• 更新日 : 2024年3月21日

育児休業(育休)とは?産休~育休の給付金や手続き、延長について解説

育児休業(育休)とは、原則として1歳に満たない子どもを養育する従業員が取得できる休業のことです。近年は改正が行われ、より育休取得の推進が求められています。人事でも手続きについて把握し、スムーズに進めていかなければなりません。

本記事では育児休業の概要や休業中に従業員が受け取れる給付金、人事で行う手続きなどを解説します。

育児休業(育休)とは?

育児休業(育休)とは、原則として1歳に満たない子どもを養育する従業員が、養育に専念するために取得する休業です。一定条件を満たしている従業員は男女問わず取得でき、従業員から申し出があった場合、会社は休業を取得させる義務があります。

育児休業制度は、2021年6月に改正が行われ、2022年から2023年にかけて段階的に実施されています

育児休業と育児休暇との違い

育児休業と育児休暇は似ていますが、それぞれ異なる制度です。育児休業は法律で定められている制度であるのに対し、育児休暇は従業員の育児支援のために会社が独自で設ける制度です。

法的制度である育児休業は対象者や期間、給付金などが法律で定められていますが、育児休暇は対象者や取得期間などは企業の裁量で決定し、休業時に給付金を支給するかどうかも企業が判断します。

産前産後休業(産休)と育児休業(育休)の違い

育児休業は、産前産後休業(産休)とは異なります。産前産後休業とは、出産するための準備期間である産前休業と、出産後に身体を回復させる期間として産後休業ができる制度です。

産休期間は、出産予定日の6週間前から出産後8週間までとされ、産後休業は本人からの申請に関係なく、休業させることが義務付けられています。

産休期間は、出産予定日の6週間前から出産後8週間まで

これに対し育児休業は、1歳に満たない子どもを養育する男女が会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、休業できる制度です。1歳になっても保育園が見つからないなどの事情がある場合、1歳6ヶ月もしくは2歳までの延長ができます。

育児休業は子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、休業できる制度

対象となる期間や、産前産後休業を取得できるのは女性だけということが、育児休業と大きく異なる点です。

パパ・ママ育休プラスとは?

育児休業は基本的に子どもが1歳に達するまでの間に従業員が申し出た期間の休業を取得できます。しかし、一定の要件を満たす場合には、特例が認められています。「パパ・ママ育休プラス」といい、両親ともに育児休業を取得することなどを条件に、子が1歳2ヶ月に達するまで延長できる制度です。

また、2021年の法改正で創設された出生時育児休業産後パパ育休)という制度もあります。子どもの出生から8週間以内、最大4週間まで育児休業とは別に男性が取得できる制度です。出生時育児休業は2回まで分割ができ、労使協定を締結していれば、休業期間中も就労できます。

育児休業中に受け取れる給付金

育児休業を取得する期間は、国から給付金が支給されます。休業中は収入が減少または停止するため、給付金は休業中の生活を支える収入源だといえます。

育児休業中に支給される給付金は、次の4つです。

  1. 出産手当金
  2. 出産育児一時金
  3. 育児休業給付金(育休手当)
  4. 出生児育児休業給付金

それぞれの内容をみていきましょう。

出産手当金

出産手当金とは、産前産後休業をした被保険者が事業主から報酬が受けられないとき、健康保険から支給される手当金です。被保険者や家族の生活を保障し、安心して産前産後の休養ができるようにするための制度です。

受け取れるのは、出産の予定日を含む出産日までの42日間(双子など多胎妊娠の場合は98日間)から、出産日の翌日以降56日目までの期間で、産休を取得した期間のみ支給されます。

出産育児一時金

出産育児一時金とは、子どもを出産したときに加入している健康保険制度(健康保険または国民健康保険)から受け取る一時金です。

出産は病気・怪我にはあたらないため、健康保険は適用されません。分娩費用や、入院費などは全額自己負担になります。そのような出産時の負担を軽減するために設けられた制度です。一時金の額は、2023年4月1日から、これまでの42万円から50万円に増額されています。

出産育児一時金は一定額の支給であり、実際の出産費用が支給額を超えた場合、差額は自己負担です。

育児休業給付金(育休手当)

育児休業給付金(育休手当)とは、育児休業中に雇用保険から支給される給付金です。休業中の収入減少をサポートして育児休業を取りやすくするための制度で、出産・育児による離職を防ぐ目的があります。

育児休業給付金は雇用保険に加入しているなど一定の要件に該当する場合に支給されるもので、勤務している会社を経由して管轄のハローワークに申請する方法が一般的です。

出生児育児休業給付金

出生時育児休業給付金とは、2021年の育児休業・介護法の改正で新設された出生時育児休業(産後パパ育休)の取得により支給される給付金です。

出生時育児休業を取得し、支給要件を満たす場合に支給を受けられます。出生時育児休業を2回に分割して取得する場合でも、支給申請は1回にまとめて行います。支給されるのは、出生時育児休業をした日数(上限28日)で、給付率は67%です。

