• 更新日 : 2023年11月30日

プロパーとは?ビジネスでの使用方法やプロパー社員の特徴

プロパーとは?ビジネスでの使用方法やプロパー社員の特徴

プロパーには「正しい、本来の」という意味があり、プロパー製品やプロパー融資、プロパーカードなどと用いられています。ビジネスではプロパー社員として、一般的に新卒入社した正社員を指し、中途社員と区別する目的で使われます。プロパー社員には社内のことをよく知っている、人脈が豊富、エンゲージメントが高いという特徴があります。

プロパーとは?

プロパーは「正規の、ちゃんとした」という意味の英単語「proper」をもとにして使われるようになった言葉です。「プロパー〇〇」や「〇〇(の)プロパー」のように他の言葉と一緒に用い、○○に入るものの性質を述べる役割をします。

分野によって意味が違う

プロパーは「プロパー製品」や「プロパー価格」のように後に名詞をつけて、そのものが正規であること・適正なものであること・ちゃんとしたものであること・本来のものであることを示す言葉として用います。非正規のもの・不適正のもの・ちゃんとしていないもの・後からできたものがあることを前提に使用される言葉で、分野や後に続く言葉、文脈によってさまざまな意味に用いられます。

元々の意味

プロパーは英単語の「proper」を語源として、日本でさまざまな意味に用いられるようになったカタカナ語です。「proper」は「正しい、適正な、本来の」などと和訳される英単語で、さらにさかのぼると「自身の、独自の、固有の」という意味のラテン語「proprius」に由来します。

流通業界での意味

流通業界においてプロパーは、「正規の」や「オリジナルの」といった意味で使われます。もっとも多く使われる言葉は「プロパー製品」や「プロパー商品」です。プロパー製品はオリジナル商品や独自開発商品といった、その企業ならではの販売物を指します。プロパー商品は正規品を指し、類似品や模造品と区別する意味で用いられます。

学術業界での意味

学術業界では「専門の」や「特有の」などの意味でプロパーが使われます。「○○学のプロパー」は「○○学の専門家」、「〇〇学プロパーの課題」は「〇〇学における特有の課題」という意味になります。

金融業界での意味

金融業界でプロパーは、「自社の」の意味で用いられます。信用保証協会から保証を受けずに直接金融機関が行う貸し付けを「プロパー融資」と呼んでいます。

服飾業界での意味

服飾業界ではプロパーを「プロパー製品」として正規品を示すために用いるほか、「プロパー価格」として正規価格であることを示す言葉として使います。プロパー価格は定価やメーカー希望小売価格、フルプライス(FP)として正規の価格であることを表しています。セール価格やバーゲン価格に対して、割り引きしていない価格として用いられます。

信販業界での意味

信販業界でプロパーは、主に「プロパーカード」として用いられます。プロパーカードは信販会社が独自に発行するカードで、提携カードと区別する必要がある場合にこの呼び方が使われます。VISA・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubといった国際ブランドのクレジットカード会社によって発行されたカードが、プロパーカードと呼ばれます。

ビジネスシーンでのプロパーの意味

分野によってプロパーはいろいろと異なる意味で使われますが、ビジネスシーンではよく「プロパー社員」と社員の性質を表す言葉として用いられます。しかし、意味の範囲は広く、使い方によって意味も異なるため、注意が必要です。

新卒におけるプロパー

ビジネスシーンでは、プロパー社員は新卒社員を意味し、中途採用で入社した社員と明確に区別する目的で用いられます。新卒入社者は会社で重要な役割を果たすことが期待されていることから、特に将来が有望な新卒社員をプロパー社員と呼ぶ場合もあります。

また、将来に会社を動かすポジションに就く社員、出世が期待されている社員といった、生え抜き社員の意味でも用いられます。

正社員におけるプロパー

プロパーが正社員を指して用いられるケースも少なくありません。プロパー社員が正社員の意味で使われている場合、中途採用者も新卒社員と同じようにプロパー社員に含まれます。正社員がプロパー社員と呼ばれるときは、非正規雇用者でないことをはっきりと示す必要がある場合です。パートやアルバイトといった非正規雇用者ではないことを明確にするために、あえて正社員をプロパー社員と呼んで区別します。

