• 更新日 : 2022年1月28日

妊娠・出産前後に使える労務の制度を解説!

妊娠中、出産前後の休業、復職後にはこんな制度が使えます

妊娠して、出産、休業そして復職して子が一定の年齢に達するまで、妊産婦の母体保護・育児と仕事の両立のために様々な制度が整備されています。いずれも法定の制度であり、「就業規則にない」からといって会社は制度の利用を拒むことはできません。

1.妊娠中から出産・産後まで
2.育児休業
3.復職後

各タイミングに分けて説明していきます。

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妊娠中から出産・産後までの制度

1.妊産婦が産休に入る前に利用できる制度

以下の制度は、会社に申し出れば、利用できます。

  • 妊娠週数に応じた回数の健康診査等の受診に必要な時間の確保
  • 時間外労働、休日労働、深夜業(午後10時~午前5時までの労働)の免除
  • 軽易な業務への変更

以下の制度は主治医の指導があった場合に会社に申し出て利用できます。

  • 主治医からの指導事項を守るための休憩時間の延長、勤務時間の短縮、作業の制限、休業等の必要な措置
  • 通勤緩和のための措置(時差出勤、勤務時間の短縮、交通経路の変更など)
  • 主治医からの指導事項は、母性健康管理指導事項連絡カードに記入してもらい、会社に対応をお願いしましょう。

2.妊産婦の産前・産後休業

a.産前休業
出産予定日を含む6週間(双子以上の場合は14週間)前から、請求すれば休業できます。請求の期限は定められていませんが、早めに会社に相談しましょう。

b.産後休業
産後8週間は原則として働けません。本人の申し出がなくても会社は本人を休ませなければいけません。なお、6週間経過後に本人が希望し、医師が支障がないと認めた業務については、働くことができます。産後8週間又は6週間は、出産日の翌日から数えます。

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育児休業の制度

原則として子が1歳になるまで、従業員が希望する期間休業することができます。妊産婦本人に限らず、配偶者も利用することができます。

1.休業期間の例外

「子が1歳になるまで」という期間には、次の例外があります。

a.パパ・ママ育休プラス
両親ともに育児休業をする場合で、一定の要件を満たす場合には、通常は子が1歳になるまで取得できる育児休業を子が1歳2か月になるまでの間取得することができます。ただし、育児休業の期間は親1人につき1年間が限度です。

b.保育所等に入れない場合など、一定の場合には1歳6か月又は2歳まで、育児休業を延長することができます。

2.特に注意すべき点

  • 就業規則の定めの有無を問いません。法定の制度であり、従業員が事業主に申し出ることによって取得できます。
  • 従業員の性別を問いません。
  • 配偶者が専業主婦や専業主夫であっても取得できます。

有期契約労働者でも申し出の時点で次の2つの要件を満たせば取得できます。

  1. 入社1年以上
  2. 子が1歳6カ月(再延長の場合は2歳)になるまでに契約更新されないことが明らかでない

※ただし、労使協定により以下の労働者は対象外とされている場合があります。

  • 入社1年未満
  • 申出の日から1年(1歳以降の休業の場合は6カ月))以内に雇用関係が終了する
  • 週の所定労働日数が2日以下
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復職後の制度

妊産婦が復職してから育児と仕事を両立するために使える制度には以下にあげるものがあります。
いずれも従業員が申し出ることによって利用できます。配偶者が専業主婦(専業主夫)でも利用できます
有期契約労働者(日々雇用される労働者を除く)でも利用できますが、労使協定により適用対象外とされる場合があります。(入社6カ月未満又は1年未満、1週間の所定労働日数が2日以下、時間単位での取得が困難な業務従事者等)

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合

  • 時間外労働の制限:事業主は制限時間(1か月24時間、1年150時間)を超えた時間外労働を指示してはならない(但し、事業の正常な運営を妨げる場合を除く。)
  • 深夜業の制限:事業主は午後10時~午前5時(深夜)に労働させてはならない(但し、事業の正常な運営を妨げる場合を除く。)
  • 子の看護休暇:1年度に5日(子が2人以上の場合は10日)まで、事業主への申し出により、病気、けがをした子の看護又は子に予防接種、健康診断を受けさせるために、休暇(1日又は時間単位)の取得が可能。(日々雇用される労働者は除く。但し、労使協定により適用対象外とされる場合がある(入社6ヶ月未満、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者))

【その他、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置(努力義務)】

①1歳に満たない子を養育する労働者で育児休業をしていない労働者

  • a.始業時刻変更等の措置

②1歳から3歳に達するまでの子を養育する労働者

  • a.育児休業に関する制度
  • b.始業時刻変更等の措置

③3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者

  • a.育児休業に関する制度
  • b.所定外労働の制限に関する制度
  • c.短時間勤務制度
  • d.始業時刻変更等の措置

引用:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

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「就業規則にない」は理由にならない

上述の制度はすべて、妊産婦の母体保護や出産・育児と仕事の両立支援のための法定の制度です。「就業規則にない」は理由にならず、また、制度を利用したことで解雇や降格、その他の不利益取り扱いをすることは禁止されています。
会社によっては法定の制度以上の定めをしてるところもありますので、自社の就業規則を確認し、制度をよく理解しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。

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