- 更新日 : 2025年2月12日
育児休業とは?育児休暇との違い、取得可能な期間を解説
育児休業は、1歳未満の子どもを育てるために取得することができる休業です。育児・介護休業法に定められており、女性労働者だけではなく、男性労働者にも育児休業の取得が推奨されています。
今回は、育児休業の解説、育児休暇や産前・産後休業との違い、育児休業の申請書類、手続き方法、申請期限などについて解説します。
目次
育児休業とは?
育児休業(以下、育休)とは、会社員などが育児のために取得できる休業制度のことです。
育休制度は育児・介護休業法で定められたもので、企業は法律に従って自社の休業制度を設けます。最初に、育休の対象者や期間、産休との違いについて確認しましょう。
育児休暇との違い
「育児休業」が法律で定められた制度であるのに対して、「育児休暇」は会社ごとに社員のために独自につくる制度です。育児休暇制度を設けるかどうか、育児休暇をどのようなときに取得させるのかなどのルールは、すべて会社ごとに決めることができます。
育児休業は育児・介護休業法に定める休業制度で、従業員の申し出があれば企業は育休取得を妨げることはできません。また、取得できる要件や期間、休業中の給付金なども法律で定められています。
一方、育児休暇は法律上の定めはなく、企業が任意に設けるものです。取得要件や休業の内容、休業中の給与の有無など、企業が自由に設定できます。ただし、育児・介護休業法第24条では、小学校入学前の子どもについて「育児目的で利用できる休暇制度」を設けることを企業の努力義務としています。
産休・産後休業との違い
産前・産後休業は、女性従業員が子どもの生まれる前の期間と出産後の体を回復させる期間に休業できる制度です。育児休業が男性労働者も取得できるのに対して、産前・産後休業は女性労働者のみ取得できる点が違います。
一般的には、母親が出産のために産休を取得した後に、育児のために育休を取得します。産休と育休を取得できる期間は次の通りです。
- 産休の期間:原則、産前6週間以内から産後8週間以内まで
- 育休の期間:原則、産休終了日の翌日から子どもが1歳になるまで
育児休業の取得条件
育児休業を取得するためには、取得条件を満たしている必要があります。どのような条件を満たせばよいのか見ていきましょう。
同一の事業主に過去1年間以上雇用されている
有期雇用労働者に関して、以前は育児休業の取得要件に「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること(入社1年以上であること)」がありましたが、2022年4月1日から、その条文は撤廃されました。
ただし、労使協定で「雇用期間が1年未満である場合には、育児休業を認めない」と協定している場合には、例外的に育児休業は取得できません。
子どもが1歳6ヵ月になる日までに雇用契約がある
前述のように「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」という育児休業の取得要件が2022年4月1日から撤廃されましたので、現在は「子どもが1歳6ヵ月になる日までに、雇用契約が満了することが明らかでないこと」という要件だけになっています。
子どもが2歳になるまで期間を延長した場合は2歳になる日まで雇用契約がある
子どもが1歳6ヵ月になるときに、保育所に入れないなどの特別な事情がある場合には、延長申請することにより、子どもが2歳に達する日まで育児休業を延長できます。なお、有期雇用労働者の場合は、子どもが1歳6ヵ月になる日の翌日の時点で、子どもが2歳になるまでの間に雇用契約が満了しないことが必要です。
育児休業を取得できる期間および各期間の条件
育休の期間は、原則子どもが1歳になるまでの期間です。母親は産前産後休業(以下、産休)の終了日翌日から、父親は出産日(または出産予定日)から取得できます。ただし、子どもが1歳のとき保育所が見つからない場合などは「1歳6ヶ月になる日」まで、子どもが1歳6ヶ月のとき同様の場合は「2歳になる日」まで期間延長できます。
子どもが1歳2ヶ月になるまで取得可能な「パパ・ママ育休プラス」制度については後述しますので確認してください。
