• 更新日 : 2025年1月28日

12連勤・13連勤は合法、違法?ルールや賃金の計算方法、防止策を解説

労働基準法第35条1項によると、12連勤は合法であり、連続勤務数の上限です。13連勤以上になると、労働基準法に違反する可能性があるため注意が必要です。ただし、労働基準法では労働時間や休憩、休日にルールが定められており、違反すると罰則が科される可能性があります。長時間労働は、従業員の負担となり、離職リスクにもつながりかねません。

本記事では、12連勤や13連勤の合法・違法の判断基準や賃金計算の方法、企業として取るべき防止策を解説します。

12連勤は許される?

労働基準法によると、12連勤は法律に反していないため許されます。ただし、労働基準法では、最低でも週1回の休日を与えるよう義務付けられています。1週間に1回休日を設けて12連勤する場合のスケジュール例は、以下のとおりです。

1週目休日出勤出勤出勤出勤出勤出勤
2週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤休日

上記の表の場合、1週目の日曜日から2週目の土曜日までの間の出勤で12日間勤務となります。

適切に休日を設けなければ「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があるため、注意が必要です。

連続勤務日数の上限は最大で12日間

労働基準法第35条1項では「使用者は、労働者に対して毎週少なくとも一回の休日を与えなければいけない」と定められていることから、連続勤務日数の上限は最大12日間です。

ただし、従業員に12連勤してもらう場合は労働時間に注意が必要です。労働基準法第32条によると、1日8時間、1週間で40時間までの労働が上限と定められています。

1日8時間で働く場合、5連勤までで週40時間となり、6連勤は週48時間と労働基準法の違反となります。そのため、12連勤のシフトを組む場合は労働基準法に基づいて適切な労働時間に設定しましょう。

12連勤・13連勤以上が合法なケース

12連勤や13連勤は違法になることもありますが「変形休日制」や「管理職の場合」は例外により労働基準法に反しないケースがあります。以下では、2つの合法となるケースを紹介します。

変形休日制

変形休日制の場合、最大24日間の連続勤務が可能です。

変形休日制は、4週間に4日以上の休日を与える制度です。労働基準法第35条によると、毎週1日以上の休日が必要とされています。しかし、週休制の導入が困難な場合は変形休日制を取り入れても問題ないと定められています。

つまり、変形休日制であれば、4週間のうち4日の休日があればいいため、24日間を上限に勤務可能です。変形休日制により、24連勤する場合のスケジュール例は以下のとおりです。

1週目休日休日出勤出勤出勤出勤出勤
2週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
3週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
4週目出勤出勤出勤出勤出勤休日休日

変形休日制により24日間勤務してもらう場合、事前に就業規則に記載して従業員に周知する必要があります。ただし、連続勤務が12日を超えることになったタイミングで変形休日制に変更できないことを理解しておきましょう。

なお、1ヶ月目の第1週(日曜日から水曜日まで)を4連休、2ヶ月目となる第4週(水曜日から土曜日)を4連休にすることによって、理論上は48連勤も可能です。

1週目休日休日休日休日出勤出勤出勤
2週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
3週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
4週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
5週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
6週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
7週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
8週目出勤出勤出勤休日休日休日休日

48連勤の場合は、上記のスケジュールのようになります。ただし、48連勤は従業員の心身に負担を与える可能性があるため注意が必要です。

管理職が管理監督者の場合

管理職が管理監督者の場合、12連勤を超えても労働基準法違反になりません。管理監督者とは、事業の種類に関係なく監督または管理の地位にある人です。管理監督者は、労働時間と休憩、休日に関する規則の適用外です。

そのため、連続勤務日数が12日を超えても違反になりません。しかし、管理監督者でも深夜労働の割増賃金や有給休暇の規則は適用されます。

また、管理監督者に連続勤務してもらえるからといって、過度に勤務させてしまうと健康の悪化や生産性の低下にもつながります。そのため、管理監督者に連続で勤務してもらえるか確認し、健康面も考慮して勤怠管理することが重要です。

12連勤の賃金の計算方法

12連勤の賃金計算では、時間外労働や深夜労働、休日労働に対する割増賃金を正確に計算することが重要です。たとえば、時給1,200円の仕事を12連勤で毎日8時間勤務する場合、週40時間を超えた分は時間外労働(25%増)となります。また、法定休日労働は35%増、深夜労働(22時〜翌朝5時)は25%増で計算します。

上記の場合、以下のような賃金計算です。

  • 法定労働時間内:「1,200円×80時間(週40時間×2週)=96,000円」
  • 時間外労働(1週目8時間、2週目8時間):1,200円×1.25(割増賃金)×16時間=24,000円
  • 合計:120,000円

22時から翌朝5時の深夜労働には25%以上の割増賃金が適用されます。また、時間外労働には25%以上の割増賃金が必要です。時間外労働と深夜労働が重複する場合、割増率も加算されるため注意が必要です。

