• 作成日 : 2022年6月10日

年末調整と確定申告は両方必要?両者の違いから解説!

年末調整と確定申告は両方必要?両者の違いから解説!

通常、勤め先から給与支払いを受けているサラリーマンは、会社が行う年末調整で所得税が精算されますが、副業での収入がある人や、医療費控除寄付金控除などを申告する場合には、別途確定申告が必要です。

ここでは、年末調整と確定申告の違いを解説するとともに、サラリーマンでも確定申告が必要となるケースについて説明します。

年末調整と確定申告の違い

年末調整と確定申告は、名称こそ違いますが、どちらも1年間で稼いだ個人の収入のうち、国に治めるべき「所得税」を確定させる手続きにかわりはありません。

年末調整は「会社」が従業員の代わりに申告と納税をする手続きであり、対象となるのは雇用先から給与支払を受けている、いわゆるサラリーマンと呼ばれる人々です。会社勤めの人は、通常11月~12月にかけて年末調整に必要な書類が会社から配布され、記入したのちに会社担当者に提出します。その後、会社は1年間の所得税を計算し、月々の給与から源泉徴収として天引きした金額との差額を還付もしくは徴収します。

一方、確定申告の主な対象者は、個人事業主年金受給者など給与所得者以外の個人です。1年間の所得を自ら計算し、所得税を申告したのちに納付します。ただし会社員でも、副業などで数か所から給与支払いを受けている場合や、寄付金控除、医療費控除を申告する場合には、年末調整とは別に、自分で確定申告を行います。

 年末調整確定申告
手続きをするのは会社自分
対象者雇用先から「給与支払い」を受けている人個人事業主、年金受給者、副業がある会社員、医療費控除・寄付金控除控除を利用したい会社員など
納付期限翌年1月10日まで翌年2月16日~3月15日
申告できる所得控除
年末調整の控除に加え

・医療費控除
・寄付金控除
雑損控除
・住宅借入金等特別控除(初回)

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年末調整と確定申告の両方が必要な(重複する)場合

ここからは、年末調整と確定申告の両方が必要な場合について詳しく見ていきましょう。近年では副業推進の流れから、会社で働きながら個人事業主として収入を得たり、本業とは別にパートやアルバイトをして働いたりするケースが増えています。

このように、主たる収入源である給与所得以外に所得がある人は、年末調整に加え確定申告が必要です。国税庁では、下記のように、確定申告が必要となるサラリーマンの条件について説明しています。

  1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  2. 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  3. 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
  4. 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  5. 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
  6. 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
  7. 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

引用:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

個人事業主や不動産所得など、給与所得以外の収入があるサラリーマン

副業が認められている会社に勤務しながら、フリーランスと呼ばれるような形態で個人で事業所得を得たり、家賃収入などによる不動産所得といった、給与以外の収入があるサラリーマンは、上記の「2」に該当します。

2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

つまり、給与以外の所得が20万円を超える場合には確定申告が必要になります。本業以外の所得が20万円以上あるにも関わらず、確定申告を行わないままでいると脱税とみなされ、無申告加算税が課せられるだけでなく、延滞税なども発生する可能性があります。

    • 「20万円」は経費を差し引いた額

このとき、副業の収入を単純に合算するのは誤りです。ここでの「20万円」とは、収入から必要経費を差し引いた金額を意味します。例えば、副業のライティングで25万円の収入を得たとしましょう。同時に、取材に赴く交通費などで合計7万円の経費が発生しています。このとき「25万円‐7万円」で所得は18万円となり、確定申告の対象とはなりません。

    • 所得が20万円以下でも源泉徴収されている収入の場合

副業の中には、原稿料などあらかじめ源泉徴収される収入があります。その場合、収入から必要経費を差し引いて所得金額が20万円以下となった場合、原則として確定申告の必要はありません。

しかし、確定申告を行うことで、すでに支払っている所得税の還付が受けられる可能性があります。確定申告は、還付申告として多く払い過ぎた所得税を返してもらう場合に行うことができることも覚えておきましょう。

副業として、パート・アルバイトを行っているサラリーマン

正社員として働きながらパートやアルバイトの副業もしている場合、2カ所から給与の支払いを受けることになります。この場合、どちらの給与からも毎月源泉徴収として所得税が天引きされますが、年末調整がされるのは「主たる収入源」=「本業としての勤務先」の1か所のみです。副業である給与については、以下のように、合計額が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。

3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人

ただし、次のいずれにも当てはまる場合は確定申告の必要はありません。

  • 給与収入のの合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下
  • 上記に加え、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下

ネットオークションでの個人売買などは確定申告の対象になる?

近年では、ネットオークションでの個人の取引が活発になっており、ヤフオクやメルカリなどのサービスを利用して取引を行う人は少なくありません。

そうした個人の取引の場合、日常で使用していた古着や家財を売るのは、事業として行わない限り非課税となり、原則として確定申告の対象外です。しかし、次のようなケースに当てはまる場合には「雑所得」に分類され確定申告の対象となるので注意が必要です。

  • 自家用車などをレンタルした際の所得

ベビーシッターや家庭教師といったサービスを提供した際に受け取った所得
ビットコインなどの暗号資産の売却等により得た所得
民泊による所得
(日常利用ではない)衣服や雑貨、家電などの売却による所得
参考:No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合|国税庁

年末調整と確定申告を両方行う際の手続きと注意点

これまで説明してきたように、会社員として働きながら副業の所得が20万円以上ある場合や、本業とアルバイトを掛け持ちしながら給与を複数個所から得ている場合などでは、会社が行う年末調整とは別に、自分で確定申告の手続きが必要です。

