の申請 従業員・会社 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書など ハローワーク 初回は育休開始から4ヶ月以内など
育児休業終了時報酬月額変更届の提出 会社(従業員申出) 健康保険・厚生年金保険 育児休業終了時報酬月額変更届 日本年金機構、健康保険組合 復帰後3ヶ月間の給与が確定し、条件を満たした場合
養育期間標準報酬月額特例申出書の提出 会社(従業員申出) 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書など 日本年金機構 復帰後速やかに
育児休業復職届の提出 従業員 育児休業復職届(社内様式) 会社 復職時

上記は主要な手続きであり、個別の状況や会社の規定によって異なる場合があります。不明な点は、会社の人事担当者や専門機関に確認しましょう。

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【家庭編】育休からの職場復帰準備

職場復帰は生活に大きな変化をもたらします。仕事と育児をスムーズに両立させるためには、復帰前に家庭内でしっかりと準備を整えておくことが不可欠です。

預け先の確保と慣らし保育

子どもの預け先の確保は最重要準備の一つです。自治体の保育園情報を収集し、見学に参加するなどして、家庭の方針に合った園を選びましょう。

預け先が決まったら「慣らし保育」の計画です。子どもだけでなく親も新しい生活リズムに慣れるための重要な期間で、通常1~2週間程度です。復帰日だけでなく、慣らし保育の期間も考慮してスケジュールを調整しましょう。万が一に備え、ベビーシッターやファミリー・サポート・センターなどの代替の預け先も調べておくと安心です。

育児分担の見直し

職場復帰後の生活は時間的制約が大きくなります。仕事と育児・家事を一人で抱え込まず、家族全員で協力体制を築くことが鍵です。

特にパートナーとは、復帰前に家事・育児の分担について具体的なルールを決めましょう。朝の準備、送迎、食事、寝かしつけ、病気の時の対応など、タスクをリストアップし、担当を明確にします。祖父母など頼れる親族がいれば、どの程度協力を得られるか事前に相談しておきましょう。家事代行サービスや食材宅配などの外部サービス活用も検討し、家族みんなが笑顔で過ごせるバランスを見つけましょう。

復帰後の生活リズムのシミュレーション

職場復帰後の生活は時間に追われることが予想されます。事前のシミュレーションと準備が有効です。

復帰後の平日と休日のタイムスケジュールを具体的に作成し、可能であれば復帰数週間前から実際にそのスケジュールで生活してみましょう。問題点を発見し、事前に対策を講じることができます。通勤服や仕事道具の準備、美容院に行くなどの身だしなみも忘れずに。

自身の体調管理とメンタルケア

育児と仕事の両立を支える最も重要な基盤は、本人の心身の健康です。十分な睡眠時間の確保を最優先し、栄養バランスの取れた食事も重要です。

復帰に対する不安やストレスは誰にでもあります。その感情を認め、信頼できる人に話を聞いてもらったり、リフレッシュできる趣味の時間を持ったりしましょう。不安が強い場合は、専門家のサポートを頼ることも考えましょう。自分自身を大切にすることが、結果的に家族のため、仕事のパフォーマンスのためにも繋がります。

【仕事編】育休からの職場復帰準備

育休からのスムーズな職場復帰と業務への適応のためには、仕事面での準備も計画的に進めることが重要です。会社とのコミュニケーション、情報収集、社内制度の確認、スキルやマインドセットの準備について解説します。

復帰時期、働き方の希望を伝える

会社との円滑なコミュニケーションは最も重要です。復帰前面談では、復帰希望日(慣らし保育期間も考慮)、勤務時間(フルタイムか時短か、フレックスや在宅勤務の希望など)、業務内容について具体的に伝えましょう。

希望を伝える際は、一方的な要求にならないよう、理由を添え、会社側の状況も理解しようと努める姿勢が大切です。貢献意欲を示すために、限られた時間でどのように成果を出したいか、前向きな姿勢を伝えることも有効です。

社内・業務の知識アップデート

育休中に社内の状況や担当業務の情報が大きく変化している可能性があります。復帰後にスムーズに適応するため、事前の情報収集が不可欠です。

組織変更、人事異動、新しいプロジェクト、導入された新ツールなどを、復帰前面談や信頼できる上司・同僚を通じて確認しましょう。担当業務に関連する知識やスキルもアップデートします。業界動向、法改正、新技術などをキャッチアップするため、専門書を読んだりオンライン講座を受講したりするのも良いでしょう。

利用できる社内制度の確認

育児と仕事の両立を支援するため、多くの企業では法定制度に加え、独自の支援制度を設けています。これらを事前に把握し、活用することがスムーズな両立生活に繋がります。

勤務先の就業規則や育児・介護休業規程を確認し、利用条件、申請手続き、給与・賞与・評価への影響などを具体的に把握しましょう。特に、時短勤務の場合の社会保険料や将来の年金額への影響(育児休業等終了時報酬月額変更届、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置など)は正しく理解しておくことが重要です。

