- 更新日 : 2023年4月26日
源泉所得税の納付書について書き方を解説!提出方法や期限も紹介
源泉所得税は、給与や報酬の支払者が、支払額の中から源泉徴収して国に納付する所得税のことです。通常、この源泉所得税の納付は、納付書を使用して手続きを行いますが、所得の種類ごとに使用する納付書が異なります。
今回は、納付書とはどのようなものか、また納付書の種類、書類の書き方や納付方法、納付期限について見ていきます。
目次
源泉所得税の納付書とは?
源泉所得税の納付書とは、会社などの給与や報酬の支払者が、支払額の中から源泉徴収した所得税を定期的に国に納付する際に使用する書類のことです。
この納付書は「所得税徴収高計算書」と呼ばれ、報酬や料金など、納付する所得によって使用する納付書を変える必要があります。
所得税徴収高計算書の種類
「所得税徴収高計算書」は所得の種類により、使用する納付書が異なります。
給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般分、納期特例分)
給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書は、給料や賞与、退職金、税理士や弁護士、社会保険労務士など、特定の資格を持つ個人への報酬に対する源泉徴収をした所得税を納付するときに必要な書類です。
報酬・料金等の所得税徴収高計算書
報酬・料金等の所得税徴収高計算書とは、税理士や弁護士の報酬ライターへの原稿料、翻訳家への翻訳料、その他、デザイン料や講演料など、個人への報酬や料金から徴収した源泉所得税を納付する際に利用します。
その他の納付書
上記のほか、利子や投資信託等の所得に対する源泉徴収税の納付書である「利子等の所得税徴収高計算書」や投資信託を除く(法人課税信託は含まない)配当の所得に対する源泉徴収税の納付書である「配当等の所得税徴収高」、定期積金の給付補てん金等に対する源泉徴収税を納付するときに必要な「定期積立の給付補てん金等の所得税徴収高計算書」等があります。
所得税徴収高計算書の書き方(一般)
源泉徴収義務者は、納付書となる「所得税徴収高計算書」を作成し、源泉徴収した所得税を税務署に納付する際に提出します。では一般の「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を使って記入してみましょう。納期の特例を申請している場合、納付書が異なりますのでご注意ください。
出典:源泉所得税の納付書兼所得税徴収高計算書の様式について(事務運営指針)|国税庁
給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)の様式及び記載要領を加工して作成
(1)「支払い年月日」
(5)の「納期等の区分」の日付と合致するように、給料や賞与、退職手当、税理士等の報酬・料金等、該当する給与の区分の横に実際に支払われた「年月日」を記入します。
(2)「税務署名」
所轄の「税務署名」を記入します。
(3)「人員」
給与等の「区分」に対応する、各月に実際に働いていた人員数が入ります。
(4)「整理番号」
会社ごとに所轄の税務署によって割り当てられる番号のことで、税務署から納付書が届いたときにすでに印刷されている場合は記入する必要はありませんが、設立したばかりの会社や納税地を移転したばかりで「整理番号」が不明な場合は税務署に問い合わせて記入します。
(5)「納期等の区分」
給料や賞与、退職手当、税理士等の報酬・料金等が実際に支払われた年月を記入します。
(6)「本税」
「税額」の欄に記入した源泉徴収をした所得税の合計額を記入します。平成25年から給料や賞与に対する復興特別所得税が課税されることになり、復興特別所得税と源泉所得税の合計額を記載することになっています。復興特別所得税と源泉所得税は、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求められ、この表には「月額表」と「日額表」、「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」が含まれます。
- 給与が毎月支払われる場合(半月ごとや半年後等の給与の支払いも含む)は「月額表」を使用します。
- 日給または一週間ごとや日割り計算で給与が支払われる場合は「日額表」を使用します。
- ボーナスが支払われる場合は「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」を使用します。
復興特別所得税と源泉所得税について
復興特別所得税と源泉所得税は、「甲欄を使用し、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されているか提出されていないかにより、使用する税額表にある「甲欄」か「乙欄」、あるいは「丙欄」を参照して求められます。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されている場合は「甲欄」を使用。提出されていない場合は「乙欄」または「丙欄」を使用します。
