- 更新日 : 2021年11月4日
マイナンバーと基礎年金番号
マイナンバー制度は、さまざまな行政機関に分散している情報を連携させることで、行政手続の効率化や、適正かつ公平な課税、社会保障の適正な給付に役立てられるものです。
マイナンバー制度を導入する準備のさなか、日本年金機構から個人情報が流出するという心配な事件が起こりました。当初の計画では、マイナンバーを基礎年金番号と連結して、公的年金の分野でもマイナンバーを活用する予定でしたがこの事件を受けて導入が遅れてしまいました。
マイナンバー制度について
まず、マイナンバー制度の概要について確認しましょう。
マイナンバーとは
マイナンバーとは、乳幼児や外国籍の人も含めて国内に住むすべての人に割り振られる12ケタの番号のことです。個人の番号が漏えいして不正に使用される恐れがある場合を除いて、生涯同じ番号を使い続けます。
個人の所得や年金支給額といった情報は、それぞれの行政機関で分散して管理されています。そのため、これまでは行政手続きに数多くの添付書類が必要となり、各自取り寄せなければなりませんでした。
マイナンバー制度のもとでは、それぞれの行政機関で管理されている情報が、国が管理する情報ネットワークに接続されます。行政機関ではマイナンバーを通じて個人情報を参照することができるため、これまで求められていた添付書類の多くは不要になります。
(出典:マイナンバー社会保障・税番号制度概要資料pdf)
マイナンバー制度の導入によって行政手続の効率化が期待できる一方で、情報漏えいの危険性が心配されます。また、行政機関によって個人情報が一元管理されるのではないかという懸念も聞かれます。
しかし、マイナンバー制度では、個人情報をある特定の機関に集約して一元管理するのではなく、これまでどおりそれぞれの行政機関で管理する仕組みをとっています。このようにすることで、もし、一部の行政機関から情報が漏れることがあっても、ほかの行政機関にある個人情報が芋づる式に漏れることを防ぎます。
マイナンバーは、さまざまな行政機関で管理されている情報を参照するカギの役割を果たします。ほかの行政機関の情報を参照するときは、マイナンバーは符号に変換されることになっており、より高い安全性を確保しています。
マイナンバーと基礎年金番号の連結
マイナンバー制度では、各行政機関が別々に管理している情報が、国が管理する情報ネットワークを通じて相互接続されます。
公的年金分野での活用に必要なマイナンバーと基礎年金番号の連結については、2016年11月からはじまりました。
日本年金機構からの個人情報流出を受けて延期へ
2015年6月、日本年金機構の端末に外部からの不正アクセスがあり、約125万件の個人情報が流出したことが明らかになりました。流出した情報は、基礎年金番号、氏名、生年月日、住所といずれも重要な個人情報でした。
日本年金機構では、情報の流出が確認された人に対して謝罪し、基礎年金番号を変更するという対応を行いました。
この事件を受けて、現状のままマイナンバーと基礎年金番号を連結することに不安の声が上がりました。そのため、安全が確保できるまでの間、マイナンバーと基礎年金番号の連結を延期されていました。
マイナンバー導入は年金記録問題がきっかけだった
急に決まった印象もあるマイナンバー制度ですが、実は40年以上前から検討が続けられてきました。
1980年、国民一人ひとりに番号を割り振る「グリーンカード」の導入が決められましたが、反対意見が多く実現しませんでした。その後も制度の検討が続けられたものの、反対意見が根強く議論は進みませんでした。
番号を導入する機運が高まったきっかけは、2007年に明らかになった「年金記録問題」でした。当時の社会保険庁の年金記録がずさんだったことで、受け取れるはずの年金が受け取れなくなっていたなど、大きな問題となりました。
その後、税と社会保障の一体改革が進められた結果、マイナンバー制度が導入されることになりました。
まとめ
2016年1月からマイナンバーの利用が始まりました。2016年11月には基礎年金番号と連結され、マイナンバーによる年金相談が行われています。
しかし、まだまだ、マイナンバー制度に対する理解が進んでいるとはいえません。行政側が情報の発信に努めるのはもちろんのこと、私たちも最新情報をチェックするなど、関心を持って接する必要があります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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