復帰に向けたスキルアップ

育休期間はキャリアを見つめ直し、自己成長のための時間と捉えることも可能です。オンライン講座で専門知識を深めたり、語学学習に取り組んだり、資格の勉強を始めるのも良いでしょう。

復帰に対する不安は誰にでもあるものです。不安を認め、具体的に何が不安なのかを書き出すと対策を考えやすくなります。社内にロールモデルとなる先輩がいれば話を聞いたり、同じように復帰した同僚や友人と情報交換したりするのも良いでしょう。復職する上で楽しみなことをリストアップするのも、ポジティブな気持ちを高めるのに役立ちます。

育休からの復帰で会社側が準備すること

従業員の育休からの円滑な復帰は、組織全体の活力維持にも繋がります。企業の人事担当者や管理職は、復帰する従業員が安心して仕事と育児を両立できるよう、法的な義務を遵守しつつ、きめ細やかなサポート体制を整えることが求められます。

法的義務の確認

企業が育休復帰者を迎えるにあたり、まず遵守すべきは育児・介護休業法に定められた法的義務です。

  • 不利益取扱いの禁止
    育児休業の申出・取得を理由とする解雇、降格、減給、不利益な配置転換など、あらゆる不利益な取扱いを禁止しています。
  • 原職復帰の原則への配慮
    厚生労働省の指針では、「育児休業後においては、原則として原職または原職相当職に復帰させるよう配慮すること」とされています。

企業は、これらの法的義務を遵守し、従業員の権利を尊重する姿勢を示すことが重要です。

復帰前面談とヒアリング項目

育休復帰者への円滑な支援の第一歩として、復帰前面談の実施は不可欠です。復帰の1~2ヶ月前が一般的なタイミングですが、複数回実施することも有効です。

会社側からは、復帰時期・条件(勤務時間、残業可否など)、業務関連(希望、スキル状況、キャリアプラン)、家庭状況・保育(保育園、緊急時対応)、健康状態、その他希望・不安などをヒアリングします。従業員が安心して本音を話せる雰囲気づくりを心がけ、丁寧なヒアリングと建設的な対話を行いましょう。

受け入れ体制の整備と情報共有

従業員が育休からスムーズに職場復帰し、早期に戦力となるためには、会社側の受け入れ体制の整備と適切な情報共有が不可欠です。

  • 業務引継ぎと環境整備
    復帰後の部署・担当業務を決定・通知し、丁寧な引継ぎ準備(資料、OJT担当者、スケジュール)と業務環境(デスク、PC、アカウント)を整えます。
  • 情報共有
    育休中の従業員にも会社の状況や業務関連情報を定期的に共有し、復帰後の情報格差による戸惑いを軽減します。復帰後はチーム内での情報共有を密にします。
  • 職場環境への配慮
    歓迎の雰囲気づくり、相談しやすい環境、周囲の従業員への理解促進のための働きかけも重要です。

育休復帰支援プラン

「育休復帰支援プラン」は、個々の従業員の状況に合わせ、育休取得前から復帰後までの支援内容を具体的に計画するものです。厚生労働省のマニュアルも参考に、情報収集、面談、プラン作成、周知・共有、実行とフォローアップのステップで進めます。このプランの策定・実行は、両立支援等助成金の対象となる可能性もあります。

柔軟な働き方の導入・提案

育児中の従業員が仕事と家庭を両立しやすくするためには、柔軟な働き方の選択肢を提供することが重要です。

  • 法定の短時間勤務制度
    3歳未満の子を養育する従業員からの申し出があった場合、原則1日6時間に短縮する措置を講じる義務があります。
  • 多様な働き方の選択肢
    テレワーク、フレックスタイム制、時差出勤、子の看護休暇・時間単位の年次有給休暇などを導入・提案します。
  • 導入・提案時の留意点
    公平性の確保、業務への影響検討、評価制度の整備、従業員への丁寧な説明と意向確認が必要です。

社内への周知と理解促進

育児休業制度や両立支援制度を整えるだけでなく、社内全体でこれらの制度や育児中の従業員の状況に対する理解を深め、協力的な職場風土を醸成することが最も重要です。

制度の周知徹底(社内イントラ、説明会、ハンドブックなど)、理解促進と意識改革(経営層からのメッセージ発信、管理職研修、体験談共有、ハラスメント防止研修など)に取り組みましょう。「くるみんマーク」などの認定制度活用も有効です。

育休からの職場復帰は、家族も会社も充分な準備が大切です

育児休業からの職場復帰は、従業員にとっては新たな生活のスタートであり、企業にとっては貴重な人材の復帰という重要な局面です。従業員にとっては、事前の情報収集と計画的な準備、そして家族や会社との積極的なコミュニケーションが、スムーズな復帰と仕事と育児の両立を実現するための鍵となります。

企業にとっては、法的義務の遵守はもちろんのこと、復帰する従業員が安心して能力を発揮できるような環境整備と、柔軟な働き方の提供、そして社内全体の理解促進が求められます。育休からの職場復帰は、従業員と企業が共に成長し、より良い関係を築くための機会でもあります。

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