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  • 作成日 : 2022年1月14日

雇用保険の基本手当とは?給付額や要件を解説

雇用保険の基本手当とは?給付額や要件を解説

「雇用保険」と聞いてまず思い浮かぶのが失業等給付の基本手当ではないでしょうか?

基本手当は、離職して失業した際に受給要件を満たすと支給されるものです。

その受給要件、受給期間や基本手当の計算に必要な賃金日額、基本手当日額、所定給付日数について、また、基本手当の計算方法、申請方法について解説します。

基本手当とは?

基本手当とは、雇用保険に加入している被保険者が定年や倒産、契約期間の終了等の理由により離職した場合に、失業中の生活の安定を図りつつ、1日も早く再就職するための求職活動を容易にすることを目的に支給されるものです。

参考:基本手当について|ハローワークインターネットサービス

雇用保険との関係について

基本手当は、雇用保険被保険者が離職して失業した際に、働く意思と能力があるが就職できない場合に、本人が手続きすることにより支給される手当です。

雇用保険被保険者ではなかった人や、雇用保険被保険者であっても基本手当の受給要件を満たしていない人には支給されません。

雇用保険の詳細については、下記を参照してください。

基本手当の受給要件は?

基本手当の受給要件は2つあります。

1つ目は、ハローワークで求職の申し込みを行い、働く意思と能力はあるが就職できない「失業している状態」にあること。

2つ目は、退職した日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で12カ月以上あること。
ただし、特定受給資格者、または、特定理由離職者については、退職した日以前の1年間の雇用保険の被保険者期間が通算で6カ月以上あること。

この2つの受給要件を満たさない場合には基本手当は支給されません。

参考:基本手当について|ハローワークインターネットサービス

基本手当の受給期間

基本手当の受給期間は、原則、離職日の翌日から1年間です。

この期間内で、かつ、受給手続きを行った後の失業状態にある日について、所定給付日数を上限として基本手当が受けられます。

そのため、この期限を過ぎてしまうと、所定給付日数が残っていても、その日以後は基本手当を受けることができなくなりますので、早めに手続きを行ってください。

基本手当の給付額の計算方法

基本手当の受給額については次のような計算で給付額を求めます。

  1. 賃金日額を算出します。
  2.  賃金日額=退職前6カ月間の給与総額÷180

  3. 基本手当日額を算出します。
  4.  基本手当日額=賃金日額×45~80%(賃金日額と年齢によって率が異なる)

  5. 基本手当を受給できる総額=基本手当日額×所定給付日数

基本手当日額とは

基本手当として受給できる1日当たりの受給額を「基本手当日額」といいます。

この「基本手当日額」は、離職日の直前6カ月に支払われた賃金の合計額を180で除して計算した金額(賃金日額)の50~80%(60歳~64歳については45~80%)で、賃金の額が低い方ほど高い率になっています。

基本手当日額は、年齢ごとに上限額が定められており、令和3年8月1日現在は次のようになっています。

年齢
上限額
30歳未満6,760円
30歳以上45歳未満7,510円
45歳以上60歳未満8,265円
60歳以上65歳未満7,096円

参考:基本手当について|ハローワークインターネットサービス

基本手当日額の上限額・下限額早見表

基本手当日額は、離職者の賃金日額を基にして計算します。賃金日額とは、離職した日の直前6ヶ月に受けた賃金の総額を180で割った1日単位の賃金額のことです。

ただし、賃金日額は離職時の年齢によって上限額が決まっています。離職者の年齢に該当する賃金日額の上限額を下の表を参考に確認してください。

【年齢区分に応じた賃金日額・基本手当日額の上限額(令和3年8月1日以降)】

離職時の年齢
賃金日額の上限額(円)
基本手当日額の上限額(円)
変更前変更後変更前変更後(前年度増減)
29歳以下13,69013,5206,8456,760 (-85)
30~44歳15,21015,0207,6057,510 (-95)
45~59歳16,74016,5308,3708,265 (-105)
60~64歳15,97015,7707,1867,096 (-90)

(計算例)
57歳で賃金日額が18,000円の人は、上限額である16,530円が適用され、令和3年8月1日以降分の1日当たりの支給額である基本手当日額は8,265円となります。

【賃金日額・基本手当日額の下限額(令和3年8月1日以降)】

年齢
賃金日額の下限額(円)
基本手当日額の下限額(円)
変更前変更後変更前変更後(前年度増減)
全年齢2,5742,5772,0592,061 (+2)

*基本手当日額の下限額は、年齢に関係なく2,061円になります。

参考:雇用保険緒基本手当日額が変更になります。~令和3年8月1日から~|厚生労働省

所定給付日数とは

基本手当を受給できる日数のことを所定給付日数と言います。

所定給付日数は、退職時の年齢、雇用保険の被保険者であった加入期間、退職理由などにより受給日数が違います。

雇用保険の被保険者であった期間が長期間の場合や倒産・解雇などにより、再就職するための準備の期間がないまま退職を余儀なくされた場合などは、一般の退職者に比べて所定給付日数が多くなります。

退職時の状況により所定給付日数は下記のようになります。

【自己都合により退職した場合の所定給付日数】
自己都合により退職した場合は、退職した年齢にかかわらず、雇用保険被保険者であった期間により所定給付日数が決定します。

被保険者であった期間
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日120日180日

【特定受給資格者及び特定理由離職者の所定給付日数】
会社の倒産や事業所の廃止など、会社の都合により退職した場合は、特定受給資格者となります。

また、体力不足や疾病、負傷により離職した人、事業所の移転により通勤不可能または困難など、正当な理由による自己都合で退職した場合は、特定理由離職者となります。

この特定受給資格者、または、特定理由離職者の場合は、被保険者であった期間と退職時の年齢で所定給付日数が決定します。

被保険者であった期間
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上
35歳未満
120日180日210日240日
35歳以上
44歳未満
150日240日270日
45歳以上
58歳未満
180日240日270日330日
60歳以上
65歳未満
150日180日210日240日

【障害者等の就職困難者の所定給付日数】
就職困難者とは、以下のような人などが該当します。

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 刑法等の規定により保護観察が必要な方
  • 社会的事情により就職が著しく困難な方

上記のような就職困難者の場合は、被保険者であった期間と退職時の年齢で所定給付日数が決定されます。

被保険者であった期間
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満150日300日
45歳以上
65歳未満
360日

参考:よくあるご質問(雇用保険について)よくあるご質問(雇用保険について)Q4-A4|ハローワークインターネットサービス

基本手当の申請方法

基本手当を申請するためには、必要な書類を揃える手続きやハローワークで行う手続きなどがあります。

基本手当の申請方法は、以下の通りです。

離職までに行うこと

在職中に、自分の「雇用保険被保険者証」が手元にあるかどうか確認してください。

会社は、ハローワークに提出するために「離職証明書」を作成しますが、離職前に本人の記名押印または署名が必要ですので、その際には、離職理由等の記載内容についても確認しましょう。

受給資格の決定

会社から離職票が届いたら自宅住所を管轄するハローワークに行き、求職の申し込みを行ってください。

その際には、下記の書類が必要になります。

  • 雇用保険被保険者離職票-1
  • 雇用保険被保険者離職票-2
  • マイナンバーカード、通知カードまたは個人番号の記載のある住民票
  • 身元確認書類((A)のうち1種類((A)がない場合は(B)のうち異なる2種類(コピー不可))
  •  (A)運転免許証、運転経歴証明書、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
     (B)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など

  • 印鑑
  • 写真2枚(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.4cm)
  • 本人名義の預金通帳かキャッシュカード

ハローワークが受給資格の決定ならびに離職理由の判定を行います。

受給資格が決定した後に受給説明会の日時が通知され、「雇用保険受給資格者のしおり」が配布されます。

雇用保険受給者初回説明会への出席

指定の日時に「雇用保険受給資格者のしおり」、印鑑や筆記用具等を持参して出席します。

出席すると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を配布され、第一回目の「失業認定日」が案内されます。

失業の認定

原則、4週間に1回、失業の認定がされます。指定日に管轄のハローワークに行って「失業認定申告書」に記入し、「雇用保険受給資格者証」と共に提出してください。

基本手当を受けるためには、失業の認定期間の間に原則2回以上の求職活動が必要となります。

基本手当の受給

失業認定日から通常5営業日程度で、あなたが指定した金融機関の口座に基本手当が振り込まれます。

参考:雇用保険手続きのご案内|ハローワークインターネットサービス

基本手当の詳細について正しく理解しておこう!

基本手当は、雇用保険の被保険者であった人が離職して失業した場合に、働く意思と能力はあるが就職できないときに支給される手当であるということを説明しました。

また、基本手当を受給する要件や受給期間、受給額、所定給付日数という基本的な内容や基本手当の申請方法についても解説しました。

これらの内容を正しく理解して、基本手当を受給する場合にはスムーズに基本手当を受給できるように、この記事を見直したりハローワークのホームページを参照することで理解を深めておきましょう。

よくある質問

基本手当とはなんですか?

基本手当とは、雇用保険の被保険者が、定年や倒産、契約期間の満了等で離職し失業した場合にその間の生活を心配せずに新しい仕事を探して1日も早く再就職するために補助的に支給される手当です。詳しくはこちらをご覧ください。

基本手当の受給要件には何がありますか?

受給要件は2つあり、1つ目はハローワークで求職の申し込みを行い、働く意思と能力はあるが就職できない失業状態であること、2つ目は離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12カ月以上あることです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。