• 更新日 : 2023年7月28日

トップマネジメントとは?役割や必要なスキルを解説

トップマネジメントとは?役割や必要なスキルを解説

トップマネジメントとは、組織の最上位に位置する個人・グループを指す言葉です。いわゆる中間管理職のミドルマネジメントの上位に属する経営者層や管理者層となる個人やグループであり、組織の方向性や経営戦略を決定し、組織を指揮・管理します。

ここでは、トップマネジメントの定義と求められる役割や必要なスキルなどについて解説します。

トップマネジメントとは?

トップマネジメントとは、企業の経営組織において最上位ランクにある個人または経営グループを指す言葉です。組織をマネジメントする層は、権限や役割をもとに「トップマネジメント」「ミドルマネジメント」「ロワーマネジメント」に分けられます。

トップマネジメントは、組織の根幹にかかわる業務を遂行したり、経営への重要な判断を下したりします。会長や代表取締役社長、副社長、常務や専務などの法人役員などが一般的にトップマネジメントに属し、ときには支店長や支社長などの重要なポストの人物が含まれることがあります。

なお、ISO(国際標準化機構)では、トップマネジメントのことを、組織を最高位で指揮・管理する個人やグループと定義していることから、「最高経営層」や「執行責任をもつ経営者」が該当します。具体的にどのような組織やポストの者がトップマネジメントに属するかは、企業によって定義が異なります。

トップマネジメントには、組織の生産性向上や業務効率化、リスク管理体制の構築を図るため、的確かつ迅速に判断し行動する能力が求められ、経営における最終的な責任はトップマネジメントが取ることになります。大きな責任と多様な役割を果たすために、トップマネジメントは、ワンマン社長のような個人プレイではなく、チームを組んで行うことが望ましいとも言われます。

ミドルマネジメントとの違い

トップマネジメントが経営判断を下すのに対して、ミドルマネジメントは決定事項を具体的な業務に落とし込む役割を担います。

日本では中間管理職と訳されるミドルマネジメントは、上と下からの板挟み的な苦しい役割を担うイメージが強くありますが、経営者と現場の橋渡し役を担う重要な存在になります。日本企業では、一般的に課長や部長の立場の人間がミドルマネジメントに当てはまり、部下の人材育成もミドルマネジメントの重要な任務です。

ロワーマネジメントはある?

ロワーマネジメントには、ミドルマネジメントの指揮・命令を受けて現場の業務を管理する立場の役職が当てはまります。チームリーダー、主任、係長といった職務が該当し、会社の方針に沿って、現場の実務を滞りなく遂行するのがロワーマネジメントの大きな役割です。

トップマネジメント体制の行うメリット

トップマネジメントが強い存在感を発揮する組織では、以下のようなメリットが考えられます。

組織戦略の明確化

トップマネジメント体制の組織では、組織のビジョンやミッションなどが経営戦略として強く打ち出されます。事業の理想とするべき姿が明確になることで、企業や事業の存在価値を従業員と共有することができ、個々の従業員の行動が明確になります。

トップマネジメントが決定した経営戦略が適切かつ効果的なものであれば、従業員の仕事へのモチベーション向上、ロイヤリティの向上といった効果が期待できます。

コンプライアンスの向上

トップマネジメントの経営に対するリスク管理体制が適切に発揮されることで、健全な組織運営が期待できます。なにかしらの重大なトラブルが発生した際、早期解決に向けて迅速な意思決定と行動ができるのは、トップマネジメントならではの強みです。

日頃から経営者や経営層があるべき姿を実践し、コンプライアンスやリスク管理に対する意識が内部統制に浸透することで、企業の信頼性の向上や組織のコンプライアンスの向上を図ることができます。

ステークホルダーとの関係強化

ステークホルダーに対する説明責任を果たし、投資家や外部の取引先と健全な関係を築くのもトップマネジメントの役割です。組織の顔として、公的行事に出席し、組織の影響力を高める役割も担います。