正社員を指すプロパー社員は、責任ある社員の意味で用いられます。

契約社員・派遣社員におけるプロパー

契約社員は雇用期間に定めのある社員、派遣社員は派遣会社から期間を定めて派遣されている社員です。契約社員や派遣社員のようにその就業場所で一定期間のみ働くのではなく、期間を定めずに働く社員を指してプロパー社員と用いられることもあります。

雇用期間を定めずに働く社員をプロパー社員とする場合は、事情をよく知っている社員という意味で用いられます。確認事項がある場合に確かな回答を得られる相手がプロパー社員ということになります。

プロパー社員の特徴

プロパー社員は時と場合によって違う意味で用いられることもありますが、新卒で採用された正社員を指して使われることがほとんどです。学校卒業後すぐに入社し、転職することなく継続して勤めているプロパー社員には、次の特徴が見られます。

社内の情報・過去に精通している

プロパー社員の特徴には、まず社内の情報や過去にあった出来事をよく知っている点が挙げられます。学校卒業後すぐに入社しているため、同じ年齢であればプロパー社員は中途採用者に比べて長くその会社に在籍しています。そのため、会社の内部事情に詳しかったり、過去の出来事について実際に見聞きしていて詳細を把握していたりします。

社内での人脈が豊富

社内で豊富な人脈を有している点も、プロパー社員の特徴に挙げられます。プロパー社員は学校卒業後からずっとその会社に勤務しているため社歴が長く、その間に多くの社員と知り合いになっています。同時期に入社し、一緒に研修を受けた同期もいます。また、プロパー社員は将来的には会社の中核を担う存在であるため、経営陣・上層部と早い時期から面識を持っている場合もあります。このような事情によりプロパー社員は人脈豊富であり、問題発生時には多くの人の助けが得られます。

会社へのエンゲージメント・帰属意識が高い

エンゲージメントが高く、また帰属意識が強い点も、プロパー社員の特徴の一つに挙げられます。プロパー社員は新卒で入社してから、辞めることなく同じ会社に勤務している社員をいいます。転職しなかったことから会社に対して不満は特になく、新卒入社であることから学校在籍中に十分に他社と比較して選んだ会社で希望通りの働き方ができていると考えられます。人脈が豊富であることから大きなプロジェクトの一員に選ばれたり重要な職務を任されたりする機会にも恵まれている点も、満足度の向上につながっています。

プロパー社員のメリット

プロパー社員はその会社に長く勤務し、社内のいろいろなことを知っています。豊富な人脈を持っていたりエンゲージメントが高かったりすることから、以下に説明するメリットを有しています。

給与UPやキャリアアップで有利

プロパー社員は勤務年数が長く、会社のさまざまなことを熟知し、社内や業界の事情に精通しています。高いエンゲージメントを有していることからも会社に発生する問題・課題の多くに意欲的に取り組み、貢献度は非プロパー社員に比べて高くなっています。その分だけ人事上での厚遇が期待でき、給与UPやキャリアアップで有利になっています。

困ったときに支援や協力を求めやすい

プロパー社員は会社に長く在籍しているため、顔見知りの社員、付き合いのある社員がたくさんいます。人脈が豊富な上に、固い絆で結ばれている同期もいます。他者の助けが必要な状況になった場合に多くの人に助けてもらえ、本当に困難な状況に陥った場合でも同期の力を貸してもらうことができます。困ったときに声を上げやすく、支援を頼んだり協力を求めたりしやすいという点は、プロパー社員の持つ大きなメリットだと言えるでしょう。

コミュニケーションスキルがある

プロパー社員は同期がいるため、入社時からの横のつながりがある場合がほとんどです。また、就職活動でOGとつながっていたり入社後には指導係として先輩社員がついたりと、縦の関係も築きやすくなっています。多くの人と関わりを持つことで、高いコミュニケーション能力を身につけています。

