• 作成日 : 2022年8月26日

厚生年金の受給額はいくら?計算方法も解説

厚生年金の受給額はいくら?計算方法も解説

企業などに雇われている方のほとんどは、給与から社会保険料として年金や健康保険、雇用保険などを天引きされていることでしょう。このうち年金については、実際にはどのような仕組みで将来いくらもらえるのかなど、気になる方も多いのではないでしょうか。

いわゆる「勤め人」が加入している年金を「厚生年金」と言い、年金を納めた期間などによって将来支給される金額が計算されます。

この記事では、厚生年金の受給額や、その計算方法について詳しく解説します。

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厚生年金とは

日本の年金制度はよく「2階建て」と表現されます。1階部分は、20歳以上60歳未満の国民全員が加入する国民年金(基礎年金)です。それに加えて、会社員など事業所に所属して働く人(70歳未満)は厚生年金にも加入します。基礎である国民年金の上に厚生年金が重なる形になるため、「2階建て」というわけです。

国民年金の保険料は基本的に全員同じ額ですが、厚生年金の保険料は収入の額に定率を掛けた金額です。また、厚生年金の保険料は勤務先と本人で折半して支払います。

すなわち、厚生年金に加入している人は、国民年金の保険料と、厚生年金の保険料の半分を合算して毎月の給与から支払うのです。通常、給与から天引きされます。

もちろん、重ねて支払ったぶん、将来の受給額も2階建てとなり、国民年金だけを支払ってきた方よりは金額も多くなります。

厚生年金について、制度や社会保険としての意味、加入と受給開始の年齢などについて詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。



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厚生年金の平均受給額は?

年金には、高齢になってから受給する老齢年金、家族が亡くなったときに受給する遺族年金、病気やケガなどで障害の状態となったときに受給する障害年金があります。
ここでは、厚生年金受給の権利がある方のうち、受給者が全体のおよそ82.9%(令和2年)を占める老齢年金について、平均受給額をみていきましょう。
また、年金は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建て、と前に述べました。どの程度違うのか、老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給額をご紹介します。

参考:令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(10ページ・表5)|厚生労働省

老齢厚生年金の平均受給額

下記の表をご覧ください。受給権者とは、受給する権利のある方のことをいいます。

老齢厚生年金の令和元年(2019年)の受給権者数は1,599万人、受給者数は1,539万人で、受給権者のうち実際に受給している方は約96.2%です。一方、令和2年(2020年)は、受給権者数が1,610万人、受給者数は1,553万人で、受給権者の96.4%が受給しており、受給人数、割合ともに多少増加していることがわかります。

令和2年(2020年)の年金平均月額は、146,145円です。前年の令和元年(2019年)の金額は146,162円ですので、17円減少しています。
なお、この金額は2階建ての1階部分「国民年金(老齢基礎年金)」も含んだ額です。

 受給権者受給者受給平均月額
令和元年(2019)1,599万人1,539万人146,162円
令和2年(2020)1,610万人
(+11万人)
1,553万人
(+14万人)
146,145円
(-17円)

引用:[令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(10ページ・表6~8)]|厚生労働省

老齢基礎年金の平均受給額

では、すべての国民が加入している老齢基礎年金はどのくらいなのでしょうか。平均受給額をみてみましょう。
老齢基礎年金の令和2年の受給権者数は、3,422万人で前年よりも29万人増加、実際の受給者も、3,383万人で前年よりも28万人の増加となっています。
受給者の平均受給月額は、56,358円で、前年よりも309円増えるという結果になりました。

なお、年金はその年の物価や景気動向などに応じて支給額が改定されます。令和4年1月には、「令和3年平均の全国消費者物価指数」をもとに、0.4%の引き下げが決定し公表されました。

 受給権者受給者受給平均月額
令和元年(2019)3,393万人3,355万人56,049円
令和2年(2020)3,422万人
(+29万人)
3,383万人
(+28万人)
56,358円
(+309円)

引用:令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(21ページ・表19~21)|厚生労働省
参考:令和4年度の年金額改定についてお知らせします|厚生労働省

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厚生年金の受給額の計算方法

老齢基礎年金、老齢厚生年金の合計である年金の受給額は、厚生年金の加入期間や、20~60歳の40年間に支払った国民健康保険料の納付月数などに応じて計算されます。

ただし、年金を受けられる条件として、一定の資格が設けられています。これを受給資格期間といい、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算して10年以上とされています。

では、実際に受給額の計算方法をみていきましょう。

老齢厚生年金の計算方法

老齢厚生年金の金額は、以下の式で計算されます。

老齢厚生年金の受給額=報酬比例年金額+経過的加算額+加給年金額
  • 報酬比例年金額
  • 報酬比例年金額とは、厚生年金保険に加入していたときの報酬額や、加入期間などによって計算される金額のことです。
    報酬比例年額の計算方法は以下のとおりです。

