- 更新日 : 2024年9月13日
就業規則の作成は怖くない!簡単にできる作り方解説(テンプレート付き)
目次
はじめに
就業規則を作るのが面倒と感じている方、どう作るか分からなくて困っているという方が多いのではないでしょうか?しかし、就業規則は一定の条件を満たした企業は作成することが義務付けられています。
そこで、今回は就業規則に関する基本事項から、業種ごとの特性に応じた就業規則の注意点などを紹介していきたいと思います。
就業規則の概要
Photo by Elvert Barnes
概要
就業規則は、労働基準法に基づき、被雇用者の労働時間・賃金・服務規程のような労働条件などを定めた規則のことをいいます。
作成義務が生じる条件
就業規則の作成義務は、事業場(事業所・店舗など)原則10人以上の従業員がいる場合に生じます。なお、就業規則は企業単位ではなく、事業場単位で作成しなければならないので、注意が必要となります。
行政官庁への届け出
作成・変更を行なった就業規則の届け出を労働基準監督署へ行なう際には、以下の点に注意する必要があります。
・労働者代表の意見添付が必要
ここでいう労働者代表は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその代表過半数、労働組合がない場合は従業員の過半数により選ばれた方となります。届け出を行う際に労働者の意見も聞いているということを示すために、この代表者の意見を添付する必要があります。
なお、役員や管理監督者は労働者代表になることはできません。
・事業場ごとの届け出が一般的
ただし、複数の営業所や店舗などを展開する企業については、営業所や店舗の就業規則が「本社の就業規則と同じ内容である場合」に限っては、本社所在地を管轄する労働基準監督署長経由で、一括で届け出ることも可能です。
また、届け出を行なった就業規則は、従業員に対して周知することが義務付けられています。
共通で記載する必要がある項目
就業規則を作成する際には、業種など個々の条件に関係なく、共通して盛り込まなければならない項目があります。ここでは、その項目に関してみていきます。
就業規則を作成する際に必ず入れる必要がある項目(絶対的必要記載事項)
就業規則には、労働基準法により常に記載しなければならないと決められている事項があります。それを絶対的必要記載事項といいます。この事項を記載しないと、当然受理されませんので注意しましょう。
・労働時間関係
始業・終業時刻、休憩時間、また休日・休暇などが含まれます。
・賃金関係
給料の決定・計算・支払い方法、賃金締め切り、支払いの時期、昇給などに関する事項が含まれます。
・退職関係
退職に関する事項(解雇などの理由も含む)が含まれます。
場合によっては入れなくてはならない項目(相対的必要記載事項)
下記に該当する制度を設ける場合に記載しなければならない項目を相対的必要記載事項といいます。
・退職手当に関して
適用される従業員の範囲、手当の決定、計算・支払い方法や時期が含まれます。
・臨時の賃金・最低賃金に関して
臨時の賃金(退職手当はのぞく)・最低賃金額が含まれます。
・費用負担に関して
食費・作業用品などの負担の項目が含まれます。
・安全衛生に関して
安全・衛生の項目が含まれます。
・職業訓練に関して
職業訓練の項目が含まれます。
・災害補償・業務外の傷病扶助に関して
災害や業務外のケガ・病気の扶助が含まれます。
・表彰・制裁に関して
表彰や制裁の種類・程度に関する事項が含まれます。
・その他
事業場の労働者すべてに適用されるルールが含まれます。
業種ごとに注意が必要な点
Photo by Timothy Vollmer
ここまで就業規則に関して基本的な内容を見てきましたが、もちろん業種などにより特徴・働き方・環境などは様々です。そこで代表例として以下の3業種に関して、就業規則を作成・変更する上での注意点などをご紹介します。
IT業
特に注意が必要な点として労働時間に関する項目があります。IT業では長時間や不規則な労働時間になってしまいがちになり、従業員への負担が考えられますので、その問題を解決するためにも労働時間や給与に関する項目、休暇・病気などの健康管理規程に関する項目を記載することが必要となるでしょう。
小売業
小売業は、販売成績などに対する評価制度や成果報酬の内容がポイントになると考えられます。成績に応じた目標管理制度、人事評価制度の導入に関する事項の記載が求められることになります。
飲食業
まず、第一に飲食業にとって最重要となりうる衛生管理に関することが挙げられます。衛生管理に関する作業手順を規則に記載する必要が出てくると予想できます。また、パートタイムの従業員が多いと考えられるので、給与形態や労働時間などに関する規程や評価制度を充実させることも考えられます。
就業規則のテンプレート
ここで、無料で使用することができる就業規則のテンプレートをいくつかご紹介します。
・東京労働局
東京労働局によるもので一般的なものといえるかもしれません。
・roumu.com
正社員用、パートタイマー、嘱託就業用の3種類が用意されています。
・bizocean
豊富なテンプレートが用意されているのが特徴となります。
「マネーフォワード クラウド給与」が提供する就業規則のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?就業規則は、上記の項目をしっかり押さえていれば、最低限のものを作成することはできます。また、就業規則を作成することは、労働環境や労働条件などを含め、どういう会社にしていきたいのかを意識する機会にもなります。
ぜひ、就業規則の作成をただの面倒な作業と捉えずに、どういう会社にしていくのかを考えるための良い機会と捉え、前向きに行なうようにしてみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
所定休日とは?法定休日との違いや割増賃金を解説!
所定休日は企業で働く従業員の休みを示す言葉ですが、誤って認識していると適切な賃金の支払いにも支障が生じてしまいます。そこでこの記事では所定休日の定義を分かりやすく解説しました。振替休日・法定休日・法定外休日などとの違いや、労働基準法における…
詳しくみる従業員の雇用手続きについて解説!必要書類や加入する保険は?
新規に従業員を雇用する際には、さまざまな手続きが必要です。そのほとんどが従業員の生活にかかわる重要な手続きであり、事業主や人事労務担当者はこれらを間違いなく行わなければなりません。本記事では、社員だけでなくパート・アルバイト・短期アルバイト…
詳しくみる仕事と介護の両立をするための「介護休業」を理解しよう
介護休業とは? 厚生労働省の平成29年度就業構造基本調査によると、介護をしている人は627万6千人、うち仕事をしている人は346万3千人となっており、超少子高齢化が進む現在、介護と仕事の両立は他人事ではありません。 介護休業とは、要介護状態…
詳しくみる法定内残業とは?計算方法や義務について解説!
残業には法定内残業と法定外残業があります。法定内残業は労働基準法に定める法定労働時間内での残業、法定外残業は法定労働時間を超える残業です。法定内残業と法定外残業の違いは割増賃金の支払いと36協定が必要かどうかです。法定内残業時間に対しては法…
詳しくみる労働時間に必要な休憩時間は何分?ルールや労働基準法から解説!
休憩は労働時間6時間で45分、労働時間8時間で1時間が必要です。労働基準法は休憩について勤務時間に対して与えなければならない時間の他にも時間外に労働させる場合は36協定が必要なことを定めています。 また「休憩の3原則」とされる「途中付与・一…
詳しくみる残業とは?定義、法定内残業と時間外労働の違いも解説!
残業とは、一般的には企業が定めた所定労働時間を超えて働くことです。ただし、労働基準法には労働時間の上限時間の定めがあり、法定労働時間を超えて働いた時間と残業時間が一致するとは限りません。 正しい労務管理のためには残業の意味や定義を理解し、割…
詳しくみる