また、2022年10月より育休を2回に分割して取得できるようになりました。後述する「産後パパ育休」を併用すれば、父親の取得回数は最大4回です。
1歳になるまで
育児休業は、子どもが1歳になるまでが基本です。育児・介護休業法で、労働者が育児休業を取得できるのは、原則、子どもが1歳になるまでの間とされています。
① 延長する場合:1歳6ヵ月になるまで
育児休業を取得できるのは、原則、子どもが1歳になるまでの間です。しかし、例外的な措置として、子どもが1歳になるときに、雇用を継続するためには保育所などに入所する必要があると認められる場合に限り、1歳6ヵ月まで育児休業を延長することができます。
➁ 延長する場合:2歳になるまで
子どもが1歳6ヵ月になるまで延長してもまだ雇用を継続するためには保育所などに入所する必要があると認められる場合には、2歳まで育児休業を延長することができます。
育児休業の申請に必要な書類
社員が育児休業を取得したい場合には会社に申し出を行いますが、その際は、育児・介護休業法に基づき、原則として書面での提出が必要になります。提出する書類は、「育児休業申出書」です。
育児休業を取得した場合、育児休業期間中の社会保険料の免除を申し出ることができます。免除申請に必要な書類は「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」です。
また、育児休業を取得した場合には、雇用保険から育児休業給付金を受給できます。育児休業給付金を申請するために必要な書類は以下のとおりです。
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 母子手帳のコピー
- 支給申請期間の賃金台帳と出勤簿
- 育児休業申出書(男性の場合、または、女性で育児休業開始日と法定日が異なる場合)
育児休業の申請に必要な手続き
育児休業給付金の申請に必要な手続きについて解説します。
必要書類をまとめる
育児休業給付金を受給するためには、まず会社が受給資格確認手続きを行う必要があります。受給資格確認手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
添付書類をまとめる
必要書類の作成が終わったら、申請時に添付する以下の書類を被保険者から受け取ります。
- 母子手帳のコピー
- 支給申請期間の賃金台帳と出勤簿
- 育児休業申出書(男性の場合、または、女性で育児休業開始日と法定日が異なる場合)
事業所の所在地を管轄するハローワークに提出する
すべての書類が揃ったら、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出してください。なお、この手続きは電子申請での支給申請も可能です。
育児休業の申請期限
育児休業の申請期限は、子どもの年齢によって異なります。
■1歳までの育児休業の場合
休業開始予定日の1ヵ月前までに書面で申し出る必要があります。
■1歳から1歳6ヵ月までの育児休業の場合
休業開始予定日の2週間前までに申し出る必要があります。
■1歳6ヵ月から2歳までの育児休業の場合
休業開始予定日の2週間前までに申し出る必要があります。
育児休業期間中の社会保険料の免除を日本年金機構に申し出る場合の申請期限は、育児休業期間中、または育児休業等終了後の終了日から1ヵ月以内の期間中です。
育児休業給付金の申請を行う場合は、育児休業を開始した日を起算日として、1ヵ月ごとの期間が申請単位になります。育児休業終了などで申請単位が1ヵ月に満たない月がある場合は、その月の月末の日までとします。
育児休業の期間延長申請に必要な手続き
育児休業の取得中は、育児休業給付金を受給できます。しかし、何らかの理由により、育児休業給付金を受給し続けることができなくなった場合でも、延長事由に該当していれば育児休業給付金の支給対象になります。どのような場合に該当するのか見ていきましょう。
子どもが保育所に入れなかったケース
育児休業を申し出た対象の子どもについて、市町村に保育所への入所の申し込みを行ったものの、その子が1歳または1歳6ヵ月に達する日の後に入所できないケースです。この事由に該当する場合は、市町村から発行された証明書等を添付して延長申請手続きを行ってください。
