- 更新日 : 2024年6月14日
半休(半日休暇)とは?時間有給との違いや使用理由を紹介!
半休とは、半日単位の年次有給休暇のことです。半休は労働基準法に規定されておらず、各企業が任意に設けるもので、短時間の用事を済ませる際などに活用できるため、従業員のワークライフバランス向上に有効です。この記事では半休の定義、半休の際の労働時間や休憩、残業等の注意点を解説しますので、制度を導入する際の参考にしてください。
目次
半休(半日休暇)とは?
半休(半日休暇)とは半日単位の年次有給休暇を指します。以下ではその定義などを解説します。
有給休暇の定義
有給休暇とは、一般的には労働基準法で定める年次有給休暇のことを指します。年次有給休暇は雇入れの日から6か月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に、年間に10日付与されます。継続勤務期間が長くなれば付与日数は増え、最大で年間に20日付与されます。
半休は労働基準法に定めがありません。同法では労働者の心身のリフレッシュのために年次有給休暇は1日単位で付与することが原則とされています。
法律上は半休の定めはありませんが、厚生労働省の通達では、以下を要件として、本来の1日単位の年次有給休暇取得の阻害にならない範囲で、半休を取得させることが可能です。
- 労働者による半休取得の希望と、時季(取得日)の指定
- 使用者が労働者の半休取得に同意
半休を1回付与すると、0.5日分の年次有給休暇を付与したことになります。
半休の付与は法的義務ではないため、半休制度を導入するかどうかは使用者が決定することが可能です。なお、半休制度を導入する場合には就業規則等に定める必要があります。
半休の時間における定義:何時間が半休になる?
半休は半日単位の年次有給休暇ですが、この「半日」とは具体的には何時間を意味するのでしょうか。
厚生労働省の通達では、1日の所定労働時間の2分の1とするのが原則とされていますが、必ずしもこの通りにする必要はなく、午前(9時~12時)、午後(13時~17時)という分け方でもよいことが例示されています。
原則に従って1日の所定労働時間を2分の1にする場合、1日の所定労働時間が8時間であれば半休を4時間とします。そして1日の前半を半休とする場合、後半を半休とする場合の始終業時刻を就業規則等で明確にします。
例えば1日の所定労働時間が8時間、始業時刻が9時、終業時刻が18時、休憩時間が1時間の場合、午前半休を9時〜13時、午後半休を14時〜18時の各4時間に設定することが可能です。
半休と時間有給の違い
半休と同様に1日単位で付与されない年次有給休暇として、時間有給(時間単位の年次有給休暇)が知られています。
半休と時間有給の主な違いは以下の通りです。
- 時間有給は労働基準法で定められており、制度を設ける際には労使協定を締結する必要がある。半休は労働基準法に規定されていない。
- 時間有給は1時間単位で付与することが可能で、年次有給休暇1日分が時間有給の何時間分にあたるかは1日の所定労働時間を基に定める。半休は1日の所定労働時間の半分などで付与する。
- 時間有給には上限(年間5日)が設けられている。半休には上限の定めはない。
- 時間有給は年次有給休暇の使用者による時季指定(年間5日)で付与できない。半休は使用者による時季指定で付与できる。
なお、休暇に関する事項は就業規則への記載が義務付けられているため、時間有給を設ける場合も半休を設ける場合と同様に就業規則への定めが必要になります。
従業員が半休を活用するケース・理由
従業員が半休を活用するケースや理由について、主なものを3点紹介します。
葬式や法事・子どもの発熱など家族に関わる急な出来事
家族や親族等の葬式や法事に参列する場合や、子供が急に発熱した場合など、短時間であっても休暇が取得できれば柔軟に対応できることがあります。このような場合に半休を取得することで、年次有給休暇を有効に消化することが可能です。
体調不良や通院
風邪や頭痛、腹痛などの体調不良で、比較的症状が軽く、薬を服用することで緩和する場合も、通常通りに出勤すると集中力の低下等で業務に支障することがあります。このような場合に半休を取得することも少なくありません。
また、定期的な通院などの際にも半休を取得することが多いです。半休の前後に働けるため、時間を有効に活用できる上、年次有給休暇の消化にもつながります。
旅行やリフレッシュ、帰省など
