- 更新日 : 2023年4月21日
育児休業給付金とは?育休中の社会保険料についても解説!
育児休業給付金は育児休暇を取得している際に収入を補填してくれる大切な制度です。そこでこの記事では育児休業給付金の支給条件や支給期間などについて分かりやすく解説しました。また、社会保険料の免除など育休中に助かるそのほかの制度についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
目次
育児休業給付金とは?
育児休業給付金とは育児休暇を取得して給料をもらっていない期間に、収入を補う目的で支給される手当のことです。受給対象は雇用保険に一定期間加入している加入者です。派遣社員やパートとして働いている方でも、雇用保険に加入していれば受給できます。また、出産した女性だけでなく、配偶者が出産をした男性も受給対象であるため正しく認識しておきましょう。
支給条件
育児休業給付金の支給要件は以下の通りです。
- 1歳未満の子供を養育するために、育児休業を行った被保険者であること
- 育児休業を開始する前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
- 1支給単位期間中の働いた日数が10日以下または働いた時間数が80時間以下であること
なお、有期雇用労働者の場合は以下の支給要件が追加されます。
- 子供の出生日から8週間を経過する日の翌日から6ヶ月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかではないこと
支給期間
育児休業給付金をいつまで受給できるかどうかは、いくつかのパターンに分類されます。支給期間とそれぞれの条件を以下の表にまとめました。
支給期間 | 条件 |
---|---|
子供が1歳になる日の前日まで | 育児休業給付金の支給は原則として、子供が1歳になる日の前日までが期限です。ただし、子供が1歳になる前に職場復帰した場合には、復帰日の前日までとなるため注意しましょう。 |
子供が1年2ヶ月に達する日の前日まで | パパ・ママ育休プラス制度とは両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たした場合には、育児休業の対象となる子供の年齢が、1歳2ヶ月にまで延長される制度です。ただし、産後休業含め1年間という1人当たりの育休取得可能最大日数は変わりません。 |
子供が1歳6ヶ月に達する日の前日まで | 所定の要件を満たし延長が認められた場合には、子供が1歳6ヶ月に達する日の前日までが支給期間です。所定の要件とは保育所の利用ができない場合や、負傷や疾病を患った場合、離婚してしまった場合などが該当します。 |
子供が2歳に達する日の前日まで | 所定の要件を満たし再延長が認められた場合には、子供が2歳に達する日の前日までが支給期間です。同様に保育所の利用ができない場合や、負傷や疾病を患った場合などが該当します。 |
育児休業給付金の計算
育児休業給付金の計算方法は以下の通りです。
1ヶ月あたりの支給額=(休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日))×67%
1ヶ月あたりの支給額=(休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日))×50%
エクセルなどの計算ツールを用いて、実際の金額を計算してみてください。なお、休業中に就業すると支払われる賃金額によって減額されたり支給停止されたりする場合があるため注意しましょう。
育児休業給付金の申請方法
それでは、育児休業給付金を受け取るための申請方法を見ていきましょう。最初は「育児休業給付受給資格確認手続き」と「育児休業給付金の初回支給申請手続き」を、被保険者を雇用している企業が行う必要があります。以下の表にまとめた提出書類と添付書類を整理して八ローワークに提出しましょう。
提出書類 | 以下の両方の書類が必要です。
|
---|---|
添付書類 | 以下の両方の書類が必要です。
※育児休業の開始と終了した日、賃金の額と支払状況を証明可能なもの |
提出時期は受給資格確認手続のみ行う場合は、初回の支給申請を行う日までが期日です。初回の支給申請も同時に行う場合については、育児休業開始日から4ヶ月を経過する日の属する月の末日までと設定されているで、ゆとりを持って申請手続きを進めましょう。
なお、2回目以降の育児休業給付金の支給申請手続きについては以下の表の通りです。
提出者 | 被保険者を雇用している企業 |
---|---|
提出書類 | 育児休業給付金支給申請書 |
添付書類 | 賃金台帳・労働者名簿・出勤簿・タイムカードなど ※支給申請書の記載内容を確認できるもの |
提出先 | ハローワーク |
提出時期 | 公共職業安定所長が指定する支給申請期間の支給申請日 |
申請は原則として2ヶ月に一度行います。もし、被保険者本人が希望する場合には、1ヶ月に一度のペースで支給申請を行うことも可能です。なお、手続きに不安を感じる場合は、社労士などの専門家に申請を手伝ってもらうことも検討しましょう。
育児休業給付金の注意点
まず、雇用保険の被保険者でない場合には、育児休業給付金の支給を受けられません。自営業者や雇用されていない経営者などの方は、雇用保険の被保険者には該当しないため支給資格はないのです。
次に、育児休業給付金は、原則として育児休業終了後の職場復帰を前提とした制度です。そのため、育児休業を取得するタイミングで退職予定があれば、支給対象となりません。ただし、受給資格を取得した後に何らかの事情で退職が決まるケースでは、退職日を含んだ支給単位期間の1つ前の期間まであれば受給できます。なお、それ以降は支給対象から外れてしまいますが、受給済みの育児休業給付金に関しては返還義務はありません。
他にも育休中に助かる制度
育休中に助かる制度はほかにもあります。代表的な制度として、社会保険料の免除と住民税の扱いについて解説します。
社会保険料の免除
育児休業の期間は、企業が「育児休業等取得者申出書」を提出することにより、健康保険・厚生年金保険の社会保険料が事業主負担分・被保険者負担分ともに免除されます。さらに、育児休業等期間中の社会保険料免除要件が、令和4年10月から見直されました。具体的には同月内に14日以上育児休業等を取得した場合も社会保険料が免除されるようになったのです。
参考:育児休業等期間中の社会保険料免除要件が見直されます|厚生労働省
住民税について
育児休暇中は無給であっても、住民税は納める必要があります。給与をもらっていないのに疑問を抱く方も少なくないかもしれません。住民税は前年所得に基づいて税額が算出されており、現時点は無収入でも前年に所得がある方には住民税が課税されるのです。
ただし、育児休業給付金は所得ではないため、住民税が発生しません。そのため、育休明けの住民税の支払いはしばらくは発生しないか少額になるケースが多いです。
育児休業給付金について理解を深め、正しく制度を活用しましょう!
育児休業給付金は育児にともなう休業期間中に給付金が支給される大変助かる制度です。育休中は収入が下がってしまうので生活が苦しくなりがちですが、育児休業給付金を活用すれば、減ってしまった収入の一部をカバーできます。
育児休業給付金の支給額は通常の賃金の満額支給とはいきませんが、非課税として扱われるうえに休業期間中は社会保険料の支払いが不要です。税金や社会保険料の負担を考えると、育児休暇取得前の水準に近い収入を確保できる制度だと言えます。ただし、育児休業給付金の受給には所定の手続きを行って要件を満たす必要があるので、ゆとりを持って準備を進めるようにしましょう。
よくある質問
育児休業給付金とは何ですか?
育児休業給付金とは育休を取得して給料をもらっていない期間に、収入を補う目的で支給される手当のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
育児休業給付金の支給期間はどのくらいですか?
育児休業給付金の支給期間は、原則として子供が1歳の誕生日を迎える前日までが支給対象期間ですが、特定の条件を満たす場合には最大2歳まで延長できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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