• 作成日 : 2022年9月2日

住基ネットとは?マイナンバーの違いなどをわかりやすく解説

住基ネットとは?マイナンバーの違いなどをわかりやすく解説

「住基ネット」という言葉を、聞いたことがあるという人は多いでしょう。しかし、具体的に住基ネットについて説明できるという人は少ないのではないでしょうか。「それってマイナンバーのこと?」と思う方もいるかもしれません。いずれも法律で定められた本人確認ができるシステムですが、別のものです。この記事では、両者の違い、いつから開始されたのかなど基本的な内容から使い方までわかりやすく解説していきます。

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住基ネットとは?

住基ネットは、正式名称は「住民基本台帳ネットワークシステム」といいます。住民基本台帳は、氏名、生年月日、性別、住所など住民基本台帳法で定められた項目を世帯別または個人別に記載した住民票を編成した公の帳簿です。主に市町村役場の窓口で住民基本台帳の閲覧や住民票を交付する際のデータベースとして利用されています。

「台帳」とあるように、もともとは紙ベースの帳簿でしたが、すべての自治体で電算化されており、現在はネットワークシステムとなっています。

住基ネットは、行政機関等に対する本人確認情報の提供や市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理を行うため、地方公共団体共同のシステムとして、各市町村の住民基本台帳をネットワーク化したものです。

市町村において住民の異動が発生すると都道府県および国で管理するサーバ情報が更新されます。

では、住基ネットはいつから開始され、マイナンバーとどう違うのでしょうか。

住基ネットはいつから開始している?

住民台帳の制度は戸籍台帳として昔からありましたが、現在の住民基本台帳は、1967年に制定された住民基本台帳法に基づいて運用されてきました。

その後、コンピューター利用も進み、1980年からは漢字オンラインシステム、ICカードによる氏名や保険証番号の個人基本情報を記録する保健医療福祉カードを導入、1991年には住民票の写しの自動交付システムを導入しています。

大きな変革をもたらす改正住民基本台帳法は1999年8月に公布され、2002年8月から運用が開始されています。

住基ネットとマイナンバーの違い

政府が盛んに普及を進めているマイナンバーカードですが、マイナンバーは、3つの効果を期待して導入されました。

①公平・公正な社会の実現

個人の所得やほかの行政サービスの受給状況を把握し、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、困窮者にきめ細かな支援をすること。

②国民の利便性の向上

行政手続における添付書類を削減し、簡素化することで国民の負担を軽減すること。本人が自分の情報を確認したり、行政機関からのさまざまなサービスの情報を受け取れるようにすること。

③行政の効率化

国の行政機関や自治体が管理する同一人の社会保障、税および災害対策の分野のさまざまな情報を共有するために行われる照合、転記、入力などの作業の無駄を削減すること。

マイナンバーは、1人に1つの番号を付与することで効率的に情報を管理し、上記の役割を担う社会基盤とされています。

市町村に申請し、交付されるマイナンバーカードは、ICチップが搭載されたプラスチック製のカードですが、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な本人確認書類として利用できます。

では、マイナンバーと住基ネットとの関係はどのようになっているのでしょうか。

住基ネットでも、もともと住民票コードが各人に振り出されていました。しかし、住基ネットの利用範囲は、住民基本台帳法によって制限されており、マイナンバー制度が想定する用途に対応することはできません。そこでマイナンバー法が制定されたわけです。

根拠法令も異なるため、制度としては別のものということになります。住基ネットの活用範囲をさらに拡大したものが、マイナンバーという位置づけとなるでしょう。

例えば、住基カードは身分証明書と市町村による付加サービス(コンビニ交付、図書館利用)だけでしたが、マイナンバーカードは、これ以外にも、就職、転職、出産育児、病気、年金受給、災害等、マイナンバーを確認する場面での利用が想定されています。