子どもの養育者が死亡やケガ、病気等によって育児が困難になった場合
子どもを常態として養育していた配偶者が、死亡や怪我、病気等で引き続き育児をすることが困難になった場合です。この事由に該当する場合は、以下の確認書類を添付して延長申請手続きを行ってください。
- 配偶者の死亡:住民票の写しと母子健康手帳
- 配偶者の疾病・負傷等:医師の診断書
- 配偶者との別居:住民票の写しと母子健康手帳
- 配偶者の産前産後:産前産後に関わる母子健康手帳
育児休業を取得する上での注意点・ポイント
従業員が育児休業を取得する上ではどのようなことに注意しておけばよいのでしょうか。男性の育児休業の観点も含めて、注意点やポイントについて解説します。
男性も育児休業を取得できる
育児・介護休業法では、育児休業は男性も取得できると定められています。男性の育児休業に関しても、社会保険加入者は育児休業期間中の社会保険料の免除制度、雇用保険加入者は育児休業給付金を受給できます。
育児休業中に退職した場合
育児休業中に退職しても法律違反などにはなりません。ただし、育児休業給付金はその時点でストップします。ストップする理由は、育児休業給付金は職場復帰することが前提で支給される給付金だからです。
退職日以降ではなく、退職日を含む「支給対象期間」の単位で育児休業給付金が支給されなくなり、日割り計算はされませんので注意してください。
産後パパ育休とは?
産後パパ育休(正式名称は「出生時育児休業」)とは、男性の育児休業取得促進のため子育てに手のかかる出生直後の時期に取得できる育児休業制度で、2022年10月に新設されました。主な取扱いは次の通りです。
- 期間:子どもの出生後から8週間以内まで
- 取得日数:最大4週間(28日)
- 取得回数:2回に分割取得できる
- 就業条件:日雇い労働者を除く従業員
出生日が4月1日の場合、6月26日までの間(出生後8週間以内)に28日間の育休を2回に分割して取得できます。
契約社員(有期雇用労働者)については、「出生日(※)から8週間を経過する日の翌日から6ヶ月を経過する日までに、労働契約期間が満了することが明らかでないこと」が条件です。
※予定日より早く生まれたときは出産予定日。
育休は男女両方を対象に原則子どもが1歳になるまでの期間に取得できますが、産後パパ育休は男性のみを対象に子どもの出生後8週間以内までに取得できる休業制度です。産後パパ育休の終了後に育休を取れば、男性は最大4回に分割して育休を取得できます。
(産後パパ育休を利用した育休の分割取得のイメージ)
引用:令和3(2021)年法改正のポイント(育児休業特設サイト)|厚生労働省
産後パパ育休と育児休業は同じ制度?
産後パパ休業は、男性の育児休業を促進するために、取得の必要な可能性が高い子どもの出生直後の時期(出生後8週間以内)に、今までよりも柔軟で取りやすい休業として制度化されました。
産後パパ休業と育児休業は、「育児のための休業」という目的は同じです。しかし、産後パパ休業は1歳までの育児休業とは別に取ることができる制度で、産後パパ休業とは異なります。
パパ・ママ育休プラスとは?
パパ・ママ育休プラスとは、両親がともに所定の要件を満たす育児休業を取得する場合、休業可能期間と育児休業給付金の支給期間の延長が認められる制度です。
パパ・ママ育休プラスを利用するには、利用する本人と配偶者が次の条件を満たすことが必要です。
- 配偶者が子どもが1歳に達するまでに育児休業を取得している
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前である
- 本人の育児休業開始予定日は、本人の育児休業の初日以降である
父親、母親とも育休が取れるのは1年間(産後休業を含む)ですが、交互に育休を取得することで育休期間や育児休業給付金の支給期間を「子どもが1歳2ヶ月になる日」まで延長できます。延長できるのは、後から育休を始めた父親または母親です。先に育休を開始した母親は、子ども1歳以降にパパ・ママ育休プラスを利用できません。
(パパ・ママ育休プラスの利用パターン)
育児・介護休業法の改正によって変わったことは?
