- 更新日 : 2024年1月30日
コワーキングとは?働き方の特徴やコワーキングスペースについても解説!
現在では、テレワークなどの多様な働き方が普及し、これまでとは異なった方法で業務を行うことも珍しくありません。多様な働き方は、業務の無駄を省き、効率化の効果も期待できます。
当記事では、新しい働き方であるコワーキングの概要や注目の背景、メリット・デメリットなどについてわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
コワーキングとは?
「コワーキング(Coworking)」とは、共同を意味する「Co」と、仕事を行うことを意味する「Working」を合わせた、共に働くことを意味する造語です。コワーキングは、オフィスなどのスペースを共有しながら、各々が独立して仕事を行う共働のワークスタイルである点に特徴があります。
コワーキングは、単に仕事の場を共有するだけではありません。異なるバックグラウンドを持った多様な人々との出会いによる、新しいアイデアの創出などを目的としたコミュニケーション重視の働き方となります。
ノマドワークとの違い
ノマド(Nomad)とは、本来遊牧民を意味する英単語です。そのノマドに仕事を意味するワーク(Work)を組み合わせた言葉が、ノマドワークとなります。また、ノマドワークによって働く人をノマドワーカーと呼びます。
遊牧民は一定の場所に定住せず、移動しながら牧畜という仕事を行います。ノマドワークも、遊牧民のように決まった場所を持たずに仕事を行うことが特徴です。ノマドワーカーは、ネット環境を利用し、自宅やホテル、カフェなど、特定のワークスペースに縛られることのない働き方で仕事を行っています。
コワーキングも特定の場所に縛られず働くことが特徴であり、ノマドワーカーがコワーキングを選択する場合もあるため、両者を厳密に区分することは難しくなっています。しかし、コワーキングは、個人事業主だけでなく会社員も多く選択する働き方です。一方のノマドワークは、会社員が選択する場合もありますが、多くはフリーランスの個人事業主である点に違いがあるといえるでしょう。
テレワークとの違い
出社することなく、自宅などで業務を行うテレワークもコワーキングと同様に場所的制約のない働き方です。テレワークは、コロナ禍以降、急速な普及を見せ、現在ではすっかり定着した働き方でしょう。
テレワークとコワーキングは、両者とも場所的制約のない働き方という点では共通しています。しかし、制約がないとはいえ、テレワークを行う場所の多くは自宅です。レンタルスペースやカフェなどでテレワークを行うのは、自宅のネット環境が悪い場合など、例外的なケースとなるでしょう。
テレワークは自宅において1人で作業することが多く、コミュニケーション不足が問題となっています。一方のコワーキングは、共有したワークスペースにおいて、他者と交流を図ることもその目的の1つとしています。基本的に1人での作業となるテレワークとは、異なった働き方であるといえるでしょう。
コワーキングが注目されている背景
コワーキングの歴史はそれほど古いものではなく、2000年代中頃からアメリカで広まった新しい働き方です。日本においては、2010年頃からコワーキングの概念が広まりを見せはじめ、新しい働き方として注目を集めています。
コワーキングが注目を集める背景には、テレワークやノマドワークなどの多様な働き方の普及が挙げられます。必ずしも出社を要せず、場所的・時間的制約の弱い働き方が普及したことにより、そのひとつの形態であるコワーキングにも注目が集まっているわけです。
また、コワーキングは会社員だけでなく、フリーランスも多く選択する働き方です。多様な働き方の普及により、雇用されることのないフリーランスを選択する人が増えていることも注目の背景として挙げられます。また、フリーランスは在宅勤務が多く、仕事を行ううえで孤独を感じやすくなっています。そのような点も交流を重視するコワーキングが注目される背景として挙げられるでしょう。
コワーキングが行える「コワーキングスペース」とは?
コワーキングスペースとは、コワーキングとコワーキングを行う場所(スペース)を合わせた言葉です。OA機器や通信環境、デスクなど、仕事を行ううえで必要となる設備が揃っていることは通常のオフィスと同様です。しかし、一般的なオフィスとは異なり、作業を行う場所がオープンスペースとなっていることが特徴となります。
では、コワーキングスペースと従来型のオフィスは、どのような点で異なっているのでしょうか。
本社から離れた地点に設置されるサテライトオフィスは、複数企業で使用する共有型の場合もありますが、あくまで企業ごとに区切られ、オープンではありません。また、レンタルオフィスの多くは個室型であり、オープンスペースが原則のコワーキングスペースには向いていない形態となります。
シェアオフィスは、スペースを共有していますが、コワーキングスペースのように共働を目的とはしていません。また、コワーキングスペースは、実際に作業を行う場所であるため、住所や電話番号のみを借りるバーチャルオフィスとも異なった存在です。
コワーキングスペースは、交流を重視し利用者が相互に刺激し合うことで、相乗効果を生み出す従来のオフィスとは異なった場所といえるでしょう。そのため、座席が固定されないフリーアドレスが基本となっています。この点も原則として座席が固定されている一般的なオフィスと異なっています。
コワーキングへの注目の高まりを背景に、コワーキングスペースは、年々施設数が増加しています。一般社団法人大都市政策研究機構が、2021年6月に発表した「日本のコワーキングスペースの拡大」では、以下のような調査結果が出ています。具体的な施設数の数字を見てみましょう。
全国におけるコワーキング施設数の推移
- 2019年6月:799施設
- 2020年8月:1062施設
- 2021年2月:1379施設