番号を支える情報システム自体は、まったく別個のものではなく、マイナンバーは住基ネットで活用している住民票コードを元に新たな番号として生成されています。

したがって、住基ネットにおける住基カード(住民基本台帳カード)は、マイナンバーカードの発行が開始されたことに伴い、2015年12月で終了しています。

現在は、住基カードの有効期間内であれば、マイナンバーカードを取得するまでは利用ができます。

住基ネットと住民票の違い

住民票は、全国の市町村の住民について、個々に氏名、住所などの情報を記載する帳簿であり、すでに述べたように住民基本台帳によって編成されています。

住民基本台帳をネットワーク化した住基ネットによって管理されており、住基ネットの一部という位置づけになります。

ちなみに住民票に記載されている情報には、次のような事項があります。

  • 氏名
  • 出生の年月日
  • 男女の別
  • 世帯主の氏名および世帯主との続柄
  • 戸籍の表示
  • 住民となった年月日
  • 住所
  • 本籍
  • その住所を定めた年月日(転居の場合)
  • 届出の年月日および前住所
  • 住民票コード など

住基ネットで保有している本人確認情報は、これらのうち、氏名、出生の年月日、男女の別、住所、個人番号、住民票コードおよびこれらの変更情報だけです。

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住基ネットの使い方

住基ネットは、どのような場面で使うことができるのでしょうか。ここでは、典型的な利用の場面と使い方についてご紹介します。

パスポートの発給申請

パスポートセンターに一般旅券発給申請書を提出して手続きをしますが、住基ネット導入前には必要とされていた住民票の写しの添付は必要ありません。

住民票の写しの広域交付

住基ネットによって、従来居住する市町村でしか交付されなかった住民票の写しを全国どこの市町村でも手続きができます。

具体的な方法は、次の通りです。

  1. 交付を希望する市町村役場の窓口で住基カード、マイナンバーカード、運転免許証など官公署が発行した写真付きの証明書を提示する。
  2. 窓口で以下のことを明示する。
    • 住民票の写しの広域交付の請求であること
    • 実際に請求する本人の氏名と住所
    • 住基カード、マイナンバーカード以外の証明書の場合は住民票コードまたは生年月日・性別
    • 交付される住民票に記載される人の氏名と住所

転入転出手続

住基カードの交付を受けている人は、郵送またはインターネットで住所地の市町村に付記転出届を提出し、その後、引っ越し先の市町村役場の窓口に住基カード(マイナンバーカード)とともに転入届を提出します。

元の住所地の市町村役場には出向く必要はなく、役所の窓口に行く回数は1回だけです。ちなみに付記転出届は、元の市町村のホームページでダウンロードできます。

年金の現況確認

国民年金や厚生年金などの公的年金を受給している場合、毎年、支給要件を継続して満たしているか日本年金機構で確認するため、現況確認届の提出が必要になります。

住基ネット導入後は、日本年金機構が住基ネットに受給者の現況確認を依頼して回答を得るため、受給者本人が書類を提出する必要はなくなりました。

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住基ネットとの個人情報の紐づけは自動で行われる?

住基ネットでは、市町村に置かれているコミュニケーションサーバ(CS)に住民の本人確認情報を記録し、都道府県サーバやほかの市町村のCSとデータ交換を行っています。

本人確認情報の紐づけは、住民基本台帳をネットワーク化する時点で行われており、各住民が新たに情報を更新する場合には所定の届出をすることによって本人確認情報が更新されることになります。

例えば、転入転出によって住所が変更する場合などは、前述のように元の住所地の市町村に付記転出届を提出することになります。

また、住民が死亡した場合、市町村に死亡届を届け出なければなりません。それによって本人確認情報が更新されます。亡くなった本人が老齢年金を受給中であった場合、毎年、日本年金機構が住基ネットに受給者の現況確認を依頼するため、その際に死亡を確認し、老齢年金が失権するということになります。

いずれにしても、住基ネットの本人確認情報のうち、市町村で更新が把握できない情報に変更が生じた場合のみ、届出が必要になるということです。

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住基ネットとマイナンバーの違いを知っておこう!

住基ネットとマイナンバーの違い、使い方などについて解説してきました。住民基本台帳法、マイナンバー法とそれぞれ根拠法令が異なり、制度の目的は同じではありません。

身分証明書ともなるカードは、住基カードからマイナンバーカードに移行していますが、その普及率もまだ国民の半数程度にとどまっています。あらためて両制度について理解を深めておくことも大切です。

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よくある質問

住基ネットとは何ですか?

住基ネットは、地方公共団体共同のシステムとして、各市町村の住民基本台帳をネットワーク化したものです。詳しくはこちらをご覧ください。

住基ネットとマイナンバーの違いについて教えてください。

制度の目的が異なり、住基ネットよりもマイナンバーのほうが利用は広範に及びます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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