旅行やリフレッシュ、帰省などの際に、休日や通常の1日単位の年次有給休暇と半休を組み合わせて利用するケースもあります。土曜と日曜が休日の場合の金曜の午後や、月曜の午前を半休にするケースなどです。
宿泊施設は土曜の料金が高額に設定されていることが多いため、半休を取得して金曜や日曜に宿泊することで旅行代金の負担を軽減できます。また、半休の日に仕事をした後で週末に2泊して効率的に休暇を過ごすことで年次有給休暇を有効に消化できるでしょう。
半休における休憩と残業の扱い
休憩や残業は、労働基準法に規定されているため、半休を付与する場合もその内容に従う必要があります。
休憩は以下の通り規定されています。
- 労働時間6時間以内:付与しなくてもよい
- 労働時間6時間超、8時間以内:45分以上の付与義務
- 労働時間8時間超:1時間以上の付与義務
半休を取得する日であっても、半休の前後で6時間を超えて勤務する場合には休憩を付与する義務があります。残業については、労働時間が8時間を超える場合には割増賃金を支払うことが義務付けられています。
半休は労働時間の一部を年次有給休暇に充てる趣旨で付与されるものであるため、一般的に残業は避けるべきです。しかしながら、業務上突発的な対応が求められるケースには残業が発生するケースもあるでしょう。そのような場合には適切に割増賃金を支払う必要があります。
残業が発生するケースは午前半休を取得して、午後から出勤してそのまま8時間を超えて働くケースが多いと考えられます。
以下では、午前半休取得後、所定の終業時刻を超えて働いた場合の休憩や残業の考え方について例示します。
(例)所定労働時間が8時間(9時~18時)、休憩時間が1時間、午前半休が9時~13時で、その場合の始業時刻が14時、終業時刻が18時と規定されている場合
午前半休取得後、19時に退社した場合
実労働時間が5時間(14時〜19時)であり、休憩は付与しなくてもよく、割増賃金を支払う必要もありません。退社時刻が所定の終業時刻18時を過ぎ、残業が発生していても、実労働時間が8時間以下であるため割増賃金を支払わなくてもよいのです。
午前半休取得後、24時に退社した場合
実労働時間が6時間を超えるため、休憩を付与する必要があります。また、休憩を付与しても実労働時間が8時間を超えるため割増賃金の支払いが必要です。22時以降は深夜労働かつ時間外労働になるため、割増賃金率が5割以上になります。
半休の導入に関する注意点
半休制度を導入する際の注意点を3点、以下に解説します。
半休制度は法的に規定されていない
先述の通り半休制度は労働基準法で規定されていないため、各企業において任意に導入できます。
厚生労働省の通達によると、半休制度は通常の1日単位の年次有給休暇取得の阻害にならない形で運用することが求められています。
労働者が半休ではなく、1日単位の通常の年次有給休暇取得を請求しているにも関わらず、半休にするよう指示することは、労働基準法で定める年次有給休暇を正当な理由なく取得させないことになり、違法になります。労働者が半休の取得を申し込んだ場合に付与しましょう。
半休を取る場合の届出先・提出期日を明示化する
半休制度を導入する場合には就業規則等に定める必要があります。就業規則等には半休取得時の始終業時刻を明確に定めます。また、半休を取得する場合の届出先やその期日など、申込方法も明示する必要がありますが、通常の年次有給休暇と同じ定めにするのが一般的です。
従業員が不利益になる半休の扱いは禁止されている
半休制度は労働基準法に規定されていませんが、制度を設けた場合、半休自体は労働基準法に規定する年次有給休暇に他なりません。
労働基準法では、年次有給休暇を取得した従業員への賃金の減額等の不利益な取扱いは禁止されており、半休についても同様です。従業員が半休を申し込んでいるにも関わらず、半休ではなく1日単位の年次有給休暇の取得を強制すること等の不利益な取扱いはできないため、注意が必要です。
半休制度を正しく導入しよう
半休制度は労働基準法で導入が義務付けられていませんが、従業員が短時間の用事を済ませたり、休暇を有効活用したりできるなど、便利な制度と言えます。各企業が任意に導入できるため、未導入の場合は、従業員のワークライフバランス向上のためにも導入を検討してみてはいかがでしょうか。その際には、この記事で解説した注意事項に留意し、従業員とのコミュニケーションを図りながら正しく導入するよう留意してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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