トップマネジメント体制を行うデメリット

オーストリア生まれの経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーは、トップマネジメントの組織にもたらす成果や、理想とする組織体制の在り方について解説しています。ドラッカーによれば、トップマネジメントを、一人で行うものではなく、グループとして行うべきものとしています。

もしも、トップマネジメントがワンマン社長のように一人で行われていたら、「部下は異なる意見を言えない」というようなイエスマンしかいない状況になってしまう恐れがあります。企業として、トップマネジメントは常に組織全体の最適化を考えなければなりません。

また、特定の経営者だけが大きな権力を有している場合、トップマネジメントによる暴走も考えられます。グループやチームで組織し、さまざまな知見や価値観を用いることで、組織の方向性が偏ることを防ぎ、経営の効率化を実践できるのです。

トップマネジメントの役割

トップマネジメントは、事業の方向性の明確化や、組織の最適な体制づくりを担います。

経営方針の明確化

トップマネジメントは、自社の事業成長のために、市場での立ち位置を明確にし、商品やサービスの差別化を図ることが求められています。トップマネジメントの判断が、自社の商品やサービスにおける市場のシェアに影響を与えます。したがって、トップマネジメントが決定した経営方針が、企業の未来を左右するといっても過言ではありません。

多様化する消費者のニーズや、日々変化する市場に対して高くアンテナを張り、事業を推進していく必要があります。

組織体制を構築する

トップマネジメントは、経営戦略を達成するために、資金をはじめ、人やモノといった経営資源を効果的に活用することが求められます。

資金調達からはじまり、適切な人材の配置、設備の整備、価値の高い商品やサービスの提供など、これらすべてはトップマネジメントの判断に基づき決定されます。経営資源が効果的に機能しているかを定期的に分析するのもトップマネジメントの役割です。

事業リスクに適切に対処する

予測不可能な時代において、企業は常になんらかのリスクにさらされています。世の中の仕組みが変化し、企業にに変革が求められることは日常茶飯事です。そのため、状況に応じて、社内体制の変更や働き方の変更が必要となるでしょう。

そうしたリスクを予測し適切に対応するとともに、事業に損失を与えるような事態が発生した場合、いち早く対処するのがトップマネジメントの役目です。

事業のサスティナビリティを実現させる

経営的な成長だけではなく、人材の育成や社会的貢献など、企業にはさまざまな役割が求められています。とくに近年では、ESG投資やSDGs推進のように、企業の社会責任や社会への貢献を重視する流れもあり、トップマネジメントは利益を出すことだけではなく、環境への影響や社会とのかかわりを考えなければなりません。

企業が持つ技術やノウハウを駆使し、新たな事業を確立したり、優秀な人材を育成したりと、サスティナビリティを実現させる必要があります。

トップマネジメントに必要なスキル

トップマネジメントには、経営に精通した知識や経験だけではなく、状況を冷静に分析する能力や、人を引き付ける人間力が求められます。

分析力

経営判断を担うトップマネジメントにとって分析力は必須のスキルです。経験をもとに培われる分析力もありますが、複雑な市場や経営状況を判断するために、統計の知識や経営学、ロジカルシンキングやマーケティングのフレームワークといった知識も欠かせません。

人間力

トップマネジメントには、部下や従業員を導くリーダーシップが欠かせません。従業員だけではなく、投資家や取引先との良好な人間関係を築くためにも、ヒューマンスキルが求められます。

決断力

複数の選択肢のなかから、最適なものを選ぶ決断力はトップマネジメントに重要なスキルの一つです。決断力とは、一度下した判断に責任を持つ揺るぎない決意でもあります。冷静な分析力や決断のあとの行動力、そして組織全体を巻き込む人間力など、トップマネジメントは総合的なスキルの高さが求められるのです。

企業成長に欠かせないトップマネジメント

社長や経営層など、いわゆる企業の「顔」が企業のイメージや経営の方向性を左右します。トップマネジメントの影響力は、組織内だけではなく組織外にも及ぶ大きなものです。

トップマネジメントに求められる役割やスキルと責任の重みを、当事者たちが理解した上で、自らの組織の成長を考えることが、企業の成長と発展につながります。


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