確定申告の書類には、「申告書A」と「申告書B」の2種類があり、所得の種類に応じて使い分けをします。

  • 申告書A【令和3年分用】:主に、給与所得を得ている会社員が使用する書類です。そのほか、公的年金や副業での「雑所得」がある場合や、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などの一時所得がある人も利用します。
  • 申告書B【令和3年分用】:所得の種類に関係なく誰でも使用できます。主に、個人事業主やフリーランスといった人々が利用します。

今回説明する、「年末調整と確定申告の両方が必要」であるパターンでは、申告書Aでの確定申告書を使うことが多いでしょう。しかし、副業を事業として行う場合には、申告書Bを使用します。

給与収入については、確定申告書記入の際、年末調整で会社から配布された「源泉徴収票」をもとに記入します。以下では副業として雑所得がある場合における確定申告書Aの記入例を解説していきます。

申告書Bの記入例について詳しくはこちら。

年末調整済みの際の確定申告の記入例

    • 収入金額等の記入

収入金額等の記入

引用:令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A|国税庁

「収入金額」とは、給与であれば手当等を含んだ「支払金額」のことを指します。源泉徴収票の支払金額を、「給与」区分の「ア」に入力します。このとき、給与の支払いを複数個所から受けている場合は、合算した金額を記入してください。

    • 所得金額の記入

所得金額の記入

引用:令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A|国税庁

「所得金額」とは、給与であれば源泉徴収票にある「給与所得控除後の金額」、副業などの雑所得であれば、収入金額から経費を差し引いた金額のことをいいます。それぞれ、当てはまる区分に金額を記入し、最後に⑧に合計金額を記載します。給与の支払いを複数個所から受けている場合は、給与収入を合算した金額から給与所得の金額を計算することになるため注意しましょう。

    • 所得控除の記入

令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A
引用:令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A|国税庁

源泉徴収票をもとに、本業の所得から差し引かれている所得控除の金額をそれぞれ記入します。医療費控除、寄付金控除、雑損控除を申告する場合は、その金額もあわせて記入しましょう。最後に㉕に合計金額を記入します。

それぞれの控除の詳細については、次の記事を参考にしてください。

参考:
年末調整で受けることのできる控除まとめ!各限度額も紹介
確定申告で雑損控除を受ける方法とは?
確定申告における医療費控除の計算方法や、明細書の書き方を解説!

    • 税金の計算

令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A

引用:令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A|国税庁

㉖の「課税される所得金額」には、⑧の「所得金額の合計」から㉕の「各種控除金額の合計」を差し引いた金額を記入します。㉗には、㉖で記載した金額に所得税率をかけて算出した金額を記載します。

そのほか、住宅ローン控除がある場合は「住宅借入金等特別控除」に、また「住宅耐震改修特別控除等㉝〜㉟」など当てはまるものがある場合はそれぞれの欄に記入します。

全ての控除を差し引いて㊳の「再差引所得税額」を算出し、そこに2.1%をかけて㊴「復興特別所得税額」を計算します。㊳と㊴を合計した金額が㊵の「所得税及び復興特別所得税の額」となります。

源泉徴収票に記載されている源泉徴収税額は㊸に転記してください。もし、副業やアルバイト先(年末調整されていない所得分)に源泉徴収されているものがあれば合算した金額を記載します。

最終的に納める税金がある場合は㊹に、源泉徴収税額から還付される金額がある場合は㊺に記入します。

    • 申告書A 第二表

令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A

引用:令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A|国税庁

第二表には、前述の第一表で記載した金額を転記します。

このとき、「所得の内訳」の欄に、給与や雑所得といった所得の種類、支払者の具体的な会社名、収入金額、源泉徴収税額を記載する欄があります。副業等で得ている収入で、支払調書が発行されている場合は、そちらをもとに記入しましょう。

参考:令和3年分所得税及び復興特別所得税の手引き(確定申告書A用)|国税庁

年末調整と確定申告を両方行う際に注意すべき点

年末調整を本業で行った後、確定申告を自分でする際、本業での収入金額や所得金額といった詳細な数字が必要です。そうした金額は、すべて源泉徴収票に記載されているため、勤務先から配られた源泉徴収票は大切に保管しましょう。

また確定申告は、副業での収入以外に、「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」を申告するために行うことが多くあります。これらの原則として確定申告をすることでしかできない控除条件に該当する場合は、すでに本業で納めている所得税から還付を受けられる可能性があります。この機会を逃さず、忘れずに申告しましょう。

近年ではフリーランスとして副業を行う人も増えており、副業での取引先が複数あるケースも少なくありません。金額に関わらず、日頃から経費や収入金額の記録をつけておくことが、スムーズな確定申告に役立ちます。

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年末調整と確定申告の両方に関して理解を深めて、正しく手続きを行いましょう!

通常、会社勤めであれば確定申告の必要はありませんが、医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除を申告して所得税の還付を受ける確定申告をするケースが増えています。また、副業やアルバイトとの掛け持ちで他に収入がある場合にも、確定申告が必要です。

確定申告を行わないでいると、脱税になってしまう可能性もありますので、忘れずに手続きを行いましょう。

よくある質問

年末調整と確定申告の違いは?

年末調整は会社が行う手続きです。1年間の給与に対して所得税の金額を確定させ、源泉徴収分と精算します。確定申告は、所得のある個人が自ら税額を申告する制度です。主に自営業や個人事業主が対象です。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整と確定申告を両方行う際に注意すべき点は?

年末調整後に勤務先から配布された源泉徴収票に記載された細かい金額が必要です。また副業等の収入では支払先の会社名や経費などを記載しますので、日頃から正しく収支情報を管理しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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