• 作成日 : 2022年9月16日

社会保険に自分で加入するには?会社が適用事業所になった場合

社会保険に自分で加入するには?会社が適用事業所になった場合

社会保険は健康保険や厚生年金保険などからなり、社会保険適用事業所に勤めている会社員や公務員が加入します。一方、個人事業主や自営業者は国民健康保険や国民年金に加入することが一般的ですが、個人で社会保険に加入することはできないのでしょうか。この記事では社会保険の概要と、自分で加入する場合の方法について紹介します。

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社会保険とは

社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」からなり、社会保険適用事業所に勤めている会社員や公務員が加入するのが一般的です。これら3つの保険は「狭義の社会保険」と呼ばれ、ここに「雇用保険」と「労働者災害補償保険(労災保険)」からなる「労働保険」を加えて「広義の社会保険」と呼ばれることもあります。

狭義の社会保険の保険料負担は労使折半です。雇用保険の労使負担割合は「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3事業に分かれており、厚生労働省が毎年発出している「雇用保険料率表」に保険料率とともに定められています。労災保険の保険料率は業種ごとに「労災保険率表」にまとめられており、全額雇用主負担です。

広義の社会保険狭義の社会保険健康保険労使折半
厚生年金保険
介護保険
労働保険雇用保険事業ごとに
労使負担割合が決まっている
労働者災害補償保険
(労災保険)
全額雇用主負担

※労使折半:事業主(企業等)と労働者(個人)が半々ずつ負担すること

一方、個人事業主や自営業者は国民健康保険や国民年金などに加入するのが一般的です。労働保険は雇用されている労働者が対象となる保険制度であるため、個人事業主・自営業者は加入できません。労災保険については、労働者と同等の職務に従事する場合は「特別加入」が認められる場合があります。

参考:
雇用保険料率について|厚生労働省
令和4年度の労災保険率について~令和3年度から変更ありません~|厚生労働省
労災保険への特別加入|厚生労働省

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5人以上の個人事業所は強制加入

下記の条件を満たす事業所は「強制適用事業所」に該当し、事業主・労働者の意思や企業の規模・業種に関わらず、社会保険への加入が義務付けられています。

  • 事業主含む常時1名以上の従業員を使用する国・地方公共団体または株式会社・合同会社などの法人事業所
  • 常時5名以上の従業員を使用する農林水産業やサービス業などの一部の業種を除く個人事業所

法人成りしている場合は、個人事業所でも社会保険に加入しなけらばならないので注意しましょう。

一方、従業員が5名未満の個人事業所や飲食店などのサービス業、農業などの農林水産業は強制適用事業所には該当しません。これらの事業所は従業員の半数以上が同意し、厚生労働大臣の認可を受けることで社会保険の適用を受けることも可能です。

ちなみに、任意で社会保険の適用を受けた事業所を「任意適用事業所」といいます。任意適用事業所になると、強制適用事業所と同様に、保険料納付や保険給付といった社会保険制度が適用されます。条件を満たした従業員は、社会保険への加入が義務付けられるため注意しましょう。なお、任意適用事業所は健康保険か厚生年金保険のどちらか一方のみに加入することもできます。

さらに、雇用保険・労災保険については健康保険・厚生年金保険とは別に取り扱われるため気をつけましょう。労働者を保護する労働保険は、法人・個人問わず、一部の業種を除く労働者を1名でも雇用している事業所に加入が義務付けられています。農林水産業で、労働者が常時5名未満の個人事業所は「暫定任意適用事業」に該当し、労働保険への加入は任意です。

一般的に「社会保険完備」を謳っている企業では健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の4つの保険すべてに加入することができます。いずれか1つでも欠けていると社会保険完備とは言わないため覚えておきましょう。

参考:
適用事業所とは?|こんな時に健保|全国健康保険協会
適用事業所と被保険者|日本年金機構
労働保険関係の成立と対象者|群馬労働局

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個人で加入する場合は全額負担

会社員や公務員が加入する社会保険の保険料負担は労使折半ですが、個人で国民健康保険や国民年金に加入した場合は、保険料が全額自己負担となります。会社を退職して個人事業主や自営業になった場合は、保険料負担が増えるため注意が必要です。

