• 作成日 : 2022年9月9日

36協定における残業時間の上限とは?わかりやすく解説!

36協定における残業時間の上限とは?わかりやすく解説!

労務管理では勤怠を確認しますが、その際のチェック項目に残業時間や休日労働があります。この時間外労働や休日労働については、労働基準法上では36協定という労使協定を締結して届け出ておかないと認められません。

今回は、この36協定について、基礎的な内容から上限時間がどのくらいなのか、違反した際の罰則などについて見ていきます。

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そもそも36協定とは?

労働基準法では、「法定労働時間」や「法定休日」という決まりごとがあり、働く時間に一定の制限をかけています。

この法定労働時間を超えて労働する残業時間や休日に労働する休日出勤を行う場合には、労使間で36協定という労使協定が必要になります。

36協定とは時間外・休日労働に関する協定届のこと

労働基準法では、労働時間の限度を原則1日8時間以内、および1週40時間以内とする「法定労働時間」が定められています。また、1週1日、もしくは4週4日の休日とする「法定休日」も定められています。

これらの定めを超えた扱いを行う場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定を締結して、労働基準監督署に届け出る必要があるのです。この労使協定のことを「36協定」と言います。

36協定で取り決める内容

36協定で取り決める内容は以下のような項目です。

  1. 対象期間:1年間に限る
  2. 1年の起算日:対象期間の初日
  3. 有効期間
  4. 時間外・休日労働を行わせる必要のある具体的な事由
  5. 業務の種類:業務の区分は細分化し、業務の範囲を明確にする
  6. 労働者数:協定締結時の労働者数
  7. 法定労働時間数を超える上限時間数(1日、1か月、1年)
  8. 法定休日労働の日数、その始業・終業時刻

この条件に違反しないように注意しましょう。

引用:働き方のルール~労働基準法のあらまし~|東京労働局

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36協定における残業時間の上限

36協定を締結した場合の残業時間の上限については、

  1. 通常時の残業時間は「月45時間、かつ年360時間を超えないこと」が労働基準法では義務付けられています。
  2. 臨時的に超えなければならない特別な事情があるため、上記1.の限度時間を超えて残業を行わせる必要がある場合には、さらに下記の項目について特別条項を締結します。
    • 残業+休日出勤が月100時間未満であること
    • 2~6か月の残業+休日出勤のどの平均時間を取ってもすべて80時間以内であること
    • 1年の残業が720時間以内であること
    • 1か月45時間を超える残業が発生するのは年6回までになっていること

上記の条件をすべて満たす必要があります。

36協定の上限規制の対象外となる職種

36協定には、期間限定で上限規制を猶予されている職種が定められています。

下記の事業・業務については、2024年3月31日まで上限規制の対象外となっています。

  • 建設の事業
  • 自動車運転の業務
  • 医師

2022年4月1日からは、上限規制が以下のように変わります。

建設の事業

  • 災害の復旧・復興の事業を除き、すべての上限規制が適用されます。
  • 災害の復旧・復興の事業は、下記については適用されません。
    1. 1か月の残業+休日出勤が100時間未満であること
    2. 2~6か月の残業+休日出勤のそれぞれの平均時間がすべて80時間以内であること

自動車運転の業務

  • 特別条項を締結する場合の年間残業時間の上限が年960時間になります。
  • 下記については適用されません。
    1. 1か月の残業+休日出勤が100時間未満であること
    2. 2~6か月の残業+休日出勤のそれぞれの平均時間がすべて80時間以内であること
    3. 1か月45時間を超える残業が発生するのは年6回までになっていること

医師

  • 具体的な上限時間は今後定める。
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36協定の上限を超えて違反してしまったらどうすればいい?

36協定で締結していた残業の上限時間を管理不行き届きにより超えたら、どうしたら良いでしょうか。罰則の対象者、罰則の内容、違反が発覚する(ばれる)場合について見ていきましょう。

罰則の対象者

会社だけでなく、会社の労務管理を担当していた責任者(工場長、部門長など)も対象になります。

どんな罰則がある?

36協定に違反した場合には、労働基準法第32条違反として6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されます。

さらに、書類送検された場合には、会社名や違反内容が公開される可能性がありますので注意が必要です。

違反が発覚する場合は?

36協定の違反が発覚する場合はどんな時でしょうか?