プロパー社員のデメリット

プロパー社員には前述のようなメリットがありますが、デメリットもあります。以下がプロパー社員の短所・良くないところとして挙げられる点です。

保守的・革新的なことに消極的

プロパー社員のデメリットの一つには保守的で、革新的なことに消極的であることが挙げられます。プロパー社員は学校卒業後に就職した会社に、ずっと変わらず勤め続けています。変化よりも安定を好み、秩序や前例を重んじるため、あまり新しいことを始めたり違うことにチャレンジしたりしない傾向にあります。また、同じ会社に長くいることから考え方や価値観が古いままになってしまったり、視野が狭くなってしまったりすることも少なくありません。

職場環境の改善につながることに対しても後ろ向きの姿勢・態度を示しがちで、さまざまな整備の弊害になったり新しいことへのシフトが進まなかったりします。

プロパー社員のグループには閉鎖的な傾向がある

例えば、プロパー社員は同期をメンバーとするグループには入社年が違う人は仲間に入れないように、グループが閉鎖的になりがちです。強い仲間意識が働くためグループとしての結束力はあり、メンバー間は強い信頼関係で結ばれています。そのことが逆に、グループ外の人間関係に悪影響を及ぼし、コミュニケーション不足や信頼関係が築けないといったことから業務に支障を来す恐れがあります。

中途社員のキャリアアップの阻害要因になることも

プロパー社員の存在は、中途社員のキャリアアップの妨げになることがあります。プロパー社員は勤務期間が長いことから、社内に面識のある人がたくさんいる、経験が豊富であることから人事評価が高くなる傾向にあります。相対的に中途社員の評価は低くなり、研修などの成長機会が失われるなど目指すキャリア形成がしにくくなる場合があります。また、中途社員よりもプロパー社員の方が多くの経営陣・上層部に顔が知られているため、重要なプロジェクトチームのメンバーに選ばれやすいことも、中途社員のキャリアアップを阻害する一因になると考えられます。

プロパー社員との付き合い方

会社という組織では業績アップや利益獲得に向けて、一丸となって取り組む必要があります。どのような社員であってもお互いに協力し合い、課題解決に向けて取り組まなければなりません。プロパー社員ともうまくやっていけるよう、上手な付き合い方を説明します。

プロパー社員がやってきたことをリスペクトする

プロパー社員と上手に付き合うには、プロパー社員がやってきたことを一定程度リスペクトすることが大切です。プロパー社員はその会社に長く勤務していて、いろいろなことを経験し、会社の歴史や企業文化、業務について多くの知識・ノウハウを持っています。有用な経験や知識を持つプロパー社員のやってきたことをリスペクトすることで、より良い人間関係が築け、円滑な業務遂行ができるようになります。

積極的に交流を行う

プロパー社員と上手に付き合うには、積極的に交流を持つよう努めることも大切です。プロパー社員のグループは閉鎖的になりやすく、グループのメンバー以外との人間関係が希薄になる場合が少なくありません。グループに関係なく積極的にコミュニケーションを取るようにすることで、プロパー社員の持つ経験や知識を活用したり、相互に学び合ったりできるようになります。将来的に会社の中核を担うプロパー社員がグループ外の社員と多くコミュニケーションの機会を持つことで組織に一体感が生まれ、業務の効率化が目指せます。

過去の実績を尊重したり積極的に交流したりしてプロパー社員と上手に付き合おう

プロパーは「正しい、本来の」という意味の言葉ですが、他の言葉と組み合わされてそれぞれの分野で用いられる際は、違う意味で使用されます。ビジネスではプロパー社員として用いられますが、プロパー社員も使われ方によって意味合いが変わります。一般的には新卒で入社した正社員を指して、プロパー社員と呼びます。

新卒入社であるプロパー社員は在籍期間が長く、社内の事情をよく知っています。同期がいるなど多くの人とつながっていて、エンゲージメント・帰属意識も低くありません。一方で、プロパー社員には保守的で新しいことや変化を嫌う、閉鎖的なグループに所属しているといったマイナス面があります。

プロパー社員は将来、会社の中核を担うことが期待される存在です。プロパー社員が長年、培ってきた経験を尊重し、積極的な交流を図って上手に付き合いましょう。


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