育児休業給付金(育休手当)の概要

育児休業の期間中に支給される育児休業給付金について、さらに詳しくみていきましょう。

育児休業給付金の受給資格

育児休業給付金は、原則として1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得し、次の条件を満たせば受給できます。

  • 雇用保険の被保険者
  • 過去2年間のうち、就業日が11日以上ある月が12ヶ月以上
  • 育児休業中に支払われる給与は休業前の給与の80%未満
  • 育児休業中の就業日数が月に10日以下

就業日が10日を超える場合でも、就業時間が80時間以下であれば条件を満たします。

育児休業給付金の受給期間

育児休業給付金を受け取れる期間は、育児休業開始日から、子どもが1歳になる誕生日の前々日までとされています。

パパ・ママ育休プラスの場合は、子どもが1歳2ヶ月になる日の前日まで受給が可能です。

ただし、子どもが1歳になったとき、次の条件を満たすことで子どもが1歳6ヶ月になるまで、支給期間を延長ができます。

  • 保育所などの申し込みをしているが見つからない
  • 子どもの養育予定者が死亡や怪我、病気などで養育が困難である
  • 離婚などで子どもの養育者と別居した
  • 新たな妊娠により6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定、または産後8週間を経過していない

また、子どもが1歳6ヶ月になったときに状況が変わらない場合、支給期間は2歳までに再延長できます。

女性は産後休業から引き続き育児休業を取得するのが一般的ですが、産後休業は出産の翌日から8週間(56日間)であるため、育児休業開始日は出産日から起算して58日目です。

男性の場合は、子どもが生まれた日が開始日となります。

育児休業給付金の支給額・計算方法

育児休業給付金は月単位で計算され、通常2ヶ月分がまとめて支給されます。給付金の金額は時期によって異なり、次の計算式で算出します。

  • 休業開始から180日(6ヶ月)以内:休業開始時賃金日額×支給日数(30日)×0.67
  • 休業開始から181日以降:休業開始時賃金日額×支給日数(30日)×0.5

休業開始時賃金日額は、次の計算式で求めます。

育休開始前(女性は産休開始前)6ヶ月の賃金÷180日

6ヶ月の賃金は保険料などを控除する前の金額で、賞与を除きます。

例えば、育児休業開始前6ヶ月における1ヶ月あたりの賃金が30万円の場合は、次のように計算します。

休業開始時賃金日額:(30万円×6ヶ月)÷180日=1万円

  • 休業開始から180日(6ヶ月)以内:1万円×30日×0.67=20万1,000円
  • 休業開始から181日以降:1万円×30日×0.5=15万円

給付金には1ヶ月あたり、下記の上限額が設定されています。なお金額は毎年8月に変更される場合があります。

180日以内:310,143円

181日以降:231,450円

育児休業給付金の受給期間内の税金や社会保険料

育児休業給付金は非課税のため所得税はかからず、翌年度の住民税算定額にも含まれません。休業中の社会保険料は免除されます。 給与所得がないため雇用保険料も発生しません。

ただし、住民税は前年の所得などによって計算されるため、育児休業中でも前年に所得があれば支払いの義務が発生します。 住民税については徴収猶予制度を設けている自治体もあるため、問い合わせてみるとよいでしょう。

【令和3年6月】育児・介護休業法の改正

育児・介護休業法は令和3年(2021年)6月に改正され、2022年から2023年にかけて3段階で施行されています。

改正の内容は、次のとおりです。

(2022年4月から実施)

  • 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
  • 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
  • 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

(2022年10月から実施)

  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
  • 育児休業の分割取得

(2023年4月から実施)

育児休業取得状況の公表の義務化(従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられる)

改正により、育児休業がより取得しやすい状況に変化しています。

派遣社員やパート・アルバイトでも育児休業はとれる?

育児休業の取得は、派遣社員やパート・アルバイトなど有期雇用者でも条件を満たせば取得できます。

ここでは、育児休業の対象者や取得できない労働者についてみていきましょう。

派遣社員やパート、アルバイトの育休対象者

育児休業の取得は雇用形態を問わず、条件を満たせば取得できます。条件は、次のとおりです。

  • 子どもが1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでないこと

有期雇用労働者については、2021年の改正により「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が撤廃され、取得要件が緩和されています。

育児休業を取得できない労働者

育児休業は、原則として1歳に満たない子どもを養育する従業員であれば男女を問わず取得できます。

ただし、パート・アルバイトなど有期雇用労働者の場合、子どもが1歳6ヶ月(2歳までの休業の場合は2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである場合は育児休業を取得できません。また、日払い契約で勤務している労働者も対象外です。

