• 更新日 : 2021年6月11日

年末調整と離婚との関係

男性、女性に限らず、また、未婚・離別・死別に限らず、ひとりで子である扶養家族がいる人で一定の要件を満たす人は「ひとり親」として所得控除ができるようになりました。ひとり親控除は2020年分の年末調整から新設された制度の一つです。

夫と離婚したり、夫が亡くなった(生死の明らかでない場合も含む)後に、再婚していない女性を寡婦といいますが、寡婦控除の制度も見直されました。

「ひとり親控除」は、ひとりで子どもを育てることになった場合、苦しい経済状況や生活状況に対しての税額負担軽減の優遇措置となります。(2019年分以前には、寡婦控除・寡夫控除でしたが改正されました。)

控除を受けるには、年末調整の際に「ひとり親控除」又は寡婦控除の申請をする必要があります。

ここでは、男女を問わず未婚・離婚・死別により「ひとり親」になった女性や男性や「寡婦」となった一定の人を対象にした年末調整時の取扱いについて説明します。

年末調整におけるひとり親控除・寡婦控除とは?

ひとり親控除とは、納税者が「ひとり親」に該当する場合、一定の控除額が上乗せされ、それを所得から差し引くことができる制度です。

2019年分までは寡夫控除がありましたが、2020年分の確定申告からはなくなりました。さらに寡婦控除については見直しがありました。

年末調整でひとり親控除・寡婦控除が受けられる条件と控除額

ひとり親控除が受けられる条件は、女性も男性も同じです。

それぞれの条件と控除額は、次のとおりです。

現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死が明らかでない人で、次の3つの要件のすべてにあてはまる人をひとり親といい、35万円の所得控除を受けることができます。

  1. 生計を一にする扶養家族である子(所得48万円以下)があること
  2. 所得が500万円以下であること
  3. その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと

3番目の要件は、住民票の続柄に未届の夫(又は妻)と記載されていないということです。

また、寡婦控除は次のいずれかにあてはまる人について適用され、27万円の所得控除を受けることができます。

  1. 夫と離婚した後婚姻をせず、扶養親族がいる人で合計所得が500万円以下の人
  2. 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない人で、合計所得が500万円以下の人

【参照】財務省|令和2年度税制改正より

2019年までの寡夫控除については、ひとり親控除に吸収される形となりました。

年末調整でのひとり親控除・寡婦控除の申告の記載方法は?

年末調整では、自身がひとり親又は寡婦であることを申告します。

ひとり親控除・寡婦控除を受けるためには、年末調整の際に会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入します。

記入の方法はとてもシンプルで、令和3年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の中央付近にある「主たる給与から控除を受ける」となっている欄の一番下にある「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄に書かれた□ 寡婦、又は□ひとり親にチェック印をつけます。

ひとり親控除により、いままで控除を受けることができなかったひとり親の人には朗報ですので、控除の要件をきちんと理解し、年末調整でのチェック漏れなどがないように、しっかりと確認して申請しましょう。

ひとり親控除・寡婦控除の注意点とは?

その年の12月31日時点でひとり親・寡婦かどうかが、控除対象となるかの判断基準です。そのため、年の途中で離婚や死別以外だけに限らず、ひとり親になった場合は、その年の年末調整でひとり親控除や寡婦控除は受けられます。

ただし、ひとり親控除も寡婦控除も適用されるのは、所得が500万円以下に限られるので要注意です。

また、ひとり親・寡婦控除が指す「夫」や「妻」とは、民法上においての婚姻関係、いわゆる法的に結婚している関係以外が対象となります。しかし、事実婚でもパートナーについて住民票に未届の夫(又は妻)と記載されてなければひとり親に該当しますので注意してください。

まとめ

ひとり親になった場合、家庭の経済状況が悪くなってしまうケースが少なくありません。

ひとり親控除・寡婦控除は、そんな状況下での税負担を減らす優遇制度ですので、控除の要件をきちんと理解し、年末調整の際にしっかりと申告をするようにしましょう。

よくある質問

年末調整におけるひとり親控除とは?

納税者が「ひとり親」に該当する場合、一定の控除額が上乗せされ、それを所得から差し引くことができる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整でひとり親控除が受けられる条件と控除額は?

現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死が明らかでない人で、ある3つの要件のすべてにあてはまる人は35万円の所得控除を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整でのひとり親控除・寡婦控除の申告方法は?

年末調整の際に会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入します。詳しくはこちらをご覧ください。


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