労働局や労働基準監督署から報告を求められた場合

会社で36協定違反に気づいたとしても、会社から労働基準監督署に報告する義務は定められていません。ただし、報告を求められた場合には報告義務が生じます。

労災事故が発生して調査があった場合などに36協定違反がわかり、報告を求められることがあるようです。

社員が労働基準監督署に通報した場合

社員が労働基準監督署に通報して調査が行われ、36協定違反が発覚した場合に発覚することがあります。

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36協定の上限を守るための取り組み

36協定の上限を守るためには、36協定に定めた内容について、日々の労働時間を管理しながら遵守する必要があります。下記のようなことに注意して36協定に違反しないように気をつけましょう。

36協定で定めた残業時間を超えないこと

36協定で協定した「1日」の残業時間の限度を超えないように注意してください。

また、毎日ならびに毎月の残業の合計時間を確認して、36協定で協定した「1か月」「1年」の残業の限度を超えないようにチェックしてください。

36協定で定めた休日労働の回数・時間を超えないこと

休日労働の回数や時間が、36協定で協定した回数や時間を超えないようにチェックしてください。

36協定で定めた特別条項の上限回数を超えないこと

特別条項を定めた場合には、1か月の残業が36協定で協定した限度時間を超えられる回数を超えないようにチェックしてください。

合計時間が毎月100時間以上にならないこと

毎月の残業と休日労働の時間の合計が、毎月100時間以上にならないようにチェックしてください。

どの2~6か月の平均でも限度時間を超えないこと

毎月の残業と休日労働の時間の合計が、どの2〜6か月の平均をとっても、1か月辺り80時間を超えないようにチェックしてください。

36協定を締結する方法

36協定は、次の順番で締結を進めます。

  1. 労働者代表の選出
    36協定は使用者と労働者代表との間で締結するものですので、まず、労働者代表を選びます。労働者代表は、次の人のことを言います。

    • 過半数労働者が組織する労働組合があれば、その労働組合
    • 労働組合がなければ、労働者の過半数代表者
  2. 労働者代表との間で36協定を締結
    1で選出した労働者代表との間で36協定を締結します。

36協定届について

ここでは、36協定届の書き方や提出先について見ていきます。

36協定届の記入例

36協定届の記入例は厚生労働省のホームページに記載例が公開されています。

一般条項の場合の記載例

36協定の記載例(一般条項)

引用:時間外労働・休日労働に関する協定届(一般条項)様式第9号 記載例|厚生労働省

特別条項の場合の記載例

引用:時間外労働・休日労働に関する協定届(特別条項)様式第9号の2 記載例|厚生労働省

それぞれのダウンロード書式も厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

参考:36協定届(令和3年4月1日以降、押印廃止後)の様式|厚生労働省

36協定届出の提出先・提出期限

36協定届は、事業場ごとに作成します。提出先は各事業場を管轄する労働基準監督署になります。事業場の漏れがないように注意しましょう。提出については、持参する他に、郵送や電子申請でも行うことが可能です。

提出期限については、決められた期限はありません。会社は労働者代表(または労働組合)と36協定を締結した時点で届け出が可能です。

ただし、対象期間を定める必要があり、そこに起算日を記載するため、その起算日までに届け出を行うことが必要です。

届け出を行っていないと効力が発生しませんので、起算日前に労使双方が合意しただけでは不可です。また、遡っての届け出もできませんので、届け出が遅れるとその間の残業、休日労働はすべて労働基準法違反になります。

36協定を正しく理解して、正しく勤怠管理を行いましょう!

36協定は、労働基準法の労働時間、休日の定めを遵守するうえで、その内容を正しく理解して運用する必要があります。

社員に時間外労働や休日労働をさせる必要がある場合には、36協定の締結が必ず必要になるということを理解して正しい勤怠管理を行うようにしましょう。

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よくある質問

36協定とは何ですか?

36協定とは、法律で定められた労働時間の限度の1日8時間、1週40時間の「法定労働時間」や休日を1週1日、または4週4日とする「法定休日」の定めを超えて労働させる場合に締結が必要な労使協定のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

36協定において、残業時間の上限は何時間ですか?

残業時間は原則月45時間以内、年360時間以内が上限です。特別の事情があっても、年720時間以内、残業+休日労働が月100時間未満かつ2〜6か月平均80時間以内、月45時間超は年6か月までです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。

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