- 更新日 : 2026年6月26日
社会保険の同日得喪手続き
「同日得喪」という言葉は、あまり聞きなれないと思いますが、「どうじつとくそう」と読みます。
漢字から連想される通り、社会保険の資格取得と資格喪失を「同日」に行う手続きです。
今回は、この「同日得喪」手続きについて解説します。
「同日得喪」手続きは定年再雇用時に発生します
平成25年4月より高年齢者雇用安定法が改正され、定年年齢を65歳未満に定めている事業主に対し、高年齢者の雇用確保措置を講じることが義務化され、労働者の65歳までの雇用を確保することが必要となったこと等に伴い、60歳で定年を迎えた労働者を継続雇用することが増えています。
この継続雇用では、60歳を迎えた時点で一旦定年退職とし、新たな雇用条件で雇用契約を結び直すことが多いと思います。その際、役職がなくなったり、勤務日数が減ったり等の事情等により給与額が下がることもあります。
ただし、給与から天引きされている社会保険料は、「標準報酬月額」というものを基準に料率を掛けて保険料を決定しているため、固定給の大きな変動から3ヵ月は給与額が減っても、社会保険料は前の高い給与額を元に計算された「標準報酬月額」で社会保険料が計算され、天引きされてしまいます。
そこで、定年再雇用時は「同日得喪」の手続きをすることにより、定年再雇用が行われた月分の保険料から、再雇用後の新たな雇用条件での給与を元に「標準報酬月額」を決定し、社会保険料を計算することができるようになっています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
人事・労務の年間業務カレンダー
毎年大人気!人事労務の年間業務を月別にまとめ、提出や納付が必要な手続きを一覧化しました。
法改正やシーズン業務の対応ポイントについて解説するコラムも掲載していますので、毎月の業務にお役立てください。
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
算定基礎届の手続き完全ガイド
算定基礎届(定時決定)の手続きは、社会保険に加入する全従業員が対象になるため作業量が多く、個別の計算や確認事項の多い業務です。
手続きの概要や間違えやすいポイントに加え、21の具体例を用いて記入方法を解説します。
社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選
社会保険の手続きは、ひとたびミスが生じると適切な対処方法がわからず対応に苦慮するケースが多いものです。
本資料では社会保険手続きでよくあるミスをシーン別に取り上げ、対処方法をステップにわけて解説しています。
同日得喪手続きの方法
年金事務所(保険者が健康保険組合の場合には、健康保険組合にも同様の手続きが必要です)に
・被保険者資格喪失届
・被保険者資格取得届
を、同時に提出します。
添付書類
上記書類提出の際、下記書類の添付が必要です。
・就業規則や退職辞令の写し等の退職したことがわかる書類
(就業規則において「定年」ついて記載がある箇所の写し 等)
・継続して再雇用されたことがわかる雇用契約書の写し
・従前の被保険者証
(一旦、社会保険の資格を喪失するため、今まで使っていた保険証を返却し、新しい保険証の交付を受ける必要があります。)
注意点
同日得喪制度の利用する際は下記ポイントもチェックしてください。
報酬増額時は「同日得喪」にしない
「同日得喪」制度は、定年再雇用の際、再雇用後の給与に対して社会保険料を適切な金額にするタイミングが、通常ですと遅くなってしまう為、利用するという説明をしました。定年再雇用に伴い、給与額が下がる場合は、早く社会保険料も下げるため、「同日得喪」手続きが有効です。
ただし、定年再雇用に伴い、報酬が特に変わらない場合・報酬が上がった場合は、早く社会保険料を変更する必要がないため、「同日得喪」手続きは不要です。
社会保険料が下がると・・・厚生年金額・傷病手当金額も下がります
「同日得喪」制度は、上述のとおり定年再雇用に伴い、給与額が下がる場合、早く社会保険料を下げるために行います。但し、社会保険料が下がるということは、その分、将来の厚生年金額も下がりますし、私傷病等でお休みしている間に生活保障として支給される傷病手当金も少なくなるということになります。メリットだけではないということも、頭にいれておきましょう。
まとめ
社会保険の同日得喪手続きは、従業員側にメリットが多いと思われがちですが、社会保険料は事業主と従業員の折半負担のため、事業主が支払う社会保険料も減額されるというメリットがあります。対象者が発生した場合には、間違いなく手続きが行えるよう、必要書類等の準備を進めておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 社会保険業務
【種類別】保険証の名前変更の手続きまとめ!届くまでの時期・病院での使用可否は?
結婚やその他の事情で保険証の名前変更(改姓)が必要になったとき、加入している保険の種類や組合によって手続きが異なります。 たとえば「協会けんぽ」の場合、マイナンバーと基礎年金番号が…
詳しくみる -
# 社会保険業務
社会保険の後期高齢者医療制度とは?切り替え手続きを解説
社会保険の後期高齢者医療制度とは、主に75歳以上の後期高齢者を対象とした公的医療制度のことです。それまで社保に加入していた場合は、脱退手続きを行わなくてはいけません。なお、後期高齢…
詳しくみる -
# 社会保険業務
育休から半年で復帰できる?育休期間の決まり方・メリット・準備を解説
育休から半年で復帰できる? 半年での育休復帰は法律上問題なく、多くの人が選ぶ現実的な選択肢です。 法制度上は1歳までだが短縮可能 181日目以降は給付金の支給率が減少する 子の生活…
詳しくみる -
# 社会保険業務
【記入例付き】通勤災害における様式16号の4の書き方は?提出方法まで解説
通勤災害による治療が長引く中で、「リハビリのためにもっと通いやすい病院に移りたい」「専門的な治療が受けられる病院に転院したい」と考えることがあるかもしれません。その際に必要となるの…
詳しくみる -
# 社会保険業務
会社員が加入する年金制度とは?厚生年金や企業年金など
会社や個人事業主が従業員を雇用すると、厚生年金に加入させる義務があります。会社によっては、企業年金を実施しているところもあるでしょう。 人事労務などの担当者になった場合、所定の手続…
詳しくみる -
# 社会保険業務
育休中は社会保険料が免除に?手続きの流れや計算方法を解説
社会保険は毎月の給与から保険料が控除されますが、育児休業期間中は免除されます。育児休業とは、育児・介護休業法に定められた1歳に満たない子を養育するための休業期間です。 育休中は事業…
詳しくみる