約1年で1.33倍、1年6か月で1.73倍と大きな伸びを見せていることがわかります。新しい働き方としてコワーキングが注目され、広がりを見せていることが分かる結果といえるでしょう。
参考:日本のコワーキングスペースの拡大|一般社団法人大都市政策研究機構
コワーキングスペースでできること
コワーキングスペースは、基本としては一般的なオフィス同様に仕事を行う場所です。しかし、それだけではなく、他の目的でも活用可能な施設となっています。
作業・業務
コワーキングスペースも仕事を行う場所である点は、一般的なオフィスと違いはありません。そのため、ワーキングスペースでの作業や業務も可能です。しかし、座席の指定がないことが多く、空いているスペースであれば、自由に作業可能な点が、一般的なオフィスとは異なっています。
会議室の利用・商談
取引相手との商談を行う会議室や、来客対応のためのスペースが設けられているコワーキングスペースも存在します。ただし、コワーキングスペースは、他の企業やフリーランスも使用するため、事前の予約等が必要な場合もあり、利用には注意が必要です。
情報交換・交流
コワーキングスペースは、単純な仕事の場ではなく、交流を重視した場でもあります。そのため、他の人との交流や情報交換を行うことも可能です。特にひとりで作業を行うことの多いフリーランスにとって、交流や情報交換できる場所は貴重となるでしょう。
コワーキングのメリット
新しい働き方として注目を集めるコワーキングですが、その働き方にはどのようなメリットがあるのでしょうか。本項では、コワーキングのメリットについて、項目ごとに解説を行います。
人と出会うことができる・ビジネスチャンスになることも
コワーキングスペースは、単なる仕事の場ではなく、交流の場としての側面も持っています。そのため、コワーキングスペースでは、新しい出会いに巡り合うこともあり、ビジネスチャンスにつなげることも可能です。特に異業種との交流は、これまでにないビジネスアイデアの発見にもつながります。
雑談を楽しむこともできる
コワーキングスペースには、自分だけでなく他にも仕事を行っている人が存在します。各々が独立して仕事を行うのが基本ですが、作業の合間に雑談をすることもできるでしょう。この点は、孤独を感じがちな在宅勤務に比べて、大きなメリットとなります。
イベントや協業などに参加できる
コワーキングスペースでは、勉強会や交流会などのイベントが開催されていることもあります。イベントの参加を通じて、新たな知見を得られるだけでなく、生まれた縁をきっかけとして他業種との協業による新商品や新サービスの開発につながることもあるでしょう。
プライベートとのメリハリがつけられる
テレワークなどの在宅勤務では、どうしても仕事とプライベートの区別がつきづらくなってしまいます。在宅勤務において、「常時仕事中のような気がして気が休まらない」「プライベートな空間での仕事は身が入らない」などの悩みは珍しいものではありません。自宅ではないコワーキングスペースで仕事を行うことは、仕事のオンオフを可能とし、これらの悩みの解決につながるでしょう。
コストが少ない
コワーキングスペースには、OA機器やネット環境など、仕事上必要となる設備が整っています。これらの設備を自ら用意する必要がないことは、大きなコスト削減効果が期待できます。また、コワーキングスペースで作業場を共有すれば、事務所やオフィスを借りる際の賃料や敷金、礼金なども不要となります。コワーキングスペース自体には利用料金が掛かるものの、トータルで見ればコスト削減効果が見込めます。
コワーキングのデメリット
コワーキングには、メリットだけでなく、デメリットも存在します。では、どういった点がコワーキングのデメリットなのでしょうか。
雑音・環境がうるさく感じることも
スペースに自分だけでなく、他の人もいることは、出会いによるビジネスチャンス創出など、コワーキングスペース利用のメリットとなります。しかし、他者の存在は雑音などを生み出し、静かで落ち着いた作業環境を望む人にとっては、デメリットともなり得ます。
ワークスペースが狭い
コワーキングでは、ワークスペースを共有します。各人にとって十分なスペースが確保できれば良いですが、そのような場合ばかりではありません。共有の結果として、肘がぶつかるような狭いワークスペースしか確保できない場合もあるでしょう。そのような状況では、とても効率的な作業は望めません。
人間関係が悪化した場合が大変
コワーキングスペースは、様々な人が利用する共有のワークスペースです。そのため、新たな出会いにつながることも多々あります。しかし、時間の経過とともにメンバーが固定され、特定のコミュニティを形成することも珍しくありません。
コミュニティ内の人間関係が上手くいっているうちは良いですが、悪化してしまった場合は問題です。そのような場合には、コミュニティのメンバーと顔を合わせづらくなり、コワーキングスペースも利用しづらくなってしまうでしょう。
セキュリティ面での懸念
常に他者の存在があるコワーキングスペースでは、セキュリティも常に意識しなければなりません。機密情報を扱っているときに、端末を覗き見されないようにすることはもちろん、盗難にも注意が必要です。また、コワーキングスペースのネット環境が安全ではない場合もあるため、十分な注意が必要となるでしょう。
コワーキングを活用しよう
多様な働き方の普及により、場所を問わない働き方の選択も可能となりました。場所を問わない柔軟な働き方は、ワークライフバランス実現にもつながるものです。コワーキングは、様々なメリットのある働き方です。デメリットに注意しながら活用することで、新たなビジネスチャンスの創出など、多くのメリットを享受できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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