さらに、企業と労働者の過半数を代表する者による労使協定が締結されている場合、次の労働者は育児休業の取得を断れます。

  • 雇用された期間が1年未満
  • 申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下

労使協定がない場合は、これらの労働者も育児休業の対象です。

育児休業に必要な書類と手続きの流れ

従業員が育児休業を取得する場合、人事は必要書類を揃え、多くの手続きを行わなければなりません。ここでは、手続きの流れと人事が行う手続きをみていきましょう。

従業員の産休・育休から復帰までの流れ

従業員の産休・育休から復帰までは、以下のような流れが一般的です。

  1. 妊娠を報告する
  2. 希望により産前休業出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から出産当日まで)に入る
  3. 出産
  4. 産後休業(出産の翌日から8週間)に入る
  5. 希望により育児休業を取得する
  6. 職場に復帰する

産前休業と育児休業は、本人の希望で取得します。産後休業は法律上取得が義務付けられていますが、産後6週間を経過後に医師が就労可能と認めた場合は、本人の希望により就業ができます。

産休取得時に人事が行う手続き

人事で従業員から妊娠の報告を受けたら、次の内容を確認します。

  • 出産予定日
  • 出産前の最終出社予定日
  • 復帰の有無と、復帰する場合の復帰予定日
  • 産前休業と育児休業の取得を希望するか

出産育児一時金など本人が申請する手続きの確認を行い、会社が代行できるものについてどうするか意思確認もしておきましょう。

従業員が産休に入ったら、「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構に提出します。手続きにより、被保険者・会社双方の社会保険料が免除されます。

出産後に人事が行う手続き

従業員から出産の報告を受けたら、全国健康保険協会もしくは健康保険組合に出産手当金の申請手続きをします。対象は健康保険の加入者で、出産のために産休申請を行い、休業期間中は賃金を支払っていないことが条件です。

また、誕生した子どもはその日から健康保険の被保険者としての資格を持つため「健康保険被扶養者異動届」を管轄の年金機構に提出します。

さらに、子どもを従業員の扶養親族とする場合は、前回の年末調整で受け取った「給与所得者の扶養控除(異動)申告書」に追加記入が必要です。

育児休業中に人事が行う手続き

従業員から育児休業取得の申し出を受けたら、必要書類を管轄のハローワークに提出します。2021年の改正で個別の周知・意向確認の措置が義務化されたため、会社側から育児休業取得について確認するとよいでしょう。

ハローワークに提出する書類は、次のとおりです。

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付金支給申請書
  • 育児休業給付受給資格確認票
  • 賃金台帳や出勤簿など支給申請書の記載内容を確認できる書類
  • 母子手帳のコピー

手続きにより、従業員は育児休業給付金を受給できます。支給は2ヶ月ごとに行われ、その都度「育児休業給付金支給申請書」の提出が必要です。

また、育児休業期間中も本人および会社に対し、社会保険料が免除されます。そのため、日本年金機構に「育児休業等取得者申出書」を提出します。

育休終了後に人事が行う手続き

育児休業が終了して従業員が職場に復帰した際、働き方が変わり給与は下がる場合があります。従業員が3歳未満の子の養育期間中に、産休・育休前と比較して毎月の給与が下がった場合、「健康保険・厚生年金保険 育児休業終了時報酬月額変更届」を管轄の日本年金機構へ提出します。

また、給与が下がった場合でも、子どもが3歳までの間は将来受け取る年金額が減少しないようにできる特例があります。厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出することで特例を受けられるため、月額変更届と一緒に日本年金機構へ提出しましょう。

育児休業の期間延長の手続き

保育所に入所できないなど、育児休業を延長せざるを得ない事情がある場合、人事で「育児休業等取得者申出書(延長)」を日本年金機構へ提出します。さらに、ハローワークへ「育児休業給付金支給申請書」の延長申請が必要です。

反対に、予定よりも早く復帰する場合は、社会保険料免除のための申請を終了するため、日本年金機構へ「育児休業等取得者申出書・終了届」の提出をしなければなりません。

育児休業の取得率の推移

育児休業の取得率は、女性が85.1%と高い数字で推移している一方、男性は令和3年度の取得率が13.97%と低い数字にとどまっています。上昇傾向にはあるものの、女性に比べ低い水準であるのが現状です。

今後、さらに育児休業の取得を推進する目的で、令和3年の改正が行われています。政府では、男性の育児休業取得について、令和7(2025)年までに30%にするという目標を掲げています。

参考:育児・介護休業法の改正について|厚生労働省

育児休業について正しく把握しよう

育児休業は仕事と育児の両立を支援し、離職防止や女性の社会進出などを目的としています。女性の育児休業取得率は高いものの、男性の取得率は低く、育児休業の制度趣旨は活かされていないのが現状です。

そのため、2021年には男性でも育児休業が取得しやすくなるよう、改正が行われました。改正では雇用環境の整備や個別の周知など、会社側の努力も求められています。

人事で行う育休取得の手続きは煩雑で、多くの必要書類を揃えなければなりません。今後も育休取得は増えると予想されます。育児休業の内容を正しく把握し、円滑に手続きを行いましょう。


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