税額表を参照するときに使用する金額は、給与や報酬等の合計額から社会保険料を差し引いた金額です。まずは、扶養控除申告書に記載している扶養の人数を確認し、その人数を基に横軸を決定します。次に、月額表の給与総額から社会保険料を差し引いた金額に当てはまる縦軸を決定します。最後に、縦軸と横軸の交わったところが、給与所得の源泉徴収税額となります。
参考:給与所得の源泉徴収税額表 月額表(令和5年分)|国税庁
給与所得の源泉徴収税額表 日額表(令和5年分) |国税庁
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和5年分)|国税庁
(7)「合計額」
本税と延滞税がある場合は延滞税を含む合計額を「合計額」に記入します。金額の前には「¥」字を付ける必要があります。
(8)「徴収義務者」
源泉徴収義務者の住所、氏名等を記入します。
源泉所得税の納付書の書き方(年末調整)
年末調整を行った場合は、通常の手続きと記入方法が異なります。
出典:源泉所得税の納付書兼所得税徴収高計算書の様式について(事務運営指針)|国税庁
給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)の様式及び記載要領を加工して作成
年末調整の最終的な計算が終わり、過納額や不足額の精算を行った場合は、それを年末調整した月分の所得税徴収高計算書に次のように記載して徴収税額を納付します。
1)不足額が生じたとき(納めた所得税額が不足していたとき)
従業員から徴収した不足額を「年末調整による不足税額」欄に記入します。
2)過納額が生じたとき(所得税を納め過ぎていたとき)
過納額を従業員に還付し、その還付額を「年末調整による超過税額」欄に記入します。
年末調整した月で精算しきれなかった場合は、その翌月や翌々月に繰り越して精算を行ってください。
源泉所得税の納付期限と納付方法について
源泉所得税は、いつまでにどのような方法で納付するのかを見ていきます。
納付期限
給与や報酬の支払いを行った支払者が、従業員などから徴収した源泉徴収税は、原則として徴収した月の翌月10日までに納付する必要があります。
ただし、小規模な企業などは毎月の納付作業が大変になります。このような会社のために特例制度があります。
具体的には、給与を支給する従業員が10人未満である事業主は、税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」を行うことにより、原則の「翌月10日」ではなく、次のような納付が可能になります。
7月から12月の源泉所得税・・・翌年1月20日までに納付
納付方法
納付の際に記入するための「所得税徴収高計算書」は、管轄の税務署で入手することができます。税務署が遠方の場合には、郵送で取り寄せることも可能です。
「所得税徴収高計算書」の記入ができたら、金融機関もしくは税務署に持参して源泉所得税を納付します。
別の方法として、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で納付する方法もあります。e-Taxを利用する場合は、「所得税徴収高計算書」を入手したり、オンラインで納付まで完結して、金融機関などで納付する手間を省いたりすることも可能です。
詳しくは、e-Taxを参照ください。
参考:源泉所得税(徴収高計算書)についてよくある質問|国税庁
源泉所得税の納付手続きについて再度確認しましょう
今回は、源泉所得税の所得税徴収高計算書について、書類の記入方法、納付方法や納付期限などについて見てきました。
源泉所得税には、いろいろな取り決めがあります。書類作成を正しく行い、期限までに納付することが重要です。ルールについて再度確認して正しい手続きを行うようにしましょう。
よくある質問
所得税徴収高計算書とは?
給料や賞与、税理士や司法書士に支払った報酬等から天引きした源泉所得税を、国に納めるときに使用する納付書です。詳しくはこちらをご覧ください。
支払い内容によって計算書の種類は変わる?
「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」「利子等の所得税徴収高計算書」「配当等の所得税徴収高計算書」など、支払い内容に応じた計算書があります。詳しくはこちらをご覧ください。
給料から天引きする所得税の求め方は?
給料の支払サイクルや扶養人数、社会保険料等控除後の給与の支給額などを「月額表」「日額表」にあてはめて求めます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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