• 更新日 : 2023年11月9日

新入社員にはアルバイト時代の収入の年末調整が必要?

新入社員は3月に学校を卒業して4月から入社することが多いです。

年末が近づくと新入社員は初めて年末調整を行うことになりますが、わからないことも多いのではないでしょうか。例えば、3月までのアルバイト先からもらった源泉徴収票はどうするのかなどです。

今回は入社前にアルバイト収入のあった新入社員の年末調整について解説していきます。

就職前のアルバイトの給与も年末調整が必要

所得税は1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得に対して課税されるものです。

そのため、就職前にアルバイトで所得があった人が、新入社員として就職した年の年末調整を行う際は、原則として就職前のアルバイトの給与も含めて年末調整しなければなりません。

就職前のアルバイト先で源泉徴収票を受け取っているはずですので、その源泉徴収票を会社に提出して年末調整に含めてもらうようにしてください。

年末調整をすることでいくら返ってくる?

年末調整を行うことで、毎月の給与や賞与で控除された税額と1年間の所得の合計額から算出された税額を比較します。

その結果、控除された税額の方が多ければ差額の税額が還付され、逆に控除された税額が少なければ差額の税額を徴収されます。

この年末調整の計算は自身で計算すると大変ですが、インターネットで検索すると、自分で簡単に年末調整の金額を確認できるシミュレーションサイトが複数あります。

年末調整によりどのくらい還付金があるか、また、徴収額があるのかが気になる方は検索して利用してみてください。

新入社員の年末調整の詳しいやり方

年末調整のやり方については、会社から必要な書類が配布され、必要事項を記入して会社に提出。その後、会社が年末調整を行って税金の過不足額を算出し、過納額は還付され、不足額は徴収される流れになります。

年末調整では、下記3種類の申告書類が配布されます。

  1. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  2. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  3. 給与所得者の保険料控除申告書

それぞれどのような書類なのか、詳しく見ていきましょう。
 

1. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

基礎控除、配偶者控除、所得金額調整控除という3つの控除に関する記入を1つにまとめた書類です。

基礎控除申告部分は全員が対象ですので記入してください。

配偶者控除申告部分は配偶者がいる場合に記入します。配偶者の年齢と収入から配偶者控除が受けられるかどうか判断します。

所得金額調整控除申告部分は、その年の給与収入が850万円を超えている場合、自身が障害者または扶養親族に障害者がいる、扶養親族が年齢23歳未満等の要件に当てはまる場合に記入してください。

令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与租特者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

引用:令和5年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書|国税庁
 

2. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養控除等申告書は、控除対象配偶者や控除対象扶養親族について記入する書類です。

申告書に記入する対象者は、それぞれ以下の要件に当てはまる配偶者と扶養親族です。

配偶者

  • 民法上の婚姻関係にある
  • 本人と生計を一にしている
  • 配偶者の年間所得の見積額が95万円以下である
  • 本人の年間所得の見積額が900万円以下である
  • 配偶者がその年を通じて青色事業専従者給与を一度も受け取っていないこと、又は白色申告の事業専従者でない

扶養親族

  • 親族(配偶者を除いた6親等内の血族および3親等内の姻族)、都道府県知事から養育を委託された児童(里子)、市町村長から養護を委託された老人である
  • 納税者と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が48万円以下(所得が給与のみの場合は給与収入が103万円以下)である
  • その年を通じて青色事業専従者給与を一度も受け取っていないこと又は白色申告の事業専従者でない

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

上段部分には氏名、住所等を記入。中段部分には、源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、その他、障害者、寡婦、ひとり親や勤労学生がいる場合は記入します。下段部分は住民税に関する部分を記入してください。

令和5年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書-

引用:令和5年分 所得者の扶養控除等(異動)申告書|国税庁
 

3. 給与所得者の保険料控除申告書

保険料控除申告書は、生命保険料控除地震保険料控除社会保険料控除小規模企業共済等掛金控除を受けるために必要な書類です。

保険会社等の生命保険、介護保険、個人年金、地震保険に加入している方は、各保険会社から届いている保険料控除証明書を準備して記入します。

国民年金、国民健康保険の支払いを行っている場合は社会保険料控除を、確定拠出年金などの支払いを行っている場合は小規模企業共済等掛金控除を記入してください。

令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書-元

引用:令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書|国税庁
    
上記のほかに、住宅ローン控除を受ける場合には「住宅借入金等特別控除申告書」と添付が必要な各種書類を提出します。

会社が年末調整をしてくれる場合

会社では、11月から12月にかけて、社員の毎月の給与や賞与から仮で天引きして納付していた税額を正しく調整する「年末調整」を行います。

新入社員の場合は、入社前の1月から入社前までに受けたアルバイト給与も年末調整の対象になりますので、アルバイト先からもらった源泉徴収票を会社に提出します。

その他に、自分で支払った生命保険料、国民年金保険料などがあればその保険料控除証明書や領収証も会社に提出してください。

源泉徴収票が見つからない場合

就職前にアルバイトしていた場合、会社から「1月1日から入社前までのアルバイトの源泉徴収票を提出してください」と言われることがあります。

就職前には年末調整があるということを知らず、アルバイト先から受け取った源泉徴収票は使わないと思い込んで捨てていたり、なくしてしまったりという人もいるかもしれません。
年末調整の際にアルバイトの時の源泉徴収票がない場合、どう対応したらよいでしょうか?

源泉徴収票は、就職前の収入金額や税金を示した書類ですので、年末調整の時に就職前のアルバイト代を含めて年末調整する際には必要な書類になります。

その源泉徴収票がない場合は、収入があったのに、その金額や収入に対して引かれた税金の額を証明する書類がないため、アルバイトの時の申告ができません。

ですので、そのような場合には、アルバイト先に連絡して源泉徴収票を再発行してもらいましょう。

会社でできない時に自分で確定申告をする場合

会社の年末調整でアルバイトの時の税額分の申告ができない場合は、自分で確定申告を行って税額の調整申告を行う必要があります。

その場合には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などを利用して確定申告書を作成して確定申告を行ってください。
その際には、アルバイトの時の源泉徴収票が必要になりますので準備しておきましょう。

参考:確定申告書等作成コーナー|国税庁

入社後はじめての年末調整に注意しよう!

新入社員は入社した年の年末に初めて年末調整を行います。

会社は必要な書類を配布して簡単な説明だけの場合も多いようです。

当記事で年末調整の概要を確認して、わからないところは会社に確認したり、国税庁のホームページでチェックしたりしながら手続きを進めてください。

特に、1月1日から入社前までにアルバイト等で収入のあった方は、その分の申告が漏れると本来であれば返ってくるはずの税金が返ってこなくなる場合もありますので注意しましょう。


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