    報酬比例年金額 = A + B
    A.平成15年3月以前の平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの加入月数
    B.平成15年4月以降の平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の加入月数

    標準報酬月額とは、保険料の決定に使用される1から32までの等級の、どの等級に当てはまるかを判断する月収のことです。毎年4~6月に支払われた給与の平均を計算し、年金事務所が決定します。

  • 経過的加算
  • 65歳になるまでに年金を受け取る方で昭和24年(女性は昭和29年)4月1日以前に生まれた方は、報酬比例年金額に加えて「定額部分」と呼ばれる年金を受け取れます。その方が65歳になったとき定額部分はなくなり、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることになりますが、当分の間は老齢基礎年金がこれまでの定額部分を下回る額になってしまうのです。そのため、これまでの定額部分と老齢基礎年金の差額が支給されます。これにより、65歳になって突然年金額が減ることを防いでいるのです。これを経過的加算といいます。

  • 加給年金額
  • 本人が定額の年金を受け取ることになった時点で、65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合、その年金で生計を維持している方の分として「加給年金」が支払われます。

  • 振替加算
  • 配偶者の加給年金を受けていてその配偶者が65歳になった場合、加給年金は受けられなくなります。このとき、要件を満たした場合には、加給年金のかわりに振替加算を受けることができます。

参考:老齢年金ガイド令和4年度版|日本年金機構

老齢基礎年金の計算方法

老齢基礎年金は、20~60歳の間に納付した保険料に応じて、年金額が決まります。
仮にすべての保険料を40年間欠かさず納付したとして支給される老齢基礎年金の満額は、年額777,800円(月額64,816円)です。(令和4年)満額ではない場合、老齢基礎年金の計算方法は、以下のとおりです。

777,800 × {保険料納付月数 + (全額免除月数×1/2) + (1/4納付月数×5/8) + (半額納付月数×3/4) + (3/4納付月数×7/8)} /40年(加入可能年数) × 12ヶ月

参考:老齢年金ガイド令和4年度版|日本年金機構

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厚生年金の受給額の早見表

老齢厚生年金の受給金額は、厚生年金への加入期間や納付した保険料によって決まる(収入により異なる)ことをご説明しました。
では、加入期間と収入でだいたいどのぐらいもらえるのかを早見表にしてみましょう。

保険料納付済期間老齢厚生年金老齢基礎年金
年収700万円年収500万円年収300万円収入関係なし
標準報酬額
58.3万
標準報酬額
41.7万
標準報酬額
25万
40年約153万円約110万円約66万円約78万円
30年約115万円約82万円約49万円約58万円
20年約77万円約55万円約33万円約39万円
10年約38万円約27万円約16万円約19万円

※年収、標準報酬額は平均値です。
※個人と仮定した計算で、加給年金は含まれません。
※本データは、2020年度の制度(金額)をもとにしています。

例えば、年収500万円で40年間年金保険料を納付した場合、老齢基礎年金約78万円と老齢厚生年金約110万円を合計し、年間約188万円支給されることになります。1ヶ月あたりの支給額を計算すると、約15万6,000円です。

なお、年金の支給は2ヶ月に一度(偶数月)、2ヶ月分まとめて振り込まれます。上の例の場合、実際には約31万2,000円が2ヶ月に1度振り込まれることになるのです。

毎年6月に届く「年金振込通知書」にも明記されていますが、65歳以上の方が年金を受け取る際、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療制度の保険料、個人住民税などが控除されます。そのため、計算通りの金額が支給されるわけではありません。

参考:年金の支払月はいつですか。|日本年金機構
参考:年金からの特別徴収|日本年金機構
参考:年金振込通知書|日本年金機構

厚生年金の受給額は標準報酬に比例する

上の表をご覧いただいてもわかるように、標準報酬額によって計算される厚生年金の受給額は、その金額に比例します。標準報酬額が多ければ納付する保険料の金額も大きくなるため、将来の受給額が多くなるのです。

年金制度について知っておく理由

これまでご説明したように、現在の年金制度は基礎年金と厚生年金の2階建てとなっており、2階部分は企業などに雇われて給与を得て働く人が支えています。将来を考えた時に、自分が今支えている年金はいくらもらえるのか、気になることでしょう。

しかし、少子高齢化が進み、この先年金制度はどう変化していくかわかりません。まずは現在のシステムや受給額の計算方法などをよく理解して、今後の同行を注視していくことが大切です。

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よくある質問

厚生年金とは?

会社などに雇われて給与を得ている人が加入する年金です。詳しくはこちらをご覧ください。

厚生年金受給額の計算方法は?

収入に応じて決められた「標準報酬額」をもとに、一定の計算式により計算されます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド給与

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