- 更新日 : 2024年12月13日
通勤届の正しい書き方とは?経路ごとのポイントや記載例を紹介
通勤届とは交通費を支給してもらうために、会社に提出する書類です。通勤届を記載することは多くないため、書き方に戸惑ってしまう方も多いでしょう。
通勤届には、通勤経路を正しく記載しなければなりません。本記事では通勤届の正しい書き方や、記載例について詳しく紹介していきます。
目次
通勤届とは
通勤届とは通勤手当(交通費)の支給がある会社において、通勤経路や通勤手段を会社に対して届け出る書類のことです。通勤届を提出するのは入社時や転居した場合に限られます。また会社によっては定期券を支給するケースもあるため、通勤届が不要な場合もあります。
そのため通勤届を書き慣れている方は少なく、いざ書類を記入することになった際に戸惑ってしまう方も多いでしょう。通勤届の記載方法に迷ったら、あまり難しく考えないでありのままを記載しましょう。
会社が通勤届を提出させる目的は、「適正な通勤手当を算出するため」です。経理担当者としては従業員の通勤経路が妥当なものかどうかをチェックしたいだけであるため、必要以上に書き方などの体裁にこだわる必要はありません。通勤経路については、正しく記載することを意識しましょう。
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「通勤経路の別」の書き方
通勤届の中でも、書き方に悩むことが多いのが「通勤経路の別」欄です。ここでは「通勤経路の別」欄の書き方を紹介します。
主な記載項目
「通勤経路の別」に記載する主な項目は、次の通りです。
- 順路
- 通勤方法の別
- 区間
- 距離
- 所要時間
- 運賃
- 乗車券の種類
- 時間と運賃の合計
「通勤経路の別」では自宅から会社までの経路を、徒歩も含めて詳細に記載します。自宅から駅までの徒歩の距離、電車やバスを利用する区間、最寄り駅から会社までの徒歩時間も忘れないようにしましょう。各区間の所要時間や距離、運賃なども細かく精緻に記載しましょう。
記載例
「通勤経路の別」の記載例を紹介します。具体例としてバスと地下鉄を使って通勤する経路の記載を見てみましょう。
順路 | 通勤方法の別 | 区間 | 距離 | 所要時間 | 運賃 | 乗車券の種類 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 徒歩 | 自宅からバス停まで(〇〇台1丁目バス停) | 0.5km | 10分 | – | – |
2 | 市営バス | 〇〇台1丁目バス停から〇〇駅前まで | 2.5km | 15分 | 200円 | 定期券 |
3 | 地下鉄 | 〇〇駅から△△駅まで | 4.0km | 20分 | 250円 | SUICA |
4 | 市営バス | △△駅前から市役所前まで | 3.5km | 20分 | 210円 | 回数券 |
5 | 徒歩 | 市役所前から市役所まで | 0.3km | 4分 | – | – |
合計 | 10.8km | 1時間9分 | 660円 |
上記のように自宅から勤務先までの経路を、明確に記載することを意識しましょう。駅やバス停の名称は間違えないように正確に記載し、所要時間と運賃も忘れてはいけません。大事なのは自宅から会社までの最短ルートを記載することです。通勤経路を偽って、実際の金額より多めに交通費を請求することは、不正受給にあたってしまう可能性があります。
電車通勤の場合の通勤届の書き方
ここからは通勤手段ごとの通勤届の書き方を紹介していきます。まずは電車通勤の場合の書き方を見ていきましょう。
記載する項目とポイント
電車を利用する通勤経路では、次のような点を通勤届に記載しましょう。
- 自宅から最寄り駅までの移動手段とかかる時間
- 乗車駅
- 路線名
- 鉄道会社
- (乗り換えがある場合)乗車駅・乗り換えにかかる時間
- 路線ごとの所要時間
- 路線ごとの運賃
- 降車駅から会社までの移動手段とかかる時間
電車通勤の場合は、乗り換えの経由地や鉄道会社名もしっかりと明記しましょう。運賃だけでなく、乗り換えにかかる所要時間も忘れてはいけません。駅までの徒歩の所要時間を調べる際には、インターネットの地図サービスやルート検索がおすすめです。
記載例
電車通勤の場合の、記載例は次の通りです。
自宅
↓(徒歩10分)
最寄り駅の名称(〇〇駅)
↓(JR◯◯線 20分/運賃250円)
乗り換え駅の名称(△△駅)
↓(地下鉄◯◯線15分/運賃250円)
☐☐駅
↓(徒歩10分)
会社
電車の場合は最寄り駅までの徒歩の距離、鉄道名や運賃を正確に記載するようにしましょう。
バス通勤の場合の通勤届の書き方
続いて、バス通勤の場合の通勤届の書き方の記載例を紹介します。
記載項目とポイント
バス通勤の場合の、通勤届への記載項目は次の通りです。
- 家から最寄りのバス停までの距離や歩く時間
- バス停の名称
- バス会社の名前
- バスに乗る時間(路線ごとに記載する)
- 運賃(路線ごとに記載する)
- バス停から会社までの時間
電車通勤の場合と大きな違いはありませんが、バス通勤の場合会社によっては「自宅と最寄り駅が〇Km以上の場合に支給する」と決められている場合があります。自宅から最寄り駅の距離を正確に記載するとともに、就業規則を確認しましょう。
記載例
バス通勤の場合の、記載例は次の通りです。
自宅
↓(徒歩8分)
◯◯停留所
↓(◯◯バス 15分/運賃230円)
◯◯停留所
↓(徒歩3分)
会社
乗り換えがある際には、乗り換えのポイントがわかるように記載しましょう。
車通勤の場合の通勤届の書き方
次に、車通勤の場合の通勤届の書き方を紹介します。
記載する項目とポイント
車通勤の場合の、記載する項目は次の通りです。
- 自宅から会社までの道順
- 距離
- 所要時間
車通勤の場合、移動する距離に応じてガソリン代が支給されることが多いです。そのため距離の算出は、できるだけ正確に行う必要があります。実際に車で移動してみて計測する方法もありますが、ネット地図の経路検索機能やカーナビのルート検索などを活用するとよいでしょう。
記載例
車通勤の場合の記載例を紹介します。
自宅
↓
◯◯交差点を左折
↓
剣道◯号線を左折し、国道○号線を南下
↓
○○銀行前を右折、西方向へ直進
↓
会社
通勤距離:20キロ 所要時間:40分
車通勤の場合でもできるだけ経路を細かく書くほうがよいですが、移動距離が長い場合はすべてを記載できない場合もあるでしょう。すべての経路を記載できない場合は、主要幹線道路など主要な曲がり角のみに絞って計算しましょう。
通勤経路の略図の書き方
会社によっては通勤経路を図で書く必要があります。略図を書く方法には、ネットの地図を活用する方法と手書きで記載する方法があります。
ネットの地図を活用する方法
略図を記載する際、ネットの地図を使うと便利です。Googleマップなどの地図検索ツールを活用することで、簡単に作成できます。Googleマップで経路を表示するには、「出発地:自宅」・「目的地:勤務先」と入力して検索します。
表示された地図を印刷して、経路を色付きペンで記載しておけば見る人もわかりやすいでしょう。またスマホを使えば表示された地図をスクリーンショットすることで、画像データとして添付できます。便利ですがこの方法では距離が遠いと地図が小さくなってしまい、見にくくなります。会社までの距離が近い場合や、車通勤の場合に向いている方法です。
略図を手書きする方法
会社所定の用紙に、略図を手書きするケースもあるでしょう。手書きする場合のポイントは、以下の通りです。
- 北を上にして書く
- 自宅と会社の位置をわかりやすく記載する
- わかりやすい目印を記載する
- 赤ペンなどで経路を目立たせる
- 簡略化する
略図を書く際は一般的な地図と同様に、地図の上部を北にするようにしましょう。さらに自宅と会社の位置は色を変えたり、大きく描いたりして目立つように記載するとわかりやすいです。
学校やコンビニ、病院や銀行など通勤経路上のわかりやすい目印を記載することで見やすくなります。また、経路は赤ペンでなぞるなど見やすい工夫をしましょう。また、細かい道路は省略して大きな道路だけ記載するなど簡略化することで、理解しやすい略図になります。
自転車や徒歩の場合、通勤届の提出は必要?
会社にもよりますが、徒歩や自転車通勤の場合は交通費が発生しないため、通勤経路の記載が不要な場合もあります。しかし雨や雪など天候によって、公共交通機関を利用する場合もあるでしょう。このようなケースでは普段は自転車や徒歩であることを伝えたうえで、悪天候の場合の通勤届を提出しておくと安心です。
一方、会社によっては、駐輪場代を支給してくれる場合もあります。駐輪場代を支給してもらう場合には通勤届が必要になるケースがあるため、就業規則を確認しておきましょう。また中には自転車通勤を禁止している会社もあるため、事前の確認が必要です。
通勤経路が変更になった場合はどうする?
引っ越しなどで通勤経路が変更になった場合は、速やかに会社に報告しなければなりません。通勤届を提出することで、会社からは通勤経路に見合った交通費が支給されています。引っ越しによって通勤経路が変わった場合、支給される交通費も変わります。
しかし、面倒で報告を怠ってしまう場合もあるでしょう。また、交通費が支給される金額より安くなった場合、差額は自分の収入にできると考える方もいるかもしれません。
通勤経路の変更を伝えずに、差額を受け取ってしまうことは横領です。金額が大きい場合や悪質な場合は、最悪の場合、懲戒解雇となってしまうかもしれません。過去には交通費の横領が刑事事件に発展し、前科が付いてしまったケースもあります。したがって、通勤経路の変更は速やかに報告しましょう。
通勤届は正しく提出しよう
通勤届とは交通費の支給がある会社に対して、通勤経路や通勤手段を会社に対して届け出る書類のことです。通勤届を提出することで、実際の通勤経路に見合った交通費が支給されます。そのため通勤届は、正確に内容を記載しなければなりません。
バスや電車、車通勤などさまざまな通勤方法がありますが、移動距離や時間も含めて細かく記載します。また通勤経路が変更になった場合は、速やかな届出が必要です。支給される交通費よりも実際の交通費のほうが低くなった場合、自分の収入にできると考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし会社に届けず自分で使ってしまうことは、横領にあたります。最悪のケースでは懲戒解雇になってしまうこともあるため、注意しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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