また、社会保険には「扶養制度」がありますが、国民健康保険や国民年金には扶養という考え方がありません。これらの被保険者は、個々人で保険料を負担しなければならないのです。さらに、個人事業主や自営業者が支払った自身の保険料は事業の経費にはできません。確定申告の際には経費ではなく「社会保険料控除」の対象として所得控除を受けることが可能です。

従業員を雇用して社会保険の適用を受けている場合は、従業員の保険料を折半で負担しなければなりません。40歳以上の従業員を雇用している場合は健康保険料と合わせて介護保険料も労使折半で負担する必要があるため注意しましょう。雇用保険は厚生労働省が定める労使負担割合に従い、労災保険料については全額雇用主負担です。これらの保険料は法定福利費等として経費算入が認められているため、一定の税制優遇を受けることができます。

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社会保険の加入手続き方法

社会保険の適用事業所となった場合は、5日以内に手続きを行わなければなりません。任意適用を受ける場合は、所管の年金事務所長の許可が必要です。ここでは、社会保険の適用を受ける際の必要書類と手続き方法を紹介します。

必要書類

事業所が社会保険の適用を受ける場合、日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出します。法人・個人に応じて下記の添付書類を添えて、5日以内に手続きを行わなければなりません。

  1. 法人事業所の場合
    法人・商業登記簿謄本
  2. 国・地方公共団体または法人の場合
    法人番号指定通知書のコピー
  3. 個人事業所の場合
    事業主の世帯全員の住民票

健康保険 厚生年金保険 新規適用届
健康保険 厚生年金保険 新規適用届
任意適用を受ける場合は、「健康保険・厚生年金保険 任意適用申請書」に下記書類を添付し、所管の年金事務所長の許可を得る必要があります。

  1. 任意適用同意書(従業員の2分の1以上の同意を得たことを証明する書類)
  2. 事業主の世帯全員の住民票
  3. 公租公課の領収書(原則1年分)

健康保険 厚生年金保険 任意適用申請書

保険料を口座振替で納付したい場合は「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」をあわせて提出しましょう。

引用:
事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構
強制適用とならない事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構

参考:
健康保険・厚生年金保険 保険料関係届書・申請書一覧|日本年金機構

提出方法

上記の申請書類は年金事務所で受領するか、日本年金機構のWebサイトでダウンロードすることができます。添付書類等が一通り用意できたら、事業所の所在地を管轄している年金事務所または事務センターに持参もしくは郵送しましょう。

持参・郵送が難しい場合は、電子申請することも可能です。電子申請には、電子政府の総合窓口である「e-Gov」を利用する方法と、日本年金機構が無料で提供している「届書作成プログラム」を利用する方法があります。インターネット接続などの電子申請環境が整わない場合は、CDやDVDといった電子媒体で申請してみましょう。

申請書類の取得方法年金事務所で受領
日本年金機構のWebサイトでダウンロード
提出先事業所の所在地を管轄している年金事務所
事業所の所在地を管轄している事務センター
提出方法持参
郵送
電子申請e-Gov
届書作成プログラム
電子媒体(CD・DVD)

参考:電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)|日本年金機構

要件を把握し社会保険適用事業所となった際には確実に手続きしよう

社会保険は基本的には会社員や公務員が加入する保険制度ですが、個人事業所であっても特定の条件を満たした場合は「強制適用事業所」として加入が義務付けられます。また、強制適用でない場合でも、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可を受けることで「任意適用事業所」になることも可能です。

一般的に、個人事業主・自営業者が加入する国民健康保険・国民年金より社会保険の方が手厚い保障を受けられるため、積極的に適用申請を検討するとよいでしょう。なお、国民健康保険や国民年金に自分で加入した場合、保険料は全額自己負担となります。

さらに、従業員を雇用し社会保険の適用を受けた場合は、労使折半で従業員の保険料も負担しなければなりません。しかし、これらの保険料は社会保険控除や経費算入などで税制優遇を受けることが可能です。加入手続きは5日以内と定められているため、当記事を参考に要件等を把握し、適用事業所となった際には確実に手続きするようにしましょう。

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よくある質問

社会保険に個人で加入することはできますか?

法人事業所と特定の条件を満たす個人事業所は社会保険の加入が義務付けられます。強制適用事業所でなくても、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可を受けることで任意適用を受けることも可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

個人で加入した場合の保険料負担はどうなりますか?

個人で国民健康保険・国民年金に加入した場合は全額自己負担となります。社会保険の適用を受けた場合は、労使折半で従業員の保険料も負担しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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