- 更新日 : 2025年1月24日
有給休暇の労働基準法における定義は?関連法の改正や取得義務を紹介
会社は労働基準法第39条に基づいて労働者に対して有給休暇を与える必要があり、違反には罰則が設けられています。定められている日数を付与しなければなりませんが、規定を上回る日数を付与することもできるため、会社によって違うことがあります。
働き方改革関連法案の成立により、年10日間の有給休暇のうち、5日間の取得が義務付けられました。
目次
労働基準法39条における有給休暇の定義
年次有給休暇とは、給料の支払いを受けられる休暇のことです。無給となる休暇は取得すると給料が減額されますが、年次有給休暇を取得して休むと給料は減額されません。そのため労働者は生活を心配することなく、安心して心身の疲労を回復するために休むことができます。年次有給休暇の付与は以下のように、労働基準法第39条によって使用者に義務付けられています。
労働基準法 第39条
使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
また、働き方改革関連法案の成立に伴い労働基準法も改正され、年に10日以上の年次有給休暇が付与されている労働者に対して、5日以上の取得が義務付けられました。違反した場合の罰則として、使用者に対して労働者1人につき30万円以下の罰金が規定されています。
労働基準法39条における有給休暇の付与日数
労働基準法第39条第2項では、年次有給休暇の付与日数と付与条件について以下のように規定しています。
労働基準法 第39条第2項
使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6カ月を超えて継続勤務する日(以下「6カ月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6カ月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を6カ月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない。
使用者はこの規定に基づき、継続勤務した1年間の全労働日の8割以上を出勤した労働者に対して、以下の表の年次有給休暇を付与しなければなりません。
| 雇入れの日から起算した勤続期間 | 年次有給休暇付与日数 |
|---|---|
| 6ヵ月 | 10日 |
| 1年6ヵ月 | 11日 |
| 2年6ヵ月 | 12日 |
| 3年6ヵ月 | 14日 |
| 4年6ヵ月 | 16日 |
| 5年6ヵ月 | 18日 |
| 6年6ヵ月以上 | 20日 |
有給休暇の付与日数は会社によって違う?付与日数の定め方など
使用者は労働者に対して、労働基準法の規定に従って年次有給休暇を付与しなければなりません。規定されている日数の年次有給休暇を付与しない場合は労働基準法違反となり、罰則が科せられる場合があります。しかし、労働基準法は使用者が労働者に労働させるにあたって最低限の基準を定めた法律であるため、上回ることに問題はありません。
管理しやすさを優先して、勤続期間にかかわらず、すべての労働者に対して一律に、1年間に20日の年次有給休暇を付与するといった定め方も可能です。
パートと正社員の有給休暇の付与日数は違う?
年次有給休暇は正社員だけでなく、パートに対しても付与されます。使用者はパートの週の所定労働時間や1年間の所定労働時間に応じて、以下の表の年次有給休暇を付与しなければなりません。
| 週の所定労働時間 | 週の所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 雇入れの日から起算した勤続期間ごとの年次有給休暇の付与日数 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6ヵ月 | 1年6ヵ月 | 2年6ヵ月 | 3年6ヵ月 | 4年6ヵ月 | 5年6ヵ月 | 6年6ヵ月以上 | |||
| 30時間未満 | 4日 | 169日から 216日まで | 7日 | 8日 | 8日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121日から 168日まで | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
| 2日 | 73日から 120日まで | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
| 1日 | 48日から 72日まで | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 | |
有給休暇の付与時期に決まりはある?
年次有給休暇は、原則として労働者が指定する時季に付与しなければなりません。労働者が指定した時季に年次有給休暇を付与することによって事業の正常な運営が妨げられる場合は使用者による時季の変更が認められますが、「業務が忙しいから」といった理由で変更することはできません。
同じ日に多くの労働者が年次有給休暇の取得を希望した場合などに対してのみ、使用者による時季変更権の行使が認められます。
年次有給休暇をきちんと理解し、労働基準法違反とならないよう正しく付与しよう
年次有給休暇とは、雇入れの日から起算して6ヵ月を経過した労働者に付与される、給料支払いのある休暇のことです。使用者は労働基準法第39条に基づき、規定されている日数の年次有給休暇を労働者に付与しなければなりません。付与日数は雇入れの日からの経過年数に応じて増え、6年6ヵ月以上を経過した労働者には20日の年次有給休暇が付与されます。
働き方関連法案の成立により、年に10日以上の年次有給休暇を付与されている労働者には5日以上の取得が義務付けられました。違反すると、労働者1人につき30万円以下の罰金が使用者に科せられる場合があります。付与時季の決まりについてもきちんと理解し、正しく付与しましょう。
よくある質問
労働基準法39条における有給休暇の定義を教えてください。
雇入れの日から起算して6ヵ月を経過した労働者に対して付与される、給料支払いのある休暇が年次有給休暇です。詳しくはこちらをご覧ください。
有給休暇の付与日数は会社によって違いますか?
労働基準法に定められている日数を上回れば、会社によって異なる日数の年次有給休暇を付与しても構いません。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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