育児・介護休業法が2022年4月に法改正があり、その後も、2022年10月、2023年4月と段階的に改正されました。この育児・介護休業法の改正によって変わったことについて見ていきます。
出産手当金
出産手当金は、育児・介護休業法の改正とは関係なく、健康保険の給付として支給されます。出産手当金は、健康保険の被保険者であることが支給の要件です。出産日(出産日が出産予定日後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降の56日までの期間で、産前産後休暇を取得したために給与の支払がなかった期間について、健康保険から支払われます。
出産手当金は、下記の計算で求めます。
出産育児一時金
出産育児一時金については、育児・介護休業法とは別の法律である健康保険法施行令が2023年4月1日に改正されました。改正により、2023年4月1日出産分から、出産手当一時金の額が50万円に引き上げられています(産科医療補償制度に未加入の医療機関などで出産した場合や、妊娠週数22週未満で出産した場合の出産育児一時金は48.8万円)。
育児休業給付金
育児・介護休業法では、2022年10月の改正で「産後パパ育休(出生時育児休業)」がスタートしました。
これまでも、父親が子どもの出生後8週間以内に育児休業を取得すると、子どもが1歳までの間に2回目の育児休業の取得が可能になる「パパ休暇」がありました。今回は、さらに男性の育児休業の取得を推進する目的で産後パパ育休がスタートしています。
育児休業給付金は、下記の計算式で求められます。
・通常の育児休業給付金
育児休業開始後6ヵ月以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
・出生時育児休業給付金
※休業開始時賃金日額:休業開始前の6ヵ月の額面賃金を180日で除した金額
雇用期間がある場合の育休の取得条件
育休が取得できるのは正社員だけではありませんが、次のケースでは育休を取得できるのでしょうか。
- パート・アルバイトの場合
- 派遣社員の場合
- 業務委託・フリーランスの場合
各ケースについて育休取得の可否や取得条件を解説します。
パート・アルバイトの場合
パートタイム社員やアルバイトなどの短時間労働者でも、無期雇用の人や次の条件を満たす人は育休を取得できます。
- 原則、養育する子どもが1歳6ヶ月になる日までの間、労働契約期間が満了することが明らかでないこと
契約が満了する場合でも、「更新される」または「更新されないことが明らかでない」ときは条件を満たすことになります。
派遣社員の場合
派遣社員も育休が取れますが、育休の申請は派遣先ではなく派遣元になります。パートタイム社員などと同じように、「養育する子どもが1歳6ヶ月になる日まで労働契約期間が満了することが明らかでないこと」が条件です。
業務委託・フリーランスの場合
育休は会社員など企業に雇用されている人が対象となるため、業務委託やフリーランスの人は育休を取れません。
育休を取得する会社員は休業中に育児休業給付金を受給できるのに対し、業務委託やフリーランスの人には社会保険の給付がありません。ケガや病気に備える所得補償保険も育児による不就業は対象外であるため、育児で休業するときの経済的な備えとして自助努力が必要です。
男性の育休と女性の育休との違い
育児・介護休業法上、男性と女性はほぼ同じように育休を取得できますが、実際の取得状況は異なります。男性と女性の育休取得パターン例と育休を取得した男性の声を紹介します。
男性と女性の育休取得パターン例
2023年4月から従業員が1,000人超の企業に男性の育児休業等の取得率公表が義務づけられ、男性の取得率は急速にアップしています。
厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、男女別の育休取得率と取得期間は次の通りです。
(育休の取得率)
男性 | 女性 | |
---|---|---|
2019年 | 7.5% | 83.0% |
2020年 | 12.7% | 81.6% |
2021年 | 14.0% | 85.1% |
2022年 | 17.1% | 80.2% |
2023年 | 30.1% | 84.1% |
(育休の取得期間)
男性 | 女性 | |
---|---|---|
1 | 1ヶ月~3ヶ月未満(28.0%) | 12ヶ月~18ヶ月未満(32.7%) |
2 | 5日~2週間未満(22.0%) | 10ヶ月~12ヶ月未満(30.9%) |
3 | 2週間~1ヶ月未満(20.4%) | 8ヶ月~10ヶ月未満(11.4%) |
多くの女性が産休後に1年前後の育休を取得しているのに対し、男性の育休期間は1ヶ月前後が多く女性よりも大幅に少ない状況です。また、男性の育休取得率は急激にアップしている一方、取得率の水準は高くはありません。
男性の育休取得者の96%が「取得して良かった」
株式会社Mama’s Sachiのアンケート調査によると、育休を取得した男性の約96%が「取得して良かった」と回答しています。育休取得のメリットについて、男性が選択した回答の上位3つは次の通りです。
- 子どもの成長をそばで見られる
- 夫婦で助け合い、楽しさも苦しさも共有できる
- 夫婦のコミュニケーションが円滑になる
また、育休を取得して気づいたことの第1位は、男女とも「一人で育児することの大変さ」でした。
参考:男性の育休 取得した人の96%が「取得して良かった」/パパママ264名に聞いた!|Mama’s Sachi
育休の取得で会社がすべきこと
育休の取得について企業は、「育休に関する諸手続き」と「育休取得を推進するための対応」が必要です。それぞれについて解説します。
育休に関する諸手続き
従業員が育休を取得する場合、企業は次の諸手続きが必要になります。
(育休に関する諸手続き)
手続き書類 | 提出先 | |
---|---|---|
育休手当の受給資格確認・初回申請 |
| ハローワーク |
育休手当の支給申請(2回目以降) |
| ハローワーク |
社会保険料の免除申請 |
| 日本年金機構 |
育休が予定より早く終了したときの社会保険の届け |
| 日本年金機構 |
復職して給与が変わったら、報酬月額の変更届も必要です。
育休取得を推進するための対応
育児・介護休業法の改正により、2022年4月より「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」と「妊娠・出産を申し出た従業員への個別の周知・意向確認の措置」が企業に義務づけられました。
雇用環境の整備とは、次のいずれかの措置を取ることです。
- 育休(産後パパ育休を含む)に関する研修の実施
- 育休に関する相談体制の整備
- 従業員の育休取得事例の収集・提供
- 従業員へ育休制度と育休取得促進に関する方針の周知
従業員に次の事項を個別周知した上で、休業取得の意向を確認しましょう。
- 育休に関する制度
- 育休の申し出先
- 育児休業給付に関すること
- 育休中に従業員が負担する社会保険料
また、2023年4月より従業員1,000人超の企業に男性の育休取得率等の公表が義務づけられました。2025年4月からは対象が300人超の企業に拡大します。
育休取得に関する会社の禁止事項
育児・介護休業法第10条では、育児休業の申出や取得を理由に従業員を解雇することや、不利益な取扱いをしてはならないと定めています。不利益な取扱いとは、以下の通りです。
- 解雇や雇止め
- 降格や減給
- 不利益な配置変更
- 昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
- 過大な要求(業務上不要な仕事や遂行不可能な仕事をさせる)や過小な要求(仕事をさせない、もっぱら雑務をさせる)を行うなど
育児休業の申出や取得だけでなく、育児のために行う子の看護休暇や、所定外労働の制限などの申出や取得に対する不利益な取扱いも禁止されています。
不利益な取扱いをした場合の罰則は設けられていませんが、育児・介護休業法第56条に基づいて報告を求められたり指導・勧告を受けたりすることがあります。勧告に従わなかったときは違反が公表され社会的信用を失う恐れもあるので注意しましょう。
育児休業制度を有効に利用して子育てを進めていきましょう
近年、国も本腰を入れて、男女が共に育児休業を取得できるようにさまざまな支援をしています。子育て世代も、夫婦で協力して子育てをする環境が整いつつあり、会社の理解も得ながら育児を行っています。
育児休業給付金などの制度を有効に利用して、夫婦で安心して子育てができるように、会社もサポートしていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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