12連勤の賃金計算の際は、労働基準法に基づき、適切な割増賃金を支払いましょう。

12連勤を超えた場合の罰則

従業員に12連勤を超える連続勤務をさせ、上限を超えた場合は、労働基準法第119条により「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。上記の規定は、アルバイトやパート、正社員など雇用形態に関係なく、すべての労働者が対象です。

連続勤務の上限を超えたことが発覚するのは、労働者が労働組合や管轄労働基準監督署に通報した場合です。

従業員が働きやすい環境を整えるためにも、企業は従業員の連続勤務日数が労働基準法に違反しないよう、勤怠管理する必要があります。また、休日のない連続勤務により健康被害がでた場合は、労災として認められるケースがあります。

そのため、企業は従業員の健康状態を把握しながら、適切に休日を付与しましょう。

12連勤が発生する会社の問題点

12連勤や上限を超えて連続勤務を求めることは、さまざまリスクが伴います。12連勤は労働基準法違反ではありませんが、トラブルにつながりやすいため推奨されていません。以下では、12連勤による問題点について解説します。

従業員の健康リスク

連続で仕事をさせることは、心身に負担がかかりやすいため、従業員の健康リスクが懸念されます。労働時間が増えると睡眠や休息の時間が削られるため、疲労が蓄積します。疲労が蓄積すると、脳や心臓疾患、精神障害、自殺のリスクが高まると労働安全性総合研究所でも指摘されているため注意が必要です。

また、胃腸障害や腰痛、月経障害などの健康問題も引き起こされる可能性があります。さらに、疲労の蓄積は注意力の低下を招き、労働災害のリスクも増大します。

従業員の健康を守るために、適切な労働時間の管理と休息の確保を徹底しましょう。

生産性の低下

12連勤のような長時間労働は、従業員の疲労蓄積やモチベーションの低下を招き、生産性の低下につながる可能性があります。スタンフォード大学の研究によると、週労働時間が50時間を超えると時間あたりの生産性が急激に低下し、55時間を超えるとさらに低下することが報告されています。

労働時間が長くなるほど、労働生産性が低下することも確認されているため、企業は生産性低下を防ぐために労働時間を管理することが重要です。また、企業全体の業績にも悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な労働時間の管理と労働環境を改善させましょう。

離職率の増加

長時間労働は、従業員の疲労やストレスにより、職場環境への不満が高まり、離職率が増加する可能性があります。

とくに、労働時間の長さや給与、仕事内容が採用前の情報とはかけ離れている場合、離職意識はより高まります。若年層の労働者は、転職に抵抗が少ない世代であるため、さらなる注意が必要です。

企業が長時間労働を放置すると、優秀な人材を逃し、採用コストの増加や組織全体にも悪影響を及ぼします。従業員の定着率を向上させるためにも、無理な連続勤務を求めず、適切に労働時間を管理しましょう。

12連勤を防ぐための会社の取り組み

企業は、従業員に安心して働ける環境を整えるために、12連勤のような負担の大きい連続勤務を防ぐ必要があります。以下では、企業ができる取り組みについて解説します。

業務効率化を進める

無理な連続勤務を避けるためには、企業は業務効率化を進めることが重要です。業務の無駄や重複を削減し、作業プロセスを見直すと、労働時間の短縮と生産性の向上が期待できます。たとえば、業務の自動化やITツールなどを導入したことにより、年間6,700時間の作業時間削減に成功した事例もあります。

業務効率化を進めることにより、長時間労働の削減と従業員のワークライフバランスが向上し、結果的に12連勤のような過重労働の防止が可能です。

人員配置を見直す

人員配置の見直しは、連続勤務の防止に効果的です。労働量が増えて連続勤務が増える原因は、人員不足や人員配置が適切でない可能性があります。そこで、業務量に対して適切な人員を配置すると、個々の従業員の負担を軽減し、長時間労働を防止できます。

また、現場の意見を取り入れながら作業の調整や人員配置を決めることで、適切な労働環境の提供が可能です。

採用の強化

従業員の採用を強化して人員を増やすことも、連続勤務の防止に重要です。十分な人手を確保すると、業務を適切に分担でき、個々の従業員の負担軽減につながります。また、新規採用だけでなく、パートタイムや契約社員など多様な雇用形態を活用すると、柔軟なシフト管理が可能です。

さらに、採用活動では、働きやすい職場環境や労働時間管理の徹底をアピールすれば、求職者の関心を引きつけられます。採用強化は、長時間労働の抑制とともに、従業員の健康維持や職場の生産性向上にもつながるため、企業の成長にも大きく貢献するでしょう。

勤怠管理を徹底して無理な連続勤務は避けよう

12連勤は、法律上違法ではありません。労働基準法第35条1項では、毎週少なくとも1日、休日の付与が義務付けられており、必然的に連続勤務の上限が12日と定められています。そのため、企業は労働基準法の範囲内で連続勤務を求める必要があります。

しかし、無理な連続勤務は、従業員の健康リスクや生産性の低下、さらに離職率を向上させてしまう可能性があるため注意が必要です。そのため、企業は、従業員の労働時間と健康状態を考慮し、適切に勤務を求めるよう管